まふまふ『ナイティナイト』

小さな両手に包まれたこと
いたずらして初めて怒られたこと
幸せひとつを分けあえたこと
大切な思い出も静けさの向こう


目を閉じたら 目を閉じたら
君の泣き顔を見逃してしまう
きっと目を閉じたら 目を閉じたら
明日から少し さよならだ


Nighty night.
瞼の裏側に夜空が溢れていく
今は泣かずに ボクを腕の中で
あたためてよ




小さな手のひら 春色の空
擦りむいて 寝ころんで 駆けまわる夢
きっと今日は静かに 少し遠くに
いつもよりも上手に隠れてみたよ




ほんの小さな ほんの小さな
心臓がひとつ寝坊しただけ
きっとあの空から あの空から
君だけをずっと見ているよ


Nighty night.
ボクは君に会えて
こんなに幸せだよ
明日も明後日も
来世も君のそばで 眠りたいなあ

はじめに

『ナイティナイト』とは2019年3月15日にネット上で配信された楽曲です。
大人気まふまふさんの待望の新曲であり感動的なナンバーとなっています。
動画再生回数は2週間経過した時点で250万回と目を見張るものがあります。
未だ伸び続ける再生回数は留まることを知らず伝説認定となりそうです。

まふまふファンも多いと思いますが動物好き、特に犬派からの絶大的な支援
が見受けられておりコメント欄がヒートアップしております。
今作の内容が「愛犬の死」であり死ぬ間際まで愛犬が飼い主に感謝を伴う回
想をしていくという感動的な物語となっています(涙

今作の絵師である椿つばるさんの絵がなんとも愛らしく作品を上品に彩ります。
色使いも優しい配色となっており何度も見返したくなりますね。
映像担当のNeuroさんとSymanoさんのハイクオリティーさにも目を奪われま
すね。

そして極め付けはまふまふさんの女性にしか聞こえないクリアで心地よい高音
を特徴とした歌声でしょう。
一度聴けば耳からスーッと入り込み胸の奥底にジッとしている、そんな歌声の
ように筆者は感じています。

この優しくも悲しい曲を聴きながらリスナーは色々なことを想い出したようです。
死んだ愛犬との楽しかった日々、この曲の配信日が愛犬の命日だったなど実に
さまざまでした。

それではさっそく歌詞の考察を始めていくことに致しましょう。

タイトル『ナイティナイト』とは

動画コメント欄にてまふまふさんご自身が述べておられましたが
『ナイティナイト』=「Nighty night. おやすみなさい」という
意味です。

通常、就寝前の挨拶とされているこの言葉ですが今作では幾らか
意味合いが変わってきます。

この後の考察で詳しく記載しますが、愛犬が死ぬ間際に述べた全
身を振り絞って出たことばであることを理解できます。
そしてその「おやすみなさい」は最初で最後のものとなります。

科学的にも生物は眠っている状態では考えることも行動すること
もできないとされています。
そして生物が死ぬとき、眠っている状態と同じ状態になり考える
ことも行動することもできなくなります。

そうした類似点を踏まえて「ナイティナイト おやすみなさい」
とタイトルがなっているのかなと筆者は感じました。

『ナイティナイト』歌詞の意味

静寂の海に沈み行く思い出

小さな両手に包まれたこと
いたずらして初めて怒られたこと
幸せひとつを分けあえたこと
大切な思い出も静けさの向こう

MVではトイ・プードルと思われる愛らしい犬と小学生(序盤の映像段階)
かと思われる女の子が登場します。
彼女は両親から愛犬を買って貰ったのでしょう。
喜びの表情いっぱいに子犬を抱き上げていました。

これから彼女と子犬の素敵な物語が始まったのです。
しかし愛犬はその物語が間もなく幕を下ろすことを
悟っていました。
医者と家族の話を聞いていたのでしょうか。

自分には治らない病気がある、もしくは寿命でこれ
以上は生きていけないことを知っているのです。
残り少ない貴重な時間を愛犬は飼い主との思い出の
回想に使うことにしました。

「小さな両手に包まれたこと」と表現されているこ
とから主人公がまだ小学生だったときに抱き上げら
れたときのことを思い出しているようです。

現在の彼女はMVの制服姿から高校生くらいになって
いたことでしょう。
ですから愛犬は当時の彼女と現在の彼女を見比べて
成長を実感していたのかもしれません。

さらにはじめて自分がした「いたずら」で彼女から
怒られたことも懐かしんでいます。
抱き上げられたことも怒られたことも愛犬にとって
は彼女と分かち合った幸せな時間でした。

そんな温かで柔らかな想い出も時間と共に薄れてい
くようです。

瞼は重く周囲の音もあまり良く聞こえません。
愛犬は誰かから「そろそろ時間だよ」と言われてい
るようでした。

瞳閉じれば永遠の別れ

目を閉じたら 目を閉じたら
君の泣き顔を見逃してしまう
きっと目を閉じたら 目を閉じたら
明日から少し さよならだ

愛犬は遠くぼんやり聞こえてくる飼い主の声を
耳にします。
自分の命が短いことを知った彼女が自分のため
に泣いてくれているのです。

愛犬は重たい瞼を開いて泣きじゃくる彼女の顔
を一生懸命に見つめようとします。
自分のために涙を流してくれる大切な存在を目
視することで受け入れようというのです。

それでも瞼はまた重たくなっていきます。
必死にそれに抗い続け愛犬は目を開きます。
目を閉じることは非常に楽な行為ですが、
それが示すものは永遠の別れなのです。

愛犬はあらん限りの力を振り絞りこの尊い
かけがえのない時間を共有することに努め
ます。

最後の願いと本心

Nighty night.
瞼の裏側に夜空が溢れていく
今は泣かずに ボクを腕の中で
あたためてよ

サビの部分でタイトルが用いられていますね。
愛犬は遂に閉じようとする瞼に抗うのをやめ
死を受け入れる覚悟を決めました。

彼女に一言、「Nighty night.」を心の中でつ
ぶやきました。
それは「おやすみなさい」という意味でもあり
「さようなら」という意味でもありました。

「瞼の裏側に夜空が溢れていく」とは目を閉じ
たときにまっくらになる状態を指しています。
愛犬は息を引き取る前に最後の願いを彼女へと
伝えたようです。

「今だけは泣かずに腕の中で抱きめあたためてよ」と
本心をそっと告げたのでしょう。
彼女は涙をそっと指で拭き取り、優しく愛犬を抱いて
やりました。

気持ちとは裏腹の笑顔、そう精一杯の笑顔を彼女は見
せてあげたに違いありません。
悲しみのお別れをしたくないという強い気持ちに駆ら
れたことでしょう。

彼女の腕の中で愛犬は安心感と幸福感に満たされ息を
引き取りました。
動かなくなった愛犬から温度が消え去っていくのを感
じた彼女の頬をまた涙が濡らしていきました。

欲張りな願いだとしても

小さな手のひら 春色の空
擦りむいて 寝ころんで 駆けまわる夢
きっと今日は静かに 少し遠くに
いつもよりも上手に隠れてみたよ

ほんの小さな ほんの小さな
心臓がひとつ寝坊しただけ
きっとあの空から あの空から
君だけをずっと見ているよ

Nighty night.
ボクは君に会えて
こんなに幸せだよ
明日も明後日も
来世も君のそばで 眠りたいなあ

愛犬はとても楽しい夢を見ます。
小さかったころの彼女と遊んでいた頃の夢でした。
桜舞い散る春の季節に公園でかけっこ、かくれんぼ
と楽しい時間を過ごしていました。

かくれんぼの時に愛犬は決まって近くの茂みに隠れ
すぐに吠えて見つかってしまったのでしょう。
その度に「今度はもっと遠くに もっと上手に隠れ
てみせる」と思っていたことでしょう。

皮肉なことに今回はうまく隠れたようです。
彼女の手の届かないところ、もう逢えないという現
実が彼女と愛犬の「終わらないかくれんぼ」を実現
させているのですから。

「心臓がひとつ 寝坊しただけ」というフレーズか
ら愛犬がいつか目覚めて彼女と再会できるという希
望を抱いていることを理解することができます。

そして彼女がこれまで自分に多くの時間と愛情を注
ぎこんで「飼う」という責任を果たしてくれたこと
に「幸せだよ」と感謝を述べています。

前述で記載しましたが愛犬は泣きじゃくる彼女に笑
顔で抱いてあたためて欲しいと願いました。
それは最後の願いだったのです。

そのつもりでしたが愛犬は今、別の願いを抱いてい
ます。
もう一度許されるなら、彼女のそばで眠りたいとい
う願いです。

言い換えれば生き返ることを願っていることになり
ます。
最後のお願いをした愛犬は少し欲張りな願いだと感
じたかもしれません。

それでもこの願いは諦めようとしても全身に止めど
なく広がっていくのでした。

彼女もきっと愛犬と同じ願いを胸の内に秘めているに
違いありません。
今宵、夜空には星々に加えて飼い主と愛犬の愛と涙が
煌めいていました。

まとめ

良く耳にする言葉ですが「動物を長く飼うと
家族同然になる」と言われますね。
筆者にとって初めての動物の死別を経験した
のはハムスターでした。

目を半開きにしながら閉じたり開いたりを繰
り返し、最後に開かなくなった瞳を見て涙し
てしまったのを覚えています。

歌詞の中でもそのやりとりがリアルに描かれ
ており悲しい気持ちになりましたね。
それでもペットから愛されていると伝えられ
たら飼い主はどんなに嬉しいのでしょうか。

同時に今作からペットを撫でるのが飼うこと
ではなくて遊んでやったりエサをあげたりと
一連の責任をしっかり果たす大切さも学べた
ように感じました。

愛犬の死をテーマにした今作から動物の命の
尊さも再認識できたのではないでしょうか。

まふまふさん、感動的な作品を有難うござい
ました。
そしてこれからの活動と次回作にも期待して
おります。

最後に、

筆者は猫派です(おい)



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