indigo la End『チューリップ』歌詞の意味を考察・解釈

染まりきった私
今更変えられない色
物語った私
あとがきへの助走ルート
振り解いたあなた
情がちょっと見え隠れ
それだけでもう終わりなの?
散文的な変わり目

優秀賞なんていらない
過去になっていくあなたの
置き土産の色が濃くなって
ひたすら苦しいよ

さよならが
もうどうにもならないなら
せめて私を寒くなさって
あなたが切った夜は
少し大きすぎた
雲ゆきは
ずっとわかってたけど
一縷の光に期待してたの
私馬鹿だからさ
まだ願いたいよ

色を変えたあなた
壊れきった私を見て
差し出そうとした手を
引っ込めた
そう見えたの

憂愁に閉ざされてた
そんな時に励まされるのも
あなたの記憶だった
苦しいな
苦しいな

終われないって私がいくら喚いたとて
あなたは首を横に振る
冷たくなった光
やけに青白くて
過去にならなきゃ2番目でも構わないって
口を開こうとしたけど
閉じてしまったものは
もう戻らなくて

2つに割れた夜に
移ろうチューリップの香り
夢を満たして涙を誘うよ

私には
もうどうにもできないから
あなたの袖を掴むことくらいしかできない

さよならが
もうどうにもならないなら
せめて私を寒くなさって
あなたが切った夜は
少し大きすぎた
赤かった2人は今日で終わって
雪に混じり合った
あなたの望む色になった
ああ、寒いな

歌詞考察の前に

今回は人気ロックバンドである indigo la End の楽曲『チューリップ』を考察していきたいと思います。

今作から筆者が特に感じ取った点は以下の通りです。

・変わりゆく愛の形と性質

上記の点を続く楽曲紹介と共にお話できたらと思います。

『チューリップ』のMVが2020年3月26日にネット上で公開されました。
動画再生回数は公開から僅か3日で30万を超える人気ナンバーです。

また同曲は メジャー6枚目となるフルアルバム『夜行秘密』に収録されています。

今年1月30日、31日には “ONEMAN HALL TOUR 2019-2020「心実」”のツアー・ファイナルを中野サンプラザで開催した彼らは、終演後に同アルバムを“涼しくなる頃”にリリースすることを発表していました。
興味深い表現ですね(笑)

MVの内容と曲調に注目してみましょう。

今作はタイトルとなっている「チューリップ」が映し出されるところからスタートしています。
色鮮やかな赤いチューリップの美しさに思わず目を奪われてしまいました。

しかし映像が進んで行くと赤いチューリップは白い液体に染められていきます。
最終的に白いチューリップになったところで映像は終わっています。

筆者はこの描写から前述でも述べたように「愛の形と性質の変化」を感じ取りました。

楽曲で花が登場する場合「花言葉」は欠かすことのできない考察要素となります。

特にチューリップは色によって花言葉が大きく異なるのです。
色ごとの花言葉を下記にまとめてみました。

・赤いチューリップ―愛の芽生え,誠実な愛,愛の告白など

・白いチューリップ―失われた愛

こうして比較すると色によって意味が大きく異なることを理解できます。
花言葉からもわかるように、登場人物の愛が最初の状態から形と性質を変えていったことがわかります。

誰の愛がどのように変化していったのでしょうか。
続くタイトルと歌詞全体の考察からご一緒に紐解いてみましょう。

タイトル『チューリップ』とは

前述の花言葉のくだりでだいぶ説明してしまいましたね。
色に関係なくチューリップの花言葉には共通して「思いやり」という意味があります。

つまり今作のチューリップは登場人物の思いを描写していると解釈できます。
誰しも初めは人を思いやる気持ちを持っているものです。
しかし時間経過やさまざまな要素を経てそうした思いに変化が生じます。

今作の場合は赤と白で明確に「愛」をテーマにしています。
それらがどのように変化していくのかを歌詞から注目していきましょう。

『チューリップ』歌詞の意味

赤く染められたのに

染まりきった私
今更変えられない色
物語った私
あとがきへの助走ルート
振り解いたあなた
情がちょっと見え隠れ
それだけでもう終わりなの?
散文的な変わり目

今回は一人の女性を主人公にして考察を進めていきたいと思います。

歌詞冒頭から彼女には「あなた」という大切な男性がいることを理解できます。
歌詞全体から2人は交際していたと見て間違いないでしょう。

「染まりきった私」と表現されているように彼女は彼の望む人物になるよう努めてきました。
また彼に夢中になった、またはどっぷりはまってしまったとも言えるでしょう。
この時点ではMVの「赤いチューリップ」のような状態です。

彼女は彼に「愛を芽生え」させ「誠実な愛」を抱いていたのでしょう。
交際当初は彼も同じような状態だったと言えます。

続く歌詞を見ていくと「二人の愛の強さと関係性の深さ」1つの文学作品として例えていることも理解できます。

彼女は自分たちの恋愛が小説のクライマックスに差し掛かっていること、そしてあとがきへと息を弾ませていることを綴っています。

しかし彼女の脳裏で描いていた順調な起承転結に異変が起こりました。
まるで誰かが勝手に「転結」の部分を書き換えたかのような展開になったのです。

歌詞では「情がちょっと見え隠れ」というヒントが与えられています。
これは彼女が彼の「愛情」になんらかの変化を感じ取ったことを示唆しています。

続く「散文的な変わり目」とはどういう意味でしょうか。
「散文的」とは形式に捉われない、味気ない、冷淡あるいは無粋なとも理解されています。
あまり良い意味では使用されないことが伝わったと思います。

筆者の感覚的な捉え方では「雑で粗野な」という感じですが。。

上記の2人の会話を想定すると下記のようになるでしょうか。

彼「んーなんか好きじゃなくなったかも(散文的な発言)

彼女(頭の中)「えっ?なんかってなにそれ。いまさらそんな、だってあんなに愛し合ってこれからはもっと愛を深めて、ぇえーめちゃくちゃ!」

少なく見積もっても彼が彼女に対して誠実で丁寧な対応をしたとは思えません。

心痛を伴う置き土産

優秀賞なんていらない
過去になっていくあなたの
置き土産の色が濃くなって
ひたすら苦しいよ

ここでは彼女が彼から与えられたものに心痛を感じていることを理解できます。

彼女は彼の愛がMVの白いチューリップのように変わっていくのを実感しています。
その点が「過去になっていくあなた」つまり誠実な愛を抱いていた頃の彼ではなくなっているというフレーズが裏付けています。

しかし依然として真っ赤に染まったチューリップのように彼女は彼色にどっぷり染まっており忘れることなどできません。

自分の書き上げていた物語に「優秀賞」が与えられるところを皮肉を交えて想像しています。

優秀賞は秀逸性や実力が認められた作品に与えられるものです。
客観的に見れば彼女の現在の恋愛小説における転結は「優秀賞」に値するかもしれません。

しかしそんな賞も結末も彼女は望んでいないのです。
彼女が望んでいるのは彼から受ける誠実な愛だけです。
彼女の心は彼の不誠実に苦しみ出しました。

長過ぎる夜―差さない光

さよならが
もうどうにもならないなら
せめて私を寒くなさって
あなたが切った夜は
少し大きすぎた
雲ゆきは
ずっとわかってたけど
一縷の光に期待してたの
私馬鹿だからさ
まだ願いたいよ

ここでは彼女の張り裂けそうな気持ちが表現されています。

「さよならがもうどうにもならない」とは決別する以外に選択肢がないという意味だと思われます。
結果が変えられないことを悟った彼女は「せめて私を寒くなさって」つまり冷たく突き放してと願っています。

中途半端に示される優しさは彼女を深く傷つけるだけだからです。
「あなたが切った夜」とは2人で過ごしてきた夜のことだと考えられます。
ですからそれを切るとは「夜を2人で過ごせなくなること」であり、1人で過ごす夜が長く孤独であると彼女が痛感したことを読み取れます。

「雲ゆきはずっとわかってた」という表現から彼の愛情が変わっていたことを以前から気づいていたようです。

それでも自身の中で理想的な展開を小説のように組み立て「一縷(いちる)」つまり1本の細い糸のような希望の光を信じて頑張ってきたのです。

彼の気持ちがもう一度自分に向く可能性が無いことを実感してしまっているのに、まだ信じてしまっている自分を「馬鹿」だと言っています。
彼女の一途さが胸を打ちます。

差し控えられた救済

色を変えたあなた
壊れきった私を見て
差し出そうとした手を
引っ込めた
そう見えたの

ここでは彼の愛情が完全に別の形また性質のものに変化したことを綴っています。

「色を変えたあなた」とあるように彼はMVの白いチューリップのように彼女に対する「愛を失って」しまったのです。

彼は理想とは反対の結果を目にして壊れてしまった彼女を見て慰めの言葉をかけようとしたのでしょう。
しかし「差し出そうとした手を引っ込めた」とあるように彼女にかける言葉や助けになることはもはや行うことはできませんでした。

彼女の目にもそのように映り愕然としたことでしょう。

憂鬱さと優しさに嬲られて

憂愁に閉ざされてた
そんな時に励まされるのも
あなたの記憶だった
苦しいな
苦しいな

ここでは彼女が抱く複雑な気持ちが表現されています。
彼の不誠実が色濃くなり決別を覚悟しなければならない彼女は不安を抱えています。

消極的な気持ちが蛇のように全身を取り巻き憂鬱にさせます。
同時に以前の2人で過ごした楽しい思い出や彼の優しい言動や行動が彼女を励まします。

憂鬱な気持ちにさせるのも励まされるのも彼が要因となっています。
彼女は2つの感情に嬲られ息もできないほどの苦しさを感じたに違いありません。

失われた愛の熱

終われないって私がいくら喚いたとて
あなたは首を横に振る
冷たくなった光
やけに青白くて
過去にならなきゃ2番目でも構わないって
口を開こうとしたけど
閉じてしまったものは
もう戻らなくて

ここでは彼女の彼を諦め切れない気持ちが表現されています。

彼女はこれまでの関係を終わらせたくないと彼に何度も喚くように訴えたとしても、彼が首を横に振って拒否するだろうと述べています。
彼にはもう以前の関係に戻る気はまったく無いようです。

彼の愛が冷め切っていることを「冷たくなった光」で描写されています。
これは青白い光を放つ「冷光(ルミネセンス)」のことかもしれません。
高熱を発しない光のように彼も彼女に向けて愛を感じさせないというニュアンスで用いられているように思えます。

それでも彼女は「過去」つまり2人の関係が過去のものになるくらいなら「2番目でも構わない」と思いました。
このフレーズから彼の愛情が別の人に向けられていることが確定しました。

彼の心は閉じたチューリップのように閉ざされ彼女の前で開かれることはありませんでした。
彼女もそれがはっきりわかったので口を固く閉ざしたのです。

移ろう香り

2つに割れた夜に
移ろうチューリップの香り
夢を満たして涙を誘うよ

私には
もうどうにもできないから
あなたの袖を掴むことくらいしかできない

ここでは「チューリップの香り」が移ろうと述べられています。
実際チューリップは環境によって香りが変化するようです。
種類によっても異なりますが「柑橘系のように酸っぱい」「ハーブのようにすっきり」「好ましくない匂い」など表現はさまざまです。

2人の関係が順調だったころはハーブのような爽快さが漂っていたことでしょう。
しかし決別を目前に控えた今の関係には恋愛の酸っぱい面や不穏な空気が漂っていたことでしょう。

彼女はもうすぐ訪れる別れをなんとか引き伸ばそうと彼の「袖を掴もう」と必死になります。

雪のような白さ

赤かった2人は今日で終わって
雪に混じり合った
あなたの望む色になった
ああ、寒いな

ここでは2人の愛が完全に冷めたことが綴られています。
「雪に混じり合った」と表現されているように互いへの愛は完全に失われてしまいました。

彼女のほうは不本意ですが、好きだった彼の次の幸せのために自らの愛を捨てたのです。

「あなたの望む色になった」というフレーズは、彼女が彼の心の中に「自分をこれ以上愛さないで欲しい」と願っていることを理解したことを示しています。

彼を諦めた瞬間、彼女の心と身体は冷え切りました。
心の空白と言葉にできない虚無感が彼女を襲っているのです。

それでも他人思いの彼女は好きだった人の幸せのために自分は最善を尽くしたのだと言い聞かせたと思われます。
そんな彼女の一途さと誠実な気持ちも彼を引き止めることはできませんでした。。

まとめ

いかがでしょうか。
最後までドロドロとした内容に仕上がってしまいました。
筆者の頭の中では救いようの無いバッドエンドだったのですが、考察の仕方によってはもう少しやりようがあったかもしれません(汗)

気持ちの移り変わりは自然な現象とも取れますが相手にとっては残酷ですね。
気持ちを偽って交際を続けることもできませんが、相手を傷つけずに決別するのこともできないでしょう。

チューリップの色だけでここまで2人の愛の形や性質を表現するなんて見事ですね。
富山にはチューリップ園という名所があるのですが、白と赤のチューリップの見方がガラッと変わりそうです。。

indigo la Endの今後の活動と次回作に期待し注目していきたいと思います。
素敵な作品をありがとうございました。

ここまで記事を読んで下さりありがとうございました。

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