煮ル果実『紗痲』歌詞の意味を考察・解釈

横縞纏う 囚人ファム・ファタール
有象無象搾り Juiceを呷る
夜な夜な酔な 火遊びで 縊死する
女児の蝋が溶ける頃

違和感が残業している
空空が寂寂している
淡々とさ こうべ垂れた末に
はい論破って
乾坤一擲 サレンダー
御利口 離合 利己的に
ポジよりネガを誑す

上っ面な愛を愛と呼べんなら
如何せん僕はフールみたい
『話したいこともない』って言うから
そこで護身だと気付いたの
上っ面な君を肯定したんなら
僕の立つ瀬とは何処へやら
焦れったい玻璃とファンデーション
舌を曝け出してさ まるで犬

邪 纏う衆人ファム・ファタール
有象無象絞り Deuceを煽る
様な夜な夜な 火遊びで 意志スルー
情事の牢が解ける頃

自称・天秤はお頭が軽い方に軍杯を上げた
デキャンタに移した程度にしか思ってない
布石をいけず石のように置いた馬鹿

上っ面な愛を愛と呼べんなら
如何せん僕はフールみたい
『離したいワケがない』って言うけど
気付かないワケも無いんだよな
上っ面な僕の存在理由はさ
お誂え向きな隘路 贄
ブランデー肌で吸ったなら
しどろもどろになって戯れて

上っ面な愛を愛と呼べんなら
如何せん僕はフールみたい
『話せないこともない』って言うから
そこで誤審だと気付いたの
上っ面な愛を愛と呼ぶんなら
如何せん僕がヒールみたい
お別れのキスも何杯目
邪 見透かされて まるで犬

まるで犬さ

歌詞考察の前に

『紗痲』とは2018年10月7日にネット上で公開された楽曲です。
大人気ボカロP煮ル果実さんの8作目でありたいへん人気のあるナンバーです。

2019年11月22日に公開された「キルマー」をepisode 0、今作を episode 1としている点からも二作が関連し合っていることがわかります。

また「キルマー」より後の出来事を今作で扱っている点も理解できます。

本考察では「キルマー」の細かなストーリーや登場人物の説明を行いません。
詳細は下記の考察記事をご覧ください。

煮ル果実『キルマー』歌詞の意味を考察・解釈

2019.11.23

初めに今作の登場人物を紹介しておきたいと思います。

Kalmia ―「キルマー」に登場したHanna MoscoでありGuiに「Kalmia」と命名された。赤髪、赤眼、三つ編みの美しい女性。

Clay pool―「キルマー」に登場したLivaraだと思われる(予想)。今作では白髪のショートカット、緑眼の女性の看守(後に詳しい説明をします)

3人の看守―Tate Brown、Mayra White、Aaron Schirmerという名前があります。

今作は Kalmia が組織のリーダーGuiを殺害した罪で刑務所に連れてこられたところからスタートしているようです(推測)

刑務所内では囚人Kalmiaと看守Clay poolがメインとなり絡んでいくことになります。

この段階でなぜ筆者が Clay pool を「キルマー」のLivaraと同一人物としているのか、また女性としているのかをお話ししたいと思います。

まず同一人物と考えると幾つかの疑問もしくは違和感の壁にぶつかります。

それは前作「キルマー」のLivaraは三つ編みであり女性の外面をしていました。
この点から別人なのではという多くのコメントがあるのも事実です。

しかし筆者は前作からLivaraが彼女のために身を挺して守ってきたことを考慮にいれました。

Livaraはその容姿の美しさからかKalmiaより先にGuiに連れてかれました。
Guiの看守に選らんだ女性たちの容姿から、美しい女性である必要があったと考えられます。

ですから彼女は三つ編みの女性として立ち振る舞っていました。

しかし今作の舞台は刑務所である点を念頭におきました。
刑務所にはすでにKalmiaやGuiの周辺人物についての情報が流れていたかもしれません。

この仮定が正しければLivaraは名前だけでなく姿も変えなければならなかったでしょう。

また看守たちの統一されたショートカットから頭髪に対する規律があったのかもしれません(刑務所によっては警官に模範的な髪型を義務付ける場合があります)

さらに今作のタイトル下に登場した三つ編みをKalmiaのものではなく、Livaraの「切り落とした三つ編み」として考えるならば一層辻褄が合うように思えます。

以上の点からClay poolとLivaraが同一人物であると筆者は考えました。
あくまで一つの考察であり断定するものではありません。

別の問題、もしくは違和感となる点は刑務所にやってきたKalmiaを見たときの Clay poolの反応です。

まるで初めて彼女を見るような反応やLivaraが見せないようなウブさが見られます。

しかし彼女のもともとの性格や能力を考えてみると幾つかの類似点があります。
まず彼女は周囲を欺くほどの冷静さと演技力を持っていると推測できます。

なぜなら「キルマー」時代に Kalmiaへの特別扱いをGuiやArmisからも問題視されませんでした。

さらに用意周到な裏切りと手段は今作においても見られています。
こうした点からも同一人物であると判断しました。

最後にClay poolが女性であると考えた点についてお話しします。

MVの中盤まで男装をしている彼女ですが、服を脱いだときにさらしのようなものを巻いているのを確認できます。
また脱走時には彼女に胸があることもわかります(詰め物の線もあるが)

そして幼少期のフラッシュバックやその時の英語のフレーズからも女性であると解釈しました。

フラッシュバックの内容は長髪の彼女と少女のシルエット4人が映し出されているものでした。

そのすぐ後には「Clay kissed me! That’s disgustung!」つまり「Clayが私にキスしてきたの!最低!」と述べています。

彼女は幼少期からのレズビアンであり、長い間この点に苦しめられてきたのだと解釈できます。

長くなりましたが、登場人物や疑問についてお話しすることができました。
続く部分から歌詞の考察を始めていきたいと思います。

タイトル『紗痲』とは

「しゃま」と読ませているタイトルの用語は存在しません。
しかし「しゃま」というひらがな表記の言葉は「小利口な女を罵しっていう詞」です。

今回の歌詞全体はClay poolについて述べられている点から「小利口な女」とは彼女のことを指すのでしょう。
そして「罵る」のは彼女自身、もしくはKalmiaのことだと思われます。

タイトルの漢字2文字を分解してそれぞれの意味を考えてみました。

「紗(しゃ)」生糸の織物の一種です。
「織り目がきわめて粗く、軽くて薄い」という特徴もあります。

上記の特徴は今作においてのKalmiaの性格と非情にマッチします。
「キルマー」時代の酷い仕打ちから彼女の性格は一変してしまったようです。

織り目が粗い生地のように「周囲にいる人を何でも通して受け入れて」しまいます(魅了する面で)

さらに軽くて薄い生地は彼女の軽薄さと類似しています。
この点は自分を助けたClay poolを裏切り置き去りにした点からも理解できます。

「痲(ま)」とは「しびれる」ことに関係した言葉です。
これは周囲の人たちを痺れさせるKalmiaの魅力や立ち振る舞いを示唆しているのかもしれません。

また「キルマー」においての蠍の毒を暗示していた可能性もあります。
しかし今作においてこの線は関係性が薄そうです。

上記をまとめると、ひらがな読みで考えるなら Clay pool 、漢字で考えるならいずれもKalmiaという印象を持ちました。

『紗痲』歌詞の意味

運命と破滅を司る女性

横縞纏う 囚人ファム・ファタール
有象無象搾り Juiceを呷る
夜な夜な酔な 火遊びで 縊死する
女児の蝋が溶ける頃

歌詞冒頭では囚人Kalmiaについて述べられています。
「横縞纏う 囚人ファム・ファタール」とはなんでしょうか。

「横縞」は彼女の身に付けている白黒の横縞模様の服を示唆しています。
類似した表現である「邪(よこしま)とも掛かっている言葉です。

「ファム・ファタール」とは フランス語であり、男にとっての「運命の女」「宿命の女」という意味があります。
また、男を破滅させる魔性の女(悪女)も表す言葉です。

原語は男にとってのとなっていますが、今作では 女性であるClay poolにとって
Kalmiaがそのような存在であると言えます。

「有象無象搾り Juiceを呷る 夜な夜な酔な 火遊びで 縊死する」という表現からも、Kalmiaが他の囚人たちと毎晩、関係を持っていた点を理解できます。
まさに縫い目の粗い生地のようです。

立ち込める違和感の暗雲

違和感が残業している
空空が寂寂している
淡々とさ こうべ垂れた末に
はい論破って
乾坤一擲 サレンダー
御利口 離合 利己的に
ポジよりネガを誑す

ここではClay poolが感じている違和感について綴られています。
「違和感が残業している」とは彼女の職務とかけた表現のようであり、
心にずっと違和感が留まり続けていることを示唆しています。

違和感の要因はKalmiaです。
キルマー時代と比べて彼女には純粋さや悲嘆の様子が全くありません

むしろ大人びた魅力と妖艶なオーラを身に纏っています。
そうした点は Clay pool の好みに合致していたのかもしれません。

彼女は Kalmiaを救出するために先に刑務所に努めていたものと筆者は考えています。

ですからこの時点で彼女に好意を抱くということは、冷静さを欠くことになり周囲からも怪しまれます。

「乾坤一擲(けんこんいってき)」とは「運命をかけてのるかそるかの大勝負をすること」です。

彼女がここで大勝負と思っているのには少なくとも2つの理由があると考えました。

1つは「刑務所からの救出」が大勝負だという点です。
これはごく自然な考え方でしょう。

2つめは「彼女の性格」についてです。
彼女は刑務所内でのKalmiaの行動を見ています。
それは明らかに自分の知らない一面であり良く映らなかったことでしょう。

現在の軽薄な彼女であれば、大事な局面で裏切る可能性があることも冷静な彼女なら想定できると思います。

ですから大勝負だと述べているのだと解釈しました。

「ポジよりネガを誑(たら)す」とは彼女のポジティブな考えとネガティブな考えのことを示唆しているようです。

そして「 誑(たら)す」とは「うまいことを言って誘ってだます」ことですから、彼女はネガティブな考え、つまり「脱獄に失敗したら」「彼女に裏切られたら」という考えにうまい理由をつけて考えないようにしたのでしょう。

それは自らを騙す行為に等しく冷静な彼女らしくない思考でした。

護身から誤審へ

上っ面な愛を愛と呼べんなら
如何せん僕はフールみたい
『話したいこともない』って言うから
そこで護身だと気付いたの
上っ面な君を肯定したんなら
僕の立つ瀬とは何処へやら
焦れったい玻璃とファンデーション
舌を曝け出してさ まるで犬

上っ面な愛を愛と呼べんなら
如何せん僕はフールみたい
『話せないこともない』って言うから
そこで誤審だと気付いたの
上っ面な愛を愛と呼ぶんなら
如何せん僕がヒールみたい
お別れのキスも何杯目
邪 見透かされて まるで犬

まるで犬さ

ここでは Clay pool が自らのことを罵っています。
自分の名であるpoolと掛けて「fool」つまり「バカ」だと言っています。

それはKalmiaの表面的な部分に惹かれてしまった自分について述べているようです。

彼女は心の声が「話したいこともない」と言うのを聞きました。
それに対して彼女は「護身だと気付いた」と述べています。

彼女は周囲の人たちに自分達の関係性を知られないように、また自身の感情が高ぶらないようにするために心がそう言ったのだと思います。

しかし歌詞の後半では心が彼女を「離せない」ことや「話せないこともない」と変化していっていることを表現しています。

ここから彼女の心がどんどん Kalmiaに傾いている点を理解できます。

「犬」とは時に悪い意味で使われることがあります。
英語「dog」「卑怯なやつ、見下げたやつ」という意味があり、自身を魅了するKalmiaに対し彼女がそう評価したのかもしれません。

また自分自身を見下げてそう言った可能性もあります。

最終的に見え透いた罠にはまった彼女はKalmiaから裏切られ自身が牢屋に入ってしまいます。

その姿はまるで犬小屋に入れられた犬のようでした。。

まとめ

いかがだったでしょうか。

記事の半分を同一人物談議で占めてしまいました。
でも重要な部分だったので力説してしまいました(バランス悪くてすみません)

本当に多くの考察がなされておりイラストやライナーノーツからも付加的な情報を得ることができています。

現時点で発想がワールドワイドなのに三部作目が存在するとか、凄すぎて頭が追い付きません(笑)

本考察はある分野の正当性を述べたり断定するものではありません。
あくまでいちファンとして熱弁をふるっているものと考えてくだされば嬉しく思います。

是非、自分はこういう線で考察してみたというコメントをお寄せください。

煮ル果実さんの三部作目にも期待し注目していきたいと思います。
素敵な作品をありがとうございました。

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