星野源『桜の森』歌詞の意味・解釈と考察

あそこの森の 満開の下は
虫もその他も 土を開け 外に出てくるだろう
どけそこどけ 欲しいのは光
君もその他も 胸を開け 足を開け 踊るならば
僕は それをただ見てる それをただ見つめてる
鬼達が笑う それをただ見つめている
僕は ただ見てる それをただ見つめてる
花びらに変わる 君をただ見つめているよ
どこぞの森の 満開の下で
虫も貴方も 土の中 外に憧れたろ
悲しみ消えた 春風がさらい
もしもよければ 胸を開け 足を開け 跳ねるならば
僕はそれをただ見てる それをただ見つめてる
花びらに変わる 君をただ見つめているよ
泣かないで待ってる
散らないで待ってる
ラジオから流れる
花びらが流れる
僕はただ見てる それをただ見つめてる
鬼達も笑う それをただ見つめている
僕はただ見てる それをただ見つめてる
花びらに変わる 君をただ見つめているよ

はじめに

2014年発売、星野源の通算7枚目シングル、『桜の森』。軽快ながらも優しいメロディーが特徴的なこの曲。果たして歌詞の内容は一体どのようなものなのか?
今回はそんな『桜の森』の歌詞の意味を考察としていきます。

『桜の森』のタイトルの意味

桜、といえば春を象徴する樹木。そして春は冬を乗り越えて生命が一斉に息吹く賑やかな季節ですね。そんな季節を象徴する桜がたくさん生い茂る『桜の森』。
このタイトルはそんな華やぐ春の雰囲気をいっぱいに表現したタイトルと言えます。


『桜の森』のテーマ

前項では『桜の森』というタイトルが春の華やかさ、賑やかさを表現したものと説明しました。しかしテーマはそういった春の素晴らしさを歌うといった童謡のようなものではありません。この曲のテーマは新たな環境へと飛び出そうとする人への応援歌です。
この曲の歌詞には「虫もその他も土を開け外に出てくる」というような単純に春を歌っているような部分もありますが全体を通して聞くと上記のテーマを歌っているのです。以降はその歌詞の内容を解説致します。

春の生命になぞらえた飛び出そうとする人間の力強さ

あそこの森の 満開の下は
虫もその他も土を開け 外に出てくるだろう
どけそこどけ 欲しいのは光
君もその他も胸を開け足を開け 踊るならば
一番Aメロ〜Bメロです。「虫」「土」「光」と自然に溢れたワードが並びます。また「外に飛び出てくるだろう」と一見すると単純に春を迎え外に飛び出そうとする瞬間を歌っているかのようですが、Bメロの終わりに「君も」とあることから人間のことも歌っていることがわかります。
そして人間が飛び出そうとする瞬間というのは虫たちとは違い何らか抑圧された環境から、と考えるのが自然でしょう。つまりここでは春の生命の息吹になぞらえて新たな環境へと飛び出そうとする人間の力強さを歌っているのです。

飛び出そうとする人たちへの冷静ながらも温かい目

僕は それをただ見てる それをただ見つめてる
鬼達が笑う それをただ見つめている
僕は ただ見てる それをただ見つめてる
花びらに変わる 君をただ見つめているよ
一番サビです。新たな環境へと飛び出そうとする人間に星野源は何を言うか。答えは何も言わないのです。「僕はそれをただ見てる」のです。通常であればエールをかけるような歌詞が続くところですが星野源はただ見つめる、と言うのです。ぱっと読んだだけでは冷たい印象を受ける歌詞ですね。
が、実際に自分が新たな環境へと飛び出そうとしているときに信用ができる相手というのは余計なアドバイスなどはせずただ見守ってくれている人であることが多いものです。星野源は頑張る人たちへ言葉はかけないけどもちゃんと見守っているよ、ということをこのサビで伝えたかったのだと思います。

飛び出せないあなたへ

どこぞの森の 満開の下で
虫も貴方も 土の中外に憧れたろ
悲しみ消えた 春風がさらい
もしよければ 胸をあげ足を開け 跳ねるならば
二番Aメロ〜Bメロです。一番Aメロ〜Bメロでは新たな環境へと飛び出そうとする人のことを歌っていました。対して「外に憧れたろ」という歌詞があるようにこの部分では憧れてはいるものの、中々新たな環境に飛び出せない人を歌っています。そんな人たちに向け「もしよければ」「跳ねるならば」ともし少しでも勇気を持って飛び出す勇気を持ってくれたならば、とこの部分では歌われます。中々飛び出す勇気が持てない人たちへ星野源は何を歌うか?二番サビに続きます。

変わらない目線

僕はそれをただ見てる それをただ見つめてる
花びらに変わる 君をただ見つめているよ
泣かないで待ってる
散らないで待ってる
ラジオから流れる
花びらが流れる
二番サビです。やはり何も言わないのです。「僕はそれをただ見てる」のです。しかしその後「泣かないで待ってる」、「散らないで待ってる」と続きます。散らないで、というのはこの曲のタイトルにある桜が散ることなく待つ、ということでしょう。春にしか咲かない桜が散らないというのは本来ありえないことです。
しかしそれを起こすくらい、何があってもいつまでもあなたが前向きに飛び出そうとする瞬間を待ち続けると歌っているのです。タイトルに即した比喩で、冷静ながらも優しさに溢れた目を向けているとわかる名詞です。

鬼達とは?

僕はただ見てる それをただ見つめてる
鬼達も笑う それをただ見つめている
僕はただ見てる それをただ見つめてる
花びらに変わる 君をただ見つめているよ
大サビです。これまで触れてきませんでしたがサビには必ず「鬼達」が登場します。これは一体何のこと指すのでしょうか?答えは世間の冷たい目だと思います。何か新たなことをしようとするとき、反対する人間は必ず現れるもの。そういった人達を「鬼達」と言っているのだと思います。
そして星野源は一番サビ、二番サビでは「鬼達笑う」と自分とは違った見方で笑っていると表現してきました。しかし、大サビでは「鬼達笑う」と自分と同じ見方で笑っていると表現しています。
これは新しいことに挑戦する人が最初は世間から冷たい目で見られたものの、やがて認められ嘲笑から賞賛を受けるようになったことを表現しているのだと思います。世間からも認められて活躍する君、つまり「花びらに変わる君」をやはり見つめている、と歌い『桜の森』は締めくくられます。

終わりに

考察した結果、『桜の森』は新たな環境へと飛び出し努力する人、飛び出そうとする人に対する星野源流の応援歌であることがわかりました。何かに挑戦する時というのは強い覚悟を持って取り組むものだと思いますが、時に不安で心がくじけそうになってしまうこともあると思います。しかし、そんな時はこの『桜の森』を聞いてみてください。きっと星野源の冷静ながらも温かなエールに勇気づけられることだと思います。