ヨルシカ『パレード』歌詞の意味を考察・解釈

身体の奥 喉の真下
心があるとするなら
君はそこなんだろうから
ずっと前からわかっていたけど
歳取れば君の顔も忘れてしまうからさ
身体の奥 喉の中で
言葉が出来る瞬間を僕は知りたいから


このまま夜が明けたら
乾かないように想い出を
失くさないようにこの歌を
忘れないで もうちょっとだけでいい
一人ぼっちのパレードを


ずっと前から思ってたけど
君の指先の中には
たぶん神様が住んでいる
今日、昨日よりずっと前から、
ずっとその昔の昔から。
わかるんだ


身体の奥 喉の真下
君の書く詩を ただ真似る日々を
忘れないように
君のいない今の温度を


乾かないような想い出で
失くせないでいたこの歌で
もう少しでいい もうちょっとだけでいい
一人ぼっちのパレードを


はじめに

『パレード』とは2019年3月11日にネット上で公開された楽曲です。
投稿初日から動画再生回数60万回を記録し驚異的伸びを見せています。
同年4月10日リリースの3rdアルバム「だから僕は音楽を辞めた」の11
番目に収録されています。

動画コメント欄も非常に多くのコメントで埋め尽くされています。

中でも特筆すべきはコメント欄に考察が多いということです。
曲や歌詞の良し悪し、またアーティストの好き嫌いを述べる場合が大半
なのですがヨルシカさんの曲は考察したいと思わせる奥深さがあるのか
もしれませんね。

筆者も曲を聴いたときのフィーリングと歌詞を熟読したうえでの考察を
展開していきたいと思います。

今作もヨルシカさんのクリアで潜在能力を感じる声に魅了されます。
その声に共鳴するかのようなクリアで臨場感のあるサウンドが曲を
引き立てあっています。

静かでそれでいて存在感のあるピアノの旋律とサビでパワフルに打ち
付けられるドラムのバランスが絶妙なアンサンブルとなっています。

それではさっそく歌詞の考察を始めていきたいと思います。

タイトル『パレード』とは

「パレード」とは「行列を整えた派手やかな行進」を指しています。
祭りやイベントなどでみることができますね。
代表的なものでディズニーのパレードがイメージしやすいでしょう。

しかし今作のMVや歌詞の感じから派手さや煌びやかなイメージを想
像することはできないでしょう。
それで今回の考察では「主人公の感情を整列すること」とそのために
一人だけで行われる「人生の行進」という2点をメインに解釈します。

通常パレードが一人だけで行われることはありません。
もしそうしたパレードが催されるなら観客はおらず行進している人は
悪い意味で注目され冷めた目で見られることでしょう。

同様に今作の主人公は自分の気持ちを整列するつまり整理するまでは
一人で考え歩んでいくことを決意しています。
他者の述べることややることを意に反さない姿勢は時として嘲笑され
注目されてしまうでしょう。

それでもこれまでのヨルシカさんの作品で共通の「エルマ」つまり音
楽であり彼女のように愛し続けることをやめない主人公の決意は揺る
がないでしょう。


『パレード』歌詞の意味

音―喉の奥で作り上げられる奇跡

身体の奥 喉の真下
心があるとするなら
君はそこなんだろうから
ずっと前からわかっていたけど
歳取れば君の顔も忘れてしまうからさ
身体の奥 喉の中で
言葉が出来る瞬間を僕は知りたいから

主人公はエルマつまり「音楽」を彼女のように
愛していました。
喉の真下で表現されているのは発声器官のこと
だと思われます。

続くフレーズの「言葉が出来る瞬間」という部
分がそれを裏付けていると読み解きました。
発声器官である喉という工場で作り上げられた
「音」が彼を虜にさせているのでした。

歳を取れば歌うことすら忘れるのではないかと
主人公は考えます。

思考が鈍りアイディアが浮かんでこない、また
は実際に老化で歌えなくなることを示唆してい
るのでしょう。

実際に年齢故にアーティスト人生に幕を下ろす
方たちが何人も存在しますね。


奏―指で紡がれた奇跡

ずっと前から思ってたけど
君の指先の中には
たぶん神様が住んでいる
今日、昨日よりずっと前から、
ずっとその昔の昔から。
わかるんだ

主人公は音楽をやっていてずっと思っていた
ことがありました。
「君」とはエルマつまり音楽のことです。

音楽の指先とはどういう意味なのでしょうか。
ほとんどの楽器は「指」を使用して音を奏でて
いきますね。

それが「神様」にも結び付けられていますから
音を自由自在に奏でることができる指は神様か
ら授かった奇跡なのだということを認めている
フレーズのように感じました。

指以外でプレイする楽器を皆さんはいくつ答え
られるでしょうか。
筆者の容量のあまり多くない頭ではバスドラム
くらいしか出てきませんでした。

まさに指は音を奏でる上で必須の肢体なのです。
音楽をこよなく愛する彼はその当たり前の事実
を誰よりも真剣に受け止めていることでしょう。

「無音」の人生―冷めた部屋

身体の奥 喉の真下
君の書く詩を ただ真似る日々を
忘れないように
君のいない今の温度を

MVを見ると主人公の顔はインクで塗りつぶされています。
先が見えないことや音楽を見失ってしまったことを表現し
た演出のように思いました。

彼はインクも用紙も投げ出して外に出てしまうシーンがあ
りました。
それでも「君」つまり音楽を探して歩いているところも観
察でき音楽を諦めきれないことが理解できます。

主人公の部屋は酷く冷めきっており孤独を感じます。
その理由は「無音」つまり彼が愛し続けた音楽がも
うここにはないからでしょう。

音楽が自分のなかに存在していた頃を真似て幸せで充実し
ているように見せて生活していました。
それでも音楽なくして彼の冷え切った心の空間を温めるも
のは存在しませんでした。


再び音楽と向き合うために

乾かないような想い出で
失くせないでいたこの歌で
もう少しでいい もうちょっとだけでいい
一人ぼっちのパレードを

MV終盤では用紙にインクをこぼしてしまうシーンが
ありました。
これは主人公が歌詞を書くのを放棄したことを表して
はいないのだと判断しました。

なぜなら「乾かないような」というフレーズと相反す
るように感じたからです。
数多くの感動や魅力を伝えてくれた音楽を自分の心の
中に色濃く残すという趣旨の意味だと読み解きました。

主人公の中でずっと胸のうちにしまっておいた大事な
歌詞があったのでしょう。
音楽と向き合えなかった期間には形にできなかった原
石のような歌詞が彼の中で存在していたのでしょう。

彼はその原石のような歌詞に磨きをかけ魅力あふれる
ダイヤモンドのような音楽に仕上げる決意でいます。
それが実現するまでは「音楽」以外の何ものをも自分
に近づけさせないよう生きていくつもりなのでしょう。

彼が音楽に対する自分の気持ちを整列させ、一人だけ
で人生を歩んでいくことに終止符が打たれるのでしょう
か。

それは彼が心から音楽を楽しみ軽やかに歌い奏でること
ができたときに実現することでしょう。
その日が来たら彼はきっとこのように叫ぶでしょう。

「エルマ!君なしで僕は生きられないんだ!」

まとめ

いかがだったでしょうか。
インクや顔の塗りつぶしの演出は過去の作品である
「藍二乗」を連想された方も多いでしょう。

筆者もバンドを組み作詞作曲を担当していました。
音楽に対する愛を感じ、同時に音楽と向き合うの
が嫌になった時期もありました。

歌詞を書きたいときもありますし書く気分になれな
い辛い期間もありました。
ですからこのような経験をされた方であれば今作に
強い共感と感情移入ができるのではないでしょうか。

ヨルシカさんの声・歌詞・音楽そのすべてがバランス
よく混ざり合い「魅力」を作り上げているのだと思い
ます。

ヨルシカさんの今後の活動と次回作に期待し注目して
いきたいと思います。




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