RADWIMPS『夜の淵』歌詞の意味を考察・解釈

静かな 夜の淵
真っ黒な 空にぽつり
ひとつまた ひとつ光る
あれは いつかの光
もう少しで 朝がくる
眩しいほどの 光連れて
それまでは 心の中
小さなロウソク 大事に灯し
夢で手をつなぎ 一緒に眠ろう


あんなに近くで光る 隣同士の星よりも
僕らは ずっと近くで 息をする
運命めいて結ばれた あの美しい星座よりも
僕らは ずっと近くで 想いあう

何のため 生まれたのか
わからない 僕たちだけど
涙を流すためじゃ
ないことだけは たしかさ
それだけは たしかだ


あんなに近くに見える 隣同士の星よりも
僕らは ずっと近くで 息をする
運命めいて結ばれた あの美しい星座よりも
僕らはずっと近くで 想いあう
僕らは ぎゅっと手を 繋ぎあう


はじめに

『夜の淵』とは2019年3月10日にネット上で公開された楽曲です。
2011年3月11日に起きた「東日本大震災」の日付に合わせ震災を
テーマに歌われたナンバーとなっています。
投稿初日で動画再生回数40万回と多くの方が注目しています。

この曲についてボーカルの野田 洋次郎さんはユーチューブ内で次
のようなコメントを残していました。

今年も曲を作りました。 タイトルは「夜の淵」。 東日本大震災から8年が経ちました。 そしてこの8年の間にまたいくつもの災害、悲劇がこの国を襲ってきました。 昨年は北海道、関西での地震、西日本での豪雨など例年以上に災害が多発した年でした。 昨年地震が起きた夜、停電で真っ暗な中SNSなどで恐怖と闘いながら朝を待つたくさんの声を受け取りました。あいも変わらず何もできない自分にもどかしさを感じながら、せめて子守唄に、ほんの少しの心の安らぎになったらいいなと思い今回の曲を作りました。そこにさらに歌詞を加え、編曲し、レコーディングしたものが今回の曲です。 普段の生活は不自由を味わった時にその幸せに気づきます。たった一つの電気が、あったかい部屋が、当たり前にそこにいる家族が、お風呂が、食事が、かけがえもなく幸せなことに気づきます。そんな小さいかもしれないひとつひとつのために僕たちは日々を生きているんだと実感します。 東日本大震災。今も数多く行方がわからない方がいます。そしてその帰りを待つ家族の方がいます。元の場所に帰れない方がいます。原発の修復、廃炉作業をするたくさんの方がいます。オリンピックももちろんいいけれど、なんだか色んなことに蓋をして、忘れてお祭りになるのだけは嫌だなと、思います。 8年が経ち、震災を知らない世代が増えていきます。残念だけど、きっと定期的に、どうしたって地震や災害は襲ってきます。僕たちの日常を奪っていきます。その度に、思いやって、思い合ってひとつになれる国であったらいいなと心から願っています。 最後に、震災で亡くなったすべての命に、今も被災し続ける方達に、合掌。

https://www.youtube.com/watch?v=WXTENfNj29M&t=150s ユーチューブより

震災とまっすぐ向かい合って歌詞や曲を考えている様子が如実に伝わって
くるコメントだと思いませんか。
被災者に寄り添う仕方で感情移入し励みを与える立場として出来る限りの
ことをしたいという野田 洋次郎さんの想いが溢れていますね。

これから行われるオリンピックにも言及しており浮かれ騒ぎに震災の爪痕
がかき消されないように心配している様子も見られますね。
確かに震災直後の番組はバラエティーを自主規制する傾向にありますが、
何か月か経つとすぐに元通りという感じがします。

災害や不幸に対しては「喉元過ぎれば」という考えを捨てなければならな
いと筆者も切実に思います。

今作は前述で野田 洋次郎さんが述べているように「子守唄」また「安らぎ」
が得られるように曲が構成アレンジされているようです。
実際視聴してみるとMV開始から終わりまで派手な演出や煌びやかなシーン
は一切使用されていません。

また歌詞が4分尺の音楽にしては少ない点にも注目できます。
曲全体にゆったり感を与えるため言葉数を少なくしているのだと感じました。
歌のない間奏と終わりの部分だけでも曲の半分を占めています。
それではさっそく歌詞の考察を始めていきましょう。

タイトル『夜の淵』とは

「淵」には「底が深く水がよどんでいる所」という意味があります。
他にも「容易に抜け出られない苦しい境遇または苦境」という用法が
あります。

今作ではどちらの意味も該当すると筆者は考えています。
震災で引き起こされた津波、また集中豪雨で出来た湖は砂利や泥が混
じり非常によどんでいます。

また被災者にとって復興を待つ間、絶望の淵に立たされるという観点
で考えると2つめの意味も当てはまります。

さらにタイトルには「夜の淵」とありますから夜、それも電気のない
暗闇のような夜から抜け出せないでいる様子を描写しています。


『夜の淵』歌詞の意味

何十年前の灯


静かな 夜の淵
真っ黒な 空にぽつり
ひとつまた ひとつ光る
あれは いつかの光
もう少しで 朝がくる
眩しいほどの 光連れて
それまでは 心の中
小さなロウソク 大事に灯し
夢で手をつなぎ 一緒に眠ろう

地震でグラグラと地面が唸り、津波でザアァと人や
物が流されていたのが嘘のようです。
今は不気味なほど静寂が続いています。
街には笑い声やいつもの喧騒など消失していました。

「夜の淵」に強制的に佇んでいる被災者は寒さや不安
孤独と戦ってきたようです。
歌詞では夜空の星を見上げて思いを明るくしようと努
めています。

見上げた星々は僅かな希望に思え、時期に「朝がくる」
ことを思い起こさせてくれました。
「朝がくる」にはさまざまな意味が複合されていると
思いました。

文字通りの朝が来ることや、復興が行われること、そし
てなにより震災の爪痕が完全になくなることを願ってい
るように思えました。

「ロウソク」にも文字通りの意味と心の中の希望を描写
する仕方で用いられています。
現代人はロウソクを日常でほとんど使用しませんから、
何十年前の灯に感謝し大切にしたことでしょう。

目の前で揺らぐロウソクの火と心の中で揺らぐ希望を大
事に扱いながら朝が来るのを待っていたのでしょう。


夜の星々を凌ぐ一致

あんなに近くで光る 隣同士の星よりも
僕らは ずっと近くで 息をする
運命めいて結ばれた あの美しい星座よりも
僕らは ずっと近くで 想いあう

夜空に浮かぶ星々を肉眼で見ると仲良さげに
寄り添っているように見えます。
それ以上に助けを待つ者同士は身体や気持ち
の両面で寄り添い共存しています。

相手の呼吸が耳元で感じることが出来るほど
に近距離で支え合っているのです。

宇宙の定められた法則に従う星座よりも何の
法則にも従わない自分たちの方が近くで想い
あうことができると積極的な考えを抱いてい
ます。

繋ぎあった手の温かさ

僕らは ぎゅっと手を 繋ぎあう

ここで「手を繋ぎあう」というフレーズが用いら
れていますね。
これには文字通り被災者同士が手を繋ぎ合い握った
様子を描いているように思えます。

さらに復興に協力する人たちと被災者を繋ぐ絆をも
表現していると思います。
毎日クタクタになるまで行われたバケツリレー、瓦
礫を撤去し、物を分け合うこともありました。

どちらも相手に「心地よい安心感のある温かさ」を
伝達したことでしょう。

先日も復興の目途が立っていない方々のインタビュー
をテレビで拝見しました。
その人たちは見捨てられていると感じ心は寒さを感じ
温かさを求めていました。

まだ復興されていない方々、仮設住宅で何年も生活し
ている方々、そして災害の傷が癒えないすべての方々
にこの歌の伝える「温かさ」が届けられるよう願って
止みません。

まとめ

筆者はこれまでに何度か大きな災害を目にしてきました。
ブラウン管を通してまた被災地に行って現地を見てきた
こともあります。

場所や人にもよりますが現地の方々は筆者が思っていた
よりも前向きで内面から滲み出る「強さ」のようなもの
を感じさせていました。

励まし助けに行くつもりが反対に励まされ助けられた、
そんな経験をした方は筆者だけではないはずです。

RADWIMPSの被災者たちに寄り添ったナンバーが聴く
人たちの安らぎ・励み・子守唄となるように願いつつ
今後の彼らの活動にも期待したいと思います。

災害を経験されたすべての方々に平安と慰めが与えられ
ることを心よりお祈りしています。






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