サカナクション『ナイロンの糸』歌詞の意味を考察・解釈

このまま夜になっても
何かを食べて眠くなっても
今更 寂しくなっても
ただ 今は思い出すだけ

このまま夜にかけて
多分 少し寒くなるから
厚着で隠す
あの日のこと

君が消える
影が揺れる
甘えてもう一歩

風が消える
髪が揺れる
甘えてる様

どれだけ 忘れたくても
どれだけ 君と話したくても
あの頃 感じてたこと
ただ 今は思い出すだけ

縒れてた古い糸を
静かに手で巻き取る様に
いつかはわかる
あの海のこと

君が消える
影が揺れる
甘えてもう一歩

波が消える
風は知ってる
甘えてる様

この海に居たい この海に居たい
この海に帰った二人は幼気に

この海に居たい
この海に帰った振りしてもいいだろう

はじめに

『ナイロンの糸』とは2019年6月5日にネット上で公開された楽曲です。
同年6月19日リリース サカナクションNew Album「834.194」に収録されて
います。

ボーカル&ギター担当する山口一郎さんが出演するカロリーメイト「考えつづけ
る人」篇 テレビCMソングとなって多くの人に認知されているナンバーです。

動画再生回数は公開から3週間経った現在で150万回を超えて大人気となってい
ます。
サカナクションファンや大勢のリスナーがこの楽曲公開を首を長くして待ってい
たことを理解できます。

今作のMVでは裸体の男女(もちろん規制されるレベルではない)が登場します。
登場人物にはモデルの岡崎圭吾、そしてURAさんです。
お二人はモデル界で人気を集め活動しています。

「水と都市」をメインテーマにMV構成がなされ神秘感が漂う作品となりました。

他にも互いの「自由さ」「触れ合い」「生命」といった奥深い複数の訴えが映像
から読み取れると思います。

曲調は非常にゆったりとしたローテンポで、例えるならほとりを緩やかに流れる
水のようです。
聴き手の耳から心に歌詞とメロディが流れ込んできます。

サカナクション独特の世界観を続く歌詞考察と共に是非お楽しみ下さい。

タイトル『ナイロンの糸』とは

『ナイロン』とは長鎖状ポリアミドの総称です。
アメリカの W.カロザースが、絹に似た合成繊維を目指し基礎研究をした結果
発明したものです。

一時期は「クモの糸より細い」をキャッチコピーに宣伝していた時代もあった
ようです。
それでも実験段階では大きな負荷がかかると切れてしまったりと問題があった
部分もあるようです。

上記の情報を加味して考えるならば今作のナイロンの糸には「か細さ」「脆さ」
という概念が含まれているのだと感じました。

歌詞中の男性主人公が思い合っていた彼女を失い、ナイロンの糸のような脆く
か細い記憶を紡いでいる姿が描写されています。
彼の想いや彼女との関係においてタイトルは複雑に絡み合っています。

では詳しい考察を続く部分から見て行くことにしましょう。

『ナイロンの糸』歌詞の意味

日々が過ぎ去ることの無意味さ

このまま夜になっても
何かを食べて眠くなっても
今更 寂しくなっても
ただ 今は思い出すだけ

このまま夜にかけて
多分 少し寒くなるから
厚着で隠す
あの日のこと

本考察では一人の男性主人公を主軸に進めていきたいと思います。

彼の一日はあまり生産的とは言えず意味もなく過ぎていきます。
気づいたら夜になっているという日々を送る毎日なのです。

何を食べても特に感動せず、夜になると決まって寂しくなります。
それは何故でしょうか。

「今は思い出すだけ」というフレーズからヒントを得ることができ
るでしょう。

夜の闇が色濃くなる時間帯には「想い出も鮮明」になってきます。
そうすると「寒くなる」つまり寂しい気持ちが増していきます。
厚着で隠すかのようにして自分の想い出を忘れようと努めます。
「ある日」の出来事をきっかけに彼の日々は無意味になったのです。

君が消えたあの日

君が消える
影が揺れる
甘えてもう一歩

風が消える
髪が揺れる
甘えてる様

この部分で男性が寂しく感じ意気消沈した理由を
知ることができます。

「君が消える」とは男性にとって大切な女性との
決別を示唆しているものと思われます。
「影が揺れる」とは彼女の面影が想い出の中で揺
らめく様子を表現しています。

「甘えてもう一歩」とは想い出の先にまた進みた
い、現実のものとしたいという気持ちでしょう。

「風が消える」「髪が揺れる」は前述の歌詞と掛
かっており言葉遊びとなっています。

無風は無感情や何も感じなくなる様子を伝えてい
ますが、同時に想い出の彼女の髪が揺れるところ
を想像しているようです。
男性は想い出の彼女に甘えたいのかもしれません。

記憶の糸、手繰って

どれだけ 忘れたくても
どれだけ 君と話したくても
あの頃 感じてたこと
ただ 今は思い出すだけ

縒れてた古い糸を
静かに手で巻き取る様に
いつかはわかる
あの海のこと

主人公の男性は彼女のことをそして彼女と過ごして
きた時間を忘れようと努めます。
それでも彼女とその想い出は頭の中で何度も狂い咲
きます。

あの頃の彼女ともう一度話したい、あの時に感じて
いた気持ちをもう一度、、
そう願っても実現しないことに彼は悲嘆します。

昔は強くて太かった二人の絆は今では「古い糸」の
ように脆くか細くなっていました。
記憶の中でしか繋がれていない関係に彼は言葉にで
きない寂しさを痛感していたのです。

「海」とは彼女と出会う前の何もない状態を指すの
かもしれません。
二人の関係を順を追って遡っていくと最終的には出
会う前の何もない状態に辿り着くのです。

陽気な海に漂う幼気な二人

この海に居たい この海に居たい
この海に帰った二人は幼気に

この海に居たい
この海に帰った振りしてもいいだろう

前述で「海」が二人が出会う前の何もない状態である
と論じてきました。
「海に居たい」とは彼が「出会う前の状態に戻りたい」
と思っていることを示しているようです。

「幼気」という言葉がここでは用いられています。
出会う前の二人は何も考えなくて良い無邪気な状態で
いられるということを表現しているのでしょう。

当然、主人公の男性は彼女との時間を過ごしてきてし
まっているのでなかったことにはできません。

それでも「海に帰った振りしてもいいだろう」つまり
今は出会わなかった、何もなかったかのように振る舞
いたいと考えているのです。

彼は無意味に思える日々の中で寂しさを抱えて過ごし
ています。
彼女との交際中に張りつめていた緊張の糸は当の昔に
切れています。

しかし彼の頭の中にある大事な彼女との記憶の糸は未
だ完全に切れることはありませんでした。。

まとめ

誰か大切な人と決別した後もずっと想い出の中で
繋がっていたいときってありますね。
忘れることで今までのすべてが無かったことにな
る寂しさに耐えられなく思えるからです。

皆さんにもそのような経験があるでしょうか。
もしあるのでしたら今作と主人公に共感できると
思います。

今は触れることもできない大切な人の存在を鮮明
に描くことしかできない切なさ、忘れたくても忘
れられない辛さは共感ポイントですね。

「切っても切れない関係」や「出会う前の真っ新
な状態」に戻りたいというリアルな気持ちが忠実
に描かれた歌詞だと感じました。

サカナクションの独特の世界観と穏やかでありな
がら厚みのある歌声に魅了されてしまいました。
素敵な作品を有難うございました。

サカナクションの次回作と今後の活動に期待し注
目していきたいと思います。

そして毎回の考察を楽しみにして下さっている皆
様、また具体的な感想をDMなどで下さる方すべて
にこの場を持ちまして感謝をお伝えしたいと思いま
す。

有難うございます。

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