山本彩『イチリンソウ』歌詞の意味を考察・解釈

ただ俯いて歩いていた 僕は春を見落としてた
どれくらい時が経ったのだろう 桜の花びらが舞っていた

すぐに忘れられるはずだ
胸の奥にしまい込んで 日向を探すの

こんな道の脇 咲いていた あなたはひとりきり
真っ直ぐに 煌めいて 強く強く
いつの日か 枯れること 知ってるかのように
今という瞬間を 儚く生きてる

そういえばあの時も今日と同じような季節だった
どこからも光が失われ 何もかもがどうでもよかった

いつでも傷つかない事が
強くなれるという事ではないと分かったよ

いつも 気が付けば探してた あなたの事だけを
会えた時 強くなれる気がした
雨に濡れ 踏まれても 咲く場所を変えない
堂々と咲き誇る姿が今もずっと
変わらない僕の道標

ただ俯いて歩いていた 僕は春を見落としてた
桜の影に隠れてそっと 揺れていた白い妖精

こんな道の脇 咲いていた 一輪草のように
ひとりでも 咲ける花になりたい
雨に濡れ 踏まれても 咲く場所を変えずに
堂々と咲き誇れるような
また次の春が来たら あなたに会いたい
その時は今よりも 強くなった僕だ

はじめに

『イチリンソウ』は2019年3月28日にネット上で公開された楽曲です。
NMB48脱退後、ユニバーサル・ミュージックに移籍した山本彩さんの
記念すべき1st Singleです。
アイフルホームCMソングにも起用され話題になっています。

昨年11月4日に行われた卒業公演から約5か月経過してからの今作ですが
ファンも指を加えて待ちわびていたようです。
動画再生回数も現在40万以上と上々の滑り出しを見せています。

筆者の個人的意見ですがNMB時代の彼女と比べると声量が増し、高音が
安定しているように感じました。
卒業公演からソロデビューの間により一層ボイトレを重ねて努力してき
たに違いありません。

今作の曲調は木陰に咲く春の花を木漏れ日とそよ風が優しく包むような
仕上がりになっています。
時期もあって卒業ソングにも抜擢されるのではないかという曲調です。
しんみりと、そして切なさの後には明るい希望が見えてくるようです。

それではさっそく歌詞の考察へと進んでいきたいと思います。

タイトル『イチリンソウ』とは

「イチリンソウ」とは本州から九州の野山に生える代表的な「春植物」です。
白い花を咲かせるのが特徴であり多くの方に愛されています。

さらに萼片(がく)の部分が紅色になることもあり、MVで山本彩さんが紅色
の衣装を身にまとっているのもそうした理由からではないかと筆者は考えまし
た。

歌詞の内容からして「イチリンソウ」は逆境にも決してめげない人物の姿であ
ると結論することができます。
今作では一人の主人公がそんな人物に憧れて見失っていた大切なものを取り戻
すというストーリー展開になっているようです。

今回の考察では基本的に名前のない主人公Xを主体にして考察を進めます。
しかし部分的に山本彩さん自身に重ねていると思える部分もありますから
そうした点を併合して考察していきたいと思います。

『イチリンソウ』歌詞の意味

春を忘れた人

ただ俯いて歩いていた 僕は春を見落としてた
どれくらい時が経ったのだろう 桜の花びらが舞っていた

すぐに忘れられるはずだ
胸の奥にしまい込んで 日向を探すの

一人の主人公は肩の力を落として俯いていました。
ただ呆然と目の前の道を歩いていたのです。
季節は春爛漫、周囲の人たちの気分は高揚し新たな
活動に勤しんでいたことでしょう。

しかし主人公はそんな気には到底なれませんでした。
原因は定かではありませんがかなりの傷を心に負った
ようです。

なぜなら桜の花びらが舞っていたことにさえ長い間、
気づかなかったからです。
嫌なことはすぐに忘れられるはずだと過去の苦い思い
出を胸のポケットにそっとしまい込みました。

「日向を探す」とは温かくて落ち着ける居場所を指し
ているに違いありません。
ここから察するに主人公がこれまで過ごしていた場所
は寒々しい落ち着けない場所だったのかもしれません。

また人間関係における問題を抱えていたとも解釈でき
ます。

さらに山本彩さん自身がNMB48時代に仲間と活躍して
いた温かい環境から、ソロデビューという過酷な環境に
変わったという点を伝えているようにも思えます。

その場合、「日向」になるのはソロとして認められると
いう事実なのかもしれませんね。

目立たぬ場所で気高く咲いた花

こんな道の脇 咲いていた あなたはひとりきり
真っ直ぐに 煌めいて 強く強く
いつの日か 枯れること 知ってるかのように
今という瞬間を 儚く生きてる

相変わらず俯いて歩いている主人公は道端に咲いていた
花を見つけました。
この花はタイトルにもなっている「イチリンソウ」です。

主人公はこの花に魅了されさまざまなものを感じ取りま
した。

真っ白な花とまっすぐな茎、それは「実直さ」「気高さ」
「正直さ」など人間の特質を伝えているようでした。
主人公は自分にはない強さがイチリンソウにあると実感
し目を奪われたのでしょう。

主人公はその花が永遠のものではなく一時的なものである
ことを悟っています。
花は枯れるという事実から「今、この一瞬を精一杯生きる」
大切さを感じ取ったことでしょう。

同時に「今の自分はこの花のように精一杯生きようとして
いるのだろうか」と疑問視します。

回想―自暴自棄

そういえばあの時も今日と同じような季節だった
どこからも光が失われ 何もかもがどうでもよかった

いつでも傷つかない事が
強くなれるという事ではないと分かったよ

ここで主人公の過去に何があったのかを少し推察
することができます。
「あの時」が去年の春を指すのか、少し前の同じ
時期の春を指すのかは断定できません。

しかし主人公は「どこからも光が失われ」と述べ
ています。
光は「希望」「兆し」を表すことがあります。
そうしたものが人や物から得られなかったのです。

「なにもかもがどうでもよかった」とは主人公が
自暴自棄になっており短絡的な人生を送っていた
ことを表現しています。

そして続く歌詞は主人公の1つの思考パターンを
明らかにしています。

「いつでも傷つかないことが強くなれる」という
思考です。
これは思慮深く傷つかないように問題を避けると
いうものではないようです。

周囲の目を気にして自分の意見を主張しないとい
う控え目な行動に基づくもののように思えます。

なぜならイチリンソウはこうしたものとは反対の
「実直」「気高さ」「正直さ」を訴えかけていた
からです。

上記の3つの特質を集団行動で示すとき、場合によ
っては傷つくことがあります。

しかし傷つかないように立ち振る舞うことで希望を
失ってしまったことを主人公は痛感しているのです。

道端に咲いたイチリンソウを見てから主人公は、も
う二度と同じような生き方はしまいと決意していた
のです。

気高さを纏ったあなた

いつも 気が付けば探してた あなたの事だけを
会えた時 強くなれる気がした
雨に濡れ 踏まれても 咲く場所を変えない
堂々と咲き誇る姿が今もずっと
変わらない僕の道標

月日が経過し、主人公はある人物を憧れるように
なっていました。
その人は以前に見かけたイチリンソウのような特
質を兼ね備えた人物だったのです。

「あなた」で表現されるその人物に会うと主人公
はいつでも「強くなれる」気がしました。
恋愛感情を持ったかについては歌詞から想像する
より他ありません。

しかし「僕の道標」というフレーズからあくまで
役割モデルとしていると理解することができるで
しょう。

主人公が憧れる「あなた」は決して良い環境で生
活しているわけではないようです。
「踏まれても」とあるように上手く物事が運ばな
いことが多々あるようです。

その光景はまるで光のまったく見えなかった自分
の過去を見ているようでした。
しかし同じ状況下でも強く生きているその人を見
て主人公は強く感化を受けるのでした。

イチリンソウとその人が完全にリンクしたのです。

来春に再会を誓って

こんな道の脇 咲いていた 一輪草のように
ひとりでも 咲ける花になりたい
雨に濡れ 踏まれても 咲く場所を変えずに
堂々と咲き誇れるような
また次の春が来たら あなたに会いたい
その時は今よりも 強くなった僕だ

憧れの人物に強い影響を受けた主人公はいつか
自分もそうなりたいと切望するようになります。

光の差さない逆境の下でも一人で生きて行ける
強い人になりたいと願うのでした。

同時に、来春に憧れの人と会って強さを纏った
自分を見せることを自分の中で誓います。

熱い想いを胸に抱いた主人公とは裏腹に辺り一
帯を涼しげな風が通り過ぎていきます。
それに応えるように花がその身を散らしていき
ました。

風も花も主人公に必死に訴えかけるようです。
今しかない春を存分に楽しむようにと。。

まとめ

春爛漫の季節だからといって気分も上々、という
わけにはいきませんよね(苦笑)

今作の主人公に多くの方が感情移入できるのでは
ないでしょうか。
非情にリアルでありストレートに耳から心に到達
する歌詞だと思いました。

見方や考え方に影響を及ぼす人物の存在は大変貴
重ですね。

会社や学校などで1人でもそういった憧れの存在を
見つけることができたら幸せですね。

山本彩さんがこれからも可憐なイチリンソウのよう
に一人で強く咲いていけるよう願っています。
また今後の活動と次回作にも注目していきたいと思
います。

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