家入レオ『未完成』歌詞の意味を考察解釈

愛を止めて 僕から逃げて
壊して欲しいよ 全部 全部
過去も捨てて 笑い飛ばして
いいよ いいよ いいよ

「嘘吐き」って言って
無論 突き放して
もう夢見ないように

行き過ぎた感情
暴れ回るなら
いっそ 世界から 消し去っていいのに

僕はなんて 未完成
どうしたら良いか 分からないんだ
救えないなら 生まないで

愛を止めて 僕から逃げて
否定していいよ 全部 全部
このままだと 君を壊す
いいの? いいの? いいの?
二度と振り返らないで
上手く 幸せになってね
こんな僕が 愛してごめん。
もう 自由だよ

「本当を見せて」
言いながら 隠して
騙し合う二人

不必要に君は
傷つけて来るけど
僕の愛でしか 寂しさ満たせないよ

君はなんて 未完成
どうしたら良いか 分からないんだ
よく似た者同士だね

呼吸止めて 僕から逃げて
忘れて欲しいよ 全部 全部
例え何処で 生きていたって
好きだよ 好きだよ 好きだよ
君は泣いているのに
ねぇ なんで 泣けないんだろう
無責任に 愛してごめん。

すべてが
押し寄せて 引き返して
定まらない

正常な日々を お願い返して
終わりたい 終われない
いいよ 君が決めて

愛を止めて 僕から逃げて
壊して欲しいよ 全部 全部
過去も捨てて 笑い飛ばして
いいよ いいよ いいよ
二度と振り返らないで
上手く 幸せになってね
こんな僕が 愛してごめん。

呼吸止めて 僕から逃げて
忘れて欲しいよ 全部 全部
例え何処で 生きていたって
好きだよ 好きだよ 好きだよ
僕らにしか見えていない
世界は 脆過ぎたみたい
「会えて良かった」と君が笑う
もう 自由だよ

もう 自由だよ

歌詞考察の前に

人気アーティストである家入レオさんが歌う『未完成』MV( short ver. )が2020年1月6日に公開されました。
動画再生回数は公開から3週間経過した現在で60万を超える人気ぶりを見せています。

同曲はフジテレビ系月9ドラマ「絶対零度(Season4) ~未然犯罪潜入捜査~」主題歌となっています。

同ドラマは Season1 が2010年4月13日から放送され現在までシリーズ化されてています。
人気は未だ絶える気配はなく大勢の方たちからの支持を得ています。

Season4では前作で登場した犯罪を未然に阻止する「未然犯罪捜査班(通称:ミハン)」の活動とある事件をきっかけに警察から追われることになった井沢範人の経緯が描かれていきます。

Season3に引き続き、沢村一樹さんが演じる井沢範人が主人公となり物語が展開されていきます。

現在は5話まで放送されており今後の展開が楽しみです。

さて今作のMVや曲調に注目していきましょう。

今作MVを担当したのは ウスイヒロシさんです。
これまで多くのアーティストの素顔を魅力的に引き出し演出されてきた実力派の監督です。

MVは白黒の2色を基調とした映像が展開されていました。
黒の衣装を身に纏った家入レオさんの陰が白い舞台に映し出されるシーンから「光と影」を強く印象付けていると感じました。

それはまるで人の強さと弱さ、他者に露出している部分とされていない部分を描写しているようです。

MVに関して家入レオさんからのコメントが寄せられていましたのでご紹介します。

「撮影現場の笑顔や涙は自分を追い込むことなく、作ることなく、歌うだけで自然発生したものです。怒りも悲しみも憎しみも、全て、上手に伝えられず私の中に残ってしまった愛だと思います。普遍的な愛への爆発です。ウスイ監督なしでは、撮影し得なかった作品です。本当にありがとうございました」

https://natalie.mu/music/news/362074

上記のコメントから「ありのままの」家入レオさんが表現されていることが理解できます。

MV中の怒りや泣き顔も含めシーンごとに定められた演出ではないことを知るとリアリティー溢れる作品に驚嘆させられます。

そして考察に関係する部分は「怒りも悲しみも憎しみも、全て、上手に伝えられず私の中に残ってしまった愛」という部分でしょう。

それは歌詞の中でも反映されている部分でありそれらを中心に考察を進めていきたいと感じました。

さらに家入レオさんとウスイヒロシさんとの打ち合わせで「等身大」と「歪な感情」というフレーズが浮かんできたそうです。
そうしたフレーズに基づきモノクロのまた光と影の映像が構成されたようです。

曲調はどのような構成になっていたでしょうか。
ミドルテンポで進行していくバラードですが1点興味深いと感じた部分がありました。

それはダンスミュージックのような音使いが随所にされている点です。
ドラマタイアップの切なさを伝えるバラードの多くはピアノが多様されます。
それゆえにダウナー系のメロディーに仕上がるのですが、今回はどこかアッパーな部分も見られます。

こうした音楽構成は上記コメントで述べられていたさまざまな感情を連想させます。

高ぶった感情や落ちるとこまで落ちた感情もひっくるめて表現しているのだと筆者は感じました。

それではさっそく気になるタイトルや歌詞全体の考察を始めていきましょう。

タイトル『未完成』とは

『未完成』とは「まだ完成していないこと、できあがっていないさま」を意味する言葉です。

歌詞中では「僕」と「君」にタイトル『未完成』が当てられています。
人物に適用されている点から「人格面での未熟」を示唆していると判断できます。

「僕」も「君」もそれぞれ半人前と感じており2人は「似た者同士」という考えが歌詞の中からも読み取れます。

そうした点をタイトルは示しているのだと解釈しました。

また家入レオさんとウスイヒロシさんとの打ち合わせで浮かんできたフレーズの1つ「歪な感情」にも該当すると思いました。
未完成な感情つまりどこか欠落した感情を表現しているのかもしれません。

『未完成』歌詞の意味

全てを「無」に

愛を止めて 僕から逃げて
壊して欲しいよ 全部 全部
過去も捨てて 笑い飛ばして
いいよ いいよ いいよ

今回は1人の男性主人公を主軸に考察を進めていきたいと思います。

歌詞冒頭からサビが歌われており主人公の一番強い心の訴えが叫ばれています。

彼には愛して止まなかった大切な女性がいたのでしょう。
しかしここでは「愛を止めて」また自分から「逃げて」とも請願しています。

さらに「壊して欲しい」「過去も捨てて 笑い飛ばして」とも嘆願しています。

彼がどうしてこのような願いを抱くことになったのか、その経緯を続く歌詞から紐解いてみましょう。

最後まで見れない夢ならば

「嘘吐き」って言って
無論 突き放して
もう夢見ないように

行き過ぎた感情
暴れ回るなら
いっそ 世界から 消し去っていいのに

ここでは彼の複雑な心情が綴られているようです。

彼は「嘘つき」と言って欲しい自分を突き放すよう彼女に頼んでいます。
その理由が「もう夢見ないように」と綴られています。

1つの考えとして2人は交際していたこと、しかしあることをきっかけに永遠に結ばれるのが難しくなったことを意味しているのだと考えました。

ですから「永遠に共にいる」という夢が叶わないのであれば、過去に君を幸せにすると言った自分を「嘘吐き」と侮ってくれと述べているのかもしれません。
彼女が自分との幸せを「信じて」しまうことは中途半端な期待を彼に抱かせてしまうからでしょう。

上記のように仮定すると「2人の交際を難しくさせた要因」はなんでしょうか。
筆者は続く部分の「行き過ぎた感情」にあると思います。

これは彼の中に渦巻く「負の感情」だと考えました。
その感情の特徴とされる「暴れ回る」というフレーズから愛し過ぎるという柔らかいものではなく、もっと鋭い感情を指すのかもしれません。

例えば彼女を意に反して深く傷つけてしまうような性質のものかもしれません。

この点はドラマ主人公の性格を連想させます。

主人公の井沢範人は普段、人を思いやる愛と正義感に満ち溢れています。
しかしある事をきっかけに犯人に対する過剰な憎悪を抱き粗暴に振る舞う一面を持っています。

周囲の人たちからも人格面での欠如を見て取られ、刑事として未完成であると判断されてしまいます。

愛と憎しみとのギャップに苦しむ人物像をイメージさせる歌詞だと実感しました。

「未完成」同士

僕はなんて 未完成
どうしたら良いか 分からないんだ
救えないなら 生まないで

君はなんて 未完成
どうしたら良いか 分からないんだ
よく似た者同士だね

ここでは主人公と「君」と表現された彼女について「未完成」であると
述べられています。

主人公も彼女も自分の感情を相手に伝えることを苦手としています。
本心を見せることもせず出逢えばいつも取り繕った言葉を交わしてしまうのでしょう。

そんな共通点に惹かれあった2人でしたが、お互い自分に何かが欠落しているとも感じていることでしょう。

未完成同士が支え合っても完成にはなれないことも痛感しています。
ですから2人はこれ以上関係を深めることができないのかもしれません。

自由という別れ

僕らにしか見えていない
世界は 脆過ぎたみたい
「会えて良かった」と君が笑う
もう 自由だよ

もう 自由だよ

ラストの部分で主人公は彼女との決別について述べています。

「僕らにしか見えていない世界」とは人格面で欠落している「未完成同士」の2人だけが分かり合える関係のことを示唆しているのでしょう。

しかしその関係は「脆過ぎた」と表現されているように長続きはしなかったことを暗示しています。

彼女が最後に口にしたのは彼と「会えて良かった」というフレーズです。
それは彼にとって初めから何もなかったのだと悟らせるような言葉に聞こえたかもしれません。

歌詞全体からも彼が彼女を幸せにできたという実感はありません。
むしろ彼女を傷つけ自身が束縛し不幸にさせたと感じているように見受けられます。

そんな彼が彼女に述べることができたのは「もう自由だよ」の一言だけでした。
自分からの解放、不完全同士の関係からの解放が彼女への唯一の餞別だったのでしょう。

それでも未完成同士の2人が別れた後に真の自由は訪れるのでしょうか。
決別後にそれぞれがお互い支え合ったことを思い出し、後悔や虚しさを感じるならそれはとても切なく悲しい結末ではないでしょうか。

最後に歌詞冒頭のフレーズをもう一度見て見ましょう。

「愛を止めて 僕から逃げて 壊して欲しいよ 全部 全部
過去も捨てて 笑い飛ばして  いいよ いいよ いいよ」

これまでの情報をもとに考察すると主人公は未完成同士の育んできた関係を終わらそうとしています。

人格面で不完全な自分は彼女を愛すると同時に傷つけてしまいます。
満足に愛を伝えられないそんな愛なら「止めて」くれと彼女に懇願しているかのようです。

「僕から逃げて」とは側に彼女がいるとまた愛し傷つけてしまうからでしょう。
彼の複雑かつ本心からではない願いが胸をえぐります。

「壊して欲しいよ」とは2人の関係、そしてこれまでの過去を示唆しているように思えます。

また彼が自身を未完成品だと考え、一度壊して最初から何もかもやり直したいと考えているようにも受け取れます。

一方的な願いを述べたあと彼は3度「いいよ」と呟いています。
このいいよは「~してもいいよ」という肯定の意味で用いられています。

いいよが3度述べられているのは自分自身に言い聞かせるという意味もあるのでしょう。
しかし筆者は3つの事柄に対していいよがそれぞれ述べられているとも解釈しました。

・彼の下した悲しい決断と結末に
・愛した彼女に
・自分自身に

それぞれに気持ちの区切りをつけるため彼は「いいよ」と述べているように思います。

まるで「いいよ」が「またね」の代わりに用いられているかのようです。
未完成な彼が同じく未完成な彼女のもとを去ります。
そうして未完成な2人の関係が静かに終わりを迎えていきました。。

まとめ

いかがだったでしょうか。
もう「サビの破壊力と鮮烈さ」の凄さときたら、、、たまりませんね。
エモい!!

「いいよ」と肯定しているはずなのにそれを口にする度に悲しさや切なさが込み上げてくるのはどうしてでしょう(涙)

MVの滅多にお目に掛かれない家入レオさんの素顔や感情を観察することができました。

ウスイヒロシさんの彼女を引き立て魅力を1滴残らず抽出したような映像描写にも目を奪われました。
バンドメンバーをあえてシルエットにしたのもかっこよかったですね。

また家入レオさんの躍動感溢れる歌声にも感動しました。
彼女の口から発せられるフレーズ1つ1つに心が共鳴するというか、なんとも不思議な感覚でした。

今後の活動と次回作に期待し注目していきたいと思います。
感動的で印象深い作品をありがとうございました。

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