ずっと真夜中でいいのに。『脳裏上のクラッカー』歌詞の意味を考察・解釈

包帯みたいにぐるぐる巻かれて
脊髄反射で君に触れたって
もう終わりがみえてしまうから
なんにも解けなかった
どうにも答えられなかった
接点ばかり探してた


新しい通知だけさばいて
優先順位がカポ1ばっかで
きっと君を見捨てられないから
理由も知らないまま
幸福を願っているふりする係だから


あーあ なりたい自分と なれない自分
どうせどうせが安心をくれたような
偶然を叫びたくて でも淡々と傘をさして
情けないほどの
雨降らしながら帰るよじゃあね


なんで?隣にいなくても
いいよ いいの いいよ
って台詞を交わしたって
意味ないことも わかってる わかってる
わかってるから 繋ぎ止めてよ
don’t stop脳裏上に
置いていたクラッカー打ち鳴らして笑おう
ぼんやりと月を透かしてみたり
タイミングをずらしてみたり
目に見えるものが全てって思いたいのに


嫌う体力があるようで 大抵が水だらけ
君に「すごいね」とは
言わなかった 言えなかった
どこにも着けなかった 本初子午線がまた
絡まったまんま 解けない


嗚ー呼 消えたい自分と
消えたくない自分
ずっとずっとが
気がかりをくれたような
比べてもやるせなくて
でも結論はそこにあって
情けないほどの
雨降らしながら帰るよじゃあね


なんで?隣にいなくても
いいよ いいの いいよ
って台詞を交わしたって
意味ないことも わかってる わかってる
わかってるから 繋ぎ止めてよ
don’t stop脳裏上に
置いていたクラッカー打ち鳴らして笑おう
ぼんやりと月を透かしてみたり
タイミングをずらしてみたり
孤独に愛されて夜が明けるまで


「おめでとう」
って言って返ってはこないなら
言わないでよ 祝わないでよ もう
切り出せない5文字は飾っておくよ


なんで?隣にいなくても
いいよ いいよ
いいよ いいよって言わせないでよ
台詞なのにばかみたい
ただ走って 今は走ってるけど


意味ないことも わかってる わかってる
わかってるから 欺いててよ
don’t stop脳裏上に
置いていたクラッカー打ち鳴らして笑おう
ぼんやりと月を透かしてみたり
タイミングをずらしてみたり
目に見えるものが全てって思いたいのに


はじめに

『脳裏上のクラッカー』は2018年10月2日にネット上で公開された楽曲です。
現在、再生回数500万を超える大人気の曲となっています。
MVは一見してみるとボカロを連想させますがジャンルは公式でJ-POPとなっています。

歌詞も非常に複雑で奥深い内容となっており奇怪と不可思議をリスナーに伝えて
くれます。

『脳裏上のクラッカー』の アレンジ担当は「100回嘔吐」さん、
映像担当は「Waboku」さんです。
どちらも経験豊かな実力派でこの曲を多方面から支えています。

アーティストである「ずっと真夜中でいいのに。」は略称「ずとまよ」で
ボーカルは「ACA」ねさんです。
メンバーに関する情報は少なく未だ謎多きアーティストと言われています。
(※以下「ずとまよ」と表記します)

タイトル『脳裏上のクラッカー』とは

「脳裏」とは頭や心の中のことです。
ですから脳裏上とは頭や心の中で考えが浮かんでくる
様子を指しています。

「クラッカー」とは三角の形状をした音の出る道具ですね。
パーティーなどおめでたい席で用いられるものです。
そうしたものを公然と利用できないという点が今回の考察
の鍵を握ると筆者は考えています。

頭や心の中だけにしまっておく「おめでとうの気持ち」を
『脳裏上のクラッカー』は描写しているのかと思います。

またボーカルACAねさんご本人のツイッターではこの曲に関して
「はやまって欲しくないという願い」が込められていることを
示唆するコメントがありました。
そうした点も含めて考察していきましょう。


『脳裏上のクラッカー』歌詞の意味

醜い自分が生み出す「距離」

包帯みたいにぐるぐる巻かれて
脊髄反射で君に触れたって
もう終わりがみえてしまうから
なんにも解けなかった
どうにも答えられなかった
接点ばかり探してた

この曲では「主人公」である男性と「君」である女性が登場します。

「包帯みたいにぐるぐる巻かれて」とは君と
主人公が雁字搦めになる程の関係であることを示してい
るのでしょう。

「脊髄反射」とは脳で意識せずに身体が先に動く反応を指します。
ですから主人公 は意識せずに「君」に触れスキンシップが日常的
なものになっているのでしょう。

良く言えば親しい、悪く言えば慣れてしまって特別な「意識」は
とうの昔に消失したと言えるでしょう。
続く歌詞を見るとあまり良い意味でないことがわかります。

「もう終わりがみえてしまうから」とあるのは主人公が君をこの先
もっと幸せにすることができないと感じたからでしょう。
このスランプからの脱却方法や最適解を主人公は見つけることが
できません。

主人公は必死に君との共通点を探そうと努めますが、自分の中に
存在する「醜い自分」が君とこれ以上一緒にいるのを相応しく思
わせないのです。

君の前でこの醜い自分をいつかさらけ出してしまうに違いない、
そう考えれば考えるほど主人公と君との間には見えない「距離」
ができていきました。


偽りの幸福、演じてみせても

新しい通知だけさばいて
優先順位がカポ1ばっかで
きっと君を見捨てられないから
理由も知らないまま
幸福を願っているふりする係だから

ここで主人公が「携帯のメール画面」のようなものを日常
どのようにチェックし関心を抱いているかが理解できます。

「新しい通知だけさばいて」とあるので新着メールは必ず
関心を抱いて開封するようです。
「優先順位がカポ1」とあり「カポ」はギターのフレッド
に装着して半音上げるための道具です。

ギターのネック(棒状の部分)にはフレッドという仕切り
で囲われた部分があります。
その仕切りの線がメールとメールの間にある線に見立てて
いるように思われます(お洒落)

「カポ1」とはギターのネックで一番上の部分に位置します
から意味は先ほどと同じで「一番上の新着メール」に関心
があるということになります。

つまり主人公は過去の想いでを回想したりやりとりした過去
のメールを見返したりしない性格のようです。

主人公にとって「君」は見捨てられない存在であることに間
違いありません。
それでもその先に進む勇気はなく「それなりの幸福」を願う
係に徹しているのだと読み取れます。

誰にも聞こえないクラッカー

嗚ー呼 消えたい自分と
消えたくない自分
ずっとずっとが
気がかりをくれたような
比べてもやるせなくて
でも結論はそこにあって
情けないほどの
雨降らしながら帰るよじゃあね

なんで?隣にいなくても
いいよ いいの いいよ
って台詞を交わしたって
意味ないことも わかってる わかってる
わかってるから 繋ぎ止めてよ
don’t stop脳裏上に
置いていたクラッカー打ち鳴らして笑おう
ぼんやりと月を透かしてみたり
タイミングをずらしてみたり
孤独に愛されて夜が明けるまで

「消えたい自分」とは前述で取り上げた醜い自分です。
消えたくない自分とは君を純粋な気持ちで好きでいられる
自分を表しているのでしょう。

主人公は自分の中に存在する2つの自分を比較してどうすべ
きかずっと悩んできました。
それでも納得のいく前向きな答えが得られなかった、それ自
体が答えなんだと結論しました。

そう、君の前ではっきり「僕は君を幸せにする」と言えない
自分は君から離れるべきだと自覚したのでしょう。
そう思った瞬間、自分でも情けないくらい泣けてきました。
その点を「雨」の比喩で歌詞中で表現されています。

急いで君から距離を取る主人公、しかし君はぴったり寄り添う
ように主人公についていきます。
主人公はこんな情けない自分に無理して「隣にいなくてもいいよ」
と告げます。

しかし君は「いいの」と返事をし、その返事に「いいよ」と主人公
がまた突き放します。
こんなやりとりを繰り返しても二人が結ばれて幸福になる将来など
見えない主人公は君の優しさに素直に答えることができません。

それでも君に今の自分をそして関係を繋ぎとめて欲しいと切望します。
この部分が前述で取り上げたACAねさんの「はやまって欲しくないと
いう願い」が一番表れている部分かなと思いました。

主人公は公然と二人の祝福が祝われることはこの先ないと思っています。
ですからせめてもの慰めとして自分の「脳裏上」に存在する「クラッカー
」でも鳴らして今だけはおめでたい気分になりたいと感じました。

そうしたところで自分自身に湧き上がる孤独は決して消えませんが、
君がそばにいることで孤独に愛されて一日が終わることにも耐えられ
ると考えたのかもしれません。


口に出せない「5文字」

「おめでとう」
って言って返ってはこないなら
言わないでよ 祝わないでよ もう
切り出せない5文字は飾っておくよ

二人の関係に対して「おめでとう」の5文字を
口にしたところで君も周囲の人たちはその言葉を
返してはくれないだろうとネガティブ思考になります。

自分も言わないし祝わないから君もそうしないでくれと
心の中で願うのでした。

この先ずっと本当は言いたい「おめでとう」の5文字は
主人公の心の中に飾られて埃かっぶっていくのでしょう。

いつかその埃を払い手に取って君の前で「おめでとう」を
口にする日は訪れるのでしょうか。

もしそんな日が訪れるとしたら、それは主人公の中に存在する
醜い自分を愛するもしくは克服することができた時でしょう。

それまで主人公は君の前で誰にも聞こえない「脳裏上のクラッカー」
を鳴らし続けるのでしょう。

まとめ

本当の自分を隠して交際する辛さは多くの人が
経験しているのかもしれません。

クラッカーはおめでたいイメージのある道具でしたが
今回の歌詞考察でなんだか暗く重いイメージがつきました。
お店でクラッカーを見るたびにこの曲が流れそうです。

どちらかというと男性が理屈っぽく複雑に物事を考えてしまう
傾向にあるのでしょうか。
女性からしてみればこのまま一緒に居られるだけで幸せという
場合であっても男性が納得できない場合もありますね。

歌詞中の主人公が「脳裏上のクラッカー」の紐を引かなくなった
時が醜い自分との闘いに決着が着く時なのでしょう。
その時には盛大に君とお祝いの席でみんなに聞こえるように実在
するクラッカーをたくさん鳴らすのでしょう。

ずとまよがこれからも奥深い歌詞と不思議で奇怪な音楽で多くの
リスナーを魅了し続けることを願っています。
今後の活動にも目が離せませんね。





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