milet『Drown』歌詞の意味を考察・解釈

Feeling like I’m alomst there, but I’m not
音もない風に漂う bones
途切れて消えない声の方
何も知らないまま戻れないでしょう

同じ色の目にうつる
違う色の息を吐く

You’re gonna make me go
You’re gonna make me drown
失うものはもう何もない
You’re gonna make me go
You’re gonna make me drown
No, I don’t want it
But I know no one’s there
はざまを辿って

Feeling like I’m living in your shadow
浅い傷に棲みついた sorrow
振り下ろせない錆びたナイフ
誰も知らない君がそこにいたんでしょう

抱きしめてあげるよ
その息を吸って泳ぐ

You’re gonna make me go
You’re gonna make me drown
足場もない答え 前へ向かう
You’re gonna make me go
You’re gonna make me drown
No, I don’t want it
But I know no one’s there

I know no one’s there
I’ll stay, I’ll stay
I know no one’s there

You’re gonna make me go
You’re gonna make me drown
失うものはもう何もない
You’re gonna make me go
You’re gonna make me drown
No, I don’t want it
Don’t let me go (Don’t let me go)
You’re gonna make me drown (Don’t let me go)
足場もない答え 前へ向かう
You’re gonna make me go
You’re gonna make me drown
No, I don’t want it
But I know no one’s there

I know no one’s there
I will stay right here
はざまを辿って

歌詞考察の前に

『Drown』とは2019年10月31日にネット上で公開された楽曲です。
同年11月6日リリース milet 4th EP『Drown / You & I』 に収録されています。
動画再生回数は公開から3週間で150万を超える人気ナンバーとなっています。

今作は人気アニメ「ヴィランド・サガ」エンディングテーマとなっています。
ローテンポで奏でられるアコースティックギターが独特の哀愁を漂わせていました。

アニメ舞台に合わせて奏でられるメロディーはさながら「荒野のまた雪原の旅人」といったところでしょうか。
アニメを見終ったあとの余韻を大事に封じ込める楽曲に仕上がっています。

今作MVはアメリカのアラバマ・ヒルズで撮影されました。
完全に筆者の余談になるのですが一目見た瞬間「あ!映画トレマーズの撮影地だ!」って叫んじゃいました(笑)

巨大な岩がゴロゴロあるだけの大地がとても印象的な場所ですね。
アニメにも登場する荒野も強く意識した故なのだと考えられます。

また盛り上がりのサビでは歌声を重ねたダブルトラックを用いるのではなく、あえてシングルトラックが使用されています。

これはmiletさん自身の声が目立つよう、そしてこれまでの彼女の歌い方が尊重された故の仕様だそうです。

さて今作の歌詞考察に関係のある点がインタビューの中で述べられていましたのでご紹介します。

──「ヴィンランド・サガ」の物語に触れて、どんなことを感じました?
主人公のトルフィンはお父さんを目の前で殺されて、復讐するための旅を始めるんですね。だから憎しみという言葉が大きなキーワードになっているんですけど、でもその根底にあるのは愛ですよね。だから最終的に私の胸にストンと落ちたのは、愛でした。

──歌詞は誰の視点で書こうと?
主人公トルフィンの視点です。トルフィンが抱いてる憎しみというのは、表立って見える感情としてすごくわかりやすいものだけど、その裏にはいろんなものが絡まってる。自分の中にも知らない自分がいて、それが自分の知らないうちにどんどん出てきちゃって……という状態なんだろうと。

https://natalie.mu/music/pp/milet04  ナタリーより

上記コメントからテーマは「愛」であり歌詞の主人公はトルフィンであることが理解できます。

歌詞の表面的には憎しみが表現され、しかし根底には愛があるというたいへん奥深いものに仕上がっています。

上記アニメの詳細は下記のサイトでもご覧いただけます。
https://jiyuninaru.com/anime/vinlandsaga/#i

それではさっそく気になる歌詞の考察を始めていきましょう。

タイトル『Drown』とは

『Drown』には「溺れ死ぬ」という強烈な意味があります。
なぜこのようなタイトルが用いられているのでしょうか。

先ほど記載したインタビューの中でそのヒントとなる会話がありました。

──ティールな青というのは?
映画の技法でティール&オレンジといって、冷たい青と温かいオレンジの対比がよく用いられるんです。今回はその青色で、冷たく透き通った海に沈んでいくイメージがパッと浮かんできて。いったい何だろうと考えたら、これは感情の波だと思って、そこから掘り下げていきました。

──そのシチュエーションは、絶望しているんでしょうか。
えっと、2人登場人物がいて、1人は絶望で、1人は希望を抱いているんです。水面に船が一隻浮かんでいて、その下のずっと深いところにお父さんと息子がいる。そこでお父さんが息子に最後の息を口づけで吹き込む。「お前は生きなさい」と言って、水面に押し上げるっていう……そんな短いムービーみたいなものが頭にあって。たぶんそれは「ヴィンランド・サガ」の原作を読んで、お父さんが自分を犠牲にして息子を生かすシーンが頭に残っていたからだと思うんですけど。

https://natalie.mu/music/pp/milet04  ナタリーより

後半に述べられているようにmiletさんのイメージの中に登場した父親は我が子を救うために「溺れ死ぬ」ことになりました。

これはアニメの中でトルフィンを救うため父親が犠牲になることともリンクしています。
こうした「他者救済のための犠牲」をタイトルは示しているようです。

またトルフィン視点から彼が複雑な感情の波に溺れ死にしそうになっている点も歌詞では表現されていました。

ですから彼の苦悩もタイトルは表現しているのだと解釈しました。

インタビューの中でmiletさんは父親の方が「希望」を持っているとしています。

ですから単なる犠牲に焦点を当てているのではなく「幼い命に託す」という前向きな部分に焦点を当てていることも理解できました。

『Drown』歌詞の意味

旅―真実の探求

Feeling like I’m alomst there, but I’m not
音もない風に漂う bones
途切れて消えない声の方
何も知らないまま戻れないでしょう

歌詞冒頭では主人公トルフィンが亡き父親を思う気持ちが綴られているようです。

細かいストーリーを省略しますが、彼は愛すべき父親をバイキングの首領アシェラッドに殺されています。

「Feeling like I’m alomst there, but I’m not」とは「私はそこにいるように感じるが、そうではない」という意味です。

ですからまだ亡くなった父親がいる感覚は残っているが現実はそうではないことを彼が噛みしめているのだと考えられます。

「bones」「骨格」のことであり彼の身体の根幹を表現してます。
「漂う」とありますから自分の意志でそれらを機能させることができない状態を示しています。

大好きな父親を目の前で殺されたのですから当然の状態と言えるでしょう。

それでも今も聞こえる亡き父親の言葉の意味、そしてなぜ身を挺して自分を助けたのかという真相を知りたいと考えたのでしょう。

同時に父親の仇を討つためアシェラッドに憎悪の炎を燃やし続けていきます。

絶望と希望

同じ色の目にうつる
違う色の息を吐く

「同じ色の目」とはトルフィンと父親の目の色に言及しているのでしょう。
「違う色の息」とは「生き方の違い」を示唆しているように感じます。

前述のインタビューでもmiletさんが父親と子が希望と絶望という対象的な考えを抱いていると述べていました。

幼いトルフィンには起きた惨劇に絶望を抱いていましたが、父親はそうではありませんでした。

希望に満ちた人と絶望に慄く人の吐く息は物理的にも比喩的にも異なるでしょう。

感情の波に溺れて

You’re gonna make me go
You’re gonna make me drown
失うものはもう何もない
You’re gonna make me go
You’re gonna make me drown
No, I don’t want it
But I know no one’s there
はざまを辿って

この部分ではトルフィンの感情面での揺らぎが綴られています。
英語の部分で父親は自身を犠牲にして彼を救おうとするのですが、それはトルフィンを後に苦悩させるものとなりました。

失うものは何もないと自分に言い聞かせ、自分に父親はいないのだと自覚する反面、どこか懐かしい彼の声や温もりが残っていました。

こうした感情のはざまを辿って彼は成長していきます。
アニメでも随所にそうしたシーンが見らています。

自分の知らない自分

Feeling like I’m living in your shadow
浅い傷に棲みついた sorrow
振り下ろせない錆びたナイフ
誰も知らない君がそこにいたんでしょう

抱きしめてあげるよ
その息を吸って泳ぐ

ここではトルフィンが感じる新たな感情について述べられているようです。
「振り下ろせない錆びたナイフ」とはどういう意味でしょうか。

これはトルフィンの誓った「不殺」について述べているのだと解釈しました。
それに関連して感じる不穏、悲しみの涙、強さなど自分がこれまで知らなかった感情と向き合う様子を表現しているように思えます。

また戦いの中でさまざまな人物と交戦、特にアシェラッドとの出会いで彼は大人へと成長していきました。

幼い頃には知り得なかった父親の感情や思考の解答を幾らか得たかもしれません。

「その息を吸って泳ぐ」とはmiletさんインタビューからトルフィンが父親の犠牲を活かして生きるという意味になるのでしょう。

これは彼の考え方の変化であり、当初、犠牲に感謝する余裕などない状態から進んだと解釈しました。

こうした積極的な姿勢や考え方は、彼が大切な存在を失い一人でもがき、感情の波に溺れそうになりながらも戦い続けた故の財産であると確信できます。

彼の戦いはこれからも続いていくことでしょう。。

まとめ

いかがだったでしょうか。
主人公トルフィンの葛藤や愛を根底とした憎しみがよく表現されていたと思います。

家族を殺された相手から学び、共に時間を過ごすなど普通は考えられないことです。

さらに犠牲になってくれた人に感謝する余裕を持つことも難しいでしょう。
そうしたことを可能にしたトルフィンから多くを学び、溺れ死にそうな状態からも這い上がれる強さを見ることもできました。

miletさんの全身全霊を感じる歌声やMVから生命の極致のようなものも感じました。

「人間やればこんなことまでできるんだよ」というメッセージ性も伝達されたような気がします。

トルフィンと同じような境遇の人はなかなかいないかもしれません。
それでも彼が示した生き方や考え方から教訓とする点はたくさんあると思います。

miletさんの今後の活動と次回作に期待し注目していきたいと思います。
素敵な作品をありがとうございました。

2 件のコメント

  • 素晴らしい考察ありがとうございます。引き続きアニメとmiletさんを応援します!

    • たまきちさんコメント有難うございます。
      人気留まるところ知らずという感じですね!
      筆者も両方ともに応援していきますよ♪

      これからもSugar&Salt Musicを宜しく
      お願いします!

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