サカナクション『アルクアラウンド』歌詞の意味・考察と解説


僕は歩く つれづれな日
新しい夜 僕は待っていた

僕は歩く ひとり見上げた月は悲しみです
僕は歩く ひとり淋しい人になりにけり
僕は歩く ひとり冷えた手のひらを見たのです
僕は歩く 新しい夜を待っていた

覚えたてのこの道に 夜の明かり しらしらと
何を探し回るのか 僕にはまだわからぬまま

嘆いて 嘆いて 僕らは今うねりの中を歩き回る
疲れを忘れて
この地で この地で 終わらせる意味を捜し求め
また歩き始める

正しく僕を揺らす 正しい君のあの話
正しく君と揺れる 何かを確かめて

声を聞くと惹かれ すぐに忘れ つらつらと
気まぐれな僕らは 離ればなれ つらつらと
覚えたてのこの道に 夜の明かり しらしらと
何が不安で何が足りないのかがまだ解らぬまま

流れて 流れて 僕らは今うねりの中を泳ぎ回る
疲れを忘れて
この地で この地で 終わらせる意味を捜し求め
また歩き始める

悩んで 僕らはまだ知らない場所を知るようになる
疲れを忘れて
この地で この地で 今始まる意味を捜し求め
また歩き始める


はじめに


2010年に発表されたサカナクションの二枚目のシングル、『アルクアラウンド』。MVはサカナクションのフロントマン、山口一郎が夜道を歩きながら歌う内容になっているのですが、行く道に合わせて歌詞が現れるという特徴的な内容になっています。
その評価は非常に高く、2010年の文化庁メディア芸術祭ではエンターテインメント部門優秀賞を受賞しています。
そんな『アルクアラウンド』ですが、歌詞はどのようなものなのでしょうか。
歌詞考察を行ってまいります。

歌詞考察


あてどなく歩き回る


僕は歩く つれづれな日
新しい夜 僕は待っていた

僕は歩く ひとり見上げた月は悲しみです
僕は歩く ひとり淋しい人になりにけり
僕は歩く ひとり冷えた手のひらを見たのです
僕は歩く 新しい夜を待っていた

覚えたてのこの道に 夜の明かり しらしらと
何を探し回るのか 僕にはまだわからぬまま


一番Aメロ〜Bメロです。
タイトルのアラウンドとはaroundという英単語が元になっていて周囲、周りなどの意味。
つまり『アルクアラウンド』とはどこかの周囲をぐるぐると歩き回っているという意味になりますね。
そしてこのパートでは「僕は歩く」という歌詞が実に5回も登場します。
タイトルのあてどなく歩き回る様を表現された構成ですね。
そして「見上げた月は悲しみです」「何を探し回るのか 僕にはまだわからぬまま」などの歌詞から一人寂しく目的もなく歩く姿が描写されています。


僕らはどこを歩いているのか


嘆いて 嘆いて 僕らは今うねりの中を歩き回る
疲れを忘れて
この地で この地で 終わらせる意味を捜し求め
また歩き始める


一番サビです。
「嘆いて 嘆いて 僕らはうねりの中を歩き回る」という歌詞から始まるこのパート。 主語が「僕」から「僕ら」に変化しているのでAメロ〜Bメロとはまた違った場面を歌っていることが推察されます。
では一体どのような場面を歌っているのでしょうか。
それは、恋人同士が別れる瀬戸際にある場面であると考えられます。
嘆きながらうねりの中を歩き回る。
うねりとは感情のうねりを表すと推察されます。
このように考えると、この歌詞は恋人同士がもうこれ以上付き合うのは無理なのかもしれない・・・と嘆きながら、感情がうねるほど悩んでいる様を表していると連想出来るのです。
また「終わらせる意味を求め また歩き始める」というのはうねるほど悩む中で別れの理由を互いに見つけようとする状況であると考えられます。
倦怠期にあるカップルが何か些細なことで喧嘩してしまったときに陥るような状況がここでは描写されているのですね。


別れの時はすぐそこまで迫って


正しく僕を揺らす 正しい君のあの話
正しく君と揺れる 何かを確かめて

声を聞くと惹かれ すぐに忘れ つらつらと
気まぐれな僕らは 離ればなれ つらつらと
覚えたてのこの道に 夜の明かり しらしらと
何が不安で何が足りないのかがまだ解らぬまま


二番Aメロ〜Bメロです。
「正しく僕を揺らす 正しい君のあの話」。
一番サビは別れようとするカップルがあれこれと苦悩する姿を描いていました。
ここでいう「あの話」とは別れ話のことを指すのでしょう。
そしてそれは正しいと綴られています。
きっと一番サビの歌詞、「終わらせる意味」が互いに明確になってしまったということなのでしょうね。
こうなってしまうともう別れるほかないのでは無いかと思いますが、次に続く歌詞は「声を聞くと惹かれ すぐに忘れ つらつらと」「気まぐれな僕らは 離ればなれ つらつらと」と惹かれたり、忘れたり、気まぐれに離れたりとはっきりしない様子が描写されます。
別れる意味が正しいと認識しつつも愛情がまだ残っていてすぐには決断が下せないのでしょう。
果たしてこのカップルはどこへ向かうのでしょうか。サビへと続きます。

悩み抜いた末に出した答えとは


流れて 流れて 僕らは今うねりの中を泳ぎ回る
疲れを忘れて
この地で この地で 終わらせる意味を捜し求め
また歩き始める

悩んで 僕らはまだ知らない場所を知るようになる
疲れを忘れて
この地で この地で 今始まる意味を捜し求め
また歩き始める


二番サビです。
冒頭の歌詞は一番サビと同様に「終わらせる意味を捜し求め」と綴られています。別れの理由が明確になってしまった二人ですから、やはり別れてしまうのでしょうか。
が、『アルクアラウンド』の最後の歌詞は「悩んで 僕らはまだ知らない場所を知るようになる」「今始まる意味を捜し求め また歩き始める」と全く真逆の内容となっているのです。
元々は自分たちが別れる理由を探し求めた二人。その中でとことん二人きりで話しあったのでしょう。
そうやってお互いの思いをぶつけあうことで「まだ知らない場所を知るようになる」、つまり新たに分かり合えたことがあったのだと思います。
その結果、「また歩き始める」、改めてまた交際を続けることを決意したということが最後の歌詞の内容なのではないでしょうか。
右往左往としていて決して一貫性のある内容ではないのですが、この曲のタイトルは『アルクアラウンド』。
行ったり来たりで迷い続ける人間の姿をありありと描いているのです。

おわりに


今回はサカナクションの『アルクアラウンド』の歌詞考察を行いました。結果として分かったのは優柔不断だけれどもどこか共感してしまう人間の姿でした。
頭で分かっていてもなかなかその通りに体が動かない。
これは誰しもがしたことのある経験なのではないでしょうか。
ちなみにこの曲はサカナクションのライブ定番曲。
ライブに行く際にはチェック必須です。歌詞に合わせてぜひ聞いてみてください。

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