宇多田ヒカル『初恋』歌詞の意味・考察と解釈


宇多田ヒカル 『初恋』

うるさいほどに高鳴る胸が

柄にもなく竦む足が今

静かに頬を伝う涙が

私に知らせる これが初恋と

I need you, I need you

I need you, I need you

I need you, I need you

I need you, I need you

人間なら誰しも

当たり前に恋をするものだと

ずっと思っていた だけど

もしもあなたに出会わずにいたら

誰かにいつかこんな気持ちに

させられたとは思えない

うるさいほどに高鳴る胸が

勝手に走り出す足が今

確かに頬を伝う涙が

私に知らせる これが初恋と

I need you, I need you

I need you, I need you

I need you, I need you

I need you, I need you

どうしようもないことを

人のせいにしては

受け入れてるフリをしていたんだ

ずっと

もしもあなたに出会わずにいたら

私はただ生きていたかもしれない

生まれてきた意味も知らずに

言葉一つで傷つくような

ヤワな私を捧げたい今

二度と訪れない季節が

終わりを告げようとしていた

不器用に

欲しいものが

手の届くとこに見える

追わずにいられるわけがない

正しいのかなんて本当は

誰も知らない

風に吹かれ震える梢が

陽の射す方へと伸びていくわ

小さなことで喜び合えば

小さなことで傷つきもした

狂おしく高鳴る胸が

優しく肩を打つ雨が今

こらえても溢れる涙が

私に知らせる これが初恋と

I need you, I need you

I need you, I need you

I need you, I need you

I need you, I need you


2018年6月27日に発売された宇多田ヒカルさんのアルバム『初恋』

アルバム中3曲目に収録されているこの楽曲はTBS系ドラマ「花のち晴れ~花男Next Season~」イメージソング。

フレディ・マーキュリーやエディット・ピアフ、ジミヘンやレニー・クラビッツを敬愛する彼女の楽曲は、アレンジやメロディの優しさと共に身を切られるような痛みを伴います。

では、宇多田ヒカル『初恋』の「宇宙」をゆるはるなが考察・解説いたします。

タイトル『初恋』の意味・テーマ


宇多田ヒカルさんは、その圧倒的な歌唱の表現力と共に、生粋のシンガーソングライター。

ささやかな言葉で、歌詞の宇宙観を様々に表現してしまう、才能溢れる作詞家。

宇多田さんが『初恋』という言葉をどのように表現するのか、そもそも『初恋』という言葉を私たちはどう受け取りどう感じるのか……。

衝動と怯え。

ときめきと落胆。

この美しくも哀しさを持つ歌詞には、「生きること」「死ぬこと」という人として避けられない、大きなテーマが隠されています。

歌詞の考察


怖くなるほどに求めるものがあった



うるさいほどに高鳴る胸が

柄にもなく竦む足が今

静かに頬を伝う涙が

私に知らせる これが初恋と

I need you, I need you

I need you, I need you


静かに、しかし確かに「始まり」が始まります。


囁くような怯えるような、哀しいような、嬉しくて泣きそうな、求める気持ちが始まります。

need 、need、 need ……
 その行方も分からず、ただただ、確かに確実に始まりが動き出します。


道も分からず出逢ってしまう


人間なら誰しも

当たり前に恋をするものだと

ずっと思っていた だけど

もしもあなたに出会わずにいたら

誰かにいつかこんな気持ちに

させられたとは思えない


「当たり前」とは一体どんな状態を意味するのでしょうか?

経験したことがない、自分の中で今まで感じたことのなかった想いが溢れます。

それは「当たり前」に起こるのではなかったのです。

今までずっと思ってきたことが、覆ってしまうほどの出逢いだったのです。


「初恋」の本質が、少しずつ心の目に芽生え始めた瞬間。



痛みと喜び。味わい尽くし流れる涙



うるさいほどに高鳴る胸が

勝手に走り出す足が今

確かに頬を伝う涙が

私に知らせる これが初恋と


初めて誰かに恋をしたことだけが「初恋」とは語られません。

そして、恋愛についてだけを「初恋」なんだとは表していません。

胸が高鳴るのは、哀しいから・嬉しいから・寂しいから・大好きだから。

人が知り得る、とても深い感情こそが「初恋」

人生の全てが、「初恋」=「痛みを伴う衝動」を繰り返していきます。




その意味は自分にしか分からない



どうしようもないことを

人のせいにしては

受け入れてるフリをしていたんだ

ずっと

もしもあなたに出会わずにいたら

私はただ生きていたかもしれない

生まれてきた意味も知らずに


不穏な響きにも感じ取れる言葉が綴られます。

「ただ生きていた」……それの一体何が問題なのでしょうか。

ただ生きていられるならば、危険もなく、勇気も必要なく、平穏にいられるかもしれません。

それが生まれてきた意味ではない、その意味を知らずには、もう生きていきたくない。

誰にも共感されなくても、ただただ、自分自身が自然な透明の存在となります。


生まれることと死んでしまうことは表裏一体。

短いセンテンスの中、避けられぬ運命=生と死が静かに表現されます。



否定しない肯定


言葉一つで傷つくような

ヤワな私を捧げたい今

二度と訪れない季節が

終わりを告げようとしていた

不器用に


今までの「当たり前」だった時間を「季節」と比喩しているのか。

しかし、そうそう簡単に今までの自分を変えることが出来ない現実。


傷つき、後悔し、自己嫌悪してきた過去を含め、それすら自分自身の一部、一番新しい季節を迎える自分を創ってくれたのだと、気が付きます。



これだった。やっと見つけた



欲しいものが

手の届くとこに見える

追わずにいられるわけがない

正しいのかなんて本当は

誰も知らない


答えを求め、結果を追っても、それが己の真実かどうかを確かめることは不可能でしょう。

しかし、形ではなく、心で欲しいものを見ている姿。



そこへ実際に手が届くかどうか、それが重要ではありません。

見えるのです。確かに見えたのです。


心の目で、感情で、努力で、最初の一歩を踏み出すことで、見えるのです。

正しいか間違いかをそこへ持ち出す必要はなく。

答えを知る人はいません。

今日正しく見えたことが、明日にはくだらなく見えるかも。

だからこそ、今この瞬間に確かに見えた望みへと、ひとりひとりが、孤独の中の「初恋」へとひた走るのです。




取るに足らないことも命



風に吹かれ震える梢が

陽の射す方へと伸びていくわ

小さなことで喜び合えば

小さなことで傷つきもした

狂おしく高鳴る胸が

優しく肩を打つ雨が今

こらえても溢れる涙が

私に知らせる これが初恋と


無心の情景。

色褪せて見えていたものが鮮やかに変身を遂げ、胸を打ち、涙が勝手に流れ始めていく情景。


もしかしたら、ずっと待って、ずっと堪えて、ずっと我慢していた、欲しかった情景。

まだ具体的な行動や勇気には届かずとも、私たちのneed
は確かに新しい季節へと、心を導きます。

人々は陽光へ枝を伸ばす樹となり、初恋=光を見つけ続け、葉を輝かせます。

風に折られても、雨に降られても、光を求め、根を張り、生き、死んでいく。


新たな季節がやってきました。



まとめ


アルバムの中の1曲として収録されている宇多田ヒカルさんの『初恋』

公式サイトでは楽曲のPVがショートバージョンで公開されております。

そのメッセージは、宇多田ヒカルさんの『初恋』の宇宙観を私たちの感性へと導いてくれています。

楽曲を聴いて興味を持たれた方はぜひ、PVもご覧になってください!

美しく哀しい、優しく厳しい、生死観・宇宙観を感じて、無となり樹となり、『初恋の宇宙』へと旅立ってみてはいかがでしょうか。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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