サカナクション『ミュージック』意味・考察と解説

流れ流れ
鳥は遠くの岩が 懐かしくなるのか
高く空を飛んだ

誰も知らない
知らない街を見下ろし 鳥は何を思うか
淋しい僕と同じだろうか

離ればなれ
鳥は群(む)れの仲間が 懐かしくなるのか
高い声で鳴いた

何も言わない
言わない街は静かに
それを聴いていたんだ
弱い僕と同じだろうか

痛みや傷や嘘に慣れた僕らの言葉は
疲れた川面(かわも) 浮(う)かび流れ
君が住む町で

消えた

消えた

(カワハナガレル)

消えた

(マダミエテナイ マダミエテナイ)

消えた

消えた
(カワハナガレル)

消えた

(マダミエナイ マダミエナイカラ)

濡れたままの髪で僕は眠りたい
脱ぎ捨てられた服
昨日のままだった

何も言わない
言わない部屋の壁に それは寄りかかって
だらしない僕を見ているようだ

痛みや傷や嘘に慣れた僕の独り言
疲れた夜と並び吹く風 君の頬へ

触れた

触れた

(ヨルハナガレル)

触れた

(ナイテハイナイ ナイテハイナイ)

触れた

触れた

(ヨルハナガレル)

君が

(ナイテイタ ナイテイタカラ)

振り返った季節に立って
思い出せなくて嫌になって
流れ流れてた鳥だって
街で鳴いてたろ
鳴いてたろ

過ぎ去った季節を待って
思い出せなくて嫌になって
離ればなれから飛び立って
鳥も鳴いてたろ
鳴いてたろ

いつだって僕らを待ってる
疲れた痛みや傷だって
変わらないままの夜だって
歌い続けるよ
続けるよ

いつだって僕らを待ってる
まだ見えないままただ待ってる
だらしなくて弱い僕だって
歌い続けるよ
続けるよ

はじめに

2013年に発売されてサカナクションの8枚目のシングル、『ミュージック』。

シンプルなことこの上ないタイトルですが、聞いてみると
まさにこれぞ音楽と思えるほど完成度の高い楽曲です。

レコチョクのダウンロード数はサカナクションの楽曲の中でTOP5に入っており、
発売から5年経った今でも色褪せない人気曲です。

今回はそんなサカナクションの楽曲、『ミュージック』の歌詞考察を行います。

歌詞考察

一羽の鳥に自分を重ねて

流れ流れ
鳥は遠くの岩が 懐かしくなるのか
高く空を飛んだ

誰も知らない
知らない街を見下ろし 鳥は何を思うか
淋しい僕と同じだろうか

離ればなれ
鳥は群(む)れの仲間が 懐かしくなるのか
高い声で鳴いた

何も言わない
言わない街は静かに
それを聴いていたんだ
弱い僕と同じだろうか

一番Aメロです。

ここで描かれるのは一羽の鳥を見上げ、物思いにふける主人公の姿。

「鳥は遠くの岩が懐かしくなるのか」「鳥は群れの仲間が懐かしくなるのか」と
鳥が何を思うのか、ということに思いを巡らせます。

そして「淋しい僕と同じだろうか」と綴るのです。

これによりこの曲の主人公もまた遠くの岩、つまり故郷を懐かしみ、
旧友達に会いたいと考えていることが読み取れます。

磨り減った心を故郷の地で癒して

痛みや傷や嘘に慣れた僕らの言葉は
疲れた川面 浮かび流れ
君が住む町で

消えた

消えた

(カワハナガレル)

消えた

(マダミエテナイ マダミエテナイ)

消えた

消えた
(カワハナガレル)

消えた

(マダミエナイ マダミエナイカラ)

一番サビです。

Aメロでは、一羽の鳥を見上げながら故郷のことを想う主人公の姿がありました。

そもそも何故主人公はそのような物憂げな気持ちになってしまったのか?
その答えがサビで明らかになります。

「痛みや傷や嘘に慣れた僕らの言葉は」という歌詞から、故郷から出てきて
仕事をする中で上司の怒られたり、取引先に嘘やおべっかを言ったりする
主人公の姿が浮かび上がります。

そして「疲れた川面」と、自分の内心を川面と表現して、
そんな毎日を過ごして疲れ切っていることを示しています。

こういった状況から思わず、一羽の鳥を見上げたくなるような心境に陥ったのでしょう。

しかし、「君が住む街で消えた」と故郷に帰ったことによって
そんな心境が無くなったことが綴られます。

君、というのは古くからの幼馴染のことでしょう。

このパートでは「消えた」という歌詞が実に5回も現れます。

それほど主人公が抱えるストレスと、故郷に帰るだけでそれが消えたことに
対する驚きが大きかったことが分かります。

故郷から帰った主人公は・・・

濡れたままの髪で僕は眠りたい
脱ぎ捨てられた服
昨日のままだった

何も言わない
言わない部屋の壁に それは寄りかかって
だらしない僕を見ているようだ

二番Aメロです。

一番で故郷に帰り、疲れを癒した主人公。

ここでは故郷から戻ったその後が描かれます。
その内容は「濡れたままの髪で僕は眠りたい」
「脱ぎ捨てられた服 昨日のままだった」というもの。

故郷で英気を養ったものの、またも疲労してしまっている主人公の姿が描かれます。

そして「何も言わない 言わない部屋の壁に それは寄りかかって」
「だらしない僕を見ているようだ」と存在しない何かが自分を見つめているかのような
錯覚に陥るほど、自分を責めてしまっているのです。

疲れ切った思いが向かう先は

痛みや傷や嘘に慣れた僕の独り言
疲れた夜と並び吹く風 君の頬へ

触れた

触れた

(ヨルハナガレル)

触れた

(ナイテハイナイ ナイテハイナイ)

触れた

触れた

(ヨルハナガレル)

君が

(ナイテイタ ナイテイタカラ)

二番サビです。

まず「痛みや傷や嘘に慣れた僕の独り言」と、苦しい状況から思わず独り言を漏らします。

その言葉は長年の付き合いのある旧友に届いたのでしょう。
そのことが「疲れた夜と並び吹く風 君の頬へ触れた」という歌詞から読み取れます。

そして泣きたいほどの状況でありながらも「ナイテハイナイ ナイテハイナイ」と、
なんとか踏みとどまっていることが描かれます。

その理由は「君が ナイテイタ ナイテイタカラ」という歌詞に現れています。

主人公が再び窮地に陥ってしまったことに気付いた旧友は、その辛さを思い思わず涙を流します。
そして主人公は自分のことで泣いてくれる人がいることに気づき、どうにか前を向くのです。

美しい友情が描かれた歌詞です。

辛苦を乗り越えた先の一つの決意

振り返った季節に立って
思い出せなくて嫌になって
流れ流れてた鳥だって
街で鳴いてたろ
鳴いてたろ

過ぎ去った季節を待って
思い出せなくて嫌になって
離ればなれから飛び立って
鳥も鳴いてたろ
鳴いてたろ

いつだって僕らを待ってる
疲れた痛みや傷だって
変わらないままの夜だって
歌い続けるよ
続けるよ

いつだって僕らを待ってる
まだ見えないままただ待ってる
だらしなくて弱い僕だって
歌い続けるよ
続けるよ

大サビです。

まず描かれるのは、苦しい毎日に苛まれる主人公の姿。

「振り返った季節に立って 思い出せなくて嫌になって」というのは、
日々忙しく過ごすうちに、ふと振り返ると自分は
何をやってきたのだろうかと呆然としている状況を描写しています。

もし毎日充実していれば、このようなことにはならないでしょう。
自分の現状にフラストレーションが溜まっていることが分かります。

そして次に描かれるのはそれでも前を向こうとする主人公の姿。

「いつだって僕らを待ってる 疲れた痛みや傷だって 変わらないままの夜だって」という
部分から、毎日辛いことや苦しみは避けられないものなのだと覚悟を決めた姿が描かれています。

そして、「だらしなくて弱い僕だって 歌い続けるよ」とそれらに
真っ向から立ち向かうことを決意した姿も同時に描かれます。

きっとこれまで描写された幼馴染の温かい応援に励まされたのでしょう。

その応援を胸に辛い現実としっかり向き合うことを描写し、
『ミュージック』は幕を閉じるのです。

終わりに

今回はサカナクションの楽曲の中でも屈指の人気を誇る『ミュージック』を特集しました。

この曲は音楽面の方に注目がよく向けられるのですが、歌詞の方も非常にエモーショナルで、
思わず心震わせてしまう内容になっています。

音の方に注目していた人も、しっかりと歌詞を読み込めばきっと何か感じるものがあるはずです。
ぜひ聞いて見てください。

コメントを残す