まふまふ『忍びのすゝめ』歌詞の意味を考察・解釈

どれだけ歩めども 道はなく
彷徨うは千里先
それが人の世だと
笑う君だったんだ

然れど散りゆく定め

この一世を例えるなら
止まず 頻る 遣らずの雨
消える夜鳥に夢花火
水面に映る月を求めて
悔やむことは
もうやめた

忍び 偲べ 心隠して
踊り 踊る 世界を回せ
鏡越しに隠していた
ボクが泣きじゃくっている間に

先見えぬ夜に紛れましょう
悟られぬよう口を噤みましょう
最愛も恋情も朋友も友情も
手に掛ける覚悟はあるか?

暗がりの向こうに
潜む忍者になって
あの日の夢まで
切り捨ての免罪符


誰そ彼時までは身を隠して
その陰に今日を置く
二世も契れぬまま
彷徨えるボクは

ひどく醜い『手の目』

徒花のその姿に
心惹かれても
現世だって朧月
何もかもを閉ざした矢先に

君に恋するという報い

片恋の行く先を知りたい
その手負いの心を救いたい
返り血の装束じゃ
何を望もうと値打ちない

書き違えた「幸せ」の行方
読み違えた為体が所以
生涯は滑稽な憂愁の証明か
未だ十字架を背負いこんで

鶏の真似をしていちゃ
それが千慮の一失
覚悟もないなら
御帰りになって頂戴

いつか物心と捨てた心根
わかり合えるなんて夢のまた夢
破れ果てた友の骸に
今日も立っている

―お別れです。

忍び 偲べ 心隠して
踊り 踊る 世界を回せ
鏡越しに涙した 
君は 誰だっけ
ボクは誰?

空になった心なら捨てたんだ
優しくしないでよ
この小さな覆面も
塗り固めた強がりも
剥がれ落ちて泣いてしまう

暗がりの向こうに
潜む忍者になって
あの日の夢まで
切り捨ての免罪符


はじめに

『忍びのすゝめ』とは2019年6月9日にネット上で公開された楽曲です。
先ほど(投稿から3分後に記載)まふまふさんの新ナンバーを確認した時点では
動画再生回数600回程度だったものの書き終わる頃には5万回を超えていました
(たったの1時間!)

驚異的人気を誇る新ナンバーは今人気の高い「和ロック」テイストです。
MVでは疾走感のあるロックサウンドに合わせてまふまふさんが忍びとなって夜
を駆け抜けます。
どうやら前作で「ぬこ」になれんかったので忍びを目指したようですね(笑)

映像・音楽ともにまふまふさんが担当されたのですが「最高」の一言しか出て
こないんですよね(汗)
忍びのまふまふさんカッコいい&可愛い上にその他のキャラも上手に描いていて
もう筆者のもともと低い語彙力がさらに低下する事態を招いています。

MVの内容はまふまふさん(※以下 まふ忍 と表記)が忍びとして活動してい
く上での「心得」を歌っていきます。
人気アニメ「ナルト」を想像すれば大体の状況は理解できると思います。
「ナルト」を読んだことがない方は残念ですが今すぐ読んできて下さい(笑)

MVの登場人物を簡単に紹介したいと思います。

・まふ忍(まふまふさん)
・乙女
・青年(乙女の想い人)
・同志(まふ忍の友達)

ざっくりですがMVから観察できる登場人物でした。
これらの登場人物と歌詞の内容を織り交ぜて考察を進めていきたいと思います。

タイトル『忍びのすゝめ』とは

「忍び」とは目立たぬように物事を密かに行なう者を指します。
馴染のある同意語としては「忍者」が挙げられるかもしれません。
忍者は室町時代から江戸時代の日本で、大名や領主に仕えまた独立して諜報、暗
殺などを仕事としていたという一説があります。

ようは命がけの大変な仕事であり見つかったら終わりってことですね(軽)

「すゝめ」とは現代でいう「お勧め」に該当する意味を持つ言葉です。
また時代を経て「心得」「アドバイス」のようなニュアンスを持つようにもなり
ました。

つまりタイトルには「忍びの心得、忍びとはこういうもの」という意味合いを包
含しているのだと解釈できます。


『忍びのすゝめ』歌詞の意味

永遠の闇に彷徨う―乙女の笑み

どれだけ歩めども 道はなく
彷徨うは千里先
それが人の世だと
笑う君だったんだ
然れど散りゆく定め

主人公であるまふ忍は今日秘密裏に行われる任務遂行のために
その足を急がせていました。
任務が終わり一息ついて月を見上げる度に白い溜め息が漏れます。
「どこまで行けば自分の納得する道に辿り着くのか」と。

彷徨う道のりは千里の如し、疑問の最適解は生涯得られないと彼
は思っていたことでしょう。
ある時、一人の乙女にその点を話したことがあったのでしょうか。
乙女はクスリと笑い「それが人の世ですよ」と笑みを浮かべました。

彼にとって乙女の笑みは夜に浮かぶ月より美しく思えたのでしょう。
それでも自分は忍びであることへの自覚も強く、彼女への想いはこの
先ずっと持ってはいけない、散りゆく花のようなのだと言い聞かせま
した。


猿猴月を取る

見出しの言葉は猿が水面に映る月を取ろうとして水面下に沈み溺れてしまう
ことを表現した言葉です。
それが示す要点は身のほどをわきまえず、能力以上の事を試みて失敗すると
いう点です。

まふ忍はどういうきっかけで乙女と出会ったのかは定かではありませんが、
明らかにMVの乙女は位が高いように観察されました(十段まではいかないが)
身分の差は勿論のこと「忍び」が色恋を楽しむことはご法度だということを
痛感していたに違いありません。

例えの猿と同じように乙女を手に入れようと願えば、破滅の水面に沈むことは
重々承知していたのです。
忍びの辛い面の一つと言えるかもしれません。

流れる血と涙

忍び 偲べ 心隠して
踊り 踊る 世界を回せ
鏡越しに隠していた
ボクが泣きじゃくっている間に

初めの「忍び」は文字通り物陰に隠れたりする様子を
指しています。
続く「偲べ」とは故郷やなじみ深い人を想うことを意
味する言葉です。

そうした温かな想いは任務遂行において邪魔になる「情」
なので心の奥底に隠すことにしました。

忍者が暗躍していた時代ではひっきりなしに任務依頼が
あったようです。
世界を飛び回り踊るように活動している様子が歌詞の中
で表現されていますね。

そして素早い身のこなしや繰り出される忍術はまさに踊
っている様子と重なったことでしょう。

しかしまふ忍が無表情・無感情で任務遂行している間に
心の中のもう一人の自分が悲鳴を上げています。
まふ忍が誰かを殺め血を流すたびにもう一人の自分は涙
を流すのでした。

忍びとは自分の心の声でさえ忍ばせてしまう悲しい職業
なのだと実感させられました。


傷に塩―閉ざされた心に恋

何もかもを閉ざした矢先に
君に恋するという報い

片恋の行く先を知りたい
その手負いの心を救いたい
返り血の装束じゃ
何を望もうと値打ちない

まふ忍は忍びを決意した時から色恋に振り回されない
ことを認識していたことでしょう。
あらゆる「情」を捨てて心を幽閉しました。
しかしある日をきっかけに乙女と出会ってしまいました。

傷に塩を塗られたように幽閉された心に恋の気持ちが舞い
込んだのは、まふ忍にとって苦痛でしかありませんでした。
彼女に恋をするならば、自分も任務もしいては彼女のこと
も守ることはできなくなるからです。

これは自分の感情の緩み、忍びとしての認識不足の「報い」
なのかと思えるほどでした。

そしてまふ忍は乙女の情報収集もしていたのでしょう。

乙女に想い人がいることを知っていました。
しかし相手がどんな人で誰かは知りません。
彼女の片思いの相手を知りたいと願い、乙女の心を満たして
あげたいと願うようになりました。

まふ忍にはそれくらいしか彼女のためにできません。
血塗れの装束では彼女を抱きしめることはおろか彼女の前に
立つことすら許されないからです。

別れ―友よ眠れ

いつか物心と捨てた心根
わかり合えるなんて夢のまた夢
破れ果てた友の骸に
今日も立っている
―お別れです。

MVではまふ忍が友の死体を見ているシーンがあります。
ここで前述で取り上げた「ナルト」をイメージしました。
仲間であった忍び同士で戦う訓練をさせられ最後の一人に
なるまでやらされるという場面です。

まふ忍びも分かり合えると思っていた仲間と同じことをさ
せられた経験があるのかもしれません。
続く歌詞の「友の骸に 今日も立っている」というのが、
そうした訓練を経て忍びになれたという意味にも思えます。

さらにMV最後には一人の青年を殺めています。
それは任務上のターゲットだったのかもしれません。
まふ忍は殺めた後に乙女の想い人であったことを知ったの
かもしれません。

愕然としたことでしょう。
しかしそのすべての感情や殺めてきた人たち、そして乙女
に向けて「お別れです」と冷たく言い放ったようです。

彼はすべての心痛と苦痛、絶望や挫折をもう一人の自分に
託していったのでしょう。

彼はまた任務遂行のために夜を駆け抜けていきます。
今宵も誰にも聞こえないもう一人の悲鳴が響き渡るのでし
た。

まとめ

いかがだったでしょうか。
考察の至らぬ点があれば「忍んで」頂けると助かります(笑)

忍びを経験したことはありませんが、結構大変そうですね。
故郷、友人、恋人、夢などの重たい犠牲を背負って、さらに
罪という重たいものを背負っていく辛さが伝わりました。
あの軽快な動きの背後にはこれだけのものがあるんですね。

歌詞にもありましたがまふ忍は最初、「幸せ」を描こうと
人生をスタートしたと思われますがいつのまにか「辛い」
忍びの道を歩み始めていたんですね。

まふ忍がこれからも忍者を続けるのかはわかりません。
また「ぬこ」を目指し始めるかもしれませんね(笑)
筆者は敵の手にかかる前に忍びから足を洗って欲しいと思
っております。。

まふまふさん素敵な作品を有難うございました。
次回作にも期待し注目していきたいと思います。