美波『カワキヲアメク』歌詞の意味を考察・解釈

未熟 無ジョウ されど

美しくあれ

No Destiny ふさわしく無い

こんなんじゃきっと物足りない

くらい語っとけばうまくいく

物、金、愛、言、もう自己顕示飽きた



既視感(デジャヴ) 何がそんな不満なんだ?

散々ワガママ語っといて これ以上他に何がいる?

そんなところも割と嫌いじゃ無い



もう「聞き飽きたんだよ、そのセリフ。」

中途半端だけは嫌



もういい

ああしてこうして言ってたって

愛して、どうして? 言われたって

遊びだけなら簡単で 真剣交渉無茶苦茶で

思いもしない軽(おも)い言葉

何度使い古すのか?



どうせ

期待してたんだ出来レースでも

引用だらけのフレーズも

踵持ち上がる言葉タブーにして

空気を読んだ雨降らないでよ



まどろっこしい話は嫌

必要最低限でいい 2文字以内でどうぞ

紅の蝶は何のメールも送らない

脆い扇子広げる その方が魅力的でしょう



迷で

応えられないなら ほっといてくれ

迷えるくらいなら 去っといてくれ

肝心なとこは筒抜けで 安心だけはさせられるような

甘いあめが降れば

傘もさしたくなるだろう?



このまま

期待したままでよかった 目を瞑った

変えたかった 大人ぶった

無くした 巻き戻せなかった

今、雨止まないで



コピー、ペースト、デリート その繰り返し

吸って、吐いた

だから

それでもいいからさ 此処いたいよ



もういい

ああしてこうして言ってたって

愛して、どうして? 言われたって

遊びだけなら簡単で 真剣交渉支離滅裂で

思いもしない重い真実(うそ)は

タブーにしなくちゃな?



きっと

期待してたんだ出来レースでも

公式通りのフレーズも

踵上がる癖もう終わりにして

空気を読んだ空晴れないでよ

今日も、雨。

傘を閉じて 濡れて帰ろうよ


はじめに

『カワキヲアメク』は2019年1月29日にネット上で公開された楽曲です。
僅か1週間で300万回再生を記録した人気上昇中のナンバーとなっています。
TVアニメ「ドメスティックな彼女」のオープニングテーマでもあります。

歌い手の美波さんは十代の頃に夢のワンマンライブを果たしています。
その歌声はデビュー当時のYUIさんを連想させます。
今作ではアグレッシブにメッセージを力強く叩きつけるような歌い方に
感じられます。

アニメ「ドメスティックな彼女」はドメカノと略されているようです(※
以下ドメカノと表記)
ドメスティックという言葉がタイトルに含まれていますが家庭内暴力を題
材にはしていません。

若い男女の性的絡みの強いアニメを特色としており歌詞にもその点が反映
されています。
アニメ内容が全年齢対象とは言い難いため今回はアニメに寄せた考察はせ
ずに曲を中心に考察を進めていきたいと考えています。

タイトル『カワキヲアメク』とは

日常的に用いられる言葉ではありません。
筆者独自の漢字変換としては「渇きを叫く」
だと考えられます。
叫くは「あめく」と読む場合があるからです。

この記事では多くの方に親しみのある「叫ぶ」
という解釈で説明また表記をしていきます。

MVやアニメタイトルから女性の主人公を主体
として歌詞は構成されています。
他者とは異なるように努めて生きていく主人公
はどこか満たされない「渇き」を感じています。

誰にも言えないその満たされない部分を心が叫
んでいる様子を想像することができます。


『カワキヲアメク』歌詞の意味

欠陥あれど美しく


未熟 無ジョウ されど

美しくあれ

主人公の女性は自分が「未熟」また「無情」
だと感じています。
それでも美しくいたいことを願っています。

美術作品のミロのビーナスも両腕の欠陥と
石造の無情さを見る者に伝えていますね。
それでも美しいと感じさせることができます。
彼女もそういった魅力を望んでいるようです。


不足は許容、中途半端は許さず

No Destiny ふさわしく無い

こんなんじゃきっと物足りない

くらい語っとけばうまくいく

物、金、愛、言、もう自己顕示飽きた


既視感(デジャヴ) 何がそんな不満なんだ?

散々ワガママ語っといて これ以上他に何がいる?

そんなところも割と嫌いじゃ無い


もう「聞き飽きたんだよ、そのセリフ。」

中途半端だけは嫌

主人公は運命的なものを感じないありきたりな
毎日を毛嫌いしているようです。
若くして「物、金、愛、言」という自己顕示欲
の象徴にも飽き飽きしています。

皆一緒、一致、共存など一つのカラーに染まろ
うとする周囲の人々にもうんざりしています。

以上の点から主人公は「他者と異なっているこ
とに努めそれが幸福になるために不可欠」との
思考を持っているように読み取れます。

独立の精神を反映させたと言える主人公は努力
故の欠陥を許容していますが中途半端な結末を
迎えることは決して許せない性格のようです。

有象無象に囲まれた世界

もういい

ああしてこうして言ってたって

愛して、どうして? 言われたって

遊びだけなら簡単で 真剣交渉無茶苦茶で

思いもしない軽(おも)い言葉

何度使い古すのか?


どうせ

期待してたんだ出来レースでも

引用だらけのフレーズも

踵持ち上がる言葉タブーにして

空気を読んだ雨降らないでよ

主人公は人を愛することも愛されることも経験
しているようです。
その度に自分の純情や感情は無情へと姿形を変
えていきました。

自分が真剣に交際していても相手が遊びであっ
たりその逆もしかり、そんな経験を重ねる度に
彼女は「有象無象の愛」に冷めていきました。

「本気なんだ」「真剣なんだ」という言葉すら
彼女には懐疑的に思え、ただの「使い古された
言葉」として聞こえてしまうのです。

彼女はもうこの世界から自分を奮い立たせる新
たな感情がないことに気づき悲しくなります。
気づくと「空気を読んだ雨」が自分の額を優し
く打つのでした。


多くの言葉はいらない

まどろっこしい話は嫌

必要最低限でいい 2文字以内でどうぞ

紅の蝶は何のメールも送らない

脆い扇子広げる その方が魅力的でしょう

要点のぼやけた「まどろっこしい話」や
長ったらしい返答は主人公の渇きを満た
せません。

そうしたことを述べる同性も異性も掃い
て捨てるくらい目にしてきました。
どうせ長く答えようが最終的には「好き」
「嫌」の2文字が結論だと思っています。

自分を蝶に例えておりメールという間接的
な手段で思いや感情を伝えないことを示し
ています。

彼女は実際に羽を広げて舞う姿を生で見る
ことがどれだけメールという電子機器で魅
力を伝えることに勝るかを論じているよう
に思えました。

応えられないなら答えない

応えられないなら ほっといてくれ

迷えるくらいなら 去っといてくれ

肝心なとこは筒抜けで 安心だけはさせられるような

甘いあめが降れば

傘もさしたくなるだろう?

周囲の人が冷めた主人公にどう接したらよいのか
定まらないまま声をかける時があったようです。
彼らも善意で彼女の感情の渇きに「応えたくて」
近づいたのでしょう。

それでも彼女は彼らの動機を見抜き「気の迷い」
からそうしていることやリクエストには決して
応えられないことを悟りました。

ですから自分の感情の渇きに「応えられない」彼
らに彼女は「答えない」つまり返事はしないので
す。

それでも時折、異性からの「安心感」を与える「甘
いあめ」が彼女に降り注ぐことがあります。
彼女はそれをいくらか心地よく感じますが疑いから
か恥ずかしさからか「傘」を指し素直に受け入れません。


開いた傘を閉じて

きっと

期待してたんだ出来レースでも

公式通りのフレーズも

踵上がる癖もう終わりにして

空気を読んだ空晴れないでよ

今日も、雨。

傘を閉じて 濡れて帰ろうよ

彼女はとっさに異性の優しさを遮ってしまいました。
長い間そうしてきたので癖づいてしまったのでしょう。
それでも心のどこかでは「出来レース」「公式通り」
のおきまりを期待していた部分があったようです。

他者と異なることに関する少し捻くれた思考について
主人公は考え直している様子が読み取れます。
そうしていても自分は決して幸せにはなれないことに
気がついたようです。

この点についてウィキペディアでも歌い手の美波さん
ご自身が次のように語っていました。

「他とは違うのよって感じを見せたい時、そんな時があったなと書きました。それが何故かは分からなかったのですが、結局そんな事してるとなかなか幸せやってこないなと気付きました。」

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%BE%8E%E6%B3%A2_(%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%82%AC%E3%83%BC%E3%82%BD%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%BF%E3%83%BC) ―ウィキペディアからの引用

ですから今の主人公はありきたりの感情も受け止める
ことにしたようです。
その点が前述で異性の優しさを遮った「傘」を閉じて
いるフレーズから理解できます。

今の彼女は他者と異なった「特別」だけでなく「あり
きたり」も受け入れることができるようです。

彼女が「ありきたり」を許容することで彼女が長い間、
耳にしてきた「カワキヲアメク」心の声は押し黙って
安心感に酔いしれるのでした。

まとめ

「他者と異なりたい」「世界や社会で特異の存在でいたい」
こうした願いは誰しも一度は抱くのではないでしょうか。
このテーマはどの時代にも音楽の中で取り上げられています。
ですからこの分野は関心度の高いテーマであることが伺えますね。

平たく言えば平和でおとなしく暮らせればいいと言っておきながら
みんな「村人A」ではなく「勇者」を望んでいるのかなと個人的に
思いました(笑)

是非、日々の生活の中で「足りない!足りない!」と自分の心が
「カワキヲアメク」ときがあったならこの曲を聴いて感情移入し
てみましょう。
主人公の彼女の気持ちがいつもより理解しやすく思えることでしょう。

美波さんの若さ溢れる力が次回作に遺憾なく発揮され今後も人気を伸ば
していかれることを心から願っております。