平井 堅 『#302』歌詞の意味を考察・解釈

「カラオケしたいな」と君が突然言い出す 街は夜をはじめたばかり
面倒臭そうな顔をつくってみたけど 本当は凄く嬉しかった

人混みかき分け公園通り抜ければ やたら派手な電飾のBOX
ぶっきらぼうな声で部屋番号告げられ 二人きりで部屋に入る

僕が歌うラブソング 真面目に聴いてる
淋しげな横顔 忘れられぬ思い出重ねて こぼれそうだよ

ずるくてもいい 代わりでもいい
君の淋しさの一番近くにいたい
いつか僕を いつか僕を
ホントに好きになるその時まで そばにいるよ

君が歌の途中で突然泣き出して 僕は何も言えなくて
取り残された伴奏と泣き声だけが 狭い部屋に響いてた

「ゴメン」と言う君の 震える肩を抱き
防犯カメラに背を向け 濡れた頬を指で拭って そっとキスをした

ずるくてもいい 代わりでもいい
君の悲しみの一番近くにいたい
いつか僕が きっと僕が
彼を忘れさせるその時まで そばにいるよ

ずるくてもいい 代わりでもいい
君の淋しさの一番近くにいたい
いつか僕を いつか僕を
ホントに好きになるその時まで そばにいるよ

ずるくてもいい 代わりでもいい
君の悲しみの一番近くにいたい
いつか君が いつか君が
ホントに笑える時が来るまで そばにいるよ

歌詞考察の前に

大人気アーティストである平井堅さんより『#302』のMVが2019年11月21日にネット上で公開されました。
動画再生回数は公開から2週間で100万を超える人気ナンバーとなっています。

さて今作は TBS系 金曜ドラマ 『4分間のマリーゴールド』 主題歌として書き下ろされました。

今作について平井堅さん、ドラマ出演されている福士蒼汰さん橋本芙美プロデューサーのコメントが寄せられているのでご紹介します。

平井 堅コメント
物語が、とてもスリリングに展開していくラブストーリーなので、どんな曲にしようかと悩んだのですが、“自らの身を削るほどに、焦がすほどに相手を想う気持ち”というところを共通項に、ドラマと並走するような、もう一つのラブストーリーを紡ぐつもりで書きました。僕自身もドラマを楽しみにしていますし、曲共々皆様に届くことを願っております。 https://www.tbs.co.jp/4mari/news/  TBSテレビより

福士蒼汰コメント
曲を聴かせていただいて、切なくもほっとした気持ちになるような、あたたかい印象を受けました。平井さんの手がけるラブソングには沢山の名曲がありますが、その中にまた新たに加わる素晴らしい楽曲だなと感じました。
ドラマをさらに華やかにして頂きありがとうございます。

https://www.tbs.co.jp/4mari/news/  TBSテレビより

橋本芙美プロデューサーコメント
以前から平井堅さんの楽曲は大好きで、数々の名曲に何度も心打たれてきたので、今回『4分間のマリーゴールド』の主題歌を書き下ろしてくださることが決まった時は、嬉しさで胸がいっぱいでした。
そして、心に沁み入る切なく温かい曲をいただきました! 大切な人を想う、心に寄り添うこの曲のテーマが、ドラマをさらに高めてくれると確信しました。
ぜひ大切な方と一緒に聴いていただきたいです。

https://www.tbs.co.jp/4mari/news/  TBSテレビより

平井 堅さんのコメントからは “自らの身を削るほどに、焦がすほどに相手を想う気持ち” をテーマにしていることが理解できます。

ドラマで考えると、主人公の救急救命士・花巻みことが余命1年の義姉・沙羅のために生涯を費やす点と重なります。

しかし今作はドラマに完全に寄り添っているわけではなくもう一つのラブストーリーとして展開されていることも把握できます。

あるインタビューでも述べていた、視聴者はドラマ結末をまだ知らないので、というのが上記の理由にもなっているようですね。

福士蒼汰さんと橋本芙美プロデューサーのコメントからは、切なくほっとした気持ちにさせる、また心に沁み入る切なく温かい曲であることもわかりました。

今作の曲調からもその点が忠実に表現されています。

音数の非常に少ない音楽構成が歌詞を際立たせている点にも注目できます。
引き算アレンジされ精錬に精錬を重ねた楽曲に耳と心を奪われてしまいました。

さてMVにも注目してみたいと思います。
1つのボックスには2人の男女と2台の公衆電話があります。
なんともシュールでレトロな世界観が演出されているのでしょうか。

公衆電話の描写から「相手と話す」というイメージを視聴者に刷り込ませているように感じます。

しかしMVの2人に会話という会話は見られず上記イメージとのギャップが生じます。
この独特の雰囲気が2人の関係性を浮き彫りにしています。

「言葉はいらない仲」「もう語ることもない仲」など色々なことを予想できます。

それではさっそく歌詞全体の考察を始めていきたいと思います。

タイトル『#302』とは

次のインタビューからタイトルの意味を把握することができます。

これはカラオケボックスの部屋番号をタイトルにしようと思ったときに……「3階が多かったかな」という記憶があって、別に「#305」でも「#306」でもよかった。特別な意味はないんです。

https://natalie.mu/music/pp/hiraiken07  ナタリーより

歌詞からも大方の予想はついていましたが、やはりカラオケボックスの部屋番号のようです。

タイトルは「さんまるに」と読みます。
ちなみに筆者がよく案内されるのは2階です(どうでもいいね)

今回はJ-POPに幅広くみられる用語を使うのではなく「今作だけ」というイメージを持たせる用語が散りばめられています。

タイトルの部屋を指定した点も「特別感」を生んでいるのだと筆者は感じました。

『#302』歌詞の意味

思い立ったカラオケと2人

「カラオケしたいな」と君が突然言い出す 街は夜をはじめたばかり
面倒臭そうな顔をつくってみたけど 本当は凄く嬉しかった

人混みかき分け公園通り抜ければ やたら派手な電飾のBOX
ぶっきらぼうな声で部屋番号告げられ 二人きりで部屋に入る

今回の考察では2人の男女を主軸に進めていきます。

基本的に歌詞全体は男性視点で綴られているように思います。
歌詞は一つの分かり易いストーリー形式で進行していきます。

歌詞冒頭では「君」で表現されている女性が男性に「カラオケしたい」と言い出します。

あたりが暗くなる時間が記されているので、彼は「ええ?もう暗くなったし帰ろうよ」と面倒臭がって見せたのでしょう。

それでも内心は「嬉しかった」ことが歌詞からわかります。

「人混みかき分け」という表現から2人は駅周辺にいたのかもしれません。

「やたら派手な電飾のBOX」という表現が当時のカラオケ店の概観をイメージさせています。

赤や青の無駄に(失礼)ギラギラしたネオンが印象的だったのでしょう。

店員から「ぶっきらぼうな声で部屋番号告げられ」2人は部屋へと進んでいきました。

タイトルから案内された部屋は「302」だったと考えられます。

平井堅さんのあるインタビューでここの歌詞の店員は実在しているということがわかりました(笑)毎回そんな対応されていたそうですね(リアル)

流れるラブソングと君への想い

僕が歌うラブソング 真面目に聴いてる
淋しげな横顔 忘れられぬ思い出重ねて こぼれそうだよ

ずるくてもいい 代わりでもいい
君の淋しさの一番近くにいたい
いつか僕を いつか僕を
ホントに好きになるその時まで そばにいるよ

彼はここぞとばかりにラブソングを選曲し彼女に聴かせます。
テロップ流れる画面から目を少し離して彼女を見ると、彼女は真面目な表情をして歌を聴いています。

(またしても余談。こういう時に下向いてたり、自分の曲選んでたり、スマホいじられるとテンションダダ下がりますよね)

ということで彼は彼女の真面目な表情に嬉しくなったに違いありません。

続く歌詞はとても重要であり2人の関係性を理解する助けになります。

「ずるくてもいい 代わりでもいい」

このフレーズから彼女には彼氏が存在し、彼は片思いなのだと解釈しました。

続く部分で「君の淋しさ」と述べられている点から、彼女は彼と決別した、もしくは満たされない状態にあるのでしょう。

MVラストで赤い傘を差している男性が登場し、女性が一緒に歩くシーンがあります。

ですから決別というより満たされない状態が続いていると考えるほうが、しっくりくると思いました。

「いつか僕をホントに好きになる」ことを彼が願っていることから、彼女の前で彼が友達止まりになっている点も理解できます。
少なくとも彼はそう認識しているように思えます。

一室には彼のラブソングと彼女への複雑な想いが流れていきます。

涙とキス

君が歌の途中で突然泣き出して 僕は何も言えなくて
取り残された伴奏と泣き声だけが 狭い部屋に響いてた

「ゴメン」と言う君の 震える肩を抱き
防犯カメラに背を向け 濡れた頬を指で拭って そっとキスをした

彼の歌の途中で彼女は突然泣き出してしまいます。
歌詞や映像が彼女と彼氏の間柄を彷彿させたのかもしれません。

「取り残された伴奏」という表現から彼は歌うのをやめてしまったのでしょう。
一室には伴奏と鳴き声が響いていきます。

少しして泣き止んだ彼女は「ゴメン」と言って彼に謝ります。
気まずい思いをさせて困らせたと思ったのかもしれません。
震える肩が彼女の辛い気持ちの大きさを表現しています。

「防犯カメラ」という表現は平井堅さんが「今作だけ」という部分を強調するために用いた用語のようです。

彼が防犯カメラに背を向けたのは、彼女とのキスを恥ずかしく思ったこと、そして泣き顔を見せたくないと思ったからだと考えました。

涙を見てからのキスが、彼の彼女を守りたいという気持ちや前述の「淋しさの近くにいたい」という気持ちとリンクしています。

忘れさせる

いつか僕が きっと僕が
彼を忘れさせるその時まで そばにいるよ

彼はここである決意を強めています。
それは彼女のが「彼を忘れる」くらい自分が愛するということです。

筆者が考えるに彼はこの時、初めて彼女にキスをしたのだと思います。
それまではカラオケなどの娯楽を共に楽しみ、愚痴を聞くという立ち位置だったのでしょう。

しかし今回、キスをすることで友達の立ち位置から彼氏になることを暗に伝えたのだと思います。

それでも彼女は現状、付き合っている彼のもとに戻ったことでしょう。
形式的に続いている交際に曇った表情を浮かべる彼女を、彼はそっと見守ったことでしょう。

彼の一途な想いと彼女の悲しみの涙、そして今は叶わぬ純愛が302号室の思い出として永遠に語られていくに違いありません。。

まとめ

いかがだったでしょうか。
カラオケルームでの一途な想いや悲嘆の涙、そして熱いキスなど思い出がたくさん詰まっていましたね。

「302」「「防犯カメラ」「やたら派手な電飾のBOX」という表現が懐かしさと哀愁を漂わせていましたね。
そして今作だけの用語やフレーズを感じさせてくれました。

特別な伏線があるわけでもなく、ただ一つの甘酸っぱい思い出として物語が綴られていたように思います。

素直な気持ちで聴いて、自分の思い出と重ねたりして楽しむことができました。

ドラマもたいへん人気であり、結末が期待されています。
すべてを見終ったあとにもう一度今作を聴くといっそう味わい深く聴けると思います。

ドラマ内容にあまり触れませんでしたが、そちらの線での考察もきっと楽しいと思います。

平井堅さんの今後の活動と次回作に期待し注目していきたいと思います。
素敵な作品をありがとうございました。

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