40mP『からくりピエロ』歌詞の意味を考察・解釈~想い人の手のひらで踊り狂う道化師の末路とは~

待ち合わせは2時間前で
此処に独り それが答えでしょ
街ゆく人 流れる雲
僕のことを嘲笑ってた
それは簡単で とても困難で
認めることで前に進めるのに
信じられなくて 信じたくなくて
君の中できっと僕は道化師なんでしょ
回って 回って 回り疲れて
息が 息が切れたの
そう これが悲しい僕の末路だ
君に辿り着けないままで
僕を乗せて地球は回る
何も知らない顔して回る
1秒だけ呼吸を止めて
何も言えず立ちすくむ僕
それは偶然で そして運命で
知らないほうが良いと知ってたのに
触れてしまったの 君の温もりに
その笑顔で その仕草で
僕が壊れてしまうから
回って 回って 回り疲れて
息が 息が 息が止まるの
変わって 変わって 変わってゆくのが
怖い 怖いだけなの
もうやめた ここで君を待つのは
僕が壊れてしまうだけだ
回って 回って 回り疲れて
息が 息が止まるの
そう 僕は君が望むピエロだ
君が思うままに 操ってよ

はじめに

2011年7月15日にネット上で投稿された楽曲です。
僅か1年足らずでミリオン達成となり現在では1,700万回再生
という絶大な人気を誇っている名曲です。

ボカロカラオケランキングでも数年経った今も常時10位圏内を
キープしていることから根強いファンと新規ファンが多いと
理解できます。

様々なボカロサイトでこの曲がきっかけでボカロが好きになった
というコメントを目にします。

曲調も歌詞も理解しやすくキャッチーな題材が多くの人に届きやすい
音楽となっているのだと思います。

『からくりピエロ』の生みの親である40mPさんの楽曲は爽快感を伴う曲調が
多く四季を題材にしたものがほとんどです。

40mPさんの名前の由来は自身の製作した曲「melody in the sky」のサムネに
登場する建物より巨大に見える(遠近法?笑)初音ミクが40mくらいあるのでは
という発想から生まれたようです。

さて本題の歌詞考察を始めていきましょう。

タイトル『からくりピエロ』とは

「からくり」とは糸や歯車またゼンマイなどので操作する仕掛けのことです。

「ピエロ」は劇場の芝居に登場する無知で善良な道化者のことです。

ピエロの特徴は「滑稽な動き」「無知で善良」「台本通りに動く」などが
あげられます。

これは歌詞中に登場する主人公の特徴ともリンクしますので考察する上で
役立つでしょう。

MVではツインテールの少女が登場します。
さらに少女が想いを寄せているであろう男性が現れます。
これらの要素から多くの考察・解釈サイトで待たされている
少女と待たせている男性という内容がみられます。

そのような考え方もできますが筆者は主人公の性別を
限定しない考察で進めていきたいと思います。

理由は音楽に見られる演出法の中に「女性」を登場させて
歌詞では「僕」などの男性を連想させる方法があるからです。

今回も性別を限定しないことにより待たされた経験のある方なら
男性でも女性でも共感することができるメリットがあると感じました。
あくまでも筆者独自の考えであり解釈の一つに過ぎません。


『からくりピエロ』歌詞の意味

待ち合わせは2時間前で
此処に独り それが答えでしょ
街ゆく人 流れる雲
僕のことを嘲笑ってた
主人公は想いを寄せていた人と待ち合わせをしていたのでしょう。
しかしどれだけ待っても想い人はきません。
わたしのことをどう思っているのか、今日の約束を覚えているのだろうか

という考えが頭に浮かんできます。

主人公はできるだけ消極的な回答を出さないように努めますが
2時間待たされて此処に独りでいることが明確な回答になったのです。

待つことをやめると視線は周囲に向けられていました。
街ゆく人すべては目的や約束に向かって歩いているように見えたのです。
その人たちの目が主人公にあの人は約束を放棄されて動けないんだと

皮肉を述べられているように感じました。

気まずい気持ちになった主人公がふと顔を空へと背けると
雲さえ目的をもって流れていくように見えたのです。
動くものを見るたびに停止している自分が取り残されている
ように感じました。

「主役と主役」は「主役をひき立てる脇役」へ

それは簡単で とても困難で
認めることで前に進めるのに
信じられなくて 信じたくなくて
君の中できっと僕は道化師なんでしょ
回って 回って 回り疲れて
息が 息が切れたの
そう これが悲しい僕の末路だ
君に辿り着けないままで
僕を乗せて地球は回る
何も知らない顔して回る
主人公はこれまで何度か約束を放棄された経験があったのでしょう。
そのたびに自分には関心がないまた自分に好意は持っていないのでは
という結論を導き出していたのかもしれません。
それでも想い人を忘れて新たな恋へと踏み出す勇気はありませんでした。前進へと一歩はいつもガタガタと震えており気がつけば後ろへと戻って
いきました。「自分は利用されていただけ?」そんな昔に抱いた懐疑心は今では色濃くなり
それでも信じたくない自分がいました。
それを認めれば自分と想い人との関係という糸は完全に断ち切れるからです。主人公は自分が想い人に踊らされていたことを自覚します。
一緒に時間を過ごすなかでその点に気づいていたのかもしれません。
それでも主人公は想い人の前で踊るように立ち回ります。

行き過ぎた気遣いに息切れした主人公は虚無感に包まれます。
どれだけ上手に立ち回っても想い人には届かなかったことを痛感します。

身動きできない主人公を取り残すかのように地球は今日も
いつも通り自転していました。
彼への慈悲など決して感じることなく無表情で。

偶然に幕開けた悲劇

1秒だけ呼吸を止めて
何も言えず立ちすくむ僕
それは偶然で そして運命で
知らないほうが良いと知ってたのに
触れてしまったの 君の温もりに
その笑顔で その仕草で
僕が壊れてしまうから
回って 回って 回り疲れて
息が 息が 息が止まるの
待ち合わせの場所を去る主人公はその帰り道で
偶然にも想い人を見つけました。
主人公は喜び駆け寄ろうとしましたが足を止めました。
想い人が自分とは別の異性と一緒だったからです。自分といる時には決して見せない笑顔や仕草に
主人公は呆然と立ち尽くすしかできませんでした。まるで運命という初めから決まっていた台本に従って
行動しているかのようでした。
自分と想い人が主役だという考えは一変して自分が
脇役だという実感が色濃くなりました。それでも過去に想い人から示された優しさや笑顔また
触れ合いが自分の気持ちを虜にしていました。
目の前の悲劇が与える心痛と温かな思い出の狭間に
主人公は嬲られていました。

また別の機会に想い人の前で上手に立ち回ったら
息が止まって死んでしまいそうだと考えました。

自由意思や理想はゴミ箱へ

変わって 変わって 変わってゆくのが
怖い 怖いだけなの
もうやめた ここで君を待つのは
僕が壊れてしまうだけだ
回って 回って 回り疲れて
息が 息が止まるの
そう 僕は君が望むピエロだ
君が思うままに 操ってよ
主人公は目の前の悲劇より想い人との関係が変わってゆくことに

恐怖を感じていました。

来ない人を待ち続けることはやめにしました。
それでも想い人の前で上手に立ち回ることをこれからも
続けていくことにしました。

自由意思と相思相愛などの理想を捨てて
想い人が好きな時に操るピエロで満足することに
しました。

本命でなくて良い、都合の良いときだけの人でも良い、
だから少しでも一緒に居させてほしい。

現実という舞台で一緒に共演したいという悲しい気持ちが
メロディーと共に聴こえてくるようでした。

主人公は今日も変わらず踊り続けます。
想い人も含め純粋な関心を抱いて見に来る
観客はそこには居ません。

それでも主人公にとって想い人と過ごす時間が
かけがえのない報酬となっていたのです。

まとめ

恋が報われない切なさをなんと上手に表現しているのでしょうか。
恋愛が順調に進んでいる時は自分たちだけが順調と錯覚してしまうものです。
よく自分たち以外の時間が止まっているみたいと表現します。

反対に恋愛が順調でない場合には自分たちが止まっており(身動きできない)
周囲の人々は順調に事を進めている(上手に立ち回っている)ように感じるものです。

リアリティーに富んだ歌詞とMVはまさに名曲と呼ぶにふさわしいでしょう。

40mPさんの今後の活動と次回作に期待が高まりますね。