スピッツ『優しいあの子』歌詞の意味を考察・解釈

重い扉を押し開けたら 暗い道が続いてて
めげずに歩いたその先に 知らなかった世界
氷を散らす風すら 味方にもできるんだなあ
切り取られることのない 丸い大空の色を
優しいあの子にも教えたい ルルル…

口にする度に泣けるほど 憧れて砕かれて
消えかけた火を胸に抱き たどり着いたコタン
芽吹きを待つ仲間が 麓にも生きていたんだなあ
寂しい夜温める 古い許しの歌を
優しいあの子にも聴かせたい ルルル…

怖がりで言いそびれた ありがとうの一言と
日なたでまた会えるなら 丸い大空の色を
優しいあの子にも教えたい ルルル…

はじめに

『優しいあの子』とは2019年6月19日にリリースされた楽曲です。
同年7月15日にMV公開され多くの方の人気を集めています。
NHK 連続テレビ小説「なつぞら」主題歌となっており国民的にも
認知度の高いナンバーと言えるでしょう。

動画再生回数も公開1週間足らずで90万回をマークしています。

今作のMVを担当したのは北山大介氏です。
作品、映像内容に関するご本人のコメントが寄せられていましたので
ご紹介します。

優しい光に包まれ、きらきらと輝いて見える存在も、
実は芯があり、力強い。
初めて楽曲を聞かせていただいたときに感じたのは
真夏のような強く、青い空ではなく、まだ光も淡い、

春の霞んだ青空でした。
一歩一歩確実に寒かった冬から、春、夏へと近づく、
そんな映像表現になればと思い製作しました。
朝のひとときと共に、楽しんでご覧いただけたらと思います。

上記のコメントから力自慢のような外面的強さではなく、
内面から湧き上がる強さを作品の中で伝えているようですね。
そして四季の移り変わりの情緒と哀愁なども含まれているの
だと筆者は感じました。

MV全体を見てみると四季を連想させる雪、紅葉、緑の芝生な
どが観察できます。
そしてコメントにも述べられていたように太陽のギラギラした
真夏のような青い空は出てきませんでした。

淡く光る、春の霞んだ青空が最後に映って曲は終わっていまし
た。

ボーカルの草野マサムネさんの温かな歌声にも注目です。
それはまるで春の木漏れ日のように聴く人たちを包んでくれま
す。

メロディーもスピッツ初期を連想させるキャッチ―で王道進行
で曲が構成されていたなと感じました。

タイアップとなるドラマ内容にも少し触れておきましょう。

「なつぞら」とは連続テレビ小説第100作の記念作品です。
1937年(昭和12年)に東京に生まれ、戦争で両親を失い父の戦友に引き取られ
た戦災孤児の少女・奥原なつが、北海道・十勝で広大な大自然と開拓者精神溢れ
る強く優しい大人たちに囲まれてたくましく成長し、上京後北海道で育んだ想像
力と根性を活かして当時「漫画映画」と称された草創期の日本アニメの世界でア
ニメーターを目指す姿を描いています。一年を通して風雪が少ない十勝の大地に
豊かな実りをもたらす「十勝晴れ」と呼ばれる突き抜けた青空のような、清々し
い生きざまを描いた作品で、連続テレビ小説の原点に立ちかえるような「困難に
負けないヒロイン」像を描きたいとして誕生した作品です。

上記の内容から主人公なつとその後の成長について理解することができます。
なつには夏の青空のようなわかりやすい力強さはないものの、周囲の人たちと触
れ合うことで徐々に春の空のような内面的な力強さを身に着けていくのです。

その点を含めさっそく歌詞の意味を考察していくことにしましょう。

タイトル『優しいあの子』とは

今回のタイトルが持つ意味については非常に頭を悩ませました。
なぜならば全く異なる2つの解釈が生まれたからです。

1つは戦災孤児の少女・奥原なつを「優しいあの子」とする解釈です。
ドラマを見ていてもなつは優しくタイトルの子にぴったりです。
この場合、それ以外の歌詞はなつを支える人たちの生活を綴っている
ことになります。

しかし歌詞全体を考慮すると別の解釈もできることに気がつきます。

もう1つは「優しいあの子」をなつに大切なことを教えてくれた人に
するという解釈です。
この場合、それ以外の歌詞がなつの体験談になりますからこちらの考
え方の方が的を射ている印象を筆者は受けました。

散々迷ったあげく今回は「あの子」をなつに大切なことを教えてくれ
た人にすることにしました。

『優しいあの子』歌詞の意味

未知の世界の扉―教えたいこと

重い扉を押し開けたら 暗い道が続いてて
めげずに歩いたその先に 知らなかった世界
氷を散らす風すら 味方にもできるんだなあ
切り取られることのない 丸い大空の色を
優しいあの子にも教えたい ルルル…

歌詞冒頭では主人公のなつが経験した辛いことや
それを乗り越えたことが綴られているようです。

戦争孤児であるなつは心を閉ざしたことでしょう。
さらに新たな家庭に引き取られそこでの環境に慣れ
ていくのは「重い扉を押し開ける」ように感じたに
違いありません。

多くの人にとって学校や仕事など生活環境が変わる
とストレスになったり心痛になるものです。

それでもそんな未知の世界をなつはめげずに歩んで
いきました。

「氷を散らす風すら 味方にもできるんだなあ」と
は文字通りの「雪」であったり周囲からの冷たい態
度などが含まれているのでしょう。

実際になつは引き取られた先で富士子の父・泰樹に
厄介者扱いされる辛い経験をしました。

それでも懸命に働くなつを見て泰樹は見方と態度を
改めていきます。

まさに「氷を散らす風すら味方にした」のです。

ふと見上げればなつの目の前には青空が力強く広が
っていました。
それは誰にも切り取られて奪われることがないほど
高く広々とした存在でした。

なつはこの景色を自分の大切な人に教えてあげたい
と強く願うのでした。

叶わぬ夢と古い歌―伝えたいこと

口にする度に泣けるほど 憧れて砕かれて
消えかけた火を胸に抱き たどり着いたコタン
芽吹きを待つ仲間が 麓にも生きていたんだなあ
寂しい夜温める 古い許しの歌を
優しいあの子にも聴かせたい ルルル…

ここではなつの憧れが実現できずに砕かれて挫折して
いる様を描いています。

なつは引き取ってもらった家の稼業を継ぐのを断念し憧れのアニメーターに
なることを決意しました。
なつは「東洋動画」作画課のアニメーター採用試験を受けて不合格になったり能
力審査に挑んで不合格になった経験があります。

「口にする度に泣けるほど 憧れて砕かれて」とはその点に触れているのだと思
いました。

「コタン」とはアイヌ語で「部落や集落」を指します。
ですから憧れが冷め始めたときに田舎の仲間たちが自分を励まし支えてくれたこ
とに感謝している歌詞だと筆者は理解しました。

みんなの励ましや慰めが古くからの歌となりなつの耳と心に聞こえてきます。
それは一人孤独の夜を味わっていたなつを温めるには十分な働きがありました。

なつはそれをとても喜び自分の大切な人にもこの歌の存在を伝えたいと切望した
ようです。

たくさんの有難うを「あの子に」

怖がりで言いそびれた ありがとうの一言と
日なたでまた会えるなら 丸い大空の色を
優しいあの子にも教えたい ルルル…

小さい頃のなつは発言力も今より乏しく、環境に慣れる
だけで精一杯でした。
ですからお世話になった人たちに「ありがとう」を言い
そびれてきたことが気がかりなようです。

なつは自分を内面から強くしてくれた人たちに感謝し、
そのことを片時も忘れません。
そしてその感謝のことばを大切な人にも伝えたいと願う
のでした。

なつの心は春の空と完全に重なって見えました。
ギラギラした光ではなく淡い光を放ち、清々しく染める
青の空は、控え目でありながら優しく強いなつの心その
ものだったのです。。

まとめ

いかがだったでしょうか。

逆境から学んだなつの魅力溢れる特質を観察することが
できましたね。

辛いことに匙を投げたり無活動になることは誰にでもで
きることです。
それでもなつは幼い時から「あきらめる」ことを決して
しませんでした。

筆者も何かの分野で諦めそうになった時にはなつと今作
の歌詞を思い出して、逆境を乗り越えたいと思いました。

また自分が教えられたことや大切だと認識したことを、
他の人に伝える重要性も教訓的に学びましたね。
この点でも努力を傾けていきたいと思います。

スピッツの今後の活動と次回作に期待し注目していきた
いと思います。




2 件のコメント

  • こんにちは。
    なつぞら出演者の山田裕貴さんのコメントにあったのですが、優しいあの子=なつの娘の優ちゃんと解釈するのが一番しっくりくると思っていらます。
    なつが人生を通じて学んできたこと、これを愛娘の優ちゃんに伝えたい、という内容。如何でしょうか??

    • Makoさんこんにちは。
      感想有難うございます。
      優ちゃんを主軸とした解釈、とても興味深く感じました。
      ドラマ第125話の内容を踏まえるとその説も濃厚であると
      考えられますね。
      確かにしっくりくる考察だと思います♪

      これからもSSMを宜しくお願いします!

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