Neru『ロストワンの号哭』歌詞・意味の考察~難解な漢字と歌詞を解読~

刃渡り数センチの不信感が 挙げ句の果て静脈を刺しちゃって
病弱な愛が飛び出すもんで レスポールさえも凶器に変えてしまいました
ノーフィクション
数学と理科は好きですが 国語がどうもダメで嫌いでした
正しいのがどれか悩んでいりゃ どれも不正解というオチでした
本日の 宿題は 無個性な 僕のこと
過不足無い 不自由無い 最近に 生きていて
でもどうして 僕達は 時々に いや毎日
悲しいって言うんだ 淋しいって言うんだ
黒板のこの漢字が読めますか あの子の心象は読めますか
その心を黒く染めたのは おい誰なんだよ おい誰なんだよ
そろばんでこの式が解けますか あの子の首の輪も解けますか
僕達このまんまでいいんですか おいどうすんだよ もうどうだっていいや
いつまで経ったって僕達は ぞんざいな催眠に酔っていて
どうしようもない位の驕傲きょうごうをずっと 匿っていたんだ
昨日さくじつの 宿題は 相変わらず 解けないや
過不足無い 不自由無い 最近に 生きていて
でもどうして 僕達の 胸元の 塊は
消えたいって言うんだ 死にたいって言うんだ
黒板のこの漢字が読めますか あの子の心象は読めますか
その心を黒く染めたのは おい誰なんだよ おい誰なんだよ
そろばんでこの式が解けますか あの子の首の輪も解けますか
僕達このまんまでいいんですか おいどうすんだよ おいどうすんだよ
面積比の公式言えますか 子供の時の夢は言えますか
その夢すら溝どぶに捨てたのは おい誰なんだよ もう知ってんだろ
いつになりゃ大人になれますか そもそも大人とは一体全体何ですか
どなたに伺えばいいんですか おいどうすんだよ もうどうだっていいや

はじめに

2012年4月28日にリリースされたアルバム「小生劇場」および
2013年3月6日にリリースされたアルバム「世界征服」に収録されている楽曲です。

ネット上でアップされてからわずか2年の間に300万再生を記録しました。
一度聴いたら耳から離れない独特のリフが特徴的です。

多くの方が「歌ってみた」やアレンジ、MADなどで
取り入れている曲です。
その人気の高さは他のボカロ曲の追随を許さないでしょう。

疾走感と強烈なギター&ベースラインが目立ちますが
なんといってもそれに見合った強烈な歌詞が印象的です。

ロストワン?その次の漢字なんて読むの?と感じた方は
たくさんおられるのではないでしょうか。

難解で複雑な漢字や歌詞の意味を徹底的に考察し
解釈を記載したいと思います。

タイトル『ロストワンの号哭』の意味

『ロストワン』とは「いない子」「迷子」という意味があります。
気がつくといなくなっていたり親が存在を忘れてしまうなど
「集団の中での存在感が薄い」という意味も含みます。

例を挙げるならば黒子のバスケの主人公みたいなものです。

ロストワンを生み出してしまう要因は「機能不全家族」に
育ったことです。

ロストワンの性格は自己主張が苦手で
周囲に迷惑をかけまいと我慢強い性質を持ちます。
ですから波風をたてて自分が注目されることを
酷く嫌います。

結果として周囲からは存在感が薄い、また考えが理解できない
という判断になってしまいます。
そうした低評価もロストワンは受け入れじっと耐え続けます。

『号哭』
「ごうこく」と読みます。
大声で泣き叫んだり号泣したりという意味合いを持ちます。

前述で散々ロストワンは我慢強いと書きましたが
この歌詞中では我慢の限界に達して爆発します。

最初は心の中で次いで感情を表に出していきます。

MVでは主人公が受験生のように描かれています。
そして自分そっくりの受験生が合わせて登場します。
もう一人の自分の顔には紙が貼ってあり表情が見えません。
こちらが自分の中にいるロストワンの性格なのでしょう。

いずれにせよ難解な歌詞を読み解かなければ
『ロストワンの号哭』はなんだかよくわからないけど
メロディーが最高、なんてことになってしまいます。

それでは難解の集積所へ足を運んでみましょう。


『ロストワンの号哭』歌詞の意味

研ぎ澄まされていった不信感

刃渡り数センチの不信感が 挙げ句の果て静脈を刺しちゃって
病弱な愛が飛び出すもんで レスポールさえも凶器に変えてしまいました
ノーフィクション
機能不全家族に育てられた少年は
自分や家族の様々な欠陥を感じながら
我慢強く生きてきました。それでも自分や家族はどこかおかしいのだろうか、
なにかが足りないのだろうかという不信感が
心の奥でいつも燻っていました。
時を経て、はじめは「数センチ」程の不信感は
研ぎ澄まされ鋭利な刃物のようになっていました。「レスポール」とはひょうたんのような丸みを
特徴とした形のギターです。
はじめはそんなギターのように丸かったものが
鋭利なものに変わっていったという比喩表現でしょう。
「病弱な愛」が飛び出したとは
自分の中のおさえていたもう一人が飛び出して
不信感を叩きつけてきたのでしょう。「挙げ句の果て静脈を刺しちゃって」とは
心臓に血液が行くのを阻む行為、つまり
生きていこうとするのを不信感が阻むことを
示唆しているように思えます。少年にとってこのすべての感情は嘘偽りなく
「ノンフィクション」 でした。

ロストワンの思考パターン

数学と理科は好きですが 国語がどうもダメで嫌いでした
正しいのがどれか悩んでいりゃ どれも不正解というオチでした
「数学と理科は好き」という点から理数系の思考パターンで
あることが読み取れます。
物事を決められた通りに順序立てて行ない
それに基づいた最適解を出す思考パターンです。「国語がどうもダメで嫌い」という点から文系の思考パターン
が苦手という一面も持ち合わせています。
主体性を持って自分で一から回答を出すという思考パターンは
目立つのを嫌うロストワンに相いれないものでした。少年なりに色々思考を巡らし自分や家族の在り方を模索します。
しかし考え出されたすべての回答にロストワンは否定的でした。

自己分析から導きだされた号哭

本日の 宿題は 無個性な 僕のこと
過不足無い 不自由無い 最近に 生きていて
でもどうして 僕達は 時々に いや毎日
悲しいって言うんだ 淋しいって言うんだ

少年は一つのテーマを決めて自己分析を始めます。
無個性であることになにか問題があるのだろうか
というテーマです。必要最低限のものと人並みの自由があれば
どこにも問題はないのではと結論しかけます。しかし問題がないのであればこの「時々に
いや毎日悲しいって」言いたくなる気持ちは
なんなのかと困惑します。少年はロストワンと心の中で向き合いはじめ
この問題解決にいそしむようになります。


ロストワンの煩わしさと改善への渇望

黒板のこの漢字が読めますか あの子の心象は読めますか
その心を黒く染めたのは おい誰なんだよ おい誰なんだよ
そろばんでこの式が解けますか あの子の首の輪も解けますか
僕達このまんまでいいんですか おいどうすんだよ もうどうだっていいや

「黒板のこの漢字が読めますか」と問いかけ
文系思考パターンの諸君、その得意な思考で
ロストワンの心象を読み解いてみろと挑戦を
投げかけているようです。

この煩わしい性格を誰が形作ったのかと感情を
がむしゃらに吐露します。

「そろばんでこの式が解けますか」と問いかけ
自分の得意な理数系思考パターンを持ってしても
解けなかったと訴えているようです。

「あの子の首の輪も解けますか」という問いかけは
自分から自分の性格の一部であるロストワンが解き
放たれることを望んでいます。

少年は迷います。
このままロストワンの性格と向き合っていくか
無理矢理にでも自分の中から追い出すかという
選択です。

少年は考えたあげく「どうだっていいや」と
自暴自棄になります。

成長できない自分を嘆く

いつまで経ったって僕達は ぞんざいな催眠に酔っていて
どうしようもない位の驕傲きょうごうをずっと 匿っていたんだ

生まれてから今日まで自分と内面のロストワンな自分は
自分たちは普通で欠陥のない存在だと催眠をかけていました。

「驕傲」とはおごりたかぶることを意味する言葉です。
ですから少年は自分の少し変わっている部分を良い意味で特別視し
他者よりも特別な存在と感じていた面もあったのかと思います。
しかし他者にそのことが悟られないよう「匿っていた」のです。


徐々に強大になっていく号哭

昨日さくじつの 宿題は 相変わらず 解けないや
過不足無い 不自由無い 最近に 生きていて
でもどうして 僕達の 胸元の 塊は
消えたいって言うんだ 死にたいって言うんだ

「昨日の宿題」とは無個性であることになにか
問題があるのだろうかという点についてです。

やはりもう一度自己分析してみてもこれといった
不足や欠陥はないように思えます。

しかし大きな変化が少年の中で起きていました。
自分の中のロストワンな自分が泣き叫んでいます。

それまでは「淋しい」や「悲しい」でした。
しかし今は「消えたい」「死にたい」と変化しています。

明らかにロストワンの号哭が強大になっていってる
ことが読み取れます。

この時点で少年の長年押さえつけていた
ロストワンな性格が暴走し始めています。

周囲に少年のこの暴走を阻止してくれるような
存在はいません。

原因追及の果て~見出した回答~

面積比の公式言えますか 子供の時の夢は言えますか
その夢すら溝どぶに捨てたのは おい誰なんだよ もう知ってんだろ
いつになりゃ大人になれますか そもそも大人とは一体全体何ですか
どなたに伺えばいいんですか おいどうすんだよ もうどうだっていいや

少年の号哭は怒りとなって表面化します。
矛先は自分の両親に向けられたものでしょう。

お前らは学校で習ったことや子供の頃のことを
覚えているのかと問います。
もし良い思い出がないならそれはお前らの
両親のせいだと言い放ちます。

そして自分たちにも今同じようなことが起きている
ことを自覚しろと強い口調で訴えています。

「いつになりゃ大人になれますか」という問いは
一人で答えを導き出せる人間になれるのだろうかと
疑問に思っています。

しかしそんな人間が周りにどれほどいるのか、
自分は見てきてないと主張します。

誰に答えを求めたらいいのか少年はわからなくなって
います。
この段階での少年の不信感はピークに達しています。

最後に思考を停止して考えるのをやめてしまいます。
また少年は自暴自棄になり成長をあきらめます。

考えては壁にぶつかり挫折し自暴自棄になる。
そうした負のスパイラルを繰り返すたびに
少年のうちにあるロストワンの号哭は
強大さを増していくのでしょう。

まとめ

『ロストワンの号哭』は歌詞の意味を調べれば
調べるほど重たい題材を扱っていることがわかります。

ロストワンの性格を持ち合わせていない方でも
自分の性格に満足していない方は共感できるのでは
ないでしょうか。

自分の中に秘められたもう一人の自分との戦いや
葛藤は誰しも経験することでしょう。
もし自分の中で号哭が日々強くなっているのを
実感するならこの曲がより一層身近に感じられる
はずです。

『ロストワンの号哭』の高速テンポのように
Neruさんの人気は高速で伸びていってますね。
是非これからも格好良い曲に意義深い歌詞を
のせた名曲を生み出していただきたいと思います。

 



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