サカナクション『アイデンティティ』歌詞の意味・考察と解説

アイデンティティがない 生まれない らららら
アイデンティティがない 生まれない らららら

好きな服はなんですか?好きな本は?好きな食べ物は何?
そう そんな物差しを持ち合わせてる僕は凡人だ

映し鏡 ショーウインドー 隣の人と自分を見比べる
そう それが真っ当と思い込んで生きてた

どうして 今になって 今になって そう僕は考えたんだろう?
どうして まだ見えない 自分らしさってやつに 朝は来るのか?

アイデンティティがない 生まれない らららら
アイデンティティがない 生まれない らららら

風を待った女の子 濡れたシャツは今朝の雨のせいです
そう 過去の出来事 あか抜けてない僕の思い出だ

取りこぼした十代の思い出とかを掘り起こして気づいた
これが純粋な自分らしさと気づいた

どうして 時が経って 時が経って そう僕は気がついたんだろう?
どうして 見えなかった自分らしさってやつが 解りはじめた

らららら らららら…

どうしても叫びたくて 叫びたくて 僕は泣いているんだよ
どうしても気づきたくて 僕は泣いているんだよ

どうして…(らららら…)

はじめに

2010年に発売されたサカナクションの3枚目のシングル、『アイデンティティ』。

発売から8年が経過していますが、ファンの間で根強い人気を誇る楽曲です。

その人気とノリ易いアップテンポな曲であることも相まって、
ライブ定番曲として頻繁に披露されています。

そのようなサカナクションの曲の中で最も知られた一つであるアイデンティティですが、
果たして歌詞はどのようなものなのでしょうか。

早速考察を行ってまいります。

歌詞考察

アイデンティティを求めて

アイデンティティがない 生まれない らららら
アイデンティティがない 生まれない らららら

頭サビです。

この曲はサカナクションのフロントマン、山口一郎が下記のインタビューのように
アイデンティティに関して考えた時の曲です。

ー僕は音楽を作っていく中でしか“自分らしさ”について考えることが無かったんですよ。

つまり自分と向き合う中で“自分らしさ”を考えていくのが普通だと思っていた。

でも東京に出てきたことでね、東京っていう街はいろんな地方から来ている
人の集合体だなと思ったし、そういった人たちがすれ違う人と自分を見比べて
“自分らしさ”みたいなものを発見しているんだなって。

服装にしろ、髪の長さにしろ、細かいひとつひとつを見て自分を確認している。

あと、YouTubeのコメントとか見ていると、動画を見終えた直後の感動を
コメントしているんじゃなく、見終えて他人のコメントをいくつも見た上で
コメントしている人が多い。

それって他者の意見を反映させた自分の意見だからピュアじゃないんですよ。
でも今はそれが正論になったりする。そこに僕は時代の面白さを感じたんですよね。

参考URL:http://www.hotexpress.co.jp/interview/100722_sakanaction/page2.html

ここではまさにそのテーマが歌われています。

疾走感のあるメロディが、絶え間なく高速でぐるぐると回る脳内を連想させ、
アイデンティティがないと思い悩む人々の姿が鮮明と浮かび上がるようです。

周りに合わせる生活、そしてそれに対する悩み

好きな服はなんですか?好きな本は?好きな食べ物は何?
そう そんな物差しを持ち合わせてる僕は凡人だ

映し鏡 ショーウインドー 隣の人と自分を見比べる
そう それが真っ当と思い込んで生きてた

どうして 今になって 今になって そう僕は考えたんだろう?
どうして まだ見えない 自分らしさってやつに 朝は来るのか?

一番Aメロ〜Bメロです。

Aメロで歌われるのは他人と比較して生きる人々の姿です。

他人の好きな本、服、食べ物を気にして、自分と比較する様をそれが真っ当だと言う。

これはよくある話で、例えば学生であれば友人と同じタイミングでトイレに行ったり、
同じアクセサリーを買ったりと気づけば周りに合わせることがあると思います。

社会人であれば気乗りしなくても、飲み会に顔を出さなければならないといったことですね。

しかし、Bメロでは「どうして 今になって 今になって そう僕は考えたんだろう?」と
これまでの自分を見直し、このままで良いのかと悩む姿が描写されます。

周りに合わせる自分に対して悩む、というのもまたよくある話です。
そんな普遍的な人々のあり様、そして悩みをここでは歌っているのです。

嘆きは繰り返されて

アイデンティティがない 生まれない らららら
アイデンティティがない 生まれない らららら

一番サビです。

歌詞の内容は頭サビと全く同様。
しかしながら一番Aメロ〜Bメロを経てこの歌詞を改めてみると、
アイデンティティが無いという嘆きがより深くなっていることが分かります。

他人を気にして生きるのが当たり前と思っていた状態から自分らしさはどこにあるのか?
と思い悩み始めた上で「アイデンティティがない」という歌詞に続くわけですから。

果たして自分のアイデンティティを見つけ出すことはできるのでしょうか。
二番へと続きます。

純粋だったあの日を思い出して

風を待った女の子 濡れたシャツは今朝の雨のせいです
そう 過去の出来事 あか抜けてない僕の思い出だ

取りこぼした十代の思い出とかを掘り起こして気づいた
これが純粋な自分らしさと気づいた

二番Aメロです。

一番ではアイデンティティを渇望する様子が描かれました。

ここでは自分はいつアイデンティティを失ったのか、ということを思い返す様が描かれています。
「風を待った女の子」とは好きだった女子のことでしょうか。

思い出に残っているのですから、なんらか特別な感情を持っていたことには間違いありません。

そしてそんなことを思い返すうちに「取りこぼして 自分らしさと気づいた」
「自分らしさってやつがわかり始めた」と、純粋だったあの頃の気持ちこそ
自分のアイデンティティだったと気づくのです。

分かり始めたアイデンティティ

どうして 時が経って 時が経って そう僕は気がついたんだろう?
どうして 見えなかった自分らしさってやつが 解りはじめた

らららら らららら…

どうしても叫びたくて 叫びたくて 僕は泣いているんだよ
どうしても気づきたくて 僕は泣いているんだよ

どうして…(らららら…)

二番サビです。
二番は一番と構成が異なり、一番でBメロだったメロディパートがサビとして使われています。

その理由はこのパートの「見えなかった自分らしさってやつがわかり始めた」
という歌詞から読み取ることができます。

一番サビの歌詞は「アイデンティティがない 生まれない」というものでした。

しかし、二番では昔の自分を思い出すことにより、だんだんと
自分らしさつまりアイデンティティを見出せるようになってきているのです。

そのため一番サビの歌詞は登場しない構成になっていると考えられるのです。

歌詞だけでなく、構成も変化させることにより心理状況の移り変わりが表現されています。

終わりに

今回はサカナクションの3枚目のシングル、『アイデンティティ』を特集しました。

この曲で描かれたのは、周りに合わせることにより失ってしまった
アイデンティティを求めぐるぐると思い悩む人々の姿。

そしてアイデンティティを見出す一つの答えとして、
過去の思い出を振り返ることが提示されています。

もし今アイデンティティがないと悩んでいるのであれば、一度この曲を聞いて
過去のことに思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

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