神様、僕は気づいてしまった『名前のない青』歌詞の意味を考察・解釈

孤独の内に溜め込んだ空想の類
どうしたってずっと言葉にできずに
幼さ故、小さなこの両手から溢れて
ついにはキャンバスを埋め尽くした

水平線から滲むようで
冷え切った頬を伝うような
暖かなその色が僕の声になっていく

想像が現実を凌駕して、重く垂れた雲が散った
その景色を遺せたなら
千年後の知らない誰かの目に、僕の声が突き刺さるような
鮮やかな色、それはまだ名前のない色

孤独の内に溜め込んだ空想の類
誰かと分け合うことすらできずに
心の奥底で今も蠢いてる
名前を持たないこの感情をなんと呼ぼうか

忘れないように
失くさないように

明日を憂いた春のようで
この身に走る脈のような
柔らかなその色で僕は僕になっていた

真っ白なキャンバスにぶつけた未来は、
いつしか命になって、僕が生きた証になる
千年後の知らない誰かの生を、根底から覆すような
鮮やかな色、息を飲むほど美しくて
きっと、それはまだ名前のない青だった

歌詞考察の前に

人気ロックバンドである「神様、僕は気づいてしまった(以下、神僕と表記) 」の楽曲『名前のない青』MVが2020年1月10日にネット上で公開され、デジタルシングルがリリースされました。
現在の動画再生回数は10万を超えており未だ伸びを見せています。

同曲は NHK総合テレビアニメ「映像研には手を出すな!」エンディングテーマ となっています。

同アニメは大童澄瞳さんによる漫画を元に作られています。

考察に関係するのでアニメのあらすじをご紹介しておきたいと思います。

高校1年生の浅草みどりは、アニメーションは「設定が命」と力説するほどのアニメ好き。

スケッチブックに様々なアイディアを描き貯めながらも、

1人では行動できないとアニメ制作への一歩を踏み出せずにいた。

そんな浅草の才能に、プロデューサー気質の金森さやかはいち早く気づいていた。

さらに、同級生でカリスマ読者モデルの水崎ツバメが、実はアニメーター志望であることが判明し、

3人は脳内にある「最強の世界」を表現すべく映像研を設立することに……

http://eizouken-anime.com/story/intro/

あらすじ冒頭で主人公がモットーにしている「設定が命」という部分や「アイディア」などをキーワードとして考察していけたらと思います。

MVの内容にも注目してみたいと思います。

イントロ開始と同時に神僕メンバーが演奏を開始します。
この時点でメンバー全員と舞台は「白黒」で統一されています。
モノクロの世界がなにかを物語っているようです。

シーンは切り替わり1人の男性が真っ新なボードに向かってスプレー(白黒)で何かを書きなぐります。

基本的には上記2シーンの交互がメインとなってMVは構成されています。

しかし2分24秒から大きな変化が生じます。
それまでずっとモノクロで表現されていた世界観にタイトル「青」を含む色が加えられていくのです。

モノクロからカラーになったことにはどんな意味があるのでしょうか。
歌詞考察の中でそうした点も含めながら説明していきたいと思います。

それではさっそく気になるタイトルや歌詞全体の考察を始めていきましょう。

タイトル『名前のない青』とは

タイトルに含まれる「青」から筆者は次のようなものを連想しました。

・主人公たちが初めて抱く感情
・青写真

歌詞中にはヒントとなる「名前を持たないこの感情をなんと呼ぼうか」というフレーズがあります。

ですから1つの解釈として主人公たちの「感情」とすることができます。
そして「名前を持たない」とありますから「初めて抱く」ものであったことも理解できます。

もう1つの解釈は「青写真」です。

青写真には「鉄塩の化学反応を利用した写真・複写技法で、光の明暗が青色の濃淡として写るためこう呼ばれる」というカタイ説明がありますが、それらを軽やかにスルーしたいと思います。

上記をもとに「青写真を描く」という言葉が使用され「未来の構想、完成予想図」などの意味を持つようになりました。

ですから筆者はタイトルの『青』「未来」また「予想」として解釈しました。

『名前のない』という表現は「未体験」「未発見」の要素を感じた主人公をイメージさせられます。

2つの解釈を併合して考えるとタイトルには「主人公たちが抱く初めての感情が未だ見ぬ未来、完全に予想できない未来を描いた」という意味があると思います。

また「青色」は、清く淀みない流れをイメージさせ「真面目」「誠実」「信頼」「真心」「献身」「透明性」を感じさせる色だとされています。

アニメの登場人物たちは作品制作に真面目に且つ誠実に取り組んでいきます。
また互いを信頼し合っています。

そして一つ一つの設定やイラストなどを真心込めて献身的に生み出していきます。

登場人物たちのそのような姿勢と活動は完成された作品を通して多くの人たちの知られるところとなります。
こうした点からも透明性を感じることができます。

『名前のない青』歌詞の意味

カタチの無いもの抱いて

孤独の内に溜め込んだ空想の類
どうしたってずっと言葉にできずに
幼さ故、小さなこの両手から溢れて
ついにはキャンバスを埋め尽くした

今回の考察ではアニメ主人公たち(3人の女性)を主軸に進めていきたいと思います。
ネタバレを限りなくなくしたいのですが、漫画内の台詞を一部用いて考察していきますのでご了承ください。

歌詞冒頭の「孤独の内に」という部分から考えてみましょう。

アニメあらすじにもあったように主人公の浅草みどりには夢がありましたが「1人では行動することができません」でした。
彼女は夢を共有できる仲間がいない寂しさを感じながらも、自身の脳内に湧き上がる空想つまり「設定」をストックしていきました。

MVのモノクロの描写は主人公の孤独や設定段階の白黒ノートを表現していると筆者は解釈しました。
またイメージが自身の想うように彩られていない様をも表現しているようです。

「キャンバスを埋め尽くした」の部分は、「設定」がひとたび浮かべばノートを取り出し設定画を描く浅草みどりを連想させます。

この点はMVで1人の男性がボードに向かってひたすらスプレーで書きなぐっているシーンと重なります。

味わったことのない感情

水平線から滲むようで
冷え切った頬を伝うような
暖かなその色が僕の声になっていく

この部分からは主人公たちが今まで味わったことのない感情を抱いたことを理解できます。

「水平線から滲むようで 冷え切った頬を伝うような」とはどんなシーンを伝えているのでしょうか。

筆者は人生で2度限りの「朝日を見た」経験を思い出しました。
辺りは真っ暗で頬を冷え切った風が撫でるのを今でも覚えています(帰りたい×3)

早起きを苦手とする筆者を感動までに追い込んだのは水平線から顔を覗かせた朝日でした。

思わず「綺麗」と声に出し畏怖の念に打たれていました。

そのような感覚を主人公たちも抱いていたのだと考えました。
1人で夢を叶えようとしている時の孤独の寒さ、そこから仲間たちと語らい感じる創作力の熱意。

おもわず「素晴らしい」と感情が声に変換されてしまう様子を容易に想像できます。

現実を凌駕する想像

想像が現実を凌駕して、重く垂れた雲が散った
その景色を遺せたなら
千年後の知らない誰かの目に、僕の声が突き刺さるような
鮮やかな色、それはまだ名前のない色

ここでは主人公たちの頭の中の「想像」が現実を超えていく様が綴られています。

主人公たちは設定、人物、模型、舞台設定などの分野で想像を膨らめていきます。

作品の中では実際に空飛ぶメカや滝を作るなどの想像が見られます。
こうした想像から空を飛べないはずの3人が実際に空を飛んでいるかのような体験をします。

想像の中では実際に滝が存在しない場所においても滝が流れていきます。
このようにして想像は現実を凌駕していきます。

主人公たちは自分達の作品が「千年後の知らない誰か」の目に留まることを期待しているようです。

出来上がった作品は主人公たちの温かで時に熱い感情であり、それで形成されたものなのです。

しかし作中での台詞にもあるように「なんとなく遠くに」「なんだか知らんが、面白くなってきやがった」など鮮明さと同時に漠然とした感覚も主人公たちは抱いています。

その点が「鮮やかな色、それはまだ名前のない色」で描写されているように感じます。

個性を見出し活かす

明日を憂いた春のようで
この身に走る脈のような
柔らかなその色で僕は僕になっていた

「明日を憂いた春のよう」とは冬解けを待つ春の草木をイメージさせます。

「まだかまだか」と憂う春の草木のように主人公たちも自分たちの作品が世に知れ渡り脚光を浴びるのを願っています。
そうした願いは興奮と期待感を生みだし全身を巡る脈のように広がっていったのでしょう。

「僕は僕になっていた」とは主人公たちが自分の「個性」を確かに見出し活かし始めたことを表現していると読み取りました。

そしてこの部分の歌詞が歌われると同時にMVでは「青」を含むカラーが加えられていきます。

ですからMVのカラーの描写主人公たちが個性を見出し活かし始めたことを意味するのだと解釈しました。

未だ見ぬ未来

真っ白なキャンバスにぶつけた未来は、
いつしか命になって、僕が生きた証になる
千年後の知らない誰かの生を、根底から覆すような
鮮やかな色、息を飲むほど美しくて
きっと、それはまだ名前のない青だった

「真っ白なキャンバス」は主人公たちが1人孤独に感じていた頃を指すのでしょう。

何もない状態から3人は、自由な発想と温かで熱意のこもった感情をぶつけて未来を描いていきました。

今は付加価値のない未来かもしれず誰からも認められない未来かもしれません。
しかし「いつか命、つまり自分達の生きる理由になって生きた証になる」と信じています。

主人公たちの目前に広がるイメージの中の未来は鮮やかではありますが未完成です。

将来、遠くない未来に自分達の初めて抱いた感情と未完成の未来が何であるかを定義付けることができたのであれば未来は完成するのかもしれません。

1つの真実として3人の主人公の想像の中には鮮やかな青で構成された名もなき未来が空のように広がっているということです。。

まとめ

いかがだったでしょうか。
誰しも幼いころに想像を膨らませて形にしたいと願ったでしょう。
音楽、ゲーム、漫画、小説など幅広い分野で自分のアイディアを活かせないかと試行錯誤したかもしれません。

いつもの余談ですが筆者はRPGツクールシリーズに何百時間を費やした思い出があります。
自身の作品が世に出ることも評価されることもないのですが、制作中は胸の踊る感覚を味わっているのです。

主人公たちも目に見るすべてのものに、また見えないものに興奮し創作意欲を掻き立てていました。
同じ目的を持つもの同士の共同制作はたまらないですね。

またアニメの世界観を忠実に再現しつつ神僕らしさを表現させた和泉りゅーしんさんに感謝します。

癖になるロックチューンとハイトーンな歌声にも惹きつけられました。
神僕の今後の活動と次回作に期待し注目していきたいと思います。

素敵な作品をありがとうございました。

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