日向坂46 『一番好きだとみんなに言っていた小説のタイトルを思い出せない』歌詞の意味を考察・解釈

一番好きだとみんなに言っていた
小説のタイトルを
全然 思い出せないのは
ホントはそんな好きじゃないんだ

好きじゃないんだ

僕がなりたい僕を 追いかけても
腕をするりとすり抜けて
どこか知らない場所へ消えてく

理想なんて
非現実的な
夢物語じゃないか
ただの口当たりのいい
諦めさせないための人参だろ?
遺伝子組み換えされた
そんな欲望の出口
忘却しかないんだ

知らぬ間(あいだ)に
あきらめることだけが
上手になって来た気がする
大人になるっていうのは
そういうことだってわかった
覚えなくていいことばかり
頭に満タンなんだ

一番好きだと自分で思ってた
小説のタイトルが
なかなか 出て来なかったのは
たぶん そんな好きじゃないだけ

人間(ひと)はなりたい自分になれないから
思い悩んで苛立って
妥協しながら見栄を張るんだ

“本当”なんて
自己申告には
説得力がないね
他人から見える僕が
どう思われたいかの口実さ
印象操作するように
知的でスタイリッシュな
イメージが欲しいんだ

そんな軽薄な
本音を軽蔑してる
自分に気づかないふりして
相変わらず僕は ずっと
昔からの嘘を通してる
もう辻褄 合わなくなって
なんだか逃げ出したい

一番好きだとみんなに言っていた
小説のストーリーに
自信がなくなって来たのは
最後までは読んでないのかな

「表紙のデザインもそこに書いてある字体も覚えているのに、
小説のタイトルが思い出せない。
どうしても気持ち悪くて
実家の僕の部屋の本棚も机の上も押入れも探したのに、
そんな小説はどこにもなかった」

それは初めから
あったのかな
想像の中の
記憶じゃないか
どこかで勝手に
作り上げて
大事にして来た
理想の僕だ

一番好きだと自分で思ってた
小説のタイトルが
なかなか 出て来なかったのは
たぶん そんな好きじゃないだけ

一番好きだと言ってた小説を
忘れるわけがないだろう
元々 存在しなかった
誰も知らない何か欲しくて 僕は…

好きじゃないのか
好きじゃないのか
好きじゃないのか
好きじゃないんだ

はじめに

『一番好きだとみんなに言っていた小説のタイトルを思い出せない』 とは
2019年9月18日にネット上で公開された楽曲です。
同年10月2日リリース 日向坂46 3rd Single「こんなに好きになっちゃっていい
の?」に収録されています。

動画再生回数は公開から1週間経った現在で60万を記録する人気ナンバーです。

今作MVを担当したのは数多くの映画やCMを作成されている児山隆氏が監督
されました。
自信ツイッターでも映画「猿楽町で会いましょう」を完成させた後すぐに今作
作成に取り掛かったことを述べられていました。

撮影当日は天候にも恵まれたようで、商店街や教室また体育館などで撮影が行わ
れました。

さて今作は上村ひなのさんソロ曲となっています。
グループメンバー最年少でありながら早い段階で多くのファンからの魅力を獲得
した彼女の自然な一面を観察することができます。

年齢以上の貫録とエモーショナルな部分に筆者も圧巻でした。

今作のPVの内容に触れておきたいと思います。
開始早々、主人公である上村ひなのさん(以下ひなのさん)が
ルームウェアで登場します。
インスタントラーメンを上品に啜るシーンに合わせて「語り」が流されます。

そして学校の屋上で白のブラウスを着たひなのさんが大空に向かって
力強く歌い出します。

シーンは変わり制服姿で構内を歩きまわるひなのさんですが、途中スマホに
何物かから○○へ行くよう指示されます。
各シーンに込められた意味を続く部分から考察してみましょう。

タイトル『一番好きだとみんなに言っていた小説のタイトルを思い出せない』とは

最近長いタイトルが良く出るように思います(笑)
ファンはこのタイトルの略称をなんと呼ぶのか気になるところです(小説?)

歌詞全体から考慮すると「一番好きな小説のタイトル」とは彼女が抱く
「理想の自分、誰とも似通っていない生き方」を指すのだと解釈しました。

筆者が興味深く思えたのは、タイトルの正体が歌詞を追うごとに明確になって
いくというスタイルです。
初め彼女は自分自身に関して理想を抱いて、それに導かれるように生きてきた
のでしょう。

しかし段々と根拠や自信がなくなりはじめ、周囲に自分の抱いていた理想や生き
方を示せなくなっていく様を描いているのだと思いました。

黙想の末に消えて行く「本来」「本当」「理想」「特別感」など。
今作はたいへん奥深く考え抜かれた世界観が展開されています。

『一番好きだとみんなに言っていた小説のタイトルを思い出せない』歌詞の意味

好きの気持ちが不足?

一番好きだとみんなに言っていた
小説のタイトルを
全然 思い出せないのは
ホントはそんな好きじゃないんだ

好きじゃないんだ

今回は一人の女性主人公を主軸に考察を進めていきたいと思います。

彼女は家族や学校の友達に自分の「一番好きな小説のタイトル」
繰り返し話していたのでしょう。
それだけ自分はその小説に憧れと感化を受けていたのだと思います。

前述でも記載しましたが、その小説のタイトルとは「彼女の理想」
「彼女の追い求める特別な生き方」
だったのでしょう。

ある時、彼女は自分の理想や生き方に疑問を持つようになったのか
もしれません。
「自分が本当に望むものってなんだっけ」
時折、私たちもこのように考えることはありませんか。

歌詞の中で彼女は「そんなに好きじゃないから」思い出せないと
結論しています。
これは理想に届かないのは自分が本気で好きになっていないから
だと考える思考を表現しているのだと思います。

自分の努力が報われない理由を好き嫌いの尺度で測ることは彼女
だけではないはずです。

理想の出所―人工の産物

僕がなりたい僕を 追いかけても
腕をするりとすり抜けて
どこか知らない場所へ消えてく

理想なんて
非現実的な
夢物語じゃないか
ただの口当たりのいい
諦めさせないための人参だろ?
遺伝子組み換えされた
そんな欲望の出口
忘却しかないんだ

そもそも何故彼女は小説に見立てて「理想」を生みだし
追い求めるようになったのでしょうか。
歌詞では「僕がなりたい僕」というフレーズがあります。

彼女は現状の自分と生き方に満足いっていなかったようです。
そしてある時、自分の脳内で小説に出てくる主人公とその
生き方を模倣し日々を過ごしたのかもしれません。

MV序盤の無機質にインスタントラーメンを啜る彼女の生活が
理想とはかけ離れた生活を表現していたのでしょう。
制服姿の彼女も凡人で普通の自分を表現していたものと思われ
ます。

彼女は幾たび理想と特別な生き方に自分を近づけるのですが、
努力すればするほど遠ざかっていくことを実感したのでしょう。

呆れ果てた彼女は「理想なんて非現実的な夢物語」だと一蹴します。
「ただの口当たりのいい 諦めさせないための人参だろ?」とは
「馬の鼻先に人参をぶらさげる」という用語を連想してのことだと
思います。

上記は得ることの出来ない報酬や立場をチラつかせて動物、また人
をやる気にさせることを意味する用語です。
彼女は例証を用いて理想がそれほど馬鹿げていると述べています。

人が作り出した理想は一時的な喜びしか生じない、喜び終わった後
に待つのは「忘却」つまり理想を忘れて生きることしかないと彼女
が判断したように思えます。

渇望した特別感

一番好きだと言ってた小説を
忘れるわけがないだろう
元々 存在しなかった
誰も知らない何か欲しくて 僕は…

彼女は理想を毛嫌いし馬鹿にもしましたが、長年にわたり追いかけてきた
理想と生き方を簡単に忘れることができません。

それでも一番良い自分、誰とも重ならない生き方なんて存在しないことに
気がついてしまったのでしょう。
その点に言及し「小説は元々 存在しなかった」と述べているように思え
ます。

ただ彼女は一言「誰も知らない何か 欲しくて」と本心を述べています。
私たちも何度か1番や特別な存在に憧れることがあると思います。
若いうちは特にそうした面での渇望を抑えきれないでしょう。

「人気を得る」「昇進する」「お金持ちになる」など人によって特別感
とはさまざまです。

それでもすべての人は幼い時に描いた人生シナリオを一度破り捨てて、
人生設計をやり直すのかもしれませんね。
そして最終的には高齢になって「一日一日を大切に生きましょう」と
述べるようになるのかもしれません。。(含蓄のある言葉)

まとめ

いかがだったでしょうか。
理想の自分と生き方に近づけない時の葛藤とやきもきするあの感覚は
忘れられませんね。

今作について執筆しながら昔の感覚が蘇ってなんか「キィー!」って
なりました(笑)
皆さんにもそうした辛くやりきれない時期があったでしょうか。

MVの終盤で主人公のスマホから指示が入り音楽室や美術室、体育館に
行くよう指示されたシーンがありましたね。
用意されたドレスで踊る彼女は満足気とは言い難い表情を浮かべていま
した。

私たちも誰か(自分かもしれない)の用意した理想に導かれてそれを追
う日々を過ごしてきたかもしれません。
しかしそれに到達しても満足できなかった時、そして理想なんて人工的
なものでしかないのだと落胆する時があったことでしょう。

この点から理想にはある程度の慎みが必要であること、同時に目の前の
日々を懸命に生きることを実感しました。

大役を果たしてくださったひなのさん、そして日向坂46の今後の活動と
次回作に期待し注目していきたいと思います。

素敵な作品をありがとうございました。

2 件のコメント

    • あかりんさん感想有難うございます。
      歌詞やMVが本当に奥深いですよね。
      あかりんさんの考察や解釈がありましたら
      自由にコメント下さいね。

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