美波『アメヲマツ、』歌詞の意味を考察・解釈

過去形フィルムに縋った僕らは
舵取り粘土に飲まれていつしか固まっていくようで

言葉税が 足りなくなっていってさ
書き殴り漁った下書きをそっと強く塗りつぶす
平気だよきっと誰かが 透明人間あてにした

ああやっぱ今日もだめだな

ファインダー越しのかわききってた 僕にアメ降らせてくれないか
何度塗り替えても 濁ってしまって
今はもう届かなくなったリリック
曖昧な言葉捻り出しては
固まりかけながらまだ足りないと
なんて本当、虚しくなってしまったのでしょう

普遍化には見向きもしないようだ

雨に
交えないでいて
使いすぎてしまったエキを無駄にはしないで
欲しくて

好きなものが青に飲まれて消えてった
安価推理自称名探偵いなくなれ

ショーウィンドウ伝うアメがかわき
やがてやみ上がってしまう前に
USBにそっと 閉まっておくよ
いつかあの日の僕、愛してね。
誤魔化してはアメのせいに
少しゼロがさみしくなった
君はもう二度と戻らない 戻れない 帰れないよ

はやく
はやく
はやくしなきゃ

こんな
になるまで

息継ぎ我慢してた事
邪魔するスクリーンセーバー
絶対忘れたくない。

明日
ファインダー越しが 曇っていたら
そっと笑い掛けてくれないか
ピントが合うように ブレないように
いつか届くといいなこのリリック
比べすぎた
青くて仕方なかったんだ
拙い言葉税で魅せようとした
脳内ヒエラルキーもう

オヤスミナサイしようよ
それが不確かでもずっと僕ら
臆病と待ち続けてんだ
針は僕をおい続けた
君は僕の隣の数字で
待ってくれるよ な
メイムでいいな

やっぱ今日もダメな僕だな

抓っても滲むだけだろう

かわいたアメ待ち続けていた

美波「アメヲマツ、」の概要

今回は人気アーティストである美波さんの楽曲『アメヲマツ、』の歌詞考察をしていきたいと思います。

【本記事の注目ポイント】

・タイトルに含まれる「、」の解明

・前作『カワキヲアメク』との関連性

上記の点を続く楽曲紹介と共に考察していきますのでどうぞ最後までご覧ください。

『アメヲマツ、』 のMVが2020年6月30日にネット上で公開されました。
動画再生回数は公開から僅か3日で60万を超える人気ナンバーとなっています。

前作 『カワキヲアメク』から約1年ぶりの楽曲公開に、ファンも熱狂せずにはいられない様子でした。

今作『アメヲマツ、』MVのアニメーションを担当したのは syo5さんです。
syo5さんはアニメーションだけでなく有名な絵師でもあり、これまで数多くの作品を手掛けてきています。
鮮烈な色使いで描かれたキャラクターが印象的です。

MVの内容に注目してみましょう。

カメラを首からさげた男性と女性をメインに物語が展開されていきます。
フィルムファインダーなどカメラに関連した用語が散りばめられている点から、『アメヲマツ、』の歌詞は先ほどの男性の視点で綴られているように見受けられます。

ここで今作と前作の関連性について考えてみましょう。

前作同様「雨のシーン」が挿入されていることにお気づきでしょう。
今作の歌詞にも「かわききってた」「かわき」「かわいたアメ」と前作との関連を匂わすフレーズが用いられています。

前作では「女性視点」で歌詞が綴られているようですが、今作の男性にも彼女と共通する想いがあったと考えられます。
同じように今作も「男性視点」で歌詞が綴られているようですが、彼と同じ気持ちを女性が抱いていると考えました。

この点は続くタイトルの意味を説明する部分で詳しくお話します。

『アメヲマツ、』の意味とは

タイトルを漢字に直すと「雨を待つ」となります。
注目したいのが「、」が語尾に付されているという点です。

通常「。(句点)」は文章の終わりを示します。
対して「、(読点)は文章の途中また区切りを示しています。

前作と今作の歌詞を熟読した結果、タイトルの「アメ(雨)」は主人公たちの「葛藤や不安」を指すと解釈しました。

この解釈に基づき「アメヲマツ」について考えるなら、それは主人公たちが「何も感じなくなった心に葛藤や不安を求める様子」を表現していると結論できます。

そして「、」が付されていますから、葛藤や不安を求める行為が「継続的」であることを暗示しているのでしょう。

さらに「、」には別の文章が続いていくものです。
筆者は前作のタイトル「カワキヲアメク」が続くと仮定しました。

なぜなら前作の主人公は、何も感じなくなった渇いた心の状態を嘆いていましたが、最後には葛藤や不安の気持ちが舞い戻っていました。

そして今作の主人公たちは「葛藤や不安」がなくなってしまったことを嘆いていますが、最後には渇きを求めています。

つまり「アメヲマツ、(それでもまた)カワキヲアメク」と連鎖する行為を暗示するタイトルなのだと解釈しました。

それはまるで人が水分を取っても、また飢え乾く状態のようです。
満たされない欲求や忘れてしまいたい気持ちを巧みに表現したタイトルであるとも感じます。

続く部分から主人公たちの背景や心情を探っていきましょう。

『アメヲマツ、』歌詞の意味

過去に縋る2人―身勝手な期待

過去形フィルムに縋った僕らは
舵取り粘土に飲まれていつしか固まっていくようで

言葉税が 足りなくなっていってさ
書き殴り漁った下書きをそっと強く塗りつぶす
平気だよきっと誰かが 透明人間あてにした

ああやっぱ今日もだめだな

今回はMVに登場した男性を主人公にして考察していきます。

1番では彼が大切な彼女と過ごした日々を回想しているようです。
「過去形フィルム」というフレーズからその点が理解できます。

「縋(すが)った」とは「助けを求めて頼る」という意味です。
2人が過去の良い想い出に対してそのようにするのはなぜでしょうか。

考えられるのは現状の関係が、過去とは比較にならないほど悪化しているのでしょう。

「言葉税」とはタダでは会話できなくなった、つまり何も考えず気楽に会話することが困難になったことを描写しているようです。

2人は次第に「書き殴り漁った下書き」つまり一度心の中で言葉を考え、適切であるかどうかを吟味するようになったのでしょう。

しかし、相手の考えがわからなくなってからは「そっと強く塗りつぶす」ようにして言葉にするのをやめたものと思われます。

会話が成立しないことを痛感した彼は、「平気だよきっと誰かが 透明人間あてにした」と根拠のない打開案を見出します。

自分たち以外の誰かをあてにするほど、関係は軽薄なものになっていたのでしょう。

淡い期待―雨降って地固まる

ファインダー越しのかわききってた 僕にアメ降らせてくれないか
何度塗り替えても 濁ってしまって
今はもう届かなくなったリリック
曖昧な言葉捻り出しては
固まりかけながらまだ足りないと
なんて本当、虚しくなってしまったのでしょう

ここまでの歌詞で「アメ」「固まる」という言葉がセットのように綴られています。
ここから「雨降って地固まる」という言葉を連想しました。

意味は「揉め事や醜い言い合いがあったとしても、その後にはむしろ状態が良くなるものである」「嫌なものごとがあった後は、かえって良い結果が訪れるものである」などがあります。

上記の用語が示す通り、彼は「葛藤や不安」の先に2人の関係が修復、さらには強化を期待していたように思えます。

しかし葛藤や不安を幾度となく繰り返しても、2人の関係は深まっていないようです。
頑張ろうと心の奥底から捻り出した言葉は「曖昧さ」を纏う貧弱な言葉だけでした。

次第に彼を「虚しさ」が取り巻いていきます。

惜しまれた感情―チープな推理

雨に
交えないでいて
使いすぎてしまったエキを無駄にはしないで
欲しくて

好きなものが青に飲まれて消えてった
安価推理自称名探偵いなくなれ

前述では「アメ」を求めていたのに対し、ここでは「雨に交えないでいて」と願っています。

なぜでしょうか。
前作『カワキヲアメク』でも主人公が前述で望んでいたことが、後半では望まれていないことがありました。
感情の複雑さや、素直になれない気持ちが打ち出されていると理解できます。

「エキ」「液」もしくは「益」のことだと思いました。
液のように体中を流れる葛藤や不安を抱き続けると、精神に負担がかかります。
すでに精神をすり減らしているはずの彼女の身を案じるフレーズだと解釈しました。

もっと簡単に言うと「君は2人の益について一生懸命考えてきたのだから、これ以上、自分に時間を割いて益を無駄にしないで」という意味だと思いました。

「青に飲まれて消えてった」とはどういう意味でしょうか。
「青」は主人公の「未熟さ」を表現していると仮定しました。

未熟さが、自分の好きな彼女と葛藤や不安という感情を「無」にしたことを描写しているのでしょう。

「青に飲まれて消えてった」とは「雨がやんで青空になった」とこをイメージできます。
晴れになったことを喜ぶはずですが、主人公は複雑な感情を抱いていますから素直に喜べません。

「安価推理自称名探偵」とは、彼女のことで「きっとこうに違いない、前もそうだったから」と思考を巡らしている自分を描写していると考えました。

「いなくなれ」と続いていますから、関係を深める上で無駄な要素であると彼が認めていることがうかがえます。

無感情になって忘れてしまう前に

ショーウィンドウ伝うアメがかわき
やがてやみ上がってしまう前に
USBにそっと 閉まっておくよ
いつかあの日の僕、愛してね。
誤魔化してはアメのせいに
少しゼロがさみしくなった
君はもう二度と戻らない 戻れない 帰れないよ

「ショーウィンドウ伝うアメがかわき」とは文字通りの雨を指しているのでしょう。

その雨を見た主人公が自身の感情が乾いてしまう、つまり無感情になってしまうことを恐れたと考えられます。

大切な彼女を忘れてしまう前に「USB」のような媒体に、自分の感情を保存できたらと考えるようになります。
彼女との想い出を忘れたくないという気持ちが伝わってきます。

それでも「いつかあの日の僕、愛してね。」という台詞から、彼が彼女と関係を深めることを断念したことを理解できます。

「少しゼロがさみしくなった」とは、彼がすべてを忘れて1人孤独に生きるのを寂しく思っていることを示唆しているようです。

「君はもう二度と戻らない 戻れない 帰れないよ」とあるように、過去の仲睦まじい2人にはもう戻れないのです。

想い出だけは鮮明に

明日
ファインダー越しが 曇っていたら
そっと笑い掛けてくれないか
ピントが合うように ブレないように
いつか届くといいなこのリリック
比べすぎた
青くて仕方なかったんだ
拙い言葉税で魅せようとした
脳内ヒエラルキーもう

「ピントが合うように ブレないように」というフレーズから、彼が彼女に「2人の想い出」だけは鮮明に描いて欲しいと願っていることを理解できます。

実際に会って関係を深めること、同じ未来を鮮明に描くことは叶わないからでしょう。
せめて過去の想い出だけは鮮明に描いて欲しいと願う彼の姿は切ないものがあります。

「比べすぎた」とは彼が彼女に対してよくない比較をしたことを示唆しているようです。

そうしたことを含めて「青くて仕方なかったんだ」とは、自身の「未熟さ」を痛感していることを伝えているのでしょう。

「ヒエラルキー」とは「階層制や階級制」のことです。
それに「脳内」が付随されていますから、彼が「どちらの立場が上か、言い分が正当か」について考えてきたことを示唆しているようです。

彼はその点も自身の未熟さにカウントしているように見受けられます。

今の彼には、彼女が空の青のように遠い存在に感じることでしょう。
手を伸ばしても決して届かないのです。

ですから、心に秘めた想い出と渇きそうになった心に「アメ」つまり葛藤や不安が舞い込むのを待つしかありません。

それらが満たされても、彼は彼女の示してくれた愛や優しさを叫んで渇望するに違いありません。。

まとめ

いかがでしょうか。
満たされない感情や複雑な心情を自然描写で巧みに表現していましたね。

タイトルに含まれる「、」の意味や、前作との関連も主観で考えることができました。
色々な意見があると思いますので、建設的なコメントをお待ちしております。

リアルな雨音やアグレッシブなギターサウンドにも魅了されました。
癒しと高揚感を同時に与える素晴らしい音楽構成でした。

美波さんの今後の活動と次回作に期待し注目していきたいと思います。
美しく波打つサウンドと歌声をありがとうございました。

ここまで記事を読んで下さった皆さんにも感謝します。
ありがとうございました。

これからジメジメした季節が続きますから、どうぞ体調に気をつけて元気にお過ごし下さい。。

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