星野源『恋』歌詞の意味・解釈と考察

 

営みの
街が暮れたら色めき
風たちは運ぶわ
カラスと人々の群れ

意味なんか
ないさ暮らしがあるだけ
ただ腹を空かせて
君の元へ帰るんだ

物心ついたらふと
見上げて想う事が
この世にいる誰も
二人から

胸の中にあるもの
いつか見えなくなるもの
それは側にいること
いつも思い出して
君の中にあるもの
距離の中にある鼓動
恋をしたの貴方の
指の混ざり 頬の香り
夫婦を超えてゆけ

みにくいと
秘めた想いは色づき
白鳥は運ぶわ
当たり前を変えながら

恋せずにいられないな
似た顔も虚構にも
愛が生まれるのは
一人から

胸の中にあるもの
いつか見えなくなるもの
それは側にいること
いつも思い出して
君の中にあるもの
距離の中にある鼓動
恋をしたの貴方の
指の混ざり 頬の香り
夫婦を超えてゆけ

泣き顔も 黙る夜も 揺れる笑顔も
いつまでも いつまでも

胸の中にあるもの
いつか見えなくなるもの
それは側にいること
いつも思い出して
君の中にあるもの
距離の中にある鼓動
恋をしたの貴方の
指の混ざり 頬の香り
夫婦を超えてゆけ
二人を超えてゆけ
一人を超えてゆけ


はじめに

2016年に発売された星野源の通算9枚目シングル、『恋』。

「逃げる恥だが役に立つ」の主題歌としてMVの再生回数が1億回を突破するなど大ヒットを記録しました。

この曲は振り付けである「恋ダンス」が大いに話題となりましたが果たして歌詞はどのような思いが込められているのでしょうか?

今回は星野源の『恋』の歌詞を考察いたします。

 

『恋』のテーマ

シンプルゆえに考えさせられるタイトルである、『恋』。

そんなこの曲のテーマは共に暮らす相手に対する恋です。

一般的に恋という言葉は人を好きになったばかりのフレッシュな感情として用いられることが多いと思います。

よって共にくらす相手に対してはより成熟した感情である愛という言葉が用いられることが通常で、共に暮らす相手に対する恋というワードはちぐはぐな印象を受けることでしょう。

そんなワードがなぜこの曲のテーマなのか?歌詞考察とまいりましょう。

 


静かに、だが確かに流れる日常生活

営みの
街が暮れたら色めき
風たちは運ぶわ
カラスと人々の群れ

意味なんか
ないさ暮らしがあるだけ
ただ腹を空かせて
君の元へ帰るんだ

物心ついたらふと
見上げて想う事が
この世にいる誰も
二人から

一番Aメロ〜Bメロです。ここで歌われるのは何気ない日常

しかし「意味なんかないさ暮らしがあるだけ」という部分にただこの暮らしがあれば満足なんだという感情を読み取ることができますね。

そして「君の元へ帰るんだ」と続くことからこの曲は共に暮らす相手がいる人物が主人公の歌であることがわかります。
そんな主人公が「物心ついたらふと見上げて想う事」とは一体何なのでしょうか。

サビへと続きます。

 

見上げて想うこと、それは恋

胸の中にあるもの
いつか見えなくなるもの
それは側にいること
いつも思い出して
君の中にあるもの
距離の中にある鼓動
恋をしたの貴方の
指の混ざり 頬の香り
夫婦を超えてゆけ

一番サビです。

まず「いつか見えなくなるもの それは側にいる事」という部分に着目しましょう。

共に暮らす時間が長くなればなるほど相手がいることへの有り難みを感じる機会は少なくなるものです。しかし、いつかは必ず別れは訪れるものでだからこそ相手のことは大事にしなければならない、と歌われています。

常にその有り難みを感じ相手を想う。この大事さを表現するためにここでは愛よりも新鮮な感情である恋をあえて歌うのです。共に暮らす相手にこそ「指の混ざり 頬の香り」といった些細なことに恋をすると歌うのです。

そしてそのように何度も新鮮に相手を想うことにより、共に暮らす関係性の説明のために最もよく用いられる言葉の一つ、「夫婦」を超える関係になっていく、と続きます。

「夫婦を超えてゆけ」というフレーズは『恋』が主題歌として起用されたドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」の最終回のタイトルに用いられたほど特徴的ですが、そこには暮らしを共にする相手でも、もっともっと深い新たな想いを抱いていけるというメッセージが込められていたのですね。

 


『恋』の中で唯一「愛」が登場する

みにくいと
秘めた想いは色づき
白鳥は運ぶわ
当たり前を変えながら

恋せずにいられないな
似た顔も虚構にも
愛が生まれるのは
一人から

二番Aメロ〜Bメロです。

ここでは恋という言葉と対で用いられる愛という言葉が唯一登場します。

一番の歌詞解説の中で示した通り、『恋』では共に暮らす相手にこそ抱くべき感情として恋という言葉が使われています。では愛はどのような感情を示すものなのでしょうか?

答えを導くヒントとして「愛が生まれるのは 一人から」というフレーズに着目しましょう。

つまり愛というのは一人でも生まれる感情、独りよがりの感情ということを言っているのですね。

そして一番サビで恋は長く一緒にいる相手でも常に抱くべき感情であると言っています。

このように考えると二番Aメロ〜Bメロは恋という新鮮な感情こそ長く暮らす相手に抱くべき感情であるという考えをより強調するパートだと分かりますね。

 

いつまでもいろんな瞬間に恋をして

胸の中にあるもの
いつか見えなくなるもの
それは側にいること
いつも思い出して
君の中にあるもの
距離の中にある鼓動
恋をしたの貴方の
指の混ざり 頬の香り
夫婦を超えてゆけ

泣き顔も 黙る夜も 揺れる笑顔も
いつまでも いつまでも

胸の中にあるもの
いつか見えなくなるもの
それは側にいること
いつも思い出して
君の中にあるもの
距離の中にある鼓動
恋をしたの貴方の
指の混ざり 頬の香り
夫婦を超えてゆけ
二人を超えてゆけ
一人を超えてゆけ

二番サビ〜Cメロ〜大サビです。

「泣き顔も 黙る夜も 揺れる笑顔も いつまでも いつまでも 」というCメロの歌詞は『恋』のテーマ、共に暮らす相手への恋を強調するものとなっています。

共に暮らしていると相手とさまざまな経験を経ることになります。それらは決して明るいものだけではないでしょう。

悲しい思いをさせてしまって相手の「泣き顔」を見ることもあるし、喧嘩をしてしまい互いが「黙る夜」を過ごすこともあるでしょう。

しかしそんな日々を共に過ごした相手にこそ「いつまでも いつまでも」恋ができると歌っています。さまざまな経験をしてさまざまな想いをするからこそ相手への想いを新たにして恋ができると歌っているのですね。

そして大サビでは想いを新たにしていくことにより、関係性を説明する際によく用いられるワードである「夫婦」、「二人」、「一人」全てを超えてこれまでにない関係になっていけというメッセージが込められています。

『恋』を締めくくるにふさわしい、強く明瞭なフレーズですね。

終わりに

2016年、J-POPで最も大きな話題の一つとなった『恋』。

その要因は「逃げるは恥だが役に立つ」の主題歌であること、振り付けの「恋ダンス」を多くの人が真似したことが挙げられますが、その歌詞を考察してみると恋という言葉に対する非常に革新的なメッセージが込められていることが分かりました。

やはり曲を聞く際にはメロディやMV、その他話題となっている部分だけでなく歌詞もしっかりと読みこまなければなりませんね。



この記事をシェアする!