いきものがかり 『風が吹いている』歌詞の意味を考察・解釈

時代はいま 変わっていく 僕たちには願いがある
この涙も その笑顔も すべてをつないでいく

風が吹いている 僕はここで生きていく
晴れわたる空に 誰かが叫んだ
ここに明日はある ここに希望はある
君と笑えたら 夢をつなぎあえたなら
信じあえるだろう 想いあえるだろう
この時代を 僕らを この瞬間(とき)を

言葉にできないこと 涙が溢れること
ふるえる心で感じたすべてが
僕のいままでをつくってきたんだ
出会いと さよならとが 決意(おもい)を強くさせた
手を振り誓った あの日があるから
僕らはここにいるんだ

優しい歌 聴こえている 背中を押す言葉がある
このいのちよ この一瞬よ 誰かの光になれ

風よ吹いていけ 君とともに生きていけ
晴れわたる空が 悲しくなる日も
ひとりじゃないんだ 声はそばにある
君と笑いたい 夢を分かちあいたくて
歌いあえるように 奏であえるように
この時代を 僕らを この瞬間(とき)を

強さを手にするより 弱さを越えたいんだよ
守りたいものから 逃げたくないんだ
つぼみはそこにあるんだ

愛しいひと 忘れはしない 胸にやどる誇りがある
このさだめよ この勇気よ 僕らの望みとなれ

風のなかにいる ここに陽はまた昇るよ
ぶつけあう日々に こたえを築こう
この時代を たがいを この瞬間(とき)を

たくされた“今”がある 歩むべき道がある
はじまりのつづきを 生きている
この胸のなかに きずなはあるんだよ ずっと ずっと

風が吹いている 僕はここで生きていく
晴れわたる空に 叫びつづけよう
新しき日々は ここにある ある
風よ吹いていけ 君と夢をつなぎたい
愛しあえるだろう つくりあえるだろう
この時代を 僕らを この瞬間(とき)を

La La La…

歌詞考察の前に

『風が吹いている』とは 人気音楽グループ「いきものがかり」の 24作目のシングルとして2012年7月18日にリリースされました。

1曲収録のシングルは、タイアップがオリンピック放送のテーマソングで開催地がロンドンであることに由来し610(ロンドン)円となっています(笑)

翌年8月7日には同曲のMV(ショートバージョン)が公開されています。
現在では300万近い動画再生回数を記録しています。

同曲は「NHK ロンドン2012」 放送テーマソングとなっています。

テーマソングにいきものがかりが選ばれた理由をNHKは次のように述べていました。

・最高の一瞬に挑む選手たちへの共感や感動を表現できるアーティストであること

・世代を超えて支持を受けるアーティストであること

さらに「まっすぐな歌声で一瞬にかけるアーティストの気持ちを素直に表現し、応援するわたしたちにも元気を与えてくれる楽曲になるものと期待しています」とコメントしていました。

まさにいきものがかりは適役であり、すべての条件に合致していますね。

いきものがかりのキャッチーさと幅広い年齢層から愛されている点は誰もが認める点でしょう。

ボーカルの吉岡聖恵さんの明るく力強い歌声に勇気づけられ鼓舞されてきた方も大勢いらっしゃるのではないでしょうか。

今作についていきものがかりのメンバーからコメントが寄せられていましたのでご紹介します。

◆水野良樹(リーダー,ギター)

「選手にとって、応援する人々にとって、そして日本にとって、“強き想い”とともに臨むものになると思います。その瞬間に音楽でかかわれるということに、心からの喜びと誇りを感じています」

◆ 山下穂尊(ギター)

「一日本人として恥じない作品を創作できるよう努力したい」

◆ 吉岡聖恵(ボーカル)

「心を込めて歌い、選手の方々に寄り添えるような楽曲を届けていきたい」

https://www.oricon.co.jp/news/2008943/full/   ORICON NEWS より

3人のコメントから今作に対する意気込みを十分理解することができます。

「強き想い」「日本人として恥じない作品」「選手に寄り添う」そんな楽曲であることも把握できました。

作詞・作曲を水野良樹 さんが、 編曲を亀田誠治さんが担当しています。
オリンピックのタイアップだけあって7分44秒の超大作となっています。
選手全員に向けられた想いの多さとスケール感を時間の面からも実感できますね。

今作を制作するにあたり水野良樹さんは、2004年のアテネオリンピック のNHK放送テーマソング「栄光の架橋」 (ゆず)をかなり意識したとのことです。

水野良樹さんは「五輪はその時代の象徴。二度と訪れない一瞬を、その時代に生きる人たちで共有できればとの思いを込めた」と述べていました。

またMVに登場する競技場は「栄光の架橋」MVと同じく埼玉県熊谷市にある熊谷スポーツ文化公園陸上競技場で撮影されています。

今作MVではグラウンド中心にていきものがかり、そして彼らを取り囲むオーケストラ演奏者とたいへん豪華です。

どこまでも広がっていくような豊かなサウンドに吉岡聖恵さんの背中押すような力強い歌声が寄り添います。

それではさっそく気になるタイトルと歌詞を考察していくことにしましょう。

タイトル『風が吹いている』とは

歌詞全体を考慮するとタイトルの「風」「時代の流れ」を示唆しているのだと解釈しました。

歌詞中で主人公が述べている「ここで」「ここに」が指すものが文脈の「時代」と関連し合っているように思えたからです。

今作は2012年の時代の流れの中でオリンピック選手たちが、そしてそれを見守る観客たちベストを尽くしていく様を伝えているのだと筆者は考えました。

『風が吹いている』歌詞の意味

時代と願い

時代はいま 変わっていく 僕たちには願いがある
この涙も その笑顔も すべてをつないでいく

今回は特定の主人公を登場させません。
主にオリンピック選手、そしてそれを見守る観客と照らし合わせて考えていきます。

歌詞冒頭では「時代が様変わり」していく様子が伝えられています。
タイトルと重ねるなら「風向きが変わった」ということになるかもしれません。

オリンピックと聞くとスポーツというイメージが湧き上がりますが、その時期は過去を振り返る機会となります。

思い起こされるのは2012年12月7日に発生した三陸沖地震です。
順風満帆に感じていた人たちにとってまさに風向きが変わった瞬間となりました。

この先どうなるのだろうと不安を感じた方も多い時期だったと思います。
オリンピック選手の中にも実家が被害に遭われた方もいらっしゃったと考えられます。

その中での厳しい練習や試合に向けて集中するのは容易ではなかったでしょう。

それでもすべての人たちには「願い」がありました。

震災を含む生活上の困難に決して負けないという願いです。
また試合でライバルに絶対に負けないという願いです。
そして「自分自身」に負けないという願いもすべての人が持ち続けていたことでしょう。

そうした願いがすべての人を1つに繋いでいくのです。
オリンピックがそのような機会になることが毎年望まれています。

このようにある人の願いは別の人へと伝わり、時代から新たな時代へとバトンタッチが行われているのでしょう。

やまない風

風が吹いている 僕はここで生きていく
晴れわたる空に 誰かが叫んだ
ここに明日はある ここに希望はある
君と笑えたら 夢をつなぎあえたなら
信じあえるだろう 想いあえるだろう
この時代を 僕らを この瞬間(とき)を

ここではタイトルが歌われています。
文字通りの「風」は自由に吹いてどこまでも進んでいきます。

同じように時代は、特に2000代に突入してからは自由化が進んでいます。
積極的に捉えるならば「自身の可能性を試すチャンス」に恵まれた時代です。

そんな時代を無駄にしないよう一生懸命に生きて行くことが「僕はここで生きて行く」というフレーズで表現されているように感じます。

辛いことを数えればキリがありません。
それでも歌詞では「明日はある ここに希望はある」と積極的な面が綴られています。

さらに「夢」「信じあえる 想いあえる」という部分にも前向きさが見られます。

前向きというとオリンピック選手を筆者はイメージしました。
後ろ向きながら競技に臨む選手はいないでしょう。
これは日常生活で奮闘する人たちにも求められることです。

消極的なことばかり考えて後ろ向きになるのではなく、積極的な姿勢で前を向き生きて行くというメッセージ性を歌詞から読み取ることができます。

悲しみの山、頂から見える景色

言葉にできないこと 涙が溢れること
ふるえる心で感じたすべてが
僕のいままでをつくってきたんだ
出会いと さよならとが 決意(おもい)を強くさせた
手を振り誓った あの日があるから
僕らはここにいるんだ

オリンピック選手にも観客1人1人にも「言葉にできないこと 涙が溢れること」がたくさんあることでしょう。

選手であれば「食べ物や娯楽」における制限は計り知れないでしょう。
「自由」と「休息」は誰しも願っているものです。
しかしそのほとんどを選手たちは犠牲にしています。

それは「言葉にできない」そして「涙が溢れる」要因となるでしょう。
怪我をして試合に出られない選手のことも考えると「涙」の表現も理解できます。

また前述で取り上げた震災などの例も考えると、選手たちを見守る観客の中には多くの悲しみを乗り越えようとした人たちがいるでしょう。

「出会いと さよなら」とは人との一時的な別れ、もしくは永遠の別れをも意味しているのだと解釈しました。

筆者も何年か前に祖母を、最近では祖父を亡くしました。
悲しみにのまれた時期、今も乗り越えようともがいている時期がこの部分と重なりました。

きっと筆者だけでなく、多くの人が出会いとさよならを経験しているのでしょう。

自身の悲しみに負けないように「決意を強くしてる」のだと思います。
「手を振り誓った」という部分は、愛する人たちのもとを離れて1人で強く生きて行くという表現のようです。

それでも「僕ら」とあるのは、世界のどこかで決意を強くしようと志す仲間がいることを思い起こさせているようです。

刹那の輝き

この時代を 僕らを この瞬間(とき)を

歌詞のラストには「時代」「瞬間」という用語が用いられています。

「時代」とは長い期間を指して用いられるものです。
対して「瞬間」とはとても短い時を指します。

これは「僕ら」で表現されるすべての人が「時代の流れ」の中で、生活の1コマ1コマでベストを尽くす様を描いているのだと解釈しました。

オリンピック選手にとって1番大事な瞬間は「試合」であり最も輝きを放つ舞台でしょう。
しかしそれ以前に「練習」という1コマがとても大事になってくるでしょう。
ですから生活全体が大事なシーンになってくると結論できます。

私たちも毎日を精一杯生きていかなければなりません。

毎日ベストを尽くしている人は、周囲から輝いて見えるでしょう。
そのような人たちの背中を今作は力強く押して、優しく寄り添い続けているように感じます。。

まとめ

いかがだったでしょうか。
今作における歌詞の特徴は「オリンピック全面押し」ではないということです。
今まではオリンピック前の興奮や期待を高めるのがメインのように感じていました。

しかし今作ではオリンピックと観客の50:50、つまり一体感が強調されていると実感しました。

そして2019年最後の日となる紅白で、今作が歌われるのはたいへん興味深いことです。

平成から令和を繋ぐ、まさに時代から時代への橋渡しとなる楽曲です。
紅白ではどんなアレンジをしてくるでしょうか。
今から楽しみですね。

いきものがかり、そして今作に関係するすべての人たちの今後の活動と、次回作に期待し注目していきたいと思います。

素敵な作品をありがとうございました。

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