King Gnu『白日』歌詞の意味を考察・解釈

時には誰かを
知らず知らずのうちに
傷つけてしまったり
失ったりして初めて
犯した罪を知る

戻れないよ、昔のようには
煌めいて見えたとしても
明日へと歩き出さなきゃ
雪が降り頻ろうとも

今の僕には
何ができるの?
何になれるの?
誰かのために生きるなら
正しいことばかり
言ってらんないよな

どこかの街で
また出逢えたら
僕の名前を
覚えていますか?
その頃にはきっと
春風が吹くだろう

真っ新に生まれ変わって
人生一から始めようが
へばりついて離れない
地続きの今を歩いているんだ

真っ白に全てさよなら
降りしきる雪よ
全てを包み込んでくれ
今日だけは
全てを隠してくれ

もう戻れないよ、昔のようには
羨んでしまったとしても
明日へと歩き出さなきゃ
雪が降り頻ろうとも

いつものように笑ってたんだ
分かり合えると思ってたんだ
曖昧なサインを見落として
途方のない間違い探し

季節を越えて
また出逢えたら
君の名前を
呼んでもいいかな
その頃にはきっと
春風が吹くだろう

真っ新に生まれ変わって
人生一から始めようが
首の皮一枚繋がった
如何しようも無い今を
生きていくんだ

真っ白に全てさよなら
降りしきる雪よ
今だけはこの心を凍らせてくれ
全てを忘れさせてくれよ

朝目覚めたら
どっかの誰かに
なってやしないかな
なれやしないよな
聞き流してくれ

忙しない日常の中で
歳だけを重ねた
その向こう側に
待ち受けるのは
天国か地獄か

いつだって人は鈍感だもの
わかりゃしないんだ肚の中
それでも愛し愛され
生きて行くのが定めと知って

後悔ばかりの人生だ
取り返しのつかない過ちの
一つや二つくらい
誰にでもあるよな
そんなんもんだろう
うんざりするよ

真っ新に生まれ変わって
人生一から始めようが
へばりついて離れない
地続きの今を歩いて行くんだ

真っ白に全てさようなら
降りしきる雪よ
全てを包み込んでくれ
今日だけは
全てを隠してくれ


はじめに

『白日』とは2019年2月28日にネット上で公開された楽曲です。
僅か一週間で動画再生回数140万回を記録し高い人気を得ています。
日本テレビ系土曜ドラマ「イノセンス 冤罪弁護士」主題歌ともなっ
ています。

ドラマタイアップを強く意識しており歌詞全体もダークテイストに
仕上がっておりドラマに重厚感を加える役割をしっかり果たしてい
るように感じます。

今作の曲調は実に変化に富む構成となっており、歌い始めが平井堅
さんを連想させるような歌い方とピアノソロで切なさを演じていま
す。

徐々にドラムとFXが加わっていきラップで盛り上がっていくという
構成はファンを魅了し期待と興奮を高めることでしょう。

それではさっそく気になる歌詞の考察を始めていきましょう。

タイトル『白日』とは

「白日」には「照り輝く太陽」「真昼、白昼」と実に様々な意味があります。
しかし中でも「身の潔白」という意味が今回のドラマや歌詞の内容と合致し
ますので今回はこちらの意味がメインとなるかと思われます。

ドラマの内容は主人公が冤罪となった弱者の見方になって弁護するといった
ものです。
特に弁護される人たちの視点になって今回は考察していきたいと思います。
無実が証明される間、彼らは暗い闇の中に閉ざされていると言えます。

そんな彼らが主人公に助けられ無実を証明できた時に「白日」つまり身の
潔白が証明されるのです。
同時に牢屋から出られるということならば外に出て照り輝く太陽の下で自
由な生活を送れることでしょう。

彼らが白日を経験するまで後悔や苦闘する過程を歌詞から追ってみましょう。
さらに歌詞後半で違った角度から描写される「白日」にも注目してみましょう。


『白日』歌詞の意味

無自覚の罪

時には誰かを
知らず知らずのうちに
傷つけてしまったり
失ったりして初めて
犯した罪を知る

戻れないよ、昔のようには
煌めいて見えたとしても
明日へと歩き出さなきゃ
雪が降り頻ろうとも

ドラマに登場するほとんどの人たちは無自覚のうちに
罪を犯したあるいは犯したことにさせられていました。
本人が納得するしないに関わらず「罪」の重さを痛感
することになってしまいます。

始めは否定していた事実でも人や物が失われたことを
知ると自分の身に起きていることを自覚させられます。

平和裏に過ごしていた日々が嘘のように遠のいていく
のが全身を通してわかるのです。
平和で順調だった過去が煌めいたとしても戻ることは
できません。

今をそして明日を生きることしか選択肢はありません。
冤罪の状態にある人々にとって無実が証明されるまで
例え「雪が降る」足場の悪い道であったとしてもしっか
りと踏みしめて前進していかなければならないのでした。


闇の中で成し得る事とは

今の僕には
何ができるの?
何になれるの?
誰かのために生きるなら
正しいことばかり
言ってらんないよな

どこかの街で
また出逢えたら
僕の名前を
覚えていますか?
その頃にはきっと
春風が吹くだろう

無実が証明されるまでにできることは全くないように思えます。
自分の力では外にも出られず証拠を提出することもできません。
誰かのために生きたいとの願いは捨てずに握りしめていますが
それを実現させるためには正攻法ではいかないように思えます。

この部分の歌詞は弁護士の主人公視点にも感じられます。
弱者の立場にある人々のために今自分にできることは何か常に
自分に問いかけていたことでしょう。
無実を証明するためにはどんな手段も厭わない覚悟でいます。

冤罪となった人たちには家族や恋人がいたことでしょう。
事件のあった街以外のどこかで偶然あったときにまだ自分の
名前を覚えていて欲しいと、そしてそのころには春の順風が
吹くことを願っているのです。

雪が作り上げる白日

真っ新に生まれ変わって
人生一から始めようが
へばりついて離れない
地続きの今を歩いているんだ

真っ白に全てさよなら
降りしきる雪よ
全てを包み込んでくれ
今日だけは
全てを隠してくれ

無罪にされ新たな人生を始めてもすべてが元通りになる
わけではありません。
失った印象や長年張られたレッテルの影響にさらされる
こともしばしばです。

天を自由に羽ばたく鳥を夢見ていましたが今も地を這う
ような惨めさを引きずって歩いている人たちもいます。

本当に求めていた「白日」をあきらめ同時に降り積もる
雪が作りあげる「すべてを覆い隠すという」意味での白
日を願い求めるのでした。

自分の過去や惨めな気持ちを周囲の人、特に大事な存在
の前で露呈したくはないのです。


冷えた壁の向こう側―天獄?

朝目覚めたら
どっかの誰かに
なってやしないかな
なれやしないよな
聞き流してくれ

忙しない日常の中で
歳だけを重ねた
その向こう側に
待ち受けるのは
天国か地獄か

冤罪の状況下にある人であれば一度は願うことがあります。
それは「目覚めたら別の誰かに生まれ変わっていたい」です。
不利な状況を脱却したいという心理が働くのでしょう。

実際にある冤罪事件を調査してみると青春時代を牢屋の中で
消化し老人になってから無実が証明され釈放されたという事
例もあります。

「歳だけを重ねた」その人にとって牢屋の壁の向こうの生活
は「天国かそれとも地獄か」と歌詞は疑問を投げかけてます。
筆者が思うに天国のような日もあれば地獄のような日もあり
まさに両方をとった「天獄」なのではないかと思いました。

人間は不完全

いつだって人は鈍感だもの
わかりゃしないんだ肚の中
それでも愛し愛され
生きて行くのが定めと知って

後悔ばかりの人生だ
取り返しのつかない過ちの
一つや二つくらい
誰にでもあるよな
そんなんもんだろう
うんざりするよ

「肚(はら)」とは腹の内などを意味する漢字です。
誰も目に見えない腹の内を完全に理解することはでき
ないという意味だと思います。
理解できないから他者と問題になるということですね。

続く歌詞では人間の作りや傾向について一つの結論を
出しているように感じます。
それは「人間は不完全」で間違いを犯す生き物だとい
結論です。

賢くても経験があっても老若男女問わず間違いを犯す
のだと歌詞は歌っているのです。
罪の正当化というよりも事実を述べているフレーズで
あることを理解できます。

こうした事実や思考、惨めな気持ちをすべて埋め尽く
すように空からは白い雪が降り注いでいくのでした。

すべてを白く染める雪、そう罪も真実でさえも。

まとめ

タイトル「白日」や色褪せてしまった過去を意識してか
MVは終始「モノクロ」で表現されていました。
King Gnuさんの歌声や演奏が繊細な物悲しさ、無力さを
巧みにリスナーに伝えていたと感じました。

今を順調に生きているだれもが「取り返しのつかないこと」
また「人生を一変させてしまう経験」をするかもしれません。
そうしたことに巻き込まれないことを願うばかりですが、す
でに経験されたことある方は特に共感できる歌詞だと思います。

King Gnuさんの今後の活動と次回作に期待し注目していきたい
と思います。