宇多田ヒカル『誓い』歌詞の意味・解釈と考察

運命なんて知らないけど
この際 存在を認めざるを得ない

本当にこんな私でもいいの ねえいいの
あんまり期待させないでほしいよ

今日という日は嘘偽りのない
永遠の誓い日和だよ
綺麗な花も証人もいらない
同じ色の指輪をしよう

悔しくて仕方がない
ダサいくらいしがみついたまま眠りたい 毎日 はああ

約束はもうしない
そんなの誰かを喜ばすためのもの

今言うことは受け売りなんかじゃない
約束でもない 誓いだよ
嘘つきだった僕には戻れない
朝日色の指輪にしよう

胸の高鳴りを重ねて踊ろうよ
今を生きることを祝おうよ

たまに堪えられなくなる涙に
これと言って深い意味はない
ただ昔を突然思い出し (ああ泣きたい)
開かれたドアから差し込む光
これからもずっと側にいたい
選択肢なんてもうとっくにない (ああ)

今日という日は過去前例のない
僕たちの誓い日和だよ
綺麗な花も証人もいらない
同じ色の指輪をしよう

Kiss me once, kiss me twice
一度じゃ足りない
Kiss me once, kiss me twice
あなたを下さい

Kiss me once, kiss me twice
Kiss me three times お願い
Kiss me once, kiss me twice
あなたを下さい(愛の 愛の)

日の昇る音を肩を並べて聞こうよ
共に生きることを誓おうよ


はじめに

『誓い』は、宇多田ヒカルさんがゲームソフト『KINGDOM HEARTS III』テーマソングとして書き下ろした楽曲です。

これまでも『KINGDOM HEARTS』シリーズに楽曲を提供してきた宇多田ヒカルさん。

『誓い』は、独特のテンポ感があり、音楽として派手ではありませんんが存在感のある楽曲となっています。

タイトル『誓い』の意味

『誓い』の言葉の意味は、神様や仏様へ自身の決心などを約束することです。

しかし、単に「約束」という言葉よりは、もっと重く感じ、身を捧げて約束をするような深い約束に感じられます。

テーマソングとなる『KINGDOM HEARTS』は、冒険や戦いのストーリーなので、仲間たちとの大切な約束という意味で『誓い』というタイトルは合っている感じがします。

しかし、歌詞を読み解いていくと、男女の結婚に纏わる『誓い』だということが分かります。


『誓い』歌詞の意味

自信のない女性

運命なんて知らないけど
この際 存在を認めざるを得ない

主人公は運命や、神様などを信じていないタイプのようです。

「存在」とは、主人公にとって何を意味しているのでしょうか。

過去に起きたことのない、人生の重要な何かの「存在」。

それを、「認めざるを得ない」と表現しています。

どこかネガティブで、本当は起こらないでほしかった出来事のような印象です。

本当にこんな私でもいいの ねえいいの
あんまり期待させないでほしいよ

「私」という一人称から、女性が主人公の歌詞だと分かります。

「本当にこんな私でもいいの ねえいいの」

何かに選ばれたのでしょう。

そして、それは自分にふさわしいことなのか、何度も聞き返している様子から、自身のない感情が分かります。

何かを期待してしまうような、喜ばしい出来事のように思えます。

冒頭のフレーズではネガティブな印象だったことに対し、こちらでは期待ができる出来事、それは何なのでしょうか。

今日という日は嘘偽りのない
永遠の誓い日和だよ
綺麗な花も証人もいらない
同じ色の指輪をしよう

「永遠の誓い」、「指輪」という言葉からイメージできるのは、「結婚」です。
女性は誰かと結婚をするのです。

しかし、その結婚は華やかしいものではないようです。

「綺麗な花も証人もいらない」

女性と結婚の相手は、どこか意味深な関係にありそうです。

結婚を公にするのではなく、2人だけの密やかな結婚なのでしょう。

冒頭のネガティブな印象と、先ほどの期待感のある歌詞の印象が、訳ありの結婚の謎を深めます。


後悔する男性

悔しくて仕方がない
ダサいくらいしがみついたまま眠りたい 毎日 はああ

2番の歌詞では主人公が変わります。

2番のサビは、「僕」という一人称になっているからです。

恐らく、1番の歌詞の女性の結婚相手です。

ここからは、男性目線の歌詞として解釈していきます。

2番の冒頭の歌詞は、男性の心情そのものです。

何かを後悔しており、そんな自分が情けない様子が分かります。

毎晩、何かの後悔のことを思い出して眠りにつくのでしょう。

一体それは何なのでしょうか。

約束はもうしない
そんなの誰かを喜ばすためのもの

男性は誰かと約束をしていたようです。

約束を破ってしまったか、それとも裏切られたのか。

何れにせよ、2番の冒頭の後悔は、この約束と重要な結びつきがあるようです。

どうしてあんな約束をしてしまったんだろう、という後悔だったのでしょう。

約束をしたことで、期待を持たせてしまった。

しかし、約束が守れなかったことによって、期待を裏切った、あるいは裏切られてしまったのでしょう。

ずっと心に引きずってしまうような、大切な約束だったようです。

今言うことは受け売りなんかじゃない
約束でもない 誓いだよ
嘘つきだった僕には戻れない
朝日色の指輪にしよう

約束を破ったのは、男性でした。

なぜなら、「嘘つきだった僕」と綴られているからです。

相手は結婚相手の1番の歌詞の女性でしょう。

そして、散々後悔してきたからこそ、次は「約束」という言葉ではありません。

男性が交わすのは、「誓い」です。

「誓い」という言葉は、「約束」よりも強い言葉に思えます。

生涯を捧げるような、強い意志を持った言葉です。

1番のサビで歌われていますが、証人はいません。

2人だけの「誓い」です。

揺れる感情

胸の高鳴りを重ねて踊ろうよ
今を生きることを祝おうよ

このフレーズは男性目線だと考えられます。

ネガティブな印象はなく、誓いを交わしたことで、過去を振り切るような、もう「嘘つきだった僕」には戻らないよいう決意の表れのようです。

自信をなくしてしまった女性を誘うように、「踊ろうよ」、「祝おうよ」と歌われます。

男性は嘘をついた側なので、女性の不信感を拭うのに必死なのでしょう。

男性は過去を振り切ったように思えますが、果たして女性の感情はどうなのでしょうか。

たまに堪えられなくなる涙に
これと言って深い意味はない
ただ昔を突然思い出し (ああ泣きたい)
開かれたドアから差し込む光
これからもずっと側にいたい
選択肢なんてもうとっくにない (ああ)

このフレーズは女性目線です。

やはり女性はまだネガティブな感情をぬぐえません。

どのような嘘だったのかは分かりませんが、女性の感情から読み取ろうと思うとかなりのダメージだったようです。

昔を突然思い出し、涙を流してしまうほどのトラウマなのですから。

ただ、女性は男性のことが好きで、離れたくはないのです。

「これからもずっと側にいたい」

と気持ちが綴られています。

「選択肢」の言葉から、女性にいくつか選ぶ道があったけれど、男性を選び、結婚を選び、もう戻れないと歌われます。

今日という日は過去前例のない
僕たちの誓い日和だよ
綺麗な花も証人もいらない
同じ色の指輪をしよう

サビは男性目線です。

「僕たちの誓い」と綴られています。

2番のサビも男性目線でしたが、

「朝日色の指輪にしよう」

と歌われていました。

2番では男性が過去についた嘘を反省し、もう2度と嘘をつかないと誓ったことで、新しいスタート地点に立ったことが「朝日色」という言葉に表れているように感じます。

このフレーズは、

「同じ色の指輪にしよう」

と歌われています。

新しい人生を、共に生きよう、もう過去の僕ではないから、安心して一緒にいようというメッセージだと読み取れます。


永遠であってほしい

Kiss me once, kiss me twice
一度じゃ足りない
Kiss me once, kiss me twice
あなたを下さい

この後のフレーズは全て女性目線でしょう。

「あなたを下さい」

この歌詞から、女性を苦しめた男性の嘘を読み解くと、「浮気」なのではないのかと考えられます。

男性には他に女性がいて、ずっと嘘をついていたのです。

女性は男性と結婚を考えていましたが、男性の嘘を知り、本当にこれでいいのだろうかと悩んでいます。

もう少し深読みすると、証人もいらない、謎めいた2人の結婚。

もしかしたら、女性は男性と不倫関係であったということも考えられます。

Kiss me once, kiss me twice
Kiss me three times お願い
Kiss me once, kiss me twice
あなたを下さい(愛の 愛の)

結婚相手の男性への不信感が消えない女性は、どうにかして男性を信じられるようになりたいのだと思います。

女性は男性のことが好きで、本当はずっと側にいたいのです。

しかし、また同じ過ちを繰り返すのではないか、もう傷つきたくないと、どこかで恐れを感じています。

ただ素直に信じたいだけなのです。

繰り返される

「Kiss me」

の歌詞が、とても切ないですね。

日の昇る音を肩を並べて聞こうよ
共に生きることを誓おうよ

歌詞の末尾が「〜よ」となっており、優しい印象から女性目線の歌詞だと感じられます。

男性のことを少しずつ信じようと努力する女性です。

そして、ポジティブな印象に変えたのは、

「日の昇る音を肩並べて聞こうよ」

と、男性の「朝日色の指輪」を受け入れたのだろうと思われる歌詞です。

苦しい過去でしたが、これからは共に生きていきます。

冒頭の「運命」という言葉。

好きになった相手に問題があり、自信をなくしていた女性でしたが、事実を受け入れることができたのだと思います。

まとめ

「指輪」、「後悔」、「嘘」など、『誓い』というタイトルに纏わる重く深い言葉が歌詞の中に出てきました。

女性目線と男性目線の歌詞が混在し、一人で歌っているけれど、デュエットしているような歌詞でした。

宇多田ヒカルさんの独特の歌詞とリズムで、とても魅了される世界観が表現されていました。

YouTubeでは、宇多田ヒカルさんのLIVEで歌われた『誓い』が公開されています。

凛として歌う姿を、ぜひご覧になってみてください。