Little Glee Monster 『君に届くまで』歌詞の意味を考察・解釈

制服でいつも歩いていた 河川敷ひとり寝転んだ
あの頃から少しくらいは いま大人になれているかな

いつだって追いかけてばかり 熱い夢や甘い恋の
後ろ姿しか見えなくて いつも不安で

なぜか素直でいることが
子供みたいに思えて
本当の気持ちを隠した 悪い癖でしょ
どこに隠したのかも 忘れそう
笑うなら 笑ってよ


すれ違う想い 太陽が照らす
いびつな心も輝けるように
乱反射を 繰り返して 一縷の光 君に届け
吹き抜ける風に あたらしい私
ほどいたばかりの 髪をなびかせて
目を閉じれば 見える世界
広げた腕を 翼に変えて

足元のボール拾い上げて
笑顔で投げ返したけど
走って来た少年の頭上
彼方に消えた

胸の真っ直ぐな気持ちを
どこに投げたらいいのか
本当はいつでも分かってる なのに届かない
なぜか意識しすぎて ぎこちない
笑うなら 笑ってよ


高架線の上 電車が過ぎてく
あの頃の私 乗せて連れ去って
もし私が 変われるなら
今日の気がして 空を見上げた


失えないものを 胸の奥 思い浮かぶままに
数えていた 君が何度も 浮かんで来る Ah


すれ違う想い 太陽が照らす
いびつな心も 輝けるように
乱反射を 繰り返して 一縷の光 君に届け
吹き抜ける風に あたらしい私
ほどいたばかりの 髪をなびかせて
目を閉じれば 見える世界
広げた腕を 翼に変えて
明日へ 飛び立て


はじめに

『君に届くまで』とは2019年5月30日にネット上で公開された楽曲です。
Little Glee Monster(※以下 リトグリと表記)14thシングルとなる今作は
TVアニメ「MIX」のEDテーマともなっています。

「MIX」は伝説級の人気を誇ったアニメ漫画「タッチ」の約30年後のアナザース
トーリーとなっています。

『タッチ』から約30年後の明青学園はすっかり低迷していました。
そんな明青学園の野球部に入部した同い年の義兄弟である立花投馬・走一郎たち
が、上杉達也らを擁して以来の甲子園出場を目指すという物語になっています。

今作アニメが誕生したきっかけは「明青学園をもう一度、甲子園に連れて行って
ください」との担当編集者からの強い希望でした。

担当はちょうど達也たちの子どもが高校生になっている頃だと思い立ち、長年温めていた新連載の案を出しました。
しかし「タッチ」の生みの親であるあだちさんは常々自作の続編は描かないと公
言しており、あくまで同じ世界観と舞台の作品を依頼するに留めました。

こうして誕生したアナザーストーリーのアニメ視聴後を支えるリトグリですが、
作品の持つ「温かみ」を一切殺さずに見事に歌い上げていましたね。
「タッチ」の頃からの「懐かしさ」をも音楽性から感じ取ることができると同時
に包容力を感じさせるリズムが世界観を優しく包んでいるように感じました。

さてリトグリの今作MVについて少し触れておきたいと思います。
アニメED同様にメンバーと一緒に子供や大人の写真が登場します。
これは「人の成長過程」を演出しているのでしょう。
青春漫画の世界観を彷彿するのにふさわしい構成だったと思います。

写真には赤ちゃんから始まり高齢のおばあちゃんまでが映し出されています。
その過程では学生時代、就職、結婚、出産、海外旅行、死別など人生の実にさま
ざまな面が映し出されていました。

まさに今作は人間の生涯における「青春・成長・可能性」を歌っているのだと筆
者は考えました。

今作においてリトグリメンバーの一人からコメントが寄せられていましたのでご
紹介します。

<Little Glee Monster かれんコメント>
誰もが知っていて、老若男女に愛されている「タッチ」の世界観を受け継ぐ作品「MIX」の歌を担当させて頂けること、光栄に思います。
「タッチ」をリアルタイムで見ていない私達と同世代の子達にも、私達の歌がきっかけで届くといいなと思います。
作品に花を添えられるようリトグリらしく精一杯歌わせて頂きます。

https://www.nicovideo.jp/watch/sm34968491 ニコニコ動画 より

上記コメントから「作品を愛するすべての人たちに届ける」という願いと「作
品に花を添えたい」という意気込みを感じることができますね。
まさにそのような楽曲に仕上がっているなと筆者も心から思います。

それではさっそく気になる歌詞の考察を始めていきましょう。

タイトル『君に届くまで』とは

今作で押さえておきたい点は歌詞が限りなくアニメ「MIX」に寄せてある
という点でしょう。
「MIX」についてあだちさんは「タッチ」の続編ではないことを強く述べ
ています。

ですから今後の展開は全くの未定であり上杉達也と浅倉南は回想のみでの
描写であり、最終話後の動向は描かれていません。
ですから「君」という部分は「大切な人」を指すものの特定の人物に断定
することは難しいように思えます。

しかしながら今作のメインの2人、主人公「立花投馬」の幼馴染である「
大山春夏」が「君」だと考えるのは現段階では妥当であるとも思います。
それでも楽曲を聴いているすべての人にとって「君」で表現されている大切
な人は違いますから無理に断定する必要性は感じません。


『君に届くまで』歌詞の意味

学生時代―掴めない恋愛と雲を見つめて

制服でいつも歩いていた 河川敷ひとり寝転んだ
あの頃から少しくらいは いま大人になれているかな
いつだって追いかけてばかり 熱い夢や甘い恋の
後ろ姿しか見えなくて いつも不安で

歌詞冒頭では一人の主人公の「学生時代」に言及しています。
「制服でいつも歩いていた」という点から「お洒落にあまり
関心がない」「着替えなど少しのことでも面倒に思える」学
生特有の性質を描写しているように思えます(個人差あり)

そんな主人公は河川敷で一人寝ころんで空を呆然と見上げます。
いつものように「流れる雲」をただなんとなく見つめます。
同時に自分の夢や恋についてあれこれ考え出しました。
そんなときは決まって心は「不安」に駆られていったのです。

理由は「理想の相手との恋」について幾ら追及して考えても、
「空を流れる雲」のように掴みどころがなく自分から離れてい
くように感じていたからでした。

アニメ主人公の観点からすれば「甲子園」が夢となり恋の対象
は普段はあまり意識しない「幼馴染」なのかもしれません。
どちらも手を伸ばしてすぐに掴めるようなものではありません。
彼は考えるのをやめて家路に向かいました。

歌詞の中盤で「ほどいたばかりの 髪」という表現が出てきま
すからアニメ主人公として考察するなら主人公は「春夏」であ
り「君」は「投馬」になるかもしれませんね。


雲隠れした本心の太陽

なぜか素直でいることが
子供みたいに思えて
本当の気持ちを隠した 悪い癖でしょ
どこに隠したのかも 忘れそう
笑うなら 笑ってよ

主人公は色々考えているうちに一つの感情に
苛まれました。

「好き嫌い」や「こうしたい、したくない」
という素直な気持ちを表現することはなんだ
か「子供みたい」という感情です。

主人公は学生であり子供ですから子供みたい
に振る舞うのはとても自然なことです。
それでも背伸びをしたい年齢なのでしょう。
本心を心の奥底に押し込めてしまいました。

本心が出てきては押し込めるという作業を
繰り返すうちに自分でも本心がなんなのか
わからなくなってきたようです。

「自分にとっての大切なものってなに?」
「自分が一番やりたいことってなに?」
そんな疑問が頭をもたげるようになったの
でしょう。

主人公は大切な人に無理して背伸びした哀
れな自分を笑えばいいと苦笑いを浮かべた
ようです。

行き場の定まらない気持ち溢れて

すれ違う想い 太陽が照らす
いびつな心も輝けるように
乱反射を 繰り返して 一縷の光 君に届け
吹き抜ける風に あたらしい私
ほどいたばかりの 髪をなびかせて
目を閉じれば 見える世界
広げた腕を 翼に変えて

本心を隠し続けた主人公の心は「いびつな形」に
なっていました。
それでも熱い想いや夢を抱くことの出来る心であ
り輝きを多方向に放つのでした。

主人公の心を例証するなら「カットがずさんでい
びつなダイヤモンド」でしょう。
光の屈折で乱反射しますがカットが綺麗でないた
め完全な輝きを放つことができません。

それでも光の乱反射のうち一つでも「大切な人」
の心に届くようにと主人公は切望しています。
この場合、乱反射しているのは主人公の「素直
でまっすぐな気持ち、本心」を指すのでしょう。

「広げた腕が翼になる」という描写は主人公の
「青春時代における無限の可能性」を描写して
いると解釈しました。

そして「目を閉じて 見える世界」というフレ
ーズから目に映るものがすべてではないという
教訓を学んだ主人公の「成長」を表しているよ
うに感じます。

こうして主人公が感じる日々の葛藤は明日へと
はばたく力に変わっていくのです。
そしてその力はやがて「君に届くまで」成長し
ていくのでした。。

まとめ

青春時代の懐かしい思い出や気持ちがよみがえってくる
ような歌詞でしたね。
風の匂いや空の青さまで鮮明に思い描けるようでした。
非情にリアルでありキャッチ―な構成だったと思います。

皆さんも学生時代に多くの葛藤を経験してこられたと思
います。
筆者も幼い頃から通う学校もその後の生き方も決まって
いました。

そんな親のレールから自らの意思で脱線したために色々
な苦闘がありました。

筆者のぼやきはさておき、今作から「青春時代に経験し
た成長過程や無限の可能性」を全身に感じることができ
ましたね。

青春アニメで熱くなった心の温度が冷める前にEDで保温
するような働きが今作にはあるような気がします(笑)

リトグリの高い歌唱力と「多くの人に伝えたい」という
純粋な思いをMVからもたくさん受けることができました。
有難うございます。

彼女たちの今後の活動と次回作に期待し注目していきたい
と思います。