ずっと真夜中でいいのに。『Ham』歌詞の意味を考察・解釈

おはよう おつかれ 今日電話していい?
まだ序の口? 早く目覚めないかな
君の鼓動で飛び上がる この体にも
慣れてきたから

一言目はきっと 久しぶり
それしか言えない それすら出てこない
夢で出会えた翌朝は 息が痛いよ
あざになるくらい

なんであの時 身を引いた君を
受け止めたふりで 疑わなかったの
なんで まだもっといたいよ 君と
もう言えずに すぐ心緩めるの

僕の立場と ちっちゃな嘘で 食べられた
いっぱい諦めさせた
その傷口のほう 僕じゃない誰かに
救われてほしいとも 願えなくて

なさけないけど 空しいけど
君の手を 繋いで歩きたいよ
血の温もりも 色素の距離も
君といたいよ どうしたらいい
どうにもならないけど

なんであの時 身を引いた君を見て
ほっとしてる自分が もうこわいよ
なんで まだもっといたいよ 君と
もう言えずに すぐ心緩めるの

僕の弱さがね 君ばかり傷つけた
いっぱい諦めさせた
だめな僕の根を 自分で罰することで
解決できるくらい 単純じゃないけど

なさけないけど 虚しいけど
君のこと 最後まで知りたいよ
硬い心も 鋭い爪も
君を想うと どうしたらいい

なさけないけど 隠したけど
君の手を 繋いで歩きたいよ
壊れていく この世界でいつでも
君といたいよ どうしたらいい
どうにもならないけど

一言目はきっと 久しぶり
それしか言えない それすら出てこない
意気込むことはないけれど
生きていけるよ 君をさがして

ずっと真夜中でいいのに。『Ham』の概要

今回は人気アーティストである ずっと真夜中でいいのに(以下ずよまよと)の楽曲『Ham』の歌詞考察をしていきたいと思います。

本記事の注目ポイント

・『Ham』の持つたくさんの意味

・届かない思いを綴った歌詞

上記の点をメインに考察していきたいと思いますのでどうぞ最後までお読みください。

『Ham』は 2020年8月5日にリリースされた mini ALBUM『朗らかな皮膚とて不服』収録曲です。
同年8月11日にはMVがプレミア公開されました。

MVの内容に触れてみましょう。

MVの主人公はニラ(茶髪)です。
ニラは植物研究所のようなところにいます。

物語が進んでいくともう一人の白髪ニラ(白ニラと表記)が登場してきます。
ニラが白ニラとの回想をしている点や「実験物」を目の前にしてうな垂れている様子から、白ニラは人体実験されてしまったと解釈できます。

黒い腕だけ伸ばされた異形の存在、直接手を下したのは博士とカラスだと考えられます。

激高したニラは博士とカラスに抵抗しますが、不思議な力でねじ伏せられてしまいます。

こうした描写から、ニラの届かない思いや無力さが伝わってきます。

それではさっそく気になるタイトルや歌詞の意味を考察していきましょう。

『Ham』の意味とは

Hamは食品の「ハム」を連想しますが、スラングとして下記の意味があります。

・不器用(転じてダイコン役者)

・一生懸命

歌詞全体を熟考すると今作が、大切な人への届かない思いを綴った歌詞であると理解できます。

「もう言えずに」「どうしたらいい」というフレーズがその点を裏付けています。

届かない思いをなんとか伝えようと、不器用ながらも一生懸命に伝えようとする主人公像をイメージできます。

加えてずとまよと言えば、タイトルを漢字変換して理解させるという特徴があると言われています。

今回もその特徴を踏まえると『Ham』は「食(は)む」と変換できると考えました。

武士が俸禄を受けることを「禄を食む」と言ったりします。
位の高いものから良いものを賜うときに用いられてきた用語です。

歌詞の主人公が、大切な人から良いものを受けてきたと解釈することができます。
また大切な人との時間を味わうことができたとも理解できますね。

続く部分から、主人公の背景や心情を追ってみましょう。

『Ham』歌詞の意味

君の声で目を覚ます

おはよう おつかれ 今日電話していい?
まだ序の口? 早く目覚めないかな
君の鼓動で飛び上がる この体にも
慣れてきたから

今回は歌詞の主人公とMVの主人公ニラの視点で考えていきます。

歌詞全体は遠距離恋愛している男女を描いているようです。

広義的に解釈するなら、もう会えなくなった人に思いを伝えようとする人にも該当するでしょう。

主人公は「君」という大切な存在と会話したいと願っています。
MVで考えるなら主人公は「ニラ」、君は「白ニラ」となるでしょう。

Aメロに登場する「君の鼓動」とは、前の文脈から考えて「携帯電話の振動」でしょう。

会えない期間が奪った言葉

一言目はきっと 久しぶり
それしか言えない それすら出てこない
夢で出会えた翌朝は 息が痛いよ
あざになるくらい

電話の一言目が「久しぶり」であることから、2人は遠距離でなかなか会って話すことができないと理解できます。

「それすら出てこない」と付け加えられている点から、気恥ずかしさや気まずさが生じていることも把握できます。
会えなかった期間が主人公の言葉を奪っていたのです。

「夢で出会えた翌朝」に「息が痛い」と感じるのは、夢から覚めて大切な人がいない現実を苦痛に感じているからでしょう。

「あざになるくらい」という痛々しい表現が、主人公の苦痛を生々しく伝えています。

決別させた嘘

僕の立場と ちっちゃな嘘で 食べられた
いっぱい諦めさせた
その傷口のほう 僕じゃない誰かに
救われてほしいとも 願えなくて

Bメロから主人公のついた「嘘」が決別を招いたと理解できます。

「ちっちゃな嘘」とは「好きかどうかわからない」「自分以外に守ってもらって」など、消極的な言葉を指しているのかもしれません。

素直になれない時に口をついて出てきてしまう言葉ですね。
そうした言葉で当時、大切な人を「いっぱい諦めさせた」ことを理解できます。

ここでMVに出てきた「植物図鑑」を思い出しました。
ニラが植物図鑑に載っている「スイセン―Narcissus」に×印をつけているシーンです。

スイセンの花言葉には「自己中心、うぬぼれ」などがあります。
ニラは、過去にそのような自分都合の精神で大切な人を傷つけたことを悔やんでいると解釈しました。

また「白ニラとずっといられる」と考えていた自分はうぬぼれていたと感じたのかもしれません。
自分の知らないところで白ニラが危機的状況になっていたことに気づけなかった点を責めているとも感じます。

続く部分の歌詞では「僕じゃない誰かに救われてほしいとも 願えなくて」と本音を口にしています。
前述でも扱ったように、『Ham』のスラングである「不器用」さが表われています。

失われた君を求めて

なさけないけど 空しいけど
君の手を 繋いで歩きたいよ
血の温もりも 色素の距離も
君といたいよ どうしたらいい
どうにもならないけど

サビでは主人公が失われた大切な人を求めているのが理解できます。

主人公は「君の手を繋いで歩きたいよ」と本音を呟いています。

「血の温もり」とは生きている実感を指し、「色素の距離」とは大切な人と過す鮮やかな世界を指すと解釈しました。

大切な人が近くに居ない今、どちらも感じることができないのです。

自分の不甲斐なさや不器用さが起因して招いたこの結果を前にして、主人公は「どうしたらいい どうにもならないけど」とうろたえるしかありません。

変わらない状況に安堵して

なんであの時 身を引いた君を見て
ほっとしてる自分が もうこわいよ
なんで まだもっといたいよ 君と
もう言えずに すぐ心緩めるの

2番Aメロでは、主人公が後悔と自責の念を抱いていることを綴っているようです。

「身を引いた君」とは、大切な人が主人公の自己中心的な言葉を甘受して、関係を終わらせたことを指すと解釈しました。

主人公が「ほっとしてる」のは、自分の環境を変えなくて済んだからだと思われます。
誰しも今より良い環境を望みますが、同時に環境の変化を嫌うものです。
この点は主人公に限らず人の不器用な面とも言えるでしょう。

「まだもっといたいよ」と強く願っているところから、主人公が関係修復に一生懸命であると理解できます。

大切な人との関係を修復したいと願う反面、「すぐ心緩める」つまり断念してしまうことが理解できます。

君を傷つける性根

僕の弱さがね 君ばかり傷つけた
いっぱい諦めさせた
だめな僕の根を 自分で罰することで
解決できるくらい 単純じゃないけど

主人公は自分の性根について悔やんでいるようです。

「だめな僕の根」という表現がその点を裏付けています。
自分で性根の悪さを罰しても、大切な人が戻ってこないことを痛感しているようです。

興味深いのが「僕の弱さがね 君ばかり傷つけた」という表現です。
これは当時の主人公が、自己中心的になって感情移入できなかった、あるいは無感覚であったことが伝わります。

他人が傷ついているかどうかに関して、無関心だった言えるかもしれません。
そのことを大切な人を失って初めて気づいたのでしょう。
本当に不器用です。
しかし主人公に限らず、誰しもこうした経験があるかもしれませんね。

人生の意義を失った世界で

なさけないけど 虚しいけど
君のこと 最後まで知りたいよ
硬い心も 鋭い爪も
君を想うと どうしたらいい

なさけないけど 隠したけど
君の手を 繋いで歩きたいよ
壊れていく この世界でいつでも
君といたいよ どうしたらいい
どうにもならないけど

2番サビでは、主人公が人生の意義を世界に見出せなくなっていることがわかります。

「硬い心」とは「気持ちを分かりあえない」ことを指し、「鋭い爪」「傷つけあう」ことを指していると解釈しました。

当時は辛いことに思えたことさえ相手がいない今、味わうことができない経験です。
1人になった主人公は、これまでを回想して大切な人と味わってきた時間や経験を懐かしんだことでしょう。

それらを味わうことの出来ない世界は、無味乾燥としたものに思えたに違いありません。

人生の意義を失ったと言っても過言ではないでしょう。

見出した生きがい

一言目はきっと 久しぶり
それしか言えない それすら出てこない
意気込むことはないけれど
生きていけるよ 君をさがして

ラストの部分で主人公は、失っていた人生の意義を見出します。

それは「君をさがして」というフレーズから理解できます。
電話越しに聴くことのできる相手の声は、相手との「再会」や「関係修復」を期待させてくれます。

主人公は自分の不器用さと、相手が負った傷を考慮して、期待通りの結果になることはないとも考えたでしょう。

それでも自分に差し伸べられた期待にすがって、日々を生きることが生きがいになったようです。

MVで考えるなら、変わり果ててしまった白ニラが元通りになることをニラが願っていると解釈できます。

歌詞の主人公もニラも「届かない願い」を強く抱くことで生きる原動力にしているのが伝わりました。

そのような切なる願いが、どうか叶いますように。。

まとめ

いかがでしょうか。

歌詞の主人公とMVのニラの視点で考察してみました。
誰しも遠く離れた人に自分の思いを届けたいという願いがあることでしょう。

なかには愛する人を亡くしてから、ずっとそうした願いを持ち続けている人もいます。

そのような願いは生きがいとなり、生きる原動力になりますね。

また不器用でありながら、一生懸命に生きようとする主人公からも勇気づけられました。

そして大切な人から、主人公が素晴らしい時間や貴重な経験を味わい知った様子も見ることができました。

奥深く教訓的な作品をありがとうございました。

ずとまよの今後の活動と次回作にも期待し注目したいと思います。

ここまで記事を読んでくださった皆さんにも感謝します。
ありがとうございました。

3 件のコメント

  • MVの最後の方の茶が食パンを食べる所でニラちゃんの首のあたりが緑色になっているのが気になりますね..

    • anonymousさんコメント有難うございます。
      おっしゃる通りめちゃくちゃいい曲です♪

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