米津玄師『感電』歌詞の意味を考察・解釈

逃げ出したい夜の往来 行方は未だ不明
回り回って虚しくって 困っちゃったワンワンワン
失ったつもりもないが 何か足りない気分
ちょっと変にハイになって 吹かし込んだ四輪車

兄弟よ如何かしよう もう何も考えない様
銀河系の外れへと さようなら
真実も 道徳も 動作しないイカれた夜でも
僕ら手を叩いて笑い合う
誰にも知られないまま

たった一瞬の このきらめきを
食べ尽くそう二人で くたばるまで
そして幸運を 僕らに祈りを
まだ行こう 誰も追いつけない くらいのスピードで

稲妻の様に生きていたいだけ
お前はどうしたい? 返事はいらない

転がした車窓と情景 動機は未だ不明
邪魔臭くて苛ついて 迷い込んだニャンニャンニャン
ここいらで落とした財布 誰か見ませんでした?
馬鹿みたいについてないね 茶化してくれハイウェイ・スター

よう相棒 もう一丁 漫画みたいな喧嘩しようよ
酒落になんないくらいのやつを お試しで
正論と 暴論の 分類さえ出来やしない街を
抜け出して互いに笑い合う
目指すのは メロウなエンディング

それは心臓を 刹那に揺らすもの
追いかけた途端に 見失っちゃうの
きっと永遠が どっかにあるんだと
明後日を 探し回るのも 悪くはないでしょう

お前がどっかに消えた朝より
こんな夜の方が まだましさ

肺に睡蓮 遠くのサイレン
響き合う境界線
愛し合う様に 喧嘩しようぜ
遺る瀬無さ引っさげて

たった一瞬の このきらめきを
食べ尽くそう二人で くたばるまで
そして幸運を 僕らに祈りを
まだ行こう 誰も追いつけない くらいのスピードで

それは心臓を 刹那に揺らすもの
追いかけた途端に 見失っちゃうの
きっと永遠が どっかにあるんだと
明後日を 探し回るのも 悪くはないでしょう

稲妻の様に生きていたいだけ
お前はどうしたい? 返事はいらない

米津玄師『感電』の概要

今回は人気アーティストである米津玄師さんの楽曲『感電』の歌詞考察をしていきたいと思います。

2020年7月10日に「モールス信号」とノイズのみで構成された謎の動画がネット上に公開されました。
解読班によると「本日23時に感電MVが公開される」というメッセージでした。

予告通り公開されたMVは、公開から1時間50分でミリオンを達成してしまいました!!(米津玄師さんのツイッターでは「自身最速ミリオン達成」とのこと)

今作『感電』はTBS系金曜ドラマ『MIU404』主題歌として起用されています。

主題歌への思い入れを語った米津玄師さんと脚本家の野木亜紀子さんのコメントをご覧下さい。

■米津玄師 コメント

アンナチュラルの制作チームとまたご一緒させて頂けることがとても嬉しいです。

ドラマのコンセプトと脚本を読ませていただき、受け取ったものがいくつもありました。

自分が今暮らしている境遇と、ドラマの彼らが巻き込まれて行く物語に共通する部分をそのまま音楽にしました。

どんなふうにドラマと一緒になるのか楽しみです。どうかよろしくお願いします。

■野木亜紀子さん コメント

脚本に込めた祈りをすくいあげてもらった気がしました。多彩な音の広がりが、軽やかで痛快で、少し切なく、いつまでも聴いていたいと思わせる、そんな楽曲です。嫌になっちゃうくらい毎日いろんなことがありますが、暗がりに捕まらないように、この曲と共に、伊吹と志摩と走り抜けたいと強く思いました。ありがとうございました。

https://reissuerecords.net/

米津玄師さんのコメントから以下の点が題材となっているのを把握できます。

・米津さんが置かれている境遇

・ドラマの彼らが織り成す物語

1つめの境遇に関しては、2020年4月10日からの放送開始が告知されていた同ドラマがコロナウイルスの影響で延期になったことが含まれるのでしょう。
2つめに関しては後ほどお話します。

代替となる放送が組まれ、その間に多くのスタッフが試行錯誤しながら2ヵ月後の6月4日に撮影を再開させることができました。
第1話放送後には、Twitter上で世界トレンド1位を獲得するほどの反響がありました。

米津玄師さんは、不利な境遇の中でも人と人が繋がり助け合うことで成し遂げられた偉業を題材として織り込んだのかもしれません。

野木亜紀子さんの「 脚本に込めた祈りをすくいあげてもらった」という表現からも、今作がドラマ寄りになっていることを理解できます。

曲調についても触れてみましょう。
ホーン鳴り響くイントロは強烈な印象を聞き手に与えていきます。
彼の楽曲では珍しいポップファンクな仕上がりになっていますね。

野木亜紀子さんも「軽やかで痛快で、少し切なく、いつまでも聴いていたいと思わせる、そんな楽曲です」と語っていた通りの音楽構成でした。

さて、考察に入る前に同ドラマを簡単に紹介しておきましょう。

MIU404(ミュウ ヨンマルヨン )―

キャッチコピーは「タイムリミットは24時間 誰よりも早く犯人にたどり着け

警察内部において「何でも屋」と皮肉られる機動捜査隊。犯人逮捕にすべてを懸ける初動捜査のプロフェッショナルである機動捜査隊が24時間というタイムリミットの中で事件解決を目指す1話完結型のドラマである。

ここで保留となっていた2つめの「ドラマの彼らが織り成す物語」についてお話したいと思います。

ドラマの「彼ら」とは

・星野源さん演じる 志摩一未(しま かずみ)

・綾野剛さん演じる 伊吹藍(いぶき あい)

対照的な2人が織り成す物語に名前をつけるなら「波乱万丈」。
中睦まじい雰囲気が途端に険悪な雰囲気へと変化したり、クールからホットへと忙しく変化する関係と環境。

それらが歌詞へとどう影響していくのかを出来る限り探っていきたいと思います(現段階でまだ2話放送なのでね)

『感電』の意味とは

『感電』とは「電流が身体に流れて衝撃を受けること」です。
落雷や電気工事の人為的ミスなどによって上記の衝撃がもたらされることがあります。

感電は外的要因からもたらされ、感電した人に接触した人も感電します。

タイトルは刑事ドラマとどのような関連性があるのでしょうか。

筆者は感電を「以心伝心」また「感化」と解釈しました。
理由は、ドラマの2人が多くを語らずに意志の疎通を図っているシーンからです(序盤はだいたいちぐはぐなのですが)

歌詞の「お前はどうしたい? 返事はいらない」というフレーズもその点を裏付けていると考えられます。

「感化」とした理由についてもお話します。
志摩は基本的に伊吹を信用しておらず、呆れ果てながら接しています。
しかし彼の天性のとも言える部分や行動力には一目置いています。

伊吹志摩の冷静さと慎重過ぎる点には溜め息をついているのですが、それが功を奏すのを見て関心する様子も観察できます。

このようにお互いが感化される様子、また「以心伝心」と思える様子を「感電」に例えたのだと筆者は解釈しました。

『感電』歌詞の意味

物足りないまま走らせて

逃げ出したい夜の往来 行方は未だ不明
回り回って虚しくって 困っちゃったワンワンワン
失ったつもりもないが 何か足りない気分
ちょっと変にハイになって 吹かし込んだ四輪車

今回はドラマの志摩伊吹を主人公にして考察していきます。

1番は志摩の視点で綴られているように見受けられます。
理由は「困っちゃったワンワンワン」というフレーズです。

これは有名な日本の童謡である「犬のおまわりさん」を連想させます。
刑事ドラマ主題歌を意識してのことなのかもしれませんね。

一見刑事の2人に共通するように思えますが「困っちゃった」という表現から、 伊吹に困らせられている側の志摩だと解釈しました。
続くフレーズの内容からも彼である可能性が高いと考えました。

Aメロでは2人が初動捜査として現場に向かっているところを綴っているようです。

書き出しの仕方から志摩の「心」「現場」の様子を同時に伝えているように感じます。

例えば「行方は未だ不明」とは、行き先のわからない気持ち行方不明の犯人を同時に伝えているのでしょう。

「回り回って」も、堂々巡りの回想文字通り現場を駆け回ることを伝えているように思えます。

「何か足りない気分」は、満たされない感情と犯人特定に至る情報の欠如を指すと解釈しました。
現に毎度、笑えるほどフワッとした手がかりのみで現場に向かっています。

「ちょっと変にハイになって」からも志摩の視点であると言えます。
伊吹 はいつもハイだからです。
いつも冷静沈着な志摩が、伊吹の根拠のない言動とハイテンションに振り回された結果、無茶な決定を容認する様子を反映したフレーズだと解釈しました。

周囲を気にせず高笑い

兄弟よ如何かしよう もう何も考えない様
銀河系の外れへと さようなら
真実も 道徳も 動作しないイカれた夜でも
僕ら手を叩いて笑い合う
誰にも知られないまま

Bメロでは2人が周囲からは白い目で見られていること、しかし2人は気にせず笑い合っている様子が綴られています。

彼らの所属する部署は、警察内部において「何でも屋」と揶揄されています。
特に志摩のバディである伊吹については「彼については話したくない」「二度と顔を見たくない」と同僚たちの間で語られるほどです。

「真実も 道徳も 動作しないイカれた夜」とは、真相の明らかにならない事件や道徳概念を無視した犯罪を示唆していると考えられます。

しかし刑事ものであれば、警察内部がドロドロしてくる設定は付き物です。
今後の展開によっては、そうした要素も絡むフレーズだと予想します。

「僕ら手を叩いて笑い合う 誰にも知られないまま」についても考えます。

2人は事件解決に貢献するのですが、解決するまでの素行が模範的でない(車大破など)が要因となり目立った称賛を得られません。

それでも2人はどことなくやり遂げたような気持ちで満足げです。
そうした現状と繊細な気持ちをフレーズは表現しているように見受けられます。

「感電」―きらめきとスピード

たった一瞬の このきらめきを
食べ尽くそう二人で くたばるまで
そして幸運を 僕らに祈りを
まだ行こう 誰も追いつけない くらいのスピードで

稲妻の様に生きていたいだけ
お前はどうしたい? 返事はいらない

1番2番に共通するサビでは「以心伝心」し、また感化し合う2人の様子が綴られているようです。

この部分ではタイトル『感電』が持つ2つの性質が扱われています。

・きらめき

・スピード

まずきらめきについて考えてみましょう。
感電の度合いにもよりますが、電気が流れるときらめきを放つようにしてスパークする場合があります。

同様にタイプの違う2人の息がピッタリ合ったとき、お互いの魅力が輝いてみえたものと思われます。

さらにスピードについても考えてみましょう。
落雷のリターンスクロール、、やっぱやめましょ(小難しくなる)
落雷って速いですよね(笑)

同じような速さで、現場にいち早く急行する様子を表現していると感じます。

あわせて「幸運を 僕らに祈りを」とあることから、未だ明かされていない思いに向かって邁進する様子も表現していると解釈しました。

「稲妻の様に生きていたいだけ お前はどうしたい? 返事はいらない」というフレーズは、2人の生き方や間柄を彷彿させます。

2人は稲妻の如く日々を駆け抜けていたいと願っているようです。
文字通りじっとしていることも、気持ちの面で思い留まることも望んでいないのでしょう。

「お前はどうしたい? 返事はいらない」という会話のやり取りから、2人が阿吽の呼吸で活動しているのが伝わってきます(普段は到底そう見えないが)

2話で、犯人に迫りたい気持ちを抑えきれない伊吹の気持ちを黙って汲んだ志摩 のシーンにも重なります。

迷子の子猫と落し物

転がした車窓と情景 動機は未だ不明
邪魔臭くて苛ついて 迷い込んだニャンニャンニャン
ここいらで落とした財布 誰か見ませんでした?
馬鹿みたいについてないね 茶化してくれハイウェイ・スター

2番は伊吹の視点で綴られていると考えました。

前述で「犬のおまわりさん」を引き合いに出して解釈しました。
Aメロでは「迷い込んだニャンニャンニャン」となっています。
童謡でも子猫は犬のおまわりさんを困らせています。
この点も志摩を困らせる伊吹の立ち振る舞いと重なります。

「邪魔臭くて苛ついて 迷い込んだ」とは、 伊吹が志摩とバディを組む前を示しているように思えます。

伊吹は志摩とバディを組むまで、短期間で次々と部署を異動してきました。
詳細は語られていませんが、彼の無鉄砲で論拠の伴わない行動理念が同僚と合わなかったのだと予想されます。

そのような論拠や規律などの堅苦しいものに対して「邪魔臭くて苛ついて」と感じているように思います。

「転がした車窓と情景 動機は未だ不明」は彼の行動パターンを示唆しているように感じます。

彼は「車窓や情景」で表現されているように「自分の見たままの情報」「勘」を組み合わせて行動しています。
しかし「動機は未だ不明」とあるように、行動に裏打ちされる動機付けがない場合が多いです。

「落とした財布」にも注目してみましょう。

これは文字通りの財布ではなく、伊吹が見落としたり失ってきたものを指しているように感じました。
彼の同僚を当惑させる性格や破天荒な行動によるところが大きいのでしょう。

彼が失ったものを拾ってくれるのは主に志摩でしょう。
バディとして彼の見落とした点や性格面のフォローをしています(させられてる)

「茶化してくれハイウェイ・スター」とはなんでしょうか。

正確な定義はありませんが、Deep Purpleの「Highway Star」やネイディブの使用方法から「高速道路で派手に走行する者、いきがってる者」などを指す場合があります。

第三者を指しているのかもしれませんし、 高い運転技術を持ちながらもド派手な運転をする志摩を指しているのかもしれませんね。

現実離れした日々を望む

よう相棒 もう一丁 漫画みたいな喧嘩しようよ
酒落になんないくらいのやつを お試しで
正論と 暴論の 分類さえ出来やしない街を
抜け出して互いに笑い合う
目指すのは メロウなエンディング

2番Bメロで伊吹は「漫画みたいな喧嘩しようよ」と述べています。
志摩との喧嘩は、まさに漫画でしか見れないような無邪気で幼稚なものです。
そんな喧嘩を伊吹は楽しんでおり、常に求めています。

恐らく過去の同僚たちでは喧嘩にならず、相手が呆れて白旗を振ってきたのだと予想されます。

「正論と 暴論の 分類さえ出来やしない街を 抜け出して互いに笑い合う」のが伊吹のモットーのようです。

ドラマでも彼の笑う回数が尋常ではなく、常に陽気な立ち振る舞いを見せています。

「メロウなエンディング」とは「熟した果実のような香り高く甘い終幕」を指しているようです。
この点は、伊吹の「終わりよければすべて良し」とする性格と合致します。

幸せのカタチと在り処

それは心臓を 刹那に揺らすもの
追いかけた途端に 見失っちゃうの
きっと永遠が どっかにあるんだと
明後日を 探し回るのも 悪くはないでしょう

お前がどっかに消えた朝より
こんな夜の方が まだましさ

2番サビでは伊吹の幸せのカタチと在り処が綴られているようです。

「それは心臓を」の「それは」はBメロのメロウなエンディングに掛かっているようです。
「お前がどっかに消えた朝より」と志摩を大切に想っている点から、いつまでも2人で笑って一日を終えたいと考えていることを理解できます。

しかし幸せは「追いかけると見失ってしまう」という性質を持ち合わせています。
伊吹は永遠に見失わない幸せがあるはずだと思い、それを探求することを志しているようです。

明日ではなく「明後日」を探し回るのは、目先のことに捉われずに自分の望む将来を見つめていたいと願っていることを表現していると解釈しました。

不吉な予兆―睡蓮とサイレン

肺に睡蓮 遠くのサイレン
響き合う境界線
愛し合う様に 喧嘩しようぜ
遺る瀬無さ引っさげて

Cメロでは難解な表現が登場してきます。

韻踏みで綴られている「睡蓮」「サイレン」にはどんな意味があるのでしょうか。

肺にサイレン、、違うね、、頭が回らなくなってきました(笑)

フランスの作家ボリス・ヴィアンが記した『日々の泡』 という小説に「肺に睡蓮」が咲く奇病が登場します。

歌詞の「肺に睡蓮」が奇病と仮定するなら、2話のラストで志摩が伊吹に言った「お前は長生きしろよ」という台詞を思い起こさせます。
もしかすると志摩もしくは志摩の大切な人は完治不能の持病を持っているのかもしれません。

この仮定も適切であるなら「遠くのサイレン」はパトカーではなく救急車の可能性が出てきます。

「遺る瀬無さ(やるせなさ)」とは落胆した気持ちを指します。
この後に続く「くたばるまで」というフレーズからも、 逃れられない持病を暗示しているのかもしれません(推測の域を出ませんが)

こうした不安要素を抱えながらも、2人で永遠に笑える将来を目指して行くのでしょう。。

まとめ

いかがでしょうか。
今までにないくらいドラマに寄せて考察してみました。

特に肺に咲く睡蓮やサイレンの解釈は人によって差異が生まれそうですね。
パトカーのサイレンにしなかったのは、、かなり変則的だったでしょうか。。

今後のドラマ展開によって新たな考察や解釈が生まれるはずです。

真相はどうあれ、今作も間違いなく傑作でしょう。
転調のユニークさ、Cメロのダイナミックなドラムフィルなど中毒性の高い音楽構成でした。

聴いた人の前進を痺れさせるという意味でも「感電」なのかもしれません(笑)

ドラマに寄り添いながらも自身の境遇を溶け込ませた素晴らしい作品でした。
米津玄師さんの今後の活動と次回作に期待し注目したいと思います。

ここまで記事を読んで下さった皆さんにも感謝します。
ありがとうございました。

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