SEKAI NO OWARI『イルミネーション』深読み〜歌詞の意味と考察〜君と純白の街へ

SEKAI_NO_OWARIイルミネーション

君に似合うのはきっと
赤でも青でも黄色でもない
どんな炎に焼かれても
ただ一つ残る色だ

幸せになるにはきっと
何か払わなきゃいけないの、と
泣いているような空を見る
君の強さを知っているよ

汚れたような色だねって
そんなに拗ねるなよ
人知れずシャツの袖で
涙を拭った君に

純白の街へ連れてくよ
緑や赤の綺麗な光
濡れた袖が暖まるまで
雪道を彩る
二人だけの足跡

優しさに色があるなら
赤でも青でも黄色でもない
全部を混ぜあわせて
ただ一つ出来る色だ

それ、ネズミ色だよねって
顔をしかめるなよ
人知れず眠れない
夜を過ごした君に

僕らの家へ帰ろうか
影絵のような帰り道
夕食の匂いのする方へ
二人手を繋いで
向かい合った足跡

強いようで弱い
でも弱いようで強い
君へ贈る色
グレー

今年の冬は暖かいね
少し前に君が言ってたけど
世界はこんなに一瞬で
真っ白になっていく

純白の街へ連れてくよ
緑や赤の綺麗な光
濡れた袖が暖まるまで
雪道を彩る
二人だけの足跡
続いていく足跡

SEKAI NO OWARIの『イルミネーション』は、テレビ朝日「リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~」の主題歌として制作され、2018年10月11日に配信シングルとしてリリースされました。

冬の街に灯るイルミネーションのような、おだやかで暖かみのある曲調と歌詞が、優しい気持ちにさせてくれる『イルミネーション』の歌詞の世界を読み解きます。

「君」に似合う色は…炎に焼かれて残る色

『イルミネーション』の舞台は、灰色の雲に覆われた冬の街です。

冬の暗い空の下で、歌い手は「君」のことを考えています。

君に似合うのはきっと
赤でも青でも黄色でもない
どんな炎に焼かれても
ただ一つ残る色だ

「君に似合う」色は、「赤でも青でも黄色でもない」色です。

その色は、「炎に焼かれてもただ一つ残る色だ」と歌いながら、それが何色なのか、歌い手はまだはっきりと言いません。

ほとんどのものが、焼かれたあとに残るのは灰です。

どんなに美しい色のものであっても、焼かれたら灰になってしまう。

歌い手は、「君」に似合う色は灰色だと思っています。

自分を犠牲にできる「君」の強さ

幸せになるにはきっと
何か払わなきゃいけないの、と
泣いているような空を見る
君の強さを知っているよ

「君」は、「泣いているような」雪まじりの雨を降らせようとしている空を見ながら、歌い手に語りかけます。

「幸せになる」ためには、何か大切なものを手放さなくてはならない、と。

ここで幸せになるのは、自分だけではありません。

「君」は、自分だけではなく、他の誰かの幸せを願っていて、そのために自分の大切なものを「払わなきゃいけない」と考えています。

その「君」に歌い手は、「強さ」と優しさを感じ取って、思いやります。

まだ言えない「君」に似合う色

汚れたような色だねって
そんなに拗ねるなよ
人知れずシャツの袖で
涙を拭った君に

「汚れたような色」なのは、「君」が見ている空ですが、それだけではありません。

曇り空の下の暗い街並み、そしてその街で暮らす人々の織りなす世の中、「君」に見えている世界は「汚れ」ています。

そして、誰にも知られないように「涙を拭った」強い「君」に歌い手は、ついに本当の想いを語ろうとします。

「涙を拭った君に」、似合う色は「…」と。

「君」を連れて行くの純白の街とは?

純白の街へ連れてくよ
緑や赤の綺麗な光
濡れた袖が暖まるまで
雪道を彩る
二人だけの足跡

「純白の街」は、雪が降り積もった美しい街であると同時に、「汚れた」ものが消え去った理想の世界でもあります。「白」は汚れのない純潔の象徴です。

「緑や赤のきれいな光」は、クリスマスシーズンのイルミネーションを想わせますが、「緑」は常緑樹の枯れることのない永遠の命を象徴しています。

そして、「赤」は、強い生命力を象徴する血の色であると同時に、人間の罪を贖(あがな)うために流されたキリストの血の色でもあり、人を幸せにするために自らを犠牲にする、神の愛を現しています。

その色に包まれて、「君」と歌い手二人の、純潔と永遠の命と自己犠牲の愛が、足跡として「汚れたような」街の雪道を彩ります。

「君」に似合う色は…全部混ぜあわせてただ一つ出来る色

優しさに色があるなら
赤でも青でも黄色でもない
全部を混ぜあわせて
ただ一つ出来る色だ

それ、ネズミ色だよねって
顔をしかめるなよ
人知れず眠れない
夜を過ごした君に

「優しさ」は、はっきりとわかる色を持っていません。

その色は、「全部」の色を混ぜ合わせた色です。

何種類もの絵の具を混ぜて行くと、暗いネズミ色になります。

「君」の「優しさ」は、人それぞれの色を一つも排除することなく、すべて「混ぜあわせ」受け入れて、ネズミ色になっています。

「君」は、その色に少し不満を持っていますが、歌い手は、「人知れず」悩み苦しんで「眠れない夜を過ごした君に」、似合う色は「…」だと話そうとします。

しかし、ここでもまだ歌い手は、その色をはっきりと告げません。

君に似合う色は…優しさの色「グレー」

僕らの家へ帰ろうか
影絵のような帰り道
夕食の匂いのする方へ
二人手を繋いで
向かい合った足跡

強いようで弱い
でも弱いようで強い
君へ贈る色
グレー

二人が帰る「僕らの家」は、ただ二人の家というだけの場所ではありません。

セカオワハウスで共同生活するSEKAI NO OWARIのメンバーにとって「僕らの家」は、信頼できる仲間がいる場所でもあります。

そして、冬の夜の温かい「夕食」は、寒さや悲しみに悩まされることのない、幸せの象徴です。

その仲間がいる「家」で、「夕食」幸せな時間を過ごすために、二人は手を繋ぎお互い向き合い見つめ合います。

ここで歌い手はついに、「君」に似合う色をはっきりと告げます。

「強いようで弱いでも弱いようで強い君に」本当に似合う色は、「グレー」だと。

世界は一瞬で「純白の」理想の世界へ変わる

今年の冬は暖かいね
少し前に君が言ってたけど
世界はこんなに一瞬で
真っ白になっていく

純白の街へ連れてくよ
緑や赤の綺麗な光
濡れた袖が暖まるまで
雪道を彩る
二人だけの足跡
続いていく足跡

暖かい冬、「君」は「世界は」「一瞬で真っ白になっていく」と言っていました。

真っ白な世界は、雪景色の街であると同時に、罪や不正やさまざまな苦しみのない「純白」の、清らかで汚れのない世界です。

「君」は、いつかそのような理想の世界になることを信じて、自分はグレーに染まってでも、自分を犠牲にしてでも、世界をよりよい場所にしようとする「強い」人です。

そして、「君」と歌い手は、向かい合って、お互いを「純白の街へ連れてくよ」と、語りかけます。

そんな二人の間にあるのは、強い信頼と愛です。

終わりに

『イルミネーション』は、雪景色の冬の街を舞台に、世界を汚れのない場所にして行こうとする希望を歌った曲です。

歌い手は、自分がグレーに染まってでも、世界を変えて行こうとする強い「君」を愛し、思いやります。

『イルミネーション』に対して、SEKAI NO OWARIは以下のようなコメントを寄せています。

今回、ドラマのお話を頂き、炎で燃やされても残ることが出来るくらいの強さと、色んな意見を聞いて決断するという優しさ、その選択を後押し出来る曲にできたらと思いこの歌を作りました。

いろんな人のいろんな瞬間や景色に重なり合う歌になってもらえたら嬉しいです。

「リーガルV」公式ページより引用

また、『イルミネーション』は、作詞者クレジットがSaori&Fukaseとなっており、Saoriがメインで書かれた曲だと思われます。

Fukaseのように尖ったところがなく、優しい思いやりに溢れる歌詞の世界には、恋人同士や二人で過ごす冬の夜だけでなく、「いろんな人のいろんな瞬間や景色に重なり合う
」深さと広がりがあります。
冬の街を彩る『イルミネーション』は、暗く汚れた街を「純白」の理想の世界にする二人の、そして、私たちすべての希望の光です。

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