ヨルシカ『心に穴が空いた』歌詞の意味を考察・解釈

小さな穴が空いた
この胸の中心に一つ
夕陽の街を塗った
夜紛いの夕暮れ

忘れたいのだ
忘れたいのだ
忘れたい脳裏を埋め切った青空に君を描き出すだけ

だから心に穴が空いた
埋めるように鼓動が鳴った
君への言葉も
口を開けば大体言い訳だった

だから心に穴が空いた
降る雨だけ温いと思った
繕って 繕って 繕って
顔のない自分だけ

少しずつ穴の開いた木漏れ日の、森で眠るように
深海みたいに深く
もっと微睡むように深く、深く、深く
深く夜を纏った目の奥に月明かりを見るまで

君の心に穴を開けた
音楽が何だって言うんだ
ただ口を開け
黙ったままなんて一生報われないよ

忘れたいことが多くなって
諦めばかり口に出して
躓いて、躓いて、転がって、土の冷たさだけ

君の人生になりたい僕の、人生を書きたい
君の残した詩のせいだ
全部音楽のせいだ

君の口調を真似した
君の生き方を模した
何も残らないほどに 僕を消し飛ばすほどに
残ってる

心の穴の奥に棲んだ
君の言葉に縋り付いた
でも違うんだよ、もう
さよならだなんて一生聞きたくないよ
忘れたいことが多くなって
これから僕だけ年老いて
冷め切って、冷め切って

僕の心に穴が開いた
君の言葉で穴が開いた
今ならわかるよ
「君だけが僕の音楽」なんだよ、エイミー

だから心に穴が空いた
その向こう側に君が棲んだ
広がって 広がって 広がって
戻らない穴だけ

穴の空いた僕だけ

はじめに

『心に穴が空いた』とは2019年6月24日にネット上で公開された楽曲です。
ヨルシカさん待望の新ナンバーがつい先ほど公開されました。
同年8月28日リリース 2nd Full Album 「エルマ」に収録されています。
また「帝京平成大学のテレビCMソング」にも選ばれています。

動画再生回数は投稿して1分後に3,000、その後分刻みで1万回と驚異的な
スピードで伸びて行きました。
歌詞投稿サイトの多さや視聴者の反応速度の速さに驚嘆しています。

さて今作MVの内容に少し触れてみましょう。
机に置かれた万年筆とインクが映し出されるところからスタートします。
ヨルシカさんのMVでは良く出てきますね。

顔が塗りつぶされ体の真ん中に大きな穴の空いた一体の人形がメインとな
り街のあらゆる場所をさまよいます。
顔が塗りつぶされた被写体はヨルシカさんの作品の個性溢れる部分であり
数多くのMVボカロPVで模倣されていますね。

顔を出さない点メリットは視聴者に想像を膨らませイメージを限定させな
い部分だと思います。

主人公の心に空いた穴はどのように塞がれるのでしょうか。
そもそも塞ぐことは可能なのでしょうか。
重要なキーワードの解釈を含みながら考察していきたいと思います。

タイトル『心に穴が空いた』とは

タイトルの表現は比喩的な意味で、また描写的に用いられる表現です。
実際に穴が空くわけではなく「満足あるいは充実できない状態」を指して用い
られます。

良く見られるケースとしては愛する誰かを失くした時、また長年積み上げてき
たものが崩れ去ったときなどにタイトルのような状態に陥ります。

心の穴を埋める方法は人それぞれ違います。
「時間」であったり誰かからの「励ましや慰め」かもしれません。
中には「綺麗な景色」で癒されるというのも効果的なようです。

続く歌詞から主人公の心情と行動を考察してみましょう。

『心に穴が空いた』歌詞の意味

心に空いた小さな穴―忘れたい過去

小さな穴が空いた
この胸の中心に一つ
夕陽の街を塗った
夜紛いの夕暮れ

忘れたいのだ
忘れたいのだ
忘れたい脳裏を埋め切った青空に君を描き出すだけ

主人公の心には一つの小さな穴が空いていました。
それはあることをきっかけに生じた穴でした。
胸の中心に一つ「夕陽の街を塗った」とはどういう
意味でしょうか。

筆者は2つの意味があるのだと解釈しました。
1つには主人公の心には小さな穴の他に温かい記憶
が存在しているという点です。

もう1つは夕暮れの街並みに少しだけ癒されたとい
う意味だと推察しました。
MVでも街並みのシーンや人形が実際に木々に触れ
たりと癒しを求めている様子が伺えます。

続く歌詞では「忘れたいという気持ち」が主人公の
脳裏によぎったことを綴っています。

この部分から主人公の心の穴の原因、そして忘れた
いことが「愛する彼女」を失ったことなのだと理解
できます。

失った事実を忘れたいという気持ちのベースに彼女
をまた描いてしまう複雑な心境を描写しているのだ
と筆者は考えました。

理由と言い訳を呟いて~その1~

だから心に穴が空いた
埋めるように鼓動が鳴った
君への言葉も
口を開けば大体言い訳だった
だから心に穴が空いた
降る雨だけ温いと思った
繕って 繕って 繕って
顔のない自分だけ

ここで主人公は「だから」という表現を2度繰り返して
います。
主人公は彼女との思い出を回想しているようです。

彼が彼女と話すときには大体が言い訳になってしまった
と後悔しているようです。
彼女にストレートな気持ちを伝えられなかったこと、そ
して彼女の望む答えを提出できないことも。。

いつからか自分に降り注ぐ冷たい雨でさえ温かく思える
程に彼の心は冷え切っていたのでしょう。
彼の心を温かくする存在は彼女だけだったのです。

無味乾燥な日々の中で一針一針紡いだものとは「見せか
けの自分」であったに違いありません。
「顔のない自分」つまり本心から表現する表情が皆無の
自分に落胆したことでしょう。

希望の光を切望して

少しずつ穴の開いた木漏れ日の、森で眠るように
深海みたいに深く
もっと微睡むように深く、深く、深く
深く夜を纏った目の奥に月明かりを見るまで

主人公は癒えない心の悲しみを抱きながら希望も夢みて
いました。
森の中、地面に横たわり上を見上げます。
すると木々の間から指す日の光に癒されます。

主人公はそんな癒しを日々の生活の中で切望しているの
でしょう。
さらに音の無い暗い深海のように深い眠りにつきたいと
も描写しています。

日の光と眠り、2つの共通点は「癒し」でしょう。
やはり心に空いた穴を埋めることができるのは癒しなの
です。

今は深く夜を纏った目をしている主人公ですが、いつか
その目に彼女と過ごしていたときのような輝きが戻るこ
とを望んでいるようです。

君の心に穴を空けた日

君の心に穴を開けた
音楽が何だって言うんだ
ただ口を開け
黙ったままなんて一生報われないよ
忘れたいことが多くなって
諦めばかり口に出して
躓いて、躓いて、転がって、土の冷たさだけ

ここで初めて「君」が登場してきます。
これが主人公にとって大切な彼女なのでしょう。
前作から主人公には大切なものが2つあります。
1つは「彼女」もう一つは「音楽」なのです。

それでも相対的に考えると現在の彼にとって1番
大切なのは「彼女」であることを理解できます。

理由は「音楽がなんだっていうんだ」とその価値
を否定し「彼女を傷つけたこと」と比較している
点からも理解できます。

彼が一番愛し尊んでいるのが彼女であることは明
白でしょう。

彼の日々は忘れたい過去で埋め尽くされていきま
す。
何度も悲しみに苛まれ打ちのめされ地面に倒れて
無感覚になっていきます。

周囲の人たちからの言動や行動になにも感じませ
ん。
前作で音楽をやめた主人公は音からもなにも感じ
なくなったようです。

今では冷たい雨や土の冷たさでしか自分の感覚を
刺激することはできないのです。
彼はとても病んでいました。

理由と言い訳を呟いて~その2~

君の人生になりたい僕の、人生を書きたい
君の残した詩のせいだ
全部音楽のせいだ
君の口調を真似した
君の生き方を模した
何も残らないほどに 僕を消し飛ばすほどに
残ってる

「君の人生になりたい僕」と表現してしまう程に
彼は彼女を愛していました。
自分の時間、体力そのすべてを彼女に捧げたと切
望していたのです。

それでも彼は再びその場にいない彼女に向けて言
い訳を始めます。

今の自分が悲嘆に塗れ無感情になったのは「君の
残した詩」のせいだと呟きます。
彼女の音楽から感化を受け人生に大きな変更を加
えた彼はそのすべてを悔やみます。

自分が愛したものが今では両方残っていないから
です。
彼が大切に思っていた音楽は彼女からのものでし
たから彼女がいなければ価値を失います。

しかし彼の人生を彩り形作っていたものは彼女と
彼女の音楽でしたから彼の心の穴は埋まらないと
いうわけです。

彼女=音楽の関係性

僕の心に穴が開いた
君の言葉で穴が開いた
今ならわかるよ
「君だけが僕の音楽」なんだよ、エイミー
だから心に穴が空いた
その向こう側に君が棲んだ
広がって 広がって 広がって
戻らない穴だけ

主人公は長い間、自分の心に穴が空いた理由が理解
できませんでした。
長きを経て今ならそれが理解できるのです。

失って初めてわかること、まさにこのような状況で
す。
彼女の語る詩が、音楽がその存在が失われることで
彼の心に穴を空けたのです。

彼の本心が、無感情を切り裂き辺りにこだまします。
「君だけが僕の音楽」なんだよ、エイミー 、、、

まとめ

いかがだったでしょうか。
ヨルシカさんの音楽は考察班がたくさんおりさまざまな
理解や解釈が存在しますね。
これは違うとか自分ならこう考えるという部分もあったでしょう。

それでもそこが考察の醍醐味なのだと筆者は何度も言います。

主人公の心に空いた穴は今すぐに埋まらないのだと思います。
それでも時間をかけて、なにか、そうなにかのきっかけで埋まると
筆者は熱く信じています。

ヨルシカさんの奥深い世界観と相変わらずの美声に感謝します。

素敵な楽曲を有難うございました。

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