三山ひろし『いごっそ魂』歌詞の意味・考察と解説

夢じゃ夢じゃと 笑わば笑え
我がなす心は 我しか知らぬ
日本の夜明けを 手繰るため
天駆(てんか)け 海越え 地を奔(はし)る
いごっそ魂 土佐 龍馬

人としてなら 太平洋か
望みはでっかく 持たねばならぬ
世界をみすえて 行く道は
一つじゃないさと 桂浜
いごっそ魂 土佐 龍馬

過去は云うなよ 未来を語れ
その気で担げば 日本は軽い
理想をもとめる こころざし
成就をめざして ひとすじに
いごっそ魂 土佐 龍馬


はじめに

2018年に発売された三山ひろしの『いごっそ魂』。

デビュー10周年を記念してリリースされたシングルであり、発売にあたっては
10周年記念コンサートの音源が収録された記念盤が発売されるなど
三山ひろしにとって特別なものとなりました。

ちなみにタイトルの『いごっそ魂』の『いごっそ』とは高知の言葉で
「頑固な」という意味。

頑固な魂とはどういったものなのでしょうか?
またなぜ高知の言葉を用いるのでしょうか?

これらの答えも交えながら歌詞考察を行っていまいります。

歌詞考察

坂本龍馬の名言に寄せて

夢じゃ夢じゃと 笑わば笑え
我がなす心は 我しか知らぬ
日本の夜明けを 手繰るため

一番歌詞です。

「夢じゃ夢じゃと 笑わば笑え」と勝気な言葉から始まる『いごっそ魂』。
続く「我がなす心は 我しか知らぬ」という言葉も合わせて
これらの歌詞はかの有名な幕末志士、坂本龍馬の言葉です。

正確には「世の中の人は何とも言わば言え 我がなすことは我のみぞ知る」です。

この言葉にインスパイアされて作られた歌詞ではないかと考えられます。

そして続く歌詞は「日本の夜明けを 手繰るため」。
ここで『いごっそ魂』の主役がわかります。
それは先述の名言を残した坂本龍馬自身です。

幕末に活躍した坂本龍馬は明治維新のために奔走しました。
その理由は海外からの圧力を受け、弱っていた日本を立て直すためです。

またドラマなどで坂本龍馬が「日本の夜明け」という言葉を用いるシーン
もよく見られます。

このような坂本龍馬を象徴する言葉の一つである「日本の夜明け」という
フレーズを用いていることから、『いごっそ魂』の主人公は坂本龍馬自身である
と考えられるのです。


坂本龍馬の姿に寄せて

天駆(てんか)け 海越え 地を奔(はし)る
いごっそ魂 土佐 龍馬

「天駆(てんか)け 海越え 地を奔(はし)る」と陸海空を疾走する様は
幕末に獅子奮迅の活躍を見せた坂本龍馬の姿を描写していると言えるでしょう。

そして一番歌詞の最後には「いごっそ魂 土佐 龍馬」。
やはり坂本龍馬のことを歌っていることがわかりますね。

加えて坂本龍馬は土佐、現在の高知県出身。
そのため高知の言葉で「頑固な」という意味の『いごっそ魂』という言葉を
タイトルに用いてるのではないかと考えられるのです。

『いごっそ魂』とは坂本龍馬の魂そのものを歌っているのです。


世界に目を向けて

人としてなら 太平洋か
望みはでっかく 持たねばならぬ

二番歌詞です。

一番サビと同様に「人としてなら 太平洋か」と坂本龍馬の言葉が続いています。

海外に目を向けて日本初の会社「亀山社中」を作ったり、当時から
イギリス製のブーツを履いたりといった先鋭的なことを数々行ってきた
坂本龍馬を端的に表していると言えます。

人ならば太平洋を目指すくらいの器量を持つべきだ、と歌っているのです。

続く歌詞の「望みはでっかく 持たねばならぬ」も近しいことを歌っていますね。
幕末当時に周囲の人間にこのように語っていた坂本龍馬の姿が目に浮かぶようです。

現在は江戸幕府が実権を天皇家に返上した大政奉還や数々の先鋭的な行動により
新時代を築き上げた立役者として知られている坂本龍馬ですが、
当時は鼻つまみ者として扱われることもあったでしょう。

江戸時代と言えば日本の歴史の中でも有数の平和な時代と評価されています。
そんな時代を作り上げた江戸幕府をなぜ打倒しようとするのかと非難の声を
受けることもあったのではないかと考えられます。

しかしきっと坂本龍馬は臆することなく「望みはでっかく 持たねばならぬ」
と言い切ったのではないでしょうか。

そんな孤高の存在である坂本龍馬の姿が表された歌詞です。

仲間と共に過ごした桂浜

世界をみすえて 行く道は
一つじゃないさと 桂浜
いごっそ魂 土佐 龍馬

そして次の歌詞は「世界をみすえて 行く道は 一つじゃないさと 桂浜」。
桂浜とは坂本龍馬像があり、土佐民謡「よさこい節」にも登場する高知の名所です。

もちろんこの地名が歌詞に登場するのは坂本龍馬ゆかりの土地であるからですが、
もう一つの理由があると考えられます。

その理由のヒントとなるのは世界を見据えて行く道は一つじゃないというメッセージです。

先ほど坂本龍馬は鼻つまみ者だったのではないかと記載しましたが、
一緒に日本を変えていこうという気概を持った仲間もいたはずです。

坂本龍馬の師匠である勝海舟や盟友であった岩崎弥太郎などが具体例として挙げられます。

この仲間たちは目標を同じくしつつも、勝海舟は江戸城無血開城を行い
岩崎弥太郎は三菱財閥を創業するなど全く同じ行動をとったわけではありませんでした。

共に生きた場所である桂浜にて、そのような仲間たちのことを想ったため
「行く道は一つじゃないさと 桂浜」と歌うのだと考えられます。

そして締めの台詞は「いごっそ魂 土佐 龍馬」。一番歌詞と同様です。

いごっそ魂、自分のやりたいことを徹頭徹尾やり通そうとする頑固な魂で
生きようとする坂本龍馬の姿を強調するために改めて記されたのだと考えられます。


明日に向かって力強く生きる

過去は云うなよ 未来を語れ
その気で担げば 日本は軽い

三番歌詞です。

「過去は云うなよ 未来を語れ」と坂本龍馬が過去に何度も繰り返し言ってきたであろう
ポジティブな言葉から始まります。

坂本龍馬自身の言葉であるということを考えると、ここでいう過去とはやはり
栄華を極めた江戸時代のことを指すのではないでしょうか。

これまでの繁栄していた江戸時代をなぜ無くそうとするかという反対の声というのは
当時非常に大きかったことでしょう。

事実、慶長3年(1867年)に刺客に暗殺されてしまっています。

が、坂本龍馬はそのことにめげずにこれまでの栄華を極めた江戸時代はもう終わった。
これからは新しい時代を自分たちの作り上げていかなければ日本の明るい明日は
もう訪れないぞというメッセージが「未来を語れ」という歌詞に込められています。

またこのことは特に江戸時代に限ったことではありません。

現代でも今自分が置かれている状況が安穏としたもので、新たな環境に飛び込む勇気
が出なくなってしまうということは誰にでも起こりうることです。

そしてそのようなチャレンジすることを止めてしまった人は往々にして
自分のことを語る際に己の現在ではなく、かつて自分が行った過去の功績や実績
を自慢するものです。

このような人たちにもまさしく「過去は云うなよ 未来を語れ」と言う歌詞が
突き刺さることでしょう。

坂本龍馬の生き様だけでなく人生訓も含まれた意義深い歌詞です。

そして続くのは「その気で担げば 日本は軽い」。

日本は軽い、という歌詞は当時日本の将来を背負って改革を行おうとした
坂本龍馬ならではのメッセージです。

どんなに辛いと思うこと、達成は不可能であると思うことでもやる気にさえなれば
きっとなすことが出来る。

いわゆる「為せば成る」という諺を坂本龍馬らしい言葉で
表した歌詞だと呼べるのではないのでしょうか。

また「過去は云うなよ 未来を語れ」という先ほどの歌詞同様、
これは現代人にも通ずるメッセージ。

なんでもやりたいことなら臆せずやってみよう!と前向きにさせてくれる歌詞ですね。

成し遂げた未来を目指してまっすぐに

理想をもとめる こころざし
成就をめざして ひとすじに
いごっそ魂 土佐 龍馬

そして歌詞は「理想をもとめる こころざし」と続きます。

これまで通り坂本龍馬の言葉であると考えると、ここでいう理想とは江戸時代を
改めた後の新しい世界でしょう。

彼はその新たな時代を見ることなく、33歳という短い生涯を終えてしまうのですが、
それでもやはり当然ではありますが新たな時代の幕開けを必ず起こすんだという
志で改革を行なっていたことでしょう。

そんな坂本龍馬の血気溢れる様をまざまざと想起させられる歌詞です。
そしてその姿にはこちらまでやる気を持つことができますね。

続く歌詞は「成就をめざして ひとすじに」。

意味はほとんど同様であると言えます。
理想を求め、一筋に成就を目指してただひたすらに行動する。

是非現代人が見習うべき姿勢だと言えるでしょう。

最後には「いごっそ魂 土佐 龍馬」。
一番歌詞、二番歌詞と同様の坂本龍馬の屈強な魂を表す様が綴られます。

が、これまでに坂本龍馬の生き様、考え、名言などが克明に綴られることにより
一番歌詞や二番歌詞よりも深く「いごっそ魂」を持つ坂本龍馬の姿を思い描くことができます。
そしてその姿に勇気付けられます。

『いごっそ魂』はそんな坂本龍馬の姿を鮮明に描くことにより、生きる勇気を
人々に与える楽曲なのです。

終わりに

三山ひろしの10枚目のシングルである『いごっそ魂』。

その内容は坂本龍馬の姿を描いた内容であるのに加えて、その姿を通じて
人々に勇気を与えるものでした。

10枚目という節目のシングルであることも影響してか三山ひろしの歌いぶりも
非常に熱が入っているように見え、見る者の心を突き動かします。

是非その姿および歌詞を楽しみながら聞いて見てください。



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