ずっと真夜中でいいのに。『低血ボルト』歌詞の意味を考察・解釈

弱気になる最寄の雨
日々飛び散る血を滲ませてく
権利を武器に変えて争うほど
心を失うこと受け入れる

覚悟なら 自然に
誰かの為に引き換えに手放せば
今自分が
生きてゆく意味になれてゆくの

怖がることはもういーかい
惑わされてくなら 
頭でっ価値 ずっとうんと砕いてもっと
乱してあげて
脳みそ達止められない 操れない僕に
期待したいんだ
切り刻まれ この皮膚に従うほど
無敵になれた

時が経てば 自然に
忘れゆく悲しみをいつまでも
思い返して
背負うことで戦えるの

たとえ否定しかしない誰かを
正義まで押し付ける客観を
見逃しは出来ないけど
響かないから 
同調したって中身無くて
正しさが正しくなれないほど
簡単に僕らを表せないように 
お口直しを

怖がることはもういーかい
惑わされてくなら
頭でっ価値 ずっとうんと砕いてもっと
乱してあげて
脳みそ達止められない 操れない僕に
期待したいんだ
切り刻まれ この皮膚に従うほど
無敵になれた

こわいよ
何も感じない 苦しみを 探し求め
我に帰ってく
ひたすら 噛み締めた 恨みは
くだらんか? ううん

助かれ..

怖がることを金輪際
迷いに負けるなら
頭でっか血 ずっとうんと砕いてもっと
乱してあげて
奇想天外止められない 操れない僕に
期待したいんだ
切り刻まれ この皮膚に従うほど
無敵になれた

ずっと真夜中でいいのに。『低血ボルト』の概要

今回は人気音楽ユニットである ずっと真夜中でいいのに。(以下 ずとまよと表記)の楽曲『低血ボルト』の歌詞考察をしていきたいと思います。

今作から感じ取ったメッセージ性は以下の通りです。

・理屈と直感の狭間に求めた福祉

上記の点をメインに考察していきますのでどうぞ最後までお読みください。

『低血ボルト』は 2020年8月5日リリース mini ALBUM『朗らかな皮膚とて不服』収録曲です。

同年7月23日にネット上でMVが公開されました。
公開から僅か1時間で10万回以上の動画再生回数を記録していました。

MV公開前には「スパナ会議〜エビデンス提出の時間〜」が公開され、今作に関する情報が提供されていましたので要点を抜粋して紹介します。

・個々の正義を押し付ける

・不服な花が咲き

・低血のエビデンスもただ紙っぺら

・何かを犠牲にしたとしても守りたい大切

・何もうしないたくない

・そういう意思(上記の意志)が自分自身の契約

これらの情報から人間が持つ2つの性質をイメージしました。

前述でも述べましたが「理屈」「直感」です。
よく理屈タイプと直感タイプなどと表現することがありますね。

しかし、両方を状況や分野ごとに使い分ける人もいます。

今作の主人公ニラもまさにそのような性質の持ち主であると解釈しました。

MVの最初で、高い所から落ちる彼女は「直感」で誰かのために身を投げうつ人物であることを描写しているように見受けられました。
彼女の自己犠牲的な福祉の図り方は称賛に値するでしょう。

しかしMVにはもう一人の彼女(以下 スタンドニラと表記)が登場しています。

MV開始の「スタンド」は見てくれから容易に理解できるように「頭でっかちな人」を表現しているのでしょう。
筆者がスタンドニラと表記したのは、彼女の頭にスタンドが描かれていたからです。

MVの後半でスタンドニラは「人」や「会社」を手に持つシャベルで傷つけていきます。

これはニラの理屈っぽい正義が他者との隔たりを生み、組織において浮いた存在となっていることを描写していると解釈しました。

スパナ会議でも「正義」というワードが出てきました。
さらにMVには前作『正義』の人物が登場していますね。

ここからも集団組織で個々の正義をかざそうとするなら、冷ややかな反応が返ってくる、あるいは誰かを傷つけてしまうことを伝えたかったのかなと感じました。

直感で誰かを助けようとするニラは、自身の中に存在する面つまり理屈で正義をかざしてしまう部分に苦悩しているようです。

今作『低血ボルト』は、直感と理屈の狭間で福祉を示したいと願う彼女の物語であると解釈しました。

それではさっそく気になるタイトルや歌詞全体の意味を考察していきましょう。

『低血ボルト』 の意味とは

前述でも述べた「スパナ会議」という名称と会議で登場したワードからヒントが得られると思います。

ボルトは電圧もイメージできますが、「スパナ」というワードから物を固定する方の「ボルト」であると解釈しました。

スパナでボルトを「締める」という発想が生まれます。

さらに会議で登場したワードを関連づけていきましょう。

「エビデンス」契約締結時に取り交わされる書類

「締める」と「締結」、会議でACAねさんが述べていた「契約」とも重なります。

こう考えるとタイトルに含まれる「低血」が「締結」の当て字であると理解できます。

また「低血」は「低血圧」を考慮にいれていると考えました。
低血圧は血液循環をつかさどる自律神経の乱れによって生じる場合があります。

ニラが自身の理屈っぽい面をうまくコントロールできない点を表現しているのかもしれません。

いずれにせよ毎度考え深いタイトルを設定しますね。

『低血ボルト』歌詞の意味

正義を主張する権利

弱気になる最寄の雨
日々飛び散る血を滲ませてく
権利を武器に変えて争うほど
心を失うこと受け入れる

1番では理屈に支配された主人公ニラが自身と周囲を傷つけて行く様子が描かれているようです。

Aメロ冒頭の「弱気になる最寄の雨」とはなんでしょうか。

「最寄」とは「すぐ近く」を指しているので、すぐ弱気になると理解できます。
「雨」からもニラの「悲しい心情」が伝わります。

弱気な自分でも「日々飛び散る血を滲ませてく」つまり「血の滲むような思い」で日々を生きなければならないのです。

「権利を武器に変えて争うほど」

上のフレーズから自信の理屈っぽい正義で周囲の人たちを傷つけていることを理解できます。

彼女は正義をかざせばかざすほど、心が失われ無感覚になっていくのを痛感します。

そうした心境の変化に彼女自身も傷ついていったのでしょう。

自己犠牲こそ生きている証

覚悟なら 自然に
誰かの為に引き換えに手放せば
今自分が
生きてゆく意味になれてゆくの

1番Bメロではニラの生きがいが綴られているようです。

「覚悟なら 自然に」

彼女は覚悟を決めてから誰かの福祉を図るタイプではないようです。
上記のフレーズからも、彼女が「自然に」身を挺して誰かを助けることができる直感タイプであると判断できます。

某ゲームの主人公の台詞「誰かを助けるのに理由がいるかい?」が思い起こされます。

ニラにとって自己犠牲を示して誰かの福祉を図ることがいきがいだと解釈しました。
これが直感タイプの彼女の本質であると思われます。

理屈を壊して

怖がることはもういーかい
惑わされてくなら 
頭でっ価値 ずっとうんと砕いてもっと
乱してあげて
脳みそ達止められない 操れない僕に
期待したいんだ
切り刻まれ この皮膚に従うほど
無敵になれた

1番サビを見ると、ニラが理屈っぽい自分を壊そうとしているのを読み取れます。

なぜなら「頭でっ価値」「操れない僕」を関連させ、その存在に「ずっとうんと砕いてもっと」と言っているからです。

彼女の内には譲ることのできない理屈っぽい正義が存在するのでしょう。

「怖がることはもういーかい」

かくれんぼの問いかけのような形式で綴られている部分。

これはニラが自身の隠れた部分、理屈っぽい面に呼びかけているようです。
理屈っぽい人は頭の中で色々考えますが、それを行動に移すことを恐れる傾向があります。

結果を恐れて行動できない自分を終わらせようとしているのかもしれません。

「頭でっ価値 ずっとうんと砕いてもっと 乱してあげて」

頭でっかちの当て字として「価値」が用いられています。
これは頭の中で考えることに価値を見出す理屈タイプの概念を伝えているようです。

そうした概念を粉々に砕いて、順序だって配列された理屈を乱したいと彼女は考えたのでしょう。

「脳みそ達止められない 操れない僕に 期待したいんだ」

「脳みそ達」と複数形になっているのは、彼女の中に2つの思考つまり物事を直感で捉える思考と、理屈に基づいた思考が存在することを裏付けているようです。

彼女は2つの思考を上手に「操れない」つまりコントロールできません。
それでも理屈っぽい面を克服できることを「期待」しているのだと解釈しました。

「切り刻まれ この皮膚に従うほど 無敵になれた」

ずとまよの作品の多くは「皮膚」というワードが登場します。
アルバム名にもなっているので重要なワードです。

筆者は「皮膚」をニラが「肌で感じた」と解釈しました。
先ほどから考えている「直感」とも関連があると思います。

「切り刻まれた」とは彼女に理屈っぽい考え方が染み付いていることを描写しているようです。

それを肌で感じ、衝動に従うままに周囲に接してきたことを示唆していると解釈しました。

本来「無敵」とは、よい意味で捉えることのできるワードです。

しかしACAねさんはこの部分を泣きそうなくらい悲しい声で歌っています。

ここから筆者は「無敵」「外的要因を受けつけなくなった心」と解釈しました。
「無感覚」の代用とも考えられるでしょう。

悲しみを力に変えて

時が経てば 自然に
忘れゆく悲しみをいつまでも
思い返して
背負うことで戦えるの

2番ではニラが自身の理屈と向き合い、改善を図ろうとする様子が綴られているようです。

Aメロで彼女は「忘れゆく悲しみを」回想しています。

「悲しみ」には、理屈っぽい正義で傷つけてきた周囲の人たちや自分が関係しているのでしょう。

「もう二度と繰り返してはいけない」

そう心に誓ったかもしれません。

過ちを忘れずにしっかりと「思い返す」ことが向上の一歩だと気づかされます。

「僕ら」―曖昧にして

たとえ否定しかしない誰かを
正義まで押し付ける客観を
見逃しは出来ないけど
響かないから 
同調したって中身無くて
正しさが正しくなれないほど
簡単に僕らを表せないように 
お口直しを

2番Bメロではニラの周囲への見方が綴られているようです。

「たとえ否定しかしない誰かを 正義まで押し付ける客観を」

彼女は否定的な意見や押し付けがましい正義を嫌悪しているようです。
自身の中にもそうした面があることに気づいた上でそう思っているのでしょう。

私たちも、自分の弱点を認めながら他人の弱点を認められないことがあるかもしれません。

「同調したって中身無くて」

批判的な意見を述べる人や押し付けがましい正義は「中身を伴わない薄弱なもの」として捉えています。

前述の「低血のエビデンスもただ紙っぺら」とも結びついてきます。

「簡単に僕らを表せないように お口直しを」

「僕ら」とはニラ(直感)とスタンドニラ(理屈)を指すのでしょう。

他者を嫌悪する彼女は「自分はどうなんだ」と自問したかもしれません。
自分が何者であるかを追及していくと、結局のところ嫌悪した他者と同じだと気づいたのでしょう。

ですから自分たちについて考えるのを曖昧にして「お口直し」つまり別のことを考えるようにしたと解釈しました。

時折、自分の弱点について考えて改善点を導き出すのが怖くなるときがありますね。

切なる願い

こわいよ
何も感じない 苦しみを 探し求め
我に帰ってく
ひたすら 噛み締めた 恨みは
くだらんか? ううん

助かれ..

この部分から、自分と戦い続けたニラが疲弊していったことを理解できます。

「何も感じない」つまり心が無感覚になった彼女は、以前にも増して無意識に周囲の人たちを傷つけるようになったのでしょう。

そう考えると「苦しみ」とは、傷ついた人たちの悲しみを知り「良くない」ということを再認識するということだと思われます。

失敗を自覚することで「我に帰る」しか方法がないのでしょう。

「ひたすら 噛み締めた 恨みは くだらんか?」

彼女はもう一人の自分、理屈っぽい正義を掲げる自分を「恨み続けて」きたようです。

そうした恨みは無駄だったのだろうかと自問したのでしょう。

彼女は「ううん」と否定しています。
なぜでしょうか。

彼女が恨みと同時に、もう一人の自分としっかり向き合おうとしてきたからだと考えました。

結果として彼女はもう一人の自分に「助かれ」と語りかけています。

この「助かれ」という一言に、自身の弱いと思える部分を救いたいという強烈な気持ちが表現されていると感じました。

以下はかなり独創的な解釈になります。

MVには「フォーク」が登場します。
なぜフォークなのかと考えていました。

フォークは「あるものを突き刺す」ための道具です。
ニラが理屈っぽい自分を「ダメな部分」と卑下し、傷つけていたことを表現しているのかもしれません。

そう考えると「シャベル」も気になります。
シャベルは「あるものを掘り起こして掬い上げる」道具です。

ニラが黙想と熟考によって自分自身を掘り下げて考え、弱い自分を救い上げたいと考えたのかもしれません。

彼女の自己犠牲を伴う福祉は、もう一人の自分にも差し伸べられていたようです。
彼女の本質が「何も失いたくない(自身も含めて)」という優しさであることを最後に理解できました。

今は上手にコントロールできない自分。
どれだけ嫌っても契約されているかのように共にいる自分。

それでも彼女には一筋の希望じみたものが見え初めたのかもしれません。。

まとめ

いかがでしょうか。

当て字や前作との関連がたくさんあって興味深かったですね。

長い時間をかけて自分と向き合ってきた主人公。
皆さんも自分と重なる部分があったのではないでしょうか。

前作『正義』の登場人物や別の作品(例えば 「蹴っ飛ばした毛布」)との関連を詳しく記述することができていません。

筆者の考察や解釈以外にもたくさんあるかと思います。
是非コメント欄にて気づかれた点を自由にコメントしてください。

頭のねじが外れかかった筆者が書いているので、至らぬ点が多々あるかと思いますが、温かく見守ってくだされば幸いです。。

ずとまよの今後の活動と次回作に期待し注目していきたいと思います。
葛藤の中にも希望を感じる素敵な作品をありがとうございました。

ここまで記事を読んでくださった皆さんにも感謝します。
ありがとうございました。

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