初音ミク『アサガオの散る頃に』アサガオが表すものは何か?


はじめに

爽やかな夏サウンドバラードの『アサガオの散る頃に』。

作詞・作曲はぷすさん。

今回は、夏に歌いたくなる楽曲『アサガオの散る頃に』につて、考察していきます。

 

蝉時雨が僕の心に冷たく響く
太陽を濡らして
ねぇ ずっと今が茜色で染まり続ければ
夕も幸せだろう
夏が意地を張るほど汗ばんでゆく
この手じゃ君を繋ぎ止めておけない
あぁ 夜には消えてしまうの
恋によく似たアサガオの散る頃に
胸の奥が痛い 痛いよ
こんなにも距離を感じているの
ねぇ 愛は哀で それは土用波のように
僕の声を揺らしてた
海を抱く夏鳥が再び南へ
飛び去るのを見てることしか出来ない
あぁ 季節は移りゆくもの
夏が終わる前に綺麗な空へと
暮れた哀しみを投げ捨ててしまおう
あぁ 夜には深い涼風が
涙をくれたアサガオの散る頃に

タイトル『アサガオの散る頃に』の意味

青春の男女のひと夏限りの恋愛が、「アサガオ」に例えられています。

小学生の頃に学校で「アサガオ」を育てた経験のある方は多いのではないのでしょうか。

日本人の夏の印象を与える「アサガオ」。

「散る頃に」というタイトルから、夏のせつない気持ちが感じ取れます。


『アサガオの散る頃に』のテーマ

小学生の夏休みに育てることが多い「アサガオ」。

「アサガオ」は早朝に開花し、昼になるにつれしぼんでいきます。

秋口になるとしぼんだ花が枯れ落ち、新しく花が咲くことがなくなり、種が実りますが、みなさん、「アサガオ」の花が「散る」のを見たことがありますか?

「アサガオ」の1枚1枚の花びらつながっていて、なかなか「散る」という表現はしませんよね。

この楽曲では、「アサガオ」を「散る」と歌っていることから、ここに深いテーマを感じます。
歌詞中では、真夏から秋口にかけてのひと夏の男女の青春の恋を歌っています。

夏限定の恋を、アサガオに例え、アサガオが咲かなくなった時期のことを「アサガオの散る頃に」と表現したのではないでしょうか。

また、「アサガオ」の花言葉は、「はかない恋」「固い絆」「愛情」。

移り変わる季節とともに思い出になっていく、この夏で終わってしまう2人の「はかない恋」が歌詞中に描かれています。

『アサガオの散る頃に』の歌詞中の登場人物

女性ボーカルの初音ミクが歌う楽曲ですが、主人公の「僕」は男性、相手の「君」は女性でしょう。

MVには終始制服を着た若い女性の静止画です。

「僕」と「君」は、学生、若い恋人だと読み取れます。

夏のせつない別れの歌です。


『アサガオの散る頃に』歌詞の意味

永遠には続かない情熱

蝉時雨が僕の心に冷たく響く
太陽を濡らして
ねぇ ずっと今が茜色で染まり続ければ
夕も幸せだろう

「蝉時雨」セミの鳴き声を雨音に例えた言葉から、季節は夏。

しかし、暑い夏のはずなのに、「僕」の心には冷たい感じ。

太陽さえも濡らしてしまう、ネガティブな印象の冒頭。

「茜色」は太陽が沈む夕日。

「夕も幸せだろう」

「夕」は太陽が沈む時間を表している言葉ですが、ここでは沈んでいく太陽の「夕」について感情があるかのような表現をしています。

夕日が茜色をしている時間はほんの数分から数時間ですよね。

その時間が「染まり続ければ」、ずっと続いたら、「夕は幸せだろう」と歌われています。

太陽のように燃やした情熱が、沈んでいく太陽のように消えてしまったことを歌っていると読み取れます。


夏だけの限られた恋

夏が意地を張るほど汗ばんでゆく
この手じゃ君を繋ぎ止めておけない
あぁ 夜には消えてしまうの
恋によく似たアサガオの散る頃に

「夏が意地を張るほど」

「夏」は季節を表していますが、「夏」を擬人化して表現しています。

確かに、猛暑続きの時は「夏」さん、もうがんばらないでと思ってしまうこともありますね。

ここで「君」という相手が出てきました。

「僕」のこの手では、「君を繋ぎ止めておけない」。

「君」は「僕」から離れ、どこへ行ってしまうのでしょうか。

他に好きな人ができたのか。

夢を追って遠くへ行ってしまうのか。

それとも、「僕」と「君」の2人の間では変えることのできない環境?

「夜には消えてしまう」

Aメロは夕日を歌っているので、「僕」と「君」との時間が残り少ないと読み取れます。

ここでタイトル「アサガオの散る頃に」

伝わらなかった声

胸の奥が痛い 痛いよ
こんなにも距離を感じているの
ねぇ 愛は哀で それは土用波のように
僕の声を揺らしてた

「胸の奥が痛い」と「僕」の感情が歌われる2番。

「僕」と「君」の間に心の距離を感じています。

「愛は哀」

「哀」とは「せつない」という意味。

「土用波」は晩夏の時期に発生する大波のことです。

「愛」はせつなく、大波のように「僕の声を揺らしてた」

「僕」が「君」へかけた言葉が、届かない、伝わらなかったことが読み取れます。


誰にも止めることができない別れ

海を抱く夏鳥が再び南へ
飛び去るのを見てることしか出来ない
あぁ 季節は移りゆくもの

蝉の鳴き声が響いて始まる大サビ。

MVは茜色の空からここだけさわやかな青色となります。

「海」「夏鳥」

「僕」は「飛び去るのを見てることしか出来ない」

離れていく「君」に、「僕」が何もできずに無力でいることのせつなさが表れています。

しかし、MVの青が、それはとてもさわやかな別れであることも表現しているようにみえます。

「季節は移りゆくもの」

「僕」と「君」の別れは、自然の流れだったのでしょうか。

胸にしまう思い出

夏が終わる前に綺麗な空へと
暮れた哀しみを投げ捨ててしまおう
あぁ 夜には深い涼風が
涙をくれたアサガオの散る頃に

「夏が終わる前に綺麗な空へと 暮れた哀しみを投げ捨ててしまおう」

自然の流れに逆らうことができずに、2人は別れなければならない運命だったのでしょう。

「僕」の気持ちに変化が表れたように「綺麗な空」と晴れやかな感情が読み取れます。

「夜には深い涼風が」

夏が終わり、秋が近づいて来たころ。

どうにもならなかった「僕」と「君」の別れに対して、気持ちの整理がついたのでしょうか。

「涙をくれた」

後から思い返すと、せつないけれど、夏の思い出になった「僕」と「君」との時間。

夏限定の、青春の男女の物語。

まとめ

夏を感じさせるセミの声が入ったさわやかなこの楽曲。

「アサガオ」は、「はかない恋」を季節の移り変わりとともに思い出に変えていく心情を描く重要な意味を持っていました。

転調するラストのサビが、せつなさを増幅させます。

シンプルな曲の構成、アニメ映画のエンディングになりそうな、美しい楽曲ですね。

 



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