椎名林檎『人生は夢だらけ』歌詞の意味・考察と解説

大人になってまで胸を焦がして
時めいたり傷付いたり慌ててばっかり

この世にあって欲しい物を作るよ
小さくて慎ましくて無くなる瞬間
こんな時代じゃあ手間暇掛けようが
掛けなかろうが終いには一緒くた
きっと違いの分かる人は居ます
そう信じて丁寧に拵えて居ましょう
あの人に愛して貰えない今日を
正面切って進もうにも難しいがしかし
実感したいです
喉元過ぎればほら酸いも甘いもどっちもおいしいと

これが人生 私の人生 鱈腹味わいたい
誰かを愛したい 私の自由
この人生は夢だらけ

この世にあって欲しい物があるよ
大きくて勇ましくて動かない永遠
こんな時代じゃあそりゃあ新しかろう
良かろうだろうが古い物は尊い
ずっと自然に年を取りたいです
そう貴方のように居たいです富士山
二度と会えない人の幸せなんて
遠くから願おうにも洒落臭いがしかし
痛感したいです
近寄れば悲しく離れれば楽しく見えてくるでしょう

それは人生 私の人生 誰の物でもない
奪われるものか 私は自由
この人生は夢だらけ

はじめに

2017年に発売された椎名林檎の2作目となるセルカカバーアルバム
『逆輸入〜航空局〜』に収録された『人生は夢だらけ』。

元は女優の高畑充希に提供した楽曲で、かんぽ生命のCM曲として起用され有名になりました。

タイトルからして強いメッセージ性を持つこの曲ですが、
果たして歌詞はどのような内容なのでしょうか?

早速歌詞解説を行っていまいります。

歌詞考察

アーティスト、そして一人の女性としての苦悩

大人になってまで胸を焦がして
時めいたり傷付いたり慌ててばっかり

この世にあって欲しい物を作るよ
小さくて慎ましくて無くなる瞬間
こんな時代じゃあ手間暇掛けようが
掛けなかろうが終いには一緒くた

きっと違いの分かる人は居ます
そう信じて丁寧に拵えて居ましょう
あの人に愛して貰えない今日を
正面切って進もうにも難しいがしかし
実感したいです
喉元過ぎればほら酸いも甘いもどっちもおいしいと

一番Aメロ〜Bメロです。

冒頭で「大人になってまで、慌ててばっかり」とため息混じりの歌詞から始まるこのパート。

そしてその理由は「こんな時代じゃあ手間暇掛けようが掛けなかろうが終いには一緒くた」
であることと、「あの人に愛して貰えない今日を正面切って進もうにも難しい」
ことの2つであると綴られます。

「こんな時代じゃあ手間暇掛けようが掛けなかろうが終いには一緒くた」の部分は
椎名林檎としてのアーティストとしての苦悩が表れていると言えます。

椎名林檎が1998年にデビューしてからの20年間でネットメディアの台頭により
娯楽が多様化し、CDの売上は大きく減少しました。

そのような現状を憂いて上記のように歌うのでしょう。

が、その後に「きっと違いの分かる人は居ますそう信じて丁寧に拵えて居ましょう」
と歌われます。

実際、今年もツアー、新曲を発表と精力的に活動していて、
その思いを持って歌い続けていることがわかります。

そして「あの人に愛して貰えない今日を正面切って進もうにも難しい」
という歌詞からは一人の女性としての苦悩が歌われています。

椎名林檎は2001年に結婚し、2011年に再婚。
また数々の著名人と噂になる恋多き人生を送っています。

そんな彼女だからこそライフワークであるアーティスト活動と同列で
恋愛の難しさを語るのでしょう。

そしてそれらの苦難を乗り越えて、
「実感したいです喉元過ぎればほら酸いも甘いもどっちもおいしいと」と
苦難多き人生を良かったと思える日を待つと歌うのです。

このパートではこれまでの彼女の半生を振り返っていることがわかります。

苦しみを乗り越えて

これが人生 私の人生 鱈腹味わいたい
誰かを愛したい 私の自由
この人生は夢だらけ

一番サビです。

Aメロ〜Bメロでは椎名林檎の半生を振り返った際の苦悩が綴られました。

しかし、ここではそんな悩み多き人生を「鱈腹味わいたい」と歌われます。

Bメロの「喉元過ぎればほら酸いも甘いもどっちもおいしいと」という歌詞にも
見られる、どんな苦悩も過ぎ去れば自分の糧になるという椎名林檎の人生哲学が見て取れますね。

またこの曲の構成は少し変わっていて、サビの長さがAメロ〜Bメロと比較すると極端に短いです。そしてそのサビのメッセージは「人生は夢だらけ」という非常にシンプルなもの。

一番Aメロ〜Bメロでつらつらと語られた苦悩をいっぺんに吹き飛ばすかのような構成です。

理想の姿と人生観

この世にあって欲しい物があるよ
大きくて勇ましくて動かない永遠
こんな時代じゃあそりゃあ新しかろう
良かろうだろうが古い物は尊い
ずっと自然に年を取りたいです
そう貴方のように居たいです富士山
二度と会えない人の幸せなんて
遠くから願おうにも洒落臭いがしかし
痛感したいです
近寄れば悲しく離れれば楽しく見えてくるでしょう

二番Aメロ〜Bメロです。

ここでは一番の歌詞との対比表現があります。

それは「この世にあって欲しい物を作るよ 小さくて慎ましくて無くなる瞬間」と
「この世にあって欲しい物があるよ大きくて勇ましくて動かない永遠」 の部分です。

大量消費社会において自身が作るものは瞬間的なものでしかないと
半ば諦め気味に語られたのに対し、ここでは自身が描く理想は
なんなのかということが語られます。

大量消費により色んなものが飽きられる現代だからこそ、
永遠に残り続けるもの、例えるなら富士山のようになりたいと歌われるのです。

その功績から間違いなく邦楽史に名を残すであろう椎名林檎でも
このような思いを抱くというのは少し意外ですね。

そしてこのパートを締めくくる「近寄れば悲しく離れれば楽しく見えてくるでしょう」
という歌詞は椎名林檎の人生観が凝縮されています。

これは喜劇王チャップリンの名言、「人生はクローズアップで見れば悲劇だが、
ロングショットでみれば喜劇だ」に通ずるものがあります。

どれほどの悲しい思い出も長い人生で見れば全て良いものとして
振り返られるようになるのだ、という椎名林檎の人生観が伝わってくる歌詞です。

自分の人生は自分だけのもの

それは人生 私の人生 誰の物でもない
奪われるものか 私は自由
この人生は夢だらけ

二番サビです。

メッセージとしては一番サビと同様です。
しかしこのサビの「奪われるものか 私は自由」という歌詞は特に力強く歌われます。

これまで綴られてきた苦悩、人生観、理想。

特に一番Aメロ〜Bメロに見られたように椎名林檎は自分の人生を振り返って
まだまだ苦悩が多いと感じています。

しかし、それでも一番Aメロで「実感したいです喉元過ぎればほら酸いも甘いも
どっちもおいしいと」と歌うように、それすらも自分の糧になると信じているのです。

そして二番Aメロで「この世にあって欲しい物があるよ大きくて勇ましくて動かない永遠」
と、こうありたいという姿を思い描きながら日々生きています。

辛いことを糧にし、ありたい姿を目指す。

そんな人生は素晴らしいと感じているのでしょう。

だからこそ「奪われるものか」という部分で声を張り上げるのです。
様々な苦悩を経ても尚、希望を持ち続けるからこそ「人生は夢だらけ」と歌うのです。

『人生は夢だらけ』は椎名林檎にしか歌いこなせない、人生の歌と言えるでしょう。

終わりに

今回は椎名林檎の『人生は夢だらけ』の歌詞考察を行いました。

その結果、椎名林檎のこれまでの苦悩を経て築き上げた
人生観を歌いあげた曲であることがわかりました。

人は生きていれば生き方に迷うもの。

この文章を読んでいる方の中にはまさにその最中の方もいらっしゃることでしょう。

そんな方の背中を力強く押してくれる曲です。
ぜひ歌詞に注目して聞いてみてはいかがでしょうか。

コメントを残す