まふまふ『デジャヴ』歌詞の意味を考察・解釈

排気ガス それと乖離なく
宙に浮いて 彷徨って愛に巻く
予定調和で 固定相場制
番装い気取った今日まで

そりゃ愛じゃないという
また愛はないという
足りない願い以外
そうやってワンと鳴いて御仕舞

壊して直し 壊して
そして手元に余った 哀のパーツ
それは高価な 心の穴
きっと二度とは戻せなそうだな
「君は普通じゃない」
ボクは普通じゃない
ズレていたのは いつからだったっけな

窓枠はめ込む九教科
嘘ついてまで笑わせたいチョーク
こんな空疎な世界なら
狂ってしまっていられそうだ

ねえなんでなんで好き勝手
流行り病みたく愛して
期待感未満  哀願ノーカウント
確定化 囚人のジレンマ
密売の心臓 行為 願望 取り巻いた
蜃気楼 否応ない 後悔 どうだい
脳内 どうだい
分からないんだよ なんでなんでよ
法廷内のナイフ持った
場違いの感覚は主人公
震える君は拒否反応
刃先は静脈に続いていく
この瞳が疼いたのは
既視感だらけの生

ドラマにありそうな
愛はたくさんあった
間に合わせにちょうどいいですね
さよならの顔は
まるで印象なくて
受信出来ずに砂嵐が吹いて
滑稽

夕焼け小焼けでまた明日
約束 宿題 忘れた者勝ち
そうして今夜も世界から
零れ落ちてしまいそうだ

ねえなんでなんで好き勝手
傾いた生涯に非常灯
非行 逃避行 オイルライター
口内の爆弾ばら撒いて
秘密裡売買 等価交換 野次馬の罵声
否応ない 後悔 どうだい 脳内 どうだい
怖がるんでしょう なんでなんでよ
法廷内のナイフ持って
将来を均等に捌いた
高い制服まで着こなした奴から順番に倒れていく
今日もボクを蝕むのは 既視感だらけの生

( Are you Happy? )

虚無二乗 目新しい物は
ないやいや ないやいや
これ以上 真新しいものは
ないやいや ないやいや

羨望 恋情 逃妄 錯綜 本性 警鐘 未来永劫
創造 構想 想像 範疇にすぎない
猜疑心 虚栄心 交配 存在の証明済みでも
誰彼構わず 詮索 操作
どこを探せど 愛は欠乏 救いはない
歪む未来に御手手を頂戴
身に余る デジャヴに苛まれ
心はどこに捨てよう?

ねえなんでなんで好き勝手
流行り病みたく愛して
期待感未満  哀願ノーカウント
確定化 囚人のジレンマ
密売の心臓 行為 願望 取り巻いた
蜃気楼 否応ない 後悔 どうだい
脳内 どうだい
愛してるんでしょ なんでなんでよ

なんでなんで なんでなんで
ボクらはどうやって生きるの?
所詮 センキューメリーバッドエンド
生まれりゃ大方はディストピア
この瞳が疼いたのは 既視感だらけの生

歌詞考察の前に

『デジャヴ』とは2019年11月23日にネット上で公開された楽曲です。
大人気アーティストまふまふさんの待望のニューシングルが登場しました。

動画再生回数は公開初日から20万を超える大人気であり、現在も30万を超える伸びを見せています。

今作のイラストは前作「メリーバッドエンド」「ハローディストピア」「ジグソーパズル」でもお馴染みの寺田てらさんが担当しています。

一度見れば脳裏に焼き付いてしまうインパクトの強い画力が特徴的ですね。
多彩なビビッドカラーにも毎回目を奪われてしまいます。

さて今作はまふまふさんの前作と関連があるものと思われます。

筆者が関連があると予想する作品は以下の通りです。

・メリーバッドエンド
・ハローディストピア
・ジグソーパズル

メインとなるのは上記のうち2つなのですが、ジグソーパズルも映像と比較して検討してみたいと思いました。

まず前作の内容を自分なりにまとめてみましたのでご覧ください。

―メリーバッドエンド

タイトルは「メリーバッドエンド」は物語のエンディング形式の一つで、登場人物の視点によってハッピーエンドであるかバッドエンドであるかの解釈が分かれるものを指します。

まふまふさんのコメントから「共通の敵を作る 集団心理」をテーマにしていることが理解できます。

主人公は女子学生でありイジメが横行している学校に通っています。
イジメを受けないように周囲に合わせようと懸命に努力するのですが、次第に幸せのカタチを模索するようになり、集団の輪を抜けます。

見せかけの友情から解放され自分らしく生きられるのをハッピーエンドと捉えるか、イジメの対象になったことをバッドエンドと捉えるかが別れる作品だったと思います(まさにメリーバッドエンド)

―ハローディストピア

タイトル「ディストピア」は理想郷を意味する「ユートピア」の対照を成す言葉です。
「悪い、困難な」という意味があります。

彼女は見せかけの友情の輪から解放され真の幸せの在り方を模索します。
真の幸せが彼女の願うユートピアなのでしょう。
しかし彼女はそれとは正反対の状況に陥ります。

主人公の女子学生はSNSにおいて炎上被害に遭います。
身に覚えのない批難を浴びせられ続けた彼女は同じ方法で他者に仕返しをしていきます。

「目には目、歯には歯」という考えに基づき行動した彼女でしたが、最終的に彼女が追い求めていた理想、真の幸せには辿り着けませんでした。

―ジグソーパズル

主人公の女子学生は周囲に嫌われまいと他者に同意し共感することで幸せを維持します。
しかしそうした過程で本来の自分らしさすべてを失ってしまいます。

以上3つの作品を簡単に紹介させていただきました。

3つに関係した共通点は次の通りです。

・学園内でのイジメ(または集団行動における苦悩)が取り上げられている
・主人公は真の幸せの在り方を模索するも失敗する
・イラストが寺田てらさん(考察関係なし 笑)


さらに重要な共通点があります。
メリーバッドエンドおよびハローディストピアの主人公が今作の主人公と同一人物ではないかと考えました。

理由は以下の通りです。

・左目にホクロがある
・○と×の描写

外面的な要素で見過ごせないのがやはりホクロの位置でしょう。
○と×の描写は前作からの考察ですが、彼女がハッピーに思えている時には○、その逆が×で描写されているのだと解釈しました。

また歌詞の中で上記2作が登場することからも関連性の高さがうかがえます。

今作では主人公の心境にどのような変化が生じたのでしょうか。
そして彼女が追い求めた真の幸せは見つかったのでしょうか。

タイトル『デジャヴ』とは

筆者の頭には映画マトリックスの名シーンが、、、

フランス語を由来とする英語であり「デジャブ」などとも表現されます。
意味は「既視感」であり、 実際は一度も体験したことがないのに、すでにどこかで体験したことのように感じる現象を指します。

「確かに見た覚えがあるが、いつ、どこでのことか思い出せない」というような違和感を伴う場合が多いようです。

今作では主人公が他者をいじめる側にまわっているようです。
こうした点を考慮にいれてデジャヴの意味を当てはめると幾つかの可能性が挙げられます。

・いじめている相手が過去の自分と重なる
・過去に感じていた幸せの違和感を思い出す

上記の2つの意味がタイトルには包含されているのではないかと筆者は考えました。

『デジャヴ』歌詞の意味

違和感の日々に愛を探して

排気ガス それと乖離なく
宙に浮いて 彷徨って愛に巻く
予定調和で 固定相場制
番装い気取った今日まで

そりゃ愛じゃないという
また愛はないという
足りない願い以外
そうやってワンと鳴いて御仕舞

歌詞冒頭では主人公の女子学生のこれまでの経験が回想されています。

彼女が保ってきた見せかけの友情は「排気ガス」のように身体に悪く重苦しい空気を漂わせていたのでしょう。

「乖離(かいり)」とは結びつきから離れたり背くことを指す用語です。
「宙に浮いて」とは「物事がはっきりしない様子」を伝えています。

「予定調和」「固定相場制」という言葉はどちらも事前に定められており、滅多なことが無い限り乱されないことを暗示しています。

彼女は決まりきった言動と行動をする集団行動に苦悩していたことがわかります。

何度も彷徨い、これは愛ではないと否定し試行錯誤を繰り返してきたのです。

誤差が生んだ破壊

壊して直し 壊して
そして手元に余った 哀のパーツ
それは高価な 心の穴
きっと二度とは戻せなそうだな
「君は普通じゃない」
ボクは普通じゃない
ズレていたのは いつからだったっけな

ここでは「君」「ボク」が登場しています。
MVを見るとこの部分では主人公の○と×が映し出されていました。

筆者は主人公もう一人の主人公(別人格)を指すのだと解釈しました。

幸せや不幸の考え方が過去の経験を通して狂ってきたのだと考えました。
さまざまな経験をする度に彼女は自身の内面を「壊しては直し」てきたのでしょう。

同時に人間関係もそのようにしてきたのかもしれません。

彼女はだんだんと「普通」の定義がわからなくなってきました。
一般的な倫理観・道徳観が普通とするならば、そこから少しズレが生じたのかもしれません。

しかしこの感覚のズレが後の彼女をさらに狂わせていきます。

車のパーツに数ミリの誤差が生じただけで事故につながり車は大破する場合があります。

同様に彼女の感覚の誤差は人間関係における衝突を生みだし破壊へと進んでいきました。

諸悪の根源

窓枠はめ込む九教科
嘘ついてまで笑わせたいチョーク
こんな空疎な世界なら
狂ってしまっていられそうだ

ここで主人公は自分に誤差が生じ狂った行動をする原因をあるものに転嫁しています。

それは「空疎な世界」です。

「空疎」は形だけで中身の無いことを指す用語です。

その理由を彼女は歌詞の前述で示しています。

「窓枠」とは窓を囲んだ枠のことです。
「窓枠はめ込む九教科」とは「型にハマった勉強」を示唆しているのでしょう。

「嘘ついてまで笑わせたいチョーク」とは2つの意味があると考えました。

1つは「文字通り黒板にチョークで書かれた授業内容」です。

筆者は学校の先生がよく「君達が将来笑って過ごせるための勉強なんだぞ」と言って黒板に勉強内容を書き出していたのを思い出しました(いろんな先生が言う)

今では何里かそうだと納得しますが、学生の頃は「嘘だろ」って思ってました。
主人公も同じように冷めた考え方をしていたのかもしれません。

もう1つは「嘘の噂を流し身を削ってまで人気を得ようとする人」を指すのだと考えました(チョークがだんだん削れるように)

前作から噂やSNSが題材として取り上げられています。
現在でもそうですが嘘に近い情報や噂が広まっています。
やらせなども問題になっているのも現状です。

彼女はそんな現状を目にして「自分が狂ったのは世界が狂っているからだ」と判断したのだと思いました。

喉元過ぎれば

夕焼け小焼けでまた明日
約束 宿題 忘れた者勝ち
そうして今夜も世界から
零れ落ちてしまいそうだ

MVを見る限り、主人公は気に入らない相手を過去の自分のようにいじめ抜き吊し上げます(吊るされた熊はいじめたクラスメイトかと)

彼女に罪悪感はあるのでしょうか。
その可能性が極め低いことを歌詞は示唆しているようです。

「夕焼け小焼けでまた明日」と別れた子供は今日起きたことを覚えていないでしょう。

彼女も自分が学校でしたことを一日で忘れてしまうようです。

「約束 宿題 忘れた者勝ち」という言葉もその点を裏付けています。
約束した側、宿題を出した側に不利益が生じますが、破った方や忘れた方は平気でいられます(普通の感覚ではないが)

こうした表現から彼女の思考が問題を起こしても次の日にはリセットする思考に変化していることを読み取れます。

前述の歌詞に「後悔」という用語が出ていますから、彼女の心の隅にはある時までそうした気持ちが残っていたのかもしれません。

しかしもう一人の存在がその部分まで取り去ってしまったのでしょう。

諦めのピリオド

なんでなんで なんでなんで
ボクらはどうやって生きるの?
所詮 センキューメリーバッドエンド
生まれりゃ大方はディストピア
この瞳が疼いたのは 既視感だらけの生

歌詞のラストでも「なんで」が連呼され、彼女は満たされない人生を送っていることを理解できます。

「ボクら」と表現されていることから、自身の中のもう一人の存在を完全に自覚しています。

さらにもう一人の自分(別人格)と共存することは、生きて行くことすら困難にさせているという認識もあるのでしょう。

心に深く根付いたもう一人の自分に苦悩しながら彼女は、真の愛の追及を諦めたようです。

所詮ハッピーエンドなどは存在せず、人の見方によって幸せの価値観は決まると述べているようです。

そして自分だけが悲劇のヒロインなのではなく、大抵生まれてくる人は理想とは真逆の境遇にあるのだとも考えているのでしょう。

彼女は冷めた目で世界を見渡します。
彼女を興奮させ夢中にさせるものは何一つありません。
瞳が反応するのは「過去の自分と重なる」人と現状があるのみでした。。

まとめ

いかがだったでしょうか。
主人公が持つ既視感、そしてもう一人の自分と向き合っていく様子が観察できました。

そしていじめる側に立ってからの人格面や思考に変化が生じているのも理解できました。

今作から環境や行動の仕方が人格形成に多大な影響を与えることを学べます。

また本文では扱えませんでしたが、どんなに狂気じみた行動を取っても純粋な「心」がなくなってくれない様子も胸を打ちましたね。

筆者は諦めた彼女が愛の探求を再び初めて欲しいと願っています。

同時に集団行動の難しさや「普通ってなに」という大きなテーマが頭の上にどっしりとのしかかったような気がしました。

毎回、考えさせるテーマと世界観を提供してくれるまふまふさんに感謝します。

素敵な作品をありがとうございました。

6 件のコメント

  • まふまふさんの歌詞はとても胸に響きますね。それにしても二重人格ですか。私もたまにふと冷静になって考えることもありました。どうすればよかったのだろうか、どうすればいいのだろうか。私はその時間にどうすればいいかを少しずつ考え、ほんのちょっとずつ直していきました。主人公の少女も自覚したことによって少しでもいい方向へ向かうことを願っています…。

    • 狂うとはなんだろうさんコメント有難うございます。
      「二重人格」が適切な表現かどうかはわかりませんが
      イメージしやすい用語を選んでみました。
      実際にそうでなくても表と裏、また場面ごとに対応の仕方が
      異なる人を見ると、そのように判断する人もいるのかなと
      思いました。

      おっしゃる通り、このMVを通して自分だったらどうすべきだ
      ったのだろうと自問するのは良いことだと思います。
      「狂う」に関しては、狂った人だけが悪いのではなく狂わせた
      要因も悪いのだと筆者は感じました。
      胸に響く作品でしたね。

      これからもSugar&Salt Musicを宜しく
      お願いします!

  • もう一人の自分(人格)ってメリーバットエンドの主人公?ですよね?あってなければすみません(土下座)

    • RAiNさんコメント有難うございます。
      このサイトでは正否の追及に重きをおいていません。
      ですからRAiNさんの解釈の線もあると思っています。
      筆者は今回、二重人格という仮定で進めるのがしっくり
      きたのでその線で考察してみました。

      また気づかれた点や新たな発見があれば是非教えて下さい!
      これからもSugar&Salt Musicを宜しく
      お願いします!

    • せいなさんご指摘に感謝します!
      2カ所修正させて頂きました。

      これからもSugar&Salt Musicを宜しく
      お願いします!

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