椎名林檎『公然の秘密』歌詞の意味を考察・解釈

どこからか漂う 美味しそうな匂い
逃れられないの一旦嗅いだら最後よ

くらくら鎧跟けちゃう 拐かす匂い
秘密という名で評判のフレーバーよ

秘すれば花ね本当噂通りで堪んない
自分を誰し込んだ本体突き止めたい
ほらご覧隠したってみえみえ…嘘を
乗せたトップノートああ近いようね
初々しいバニラ そう甘やかでしょ

とろとろ蕩けちゃう 抱え切れぬ恋
秘密といういま流行のフレーバーの

主に成り果てて噂立ったら堪んない
自分を化かし通し首尾よく諦めたい
眼は逸らしたってばればれ…悔いを
残すラストノートああスパイシーね
もどかしいシナモン ほろ苦いのよ

騙し騙され未来はどうなっちゃうの
罰は受けるハッピーエンドをお願い

頭まで微熱持ってめろめろ…ジゴロ
憖そそらないで存在さえもう罪深い
チョコレート 芳しいのよ厭だ厭だ
見付かんないで誰にも…フェロモン
遍く振り撒いて皆を誘き寄せないで
いつも見張り続けて独り占めしたい

はじめに

『公然の秘密』とは2019年10月17日にネット上で公開された楽曲です。
椎名林檎さん待望の新曲でありこの度MVが公開され人気を集めています。
同年11月13日リリースされるオールタイム・ベストアルバム『ニュートンの林檎
~初めてのベスト盤~』に収録されています。

動画再生回数は公開から数時間で50万近くまで伸び、未だ急上昇しています。

今作はテレビ朝日金曜ナイトドラマ『時効警察はじめました』の主題歌として書
き下ろされました。

冷やし中華はじめましたみたいなタイトルの当ドラマは2006年1月クール「時効
警察」というタイトルで金曜ナイトドラマ枠で放送され、翌年4月クールには
「帰ってきた時効警察」と続編が放送されました。
それから12年経過した今、また新たに物語が続いていきます。

主人公・霧山修一朗を演じるのはオダギリ ジョーさんです。
ドラマでは時効となった犯人と時効事件を趣味で捜査する霧山のそんなに熱くも
ないバトルを描いています(笑)
殺人事件の時効は廃止されているので霧山は趣味として事件に挑んでいきます。

今作もドラマタイアップを幾らか意識したように思えます。
その点は続く考察の最後で扱っていきます。

さて今作MVの内容と曲調はどのようなものでしょうか。
今回MVを手掛けたのはウスイヒロシ監督です。
キャストにはAYA SATOさん東京ゲゲゲイのMIKEYさんが登場し最強軍団の
オーラを放っていました。

ウスイヒロシ監督はドラマに絡めてか「こんな最強軍団のパフォーマンスを目撃
したら、そりゃもう“事件”です。何回見ても見所満載の本作。どうぞ“時効な
し”でお楽しみ下さいませ!」
と語っていました。

MVでは椎名林檎さんがbittersweet cinnamon polic、AYA SATOさん&MIKEYさんがdarkside policeという設定でダンスパフォーマンスを繰り広げていました。
それらの異名が示す通り衣装はポリスで決まってました。

それではさっそく気になる歌詞の考察を始めていくことにしましょう。

タイトル『公然の秘密』とは

まず「公然」とは「世間一般に広く知られている」さまを表す用語です。
ですから『公然の秘密』とは「形式的に秘密であることになっているが世間には
広くしられてしまっている」
という意味です。

歌詞全体は一人の女性が禁断の恋にハマっている様子を綴っているように感じま
した。
彼女は自分の欲求の強さと過剰な思いを「秘密」にしているつもりです。
しかし周囲はそれに気づいてしまっているということをタイトルは意味している
のだと考えました。

『公然の秘密』歌詞の意味

恋の香りに誘われて

どこからか漂う 美味しそうな匂い
逃れられないの一旦嗅いだら最後よ
くらくら鎧跟けちゃう 拐かす匂い
秘密という名で評判のフレーバーよ

今回の考察では一人の女性を主軸に進めていきたいと思います。
彼女は一人の男性に異常な程に惹かれているようです。

歌詞全体では恋や魅力を「匂い」に例えて終始進行しているようです。
フレーバー、トップノート、ラストノートなど香水の匂いに関係
した用語が随所に用いられていますね。

歌詞冒頭で彼女が男性に恋をしていることを理解できます。
彼の放つ魅力が食をそそる美味しそうな匂いのように彼女のもとに届き
ます。
彼女の中で彼に対する過剰な欲求が湧き上がっていきました。

「一旦嗅いだら最後」というフレーズから理解できるように彼女は彼を
一目見た時、恋に堕ちてしまったようです。
「鎧跟けちゃう」とは「よろけちゃう」とかけた言葉遊びなのでしょう。
まっすぐ歩くことが出来ないほど魅力的だという意味なのでしょう。

「拐(かどわ)かす匂い」とは「人をだまして無理矢理連れ去る」という
意味です。
ここから彼女が無意識に彼に引き寄せられたということも把握できます。
恋の誘引力とも言えるかもしれません。

「秘密という名で評判のフレーバー」とはどのような意味なのでしょうか。
これは彼女が自分の気持ちを周囲に秘めている、あるいは彼との関係を秘密
にしなければいけない状況
を示唆しているのかもしれません。
こうした状況に彼女は余計に興奮を覚えハマっているのかもしれませんね。

甘い香りと刺激臭

嘘を
乗せたトップノートああ近いようね
初々しいバニラ そう甘やかでしょ

悔いを
残すラストノートああスパイシーね
もどかしいシナモン ほろ苦いのよ

ここでは前述で取り上げた2つの香り、トップノートと
ラストノートが出てきます。

彼女の恋の初めは彼の甘い嘘から始まったのかもしれま
せん。
もしくは嘘のように幸せな状態を意味しているとも考え
られます。

彼女は彼との恋にバニラのように溶けてしまうような錯
覚すら感じたことでしょう。

しかし彼との関係がいつか周囲にバレてしまうことを恐
れて彼から身を引くことを考えたようです。
恋の最後は別れとなり、シナモンのように独特の刺激を
心に与えた
に違いありません。

また最後まで実らなかった恋に苦い思いをしたことでしょう。
彼女は最後まで自分の秘密を守り通せた、隠し通せたと考えた
のでしょうか。

しかし周囲の人たちは彼女が彼にハマっていたことを知ってい
るのでしょう。
まさに「公然の秘密」なのです。

罰を受ける覚悟

騙し騙され未来はどうなっちゃうの
罰は受けるハッピーエンドをお願い
頭まで微熱持ってめろめろ…ジゴロ
憖そそらないで存在さえもう罪深い
チョコレート 芳しいのよ厭だ厭だ
見付かんないで誰にも…フェロモン
遍く振り撒いて皆を誘き寄せないで
いつも見張り続けて独り占めしたい

一時は彼を諦めようとし彼女の心に変化が見られています。
「罰は受ける ハッピーエンドをお願い」と自身の一番強い欲求を
露わにしています。

ここから彼女は浮気、世間体の悪い行動を取ろうとしていると考えら
れます。
社会的制裁、もしくは関係する誰かの責任を取るということが「罰」
で表現されていると考えられます。

それでもなんとか帳尻を合わせて彼と結ばれる、それが彼女にとって
ハッピーエンドなのだと解釈しました。

「ジゴロ」とは女性にお金を払ってもらって生活する男性のことです。
ですから彼女は男性に貢いでいる、もしくは騙されて貢がされたという
ことになります。

彼は本当に彼女を騙していたのでしょうか。
彼女は彼を好きになって良い状態なのでしょうか。
そのすべては秘密であり、しかし周囲の人たちの多くは気づいているの
かもしれませんね。

ドラマに当てはめて考えてみるとどうなるでしょうか。
時効となる前の犯人の「犯罪」はメディアを通して多くの人に知られるこ
とでしょう。
しかし時効制度によりその犯罪は秘められるつまり「秘密」になります。

これも一つの公然の秘密に数えることができると筆者は考えました。
そして今作の魅力や真の意味もまだまだ秘密となっていますね。
それが明かされる日を心待ちにしたいと思いました。

まとめ

いかがだったでしょうか。
個人のまた男女間の秘密、それは時に興奮を、そして罰を生み出すこと
が歌詞の中で表現されていましたね。

さらに「表向き」と「実際」の温度差や実状の差異を見ることもできま
した。
本当に奥深い作品だったと思います。

歌詞の言葉遊びや匂いで一貫性を持たせた物語も魅力的でしたね。
40代とは思えない椎名林檎さんのセクシー&アダルティな姿にも毎回
驚嘆させられます(どんどん若返っているという噂も)

キャストの皆さんのパワフルで愉快なパフォーマンスにも魅了されました。
皆さんの今後の活動と次回作に期待し注目していきたいと思います。
まさに最強軍団ここにあり!でした!
素敵な作品をありがとうございました。

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