宮本浩次『冬の花』歌詞の意味を考察・解釈

いずれ花と散る 私の命
帰らぬ時 指折り数えても
涙と笑い 過去と未来
引き裂かれし 私は 冬の花

なんか悲しいね 生きてるって
重ねし約束 あなたと二人
時の間に間に 歯向かいながら
涙を隠した 幸せ芝居

さらば 思い出たちよ
独り歩く摩天楼
私という名の物語は 最終章

泣かないで 私の恋心
涙はお前にゃ 似合わない
行け ただ行け
いっそ 私が行くよ
あぁ 心が笑いたがっている

悲しくて 泣いてる訳じゃない
生きてるから涙が出るの
凍える季節で あざやかに咲くよ
あぁ 私が負ける訳がない

人知れず されど誇らかに咲け
あぁ 私は冬の花

(胸には涙 顔にゃ笑顔で
今日も 私は出かける)

いずれ花と散る 私の命
帰らぬ時 指折り数えても
涙と笑い 過去と未来
引き裂かれし 私は冬の花

あなたは太陽 私は月
光と闇が 混じり合わぬように
涙に煙る ふたりの未来
美しすぎる過去は 蜃気楼

旅みたいだね 生きるってどんな時でも
木枯らしの後 ぬくもり求め さまよう

泣かないで 私の恋心
涙はお前にゃ 似合わない
行け ただ行け
いっそ 私が行くよ
あぁ 心が笑いたがっている

なんか悲しいね 生きてるって
重ねし約束 あなたとふたり
時の間に間に 揺蕩(たゆた)いながら
涙を隠した 幸せ芝居

さらば 思い出たちよ
独り歩く摩天楼
私という名の物語は 最終章

悲しくて 泣いてる訳じゃない
生きてるから涙が出るの
凍える季節に あざやかに咲くよ
あぁ 私が負けるわけがない


はじめに

『冬の花』とは2019年2月12日にネット上で公開された楽曲です。
エレファントカシマシの宮本浩次さんソロデビューとなる一曲且つ
フジテレビ系火曜ドラマ「後妻業」の主題歌ともなっています。

歌詞全体はドラマの内容を意識した暗く悲しい、しかし強さを
兼ね備えた生き様のようなものを感じさせます。

一人の女性が結婚当初感じていた幸福が煙のように儚く消えていき
それでも自分一人で生きていくストーリーを描くことができます。

歌い手の宮本浩次さんは昨年の紅白でも椎名林檎さんと和装姿で登場
し「獣ゆく細道」を披露して下さいましたね。

宮本浩次さんが「人の生き様や感情」を歌い上げるとなんとも言えない
熱意や激情のようなものを全身に感じることができます。

今作「冬の花」も冬の寂しさやしんしんとした雰囲気を伝えながらも
人の奥底にある熱いものをリスナーの心へ注いでいきます。
それではさっそく歌詞の考察をしていきましょう。

タイトル『冬の花』とは

歌詞の中では一人の女性が登場しており「冬の花」に
例えられています。

シクラメンやノースポールなど冬の花は「厳しい環境に強い」
という共通点があります。
歌詞に登場する女性も幸薄い状況下でも強く生きていこうと
しておりその姿が冬の花のようだと描写されているようです。

ドラマ「後妻業」でも心から愛した人の妻になるのではなく
仕事としてその努めを行っていくという内容です。
さらにそれに関わる人たちの不幸と生き様を冬の花と見立てて
いるとも思えました。


『冬の花』歌詞の意味

不幸の大地に咲いた私は「冬の花」

いずれ花と散る 私の命
帰らぬ時 指折り数えても
涙と笑い 過去と未来
引き裂かれし 私は 冬の花


一人の女性は自分の命が花のようにもうすぐ散るのだ
と表現しています。
過去の追想をしており時間は決して帰って来ないと悟
っていますがそれを望んでしまう自分がいました。

過去を思い返せば実にさまざまな事柄を経験しました。
「涙」と表されているように不幸と思える辛いことも
「笑い」と表現されるように幸福と思える楽しいこと
も女性にとってのかけがえのない経験でした。

しかし女性は愛する人と決別してからそのすべてを失い
二度と同じ人とは経験できないことも悟っていたのです。
心が引き裂かれたように感じるほどに女性は心痛を感じ
ていました。

厳しい環境に置かれた自分を「冬の花」と描写しました。


幸福でなければ生は苦痛

なんか悲しいね 生きてるって
重ねし約束 あなたと二人
時の間に間に 歯向かいながら
涙を隠した 幸せ芝居

さらば 思い出たちよ
独り歩く摩天楼
私という名の物語は 最終章

今の女性にとって生きることは悲嘆することでした。
長く日々を過ごしても一人だと痛感させられるだけ
だからです。

幸福でない日々にはただ難儀だけが付きまとうように
感じます。
息をするのも辛いという経験を私たちもしてきたかも
しれません。

「重ねし約束」とは「結婚の誓い」を指しているので
しょう。
お互い不満やすれ違いを感じていましたがそれを表面化
せずに「幸せ芝居」を演じてきたようです。

女性は物思いにふけるためか「摩天楼」つまり高い建物
に上り独りきりで歩いています。
楽しくそして辛い過去に手を降り自分の人生が最終局面
を迎えていることを実感しています。

顔で笑って心で泣く生き様

悲しくて 泣いてる訳じゃない
生きてるから涙が出るの
凍える季節で あざやかに咲くよ
あぁ 私が負ける訳がない

人知れず されど誇らかに咲け
あぁ 私は冬の花

(胸には涙 顔にゃ笑顔で
今日も 私は出かける)

ここで「悲しくて泣いてる訳じゃない」という奥深い
表現が用いられています。
女性は悲しい過去に手を降りましたからそれが涙の要因
にはならないのです。

続く歌詞で「生きてるから涙が出るの」と理由を説明
しています。
辛いことが新たに望んでいるわけではないのに女性が
独りで「生きていく」だけで悲しく思えるのでしょう。

それでも続く歌詞で女性は厳しい環境の中でも鮮やかに
強く気高く生きていく決意をしていることがわかります。

「人知れず」つまり誰にも知られず注目されないとしても
自分を誇らしく思い続けるんだという意気込みを感じます。

あえてカッコ書きで表記されている
(胸には涙 顔にゃ笑顔で
今日も 私は出かける)
という部分は心の中の思いを表現しているのでしょう。

涙は人に見えない「胸」のうちにしまっておき
「顔」という人に見える部分では笑顔を作って
前向きに生きることを心に決めているようです。


一度知ってしまった「ぬくもり」

あなたは太陽 私は月
光と闇が 混じり合わぬように
涙に煙る ふたりの未来
美しすぎる過去は 蜃気楼

旅みたいだね 生きるってどんな時でも
木枯らしの後 ぬくもり求め さまよう

女性が以前共に暮らしていた男性とは相性の面で
かなりすれ違っていたのでしょう。
男性が「太陽・光」で女性が「月・闇」と対比す
るもので描写されています。

生きることが「旅」と例証されている点にも注目
できます。
特に冬の旅は寒さを凌ぐため「宿というぬくもり」
を求めていくものです。

女性も過去に男性に支えられ優しくされたりと
ぬくもりと思える体験を経験していました。
ですから独りで生きていくと心に強く決めても
寒さが続くと無意識のうちに求めてしまうのです。

心に逆らって生きていく私

泣かないで 私の恋心
涙はお前にゃ 似合わない
行け ただ行け
いっそ 私が行くよ
あぁ 心が笑いたがっている

これまで女性は何度も泣けてくる時がありました。
自分では強く生きていくことを決心しているのに
心がそれを望まず叫び声をあげるのです。

そのたびに女性は「行け ただ行け」と残りの人生
を突き進むことだけに意識を集中するよう努めてき
たのです。

しかし心はいつも幸福で楽しい過去を切望するかの
ように叫び声を上げ続けます。
「気持ちを押し殺すのはやめろ、本当は笑いたいの
だろう?」と心が自分に語りかけてくるようです。

それでも女性は自分の道を歩いていきます。
彼女の足取りを知る人はいません。
彼女は独りで生きていき独りで死ぬことを
望んでいるからです。

厳しい環境下でのその生き様はまるで雪原の
真ん中で埋もれそうになりながらも必死で春
を待ちながら顔を出す一輪の「冬の花」のよ
うでした。

まとめ

女性が独りで生きていくことの大変さと気高さを
同時に伝えてくる歌詞だなと感じました。

合わせて宮本浩次さんの泣きそうな歌声に胸打た
れ余計に感動が伝わってきました。

冬の花が強いとはいえ誰かの手入れが必要でない
というわけではありませんね。

独りで生きていくという意気込みを伝えながらも
人は人々でなければ生きられないという考えも垣間
見ることができる歌詞ではないかとも思いました。

宮本浩次さんのソロデビューを祝福する気持ちと
同時に次回作への期待を高めていきたいと思います。