Eve『白銀』歌詞の意味を考察・解釈

この白の世界で僕達は
一体何色に染まるのだろう

与えられたこの瞬間に
精一杯の 舵を切ってきた

未完成なんだ 未完成なんだ
知らないもんばっか エゴに溺れてきた

気付いていたんだ 気付いていたんだ
加速する体温 焦燥を描いた

ただ ただ このまま終わりにしたくないんだ
刹那的な物語を今

ゆこう

想い馳せる 白い海原
言葉だけじゃ 足んないよ メッセージ
熱を帯びた 指先から
君の心溶かし始めたんだ

夢ならば 覚めないでいて
くだらない事ばっか それでも楽しかったんだと
二度と今がやってこなくたって
ずっと消えない

絡まった複雑な情景は
一体何色に映るのだろう

当たり前になっていた感覚など
この一瞬で崩れ落ちてしまった

まだ まだ このまま続いて欲しいだなんて
いつも見せないその横顔が
焼き付いて消えない

想い馳せる 白い海原
この瞬間も懐かしくなってく
涙で滲ませた視界だっていい
確かな熱だけ覚えていて

夢ならば 覚めないでと
この気持ちを胸に刻んでは
いつかまた想いだせるように
白銀の大地を蹴った

ゆこう

想い馳せる 白い海原
言葉だけじゃ 足んないよ メッセージ
熱を帯びた 指先から
君の心溶かし始めたんだ

夢ならば 覚めないでいて
くだらない事ばっか それでも楽しかったんだと
二度と今がやってこなくたって
僕らの胸を焦がしたって
ずっと消えない

歌詞考察の前に

今回は人気アーティストであるEveさんの楽曲『白銀』を考察していきたいと思います。

動画説明欄にて今作のコンセプトが載せられていたので紹介します。

テレビCMや駅のポスターで大きく展開される『JR SKISKI』は、毎年、JR東日本が旬な若手女優を起用するスノーレジャー需要の活性化を図る企画。今年のキャッチコピーは「この雪は消えない。」で、仲間と共有する学生時代最後の冬を表現することで、ターゲットである18~24歳の共感を誘うメッセージとし、アーティストのEve(いぶ)の楽曲「白銀」がテーマソングに起用された。

https://www.youtube.com/watch?v=4e6QFTNgksg

コメントからもわかるように今作は JR SKISKI 2019-2020 キャンペーンテーマソング として起用されています。

MVの中では随所にキャッチコピーやタイアップを意識した描写が盛り込まれています。

筆者が今作から特に感じた点は以下の通りです。

残るものと残らないもの

コメントにもあったように「仲間と共有する学生時代最後の冬を表現」している点に注目しました。

青春時代は永遠ではなく仲間もそれぞれの道を進んでいきます。
これは残らないものに該当することでしょう。

しかし消え行くものに想いを馳せ心に刻むことで残すこともできます。

浜辺美波さんと岡田健史さんW共演の『JRスキー』CMにおいても興味深い台詞がありました。

「この冬は 二度と来ない」「でも この雪は消えない」

「撮らないの?」「うん 見てる」

これらの台詞から「残らないもの」を必死に残そうとしている様子が伝わってきます。

思い出を写真に残せばそれはデータとして残ります。
それでも肉眼で見る大自然の美しさはその時限りのものと言えるでしょう。

考えさせられる台詞や描写はMVや歌詞の中にもたくさん散りばめられているのでご一緒に見ていきましょう。

タイトル『白銀』とは

タイトル『白銀』は「降り積もった雪」を喩えて用いられる言葉です。
もともとは銀色を指して用いられており、雪が煌くその様子から「白銀の世界」などと表現されるようになりました。

白銀は歌詞の中で「白い海原」とも表現されています。
MVでも観察できますがスキー場では雪原が海のように広がっています。

後で詳しくお話しますがその光景は学生にとって、また社会人になってからも勇気を与えてくれる存在として歌詞では扱われています。

『白銀』歌詞の意味

何者になるのだろうか

この白の世界で僕達は
一体何色に染まるのだろう

今回はMVに登場した男性を主人公として考察を進めていきたいと思います。
MVは彼が社会人として生活しているシーンからスタートします。
途中で学生時代の自分と対峙し過去の記憶や思い出に触れることで心境の変化を経験していくことになります。

歌詞冒頭についてはEveさんが次のように述べていました。

真っ白な、まだ何色にも染まっていないような雪を見て、今学生のみんなは、これから社会に出ていく人たちは、きっと自分自身を染めていったり、社会に染まっていったり、いろんな色に染まっていくと思うんですよ。

https://www.tfm.co.jp/lock/eve/index.php?itemid=14062

社会に出たばかりの主人公は「自分が社会において何者になるのだろうか」と自問していたのです。

主だった人になるのかそれとも主だった人に染められていくのか、いろいろな事が頭をよぎったに違いありません。

精一杯の決定

与えられたこの瞬間に
精一杯の 舵を切ってきた

未完成なんだ 未完成なんだ
知らないもんばっか エゴに溺れてきた

主人公の男性はこれまでを振り返り自分が人生のあらゆるシーンで重要な決定を下してきたことを実感しています。

勉強して進路を決め、好きな人を決めその人との歩み方も決めてきたことでしょう。
MVでは女性と並んでいるシーン後に彼がベッドで苦悩する描写も見られましたね。

彼は社会という海原で「舵を切る」つまり決定を繰り返してきました。

それでも自分が「未完成」であることを繰り返し強調しています。
人格面でも経験の面でもそのように感じているのです。

彼が自身に不足を感じている理由が続く歌詞で2つ挙げられています。

・知らないもんばっか

・エゴに溺れてきた

社会に出たばかりの彼は組織や社会のルールに関して知識が不足しています。
周囲からは当然だよと慰められても自分自身では焦りや苛立ちがあることでしょう。

さらに「エゴ」つまり「自我」や「うぬぼれ」のことですが自分の中で沸き起こるそうした余分な考えが現実を直視できないようにさせていることに苦悩しているようです。

以上を踏まえて彼はまだまだ自分は未完成であると判断したのです。

燻る負けん気

気付いていたんだ 気付いていたんだ
加速する体温 焦燥を描いた

ただ ただ このまま終わりにしたくないんだ
刹那的な物語を今

MVでも観察できるように彼は多忙な生活の中で自分の感情を押し殺して過ごしています。
「大人になるとはそういうことなんだろう」とある種の諦めを感じていたのかもしれません。

自分の思うように物事が運ばないことを仕方ないと思うようになり、短絡的な考え方をしていたとも読み取れます。

しかし歌詞では「加速する体温 焦燥」とあります。
彼の中で物事がうまくいかない苛立ちと負けん気がふつふつと込み上げてきたことを表現しています。

自分の人生を「刹那的な物語」つまり一瞬の出来事として捉え、今を精一杯生きることを決意しています。

過去の思い出が心溶かす

想い馳せる 白い海原
言葉だけじゃ 足んないよ メッセージ
熱を帯びた 指先から
君の心溶かし始めたんだ

夢ならば 覚めないでいて
くだらない事ばっか それでも楽しかったんだと
二度と今がやってこなくたって
ずっと消えない

この部分で登場する「白い海原」というワードからEveさんは今作を発展させて歌詞作りされたようです。

MVでも学生時代の自分に手を引かれ主人公は昔の記憶を呼び起こします。

学生時代スケッチブックに書き込んだ「絶対負けない(たぶん「い」)」を思い起こし大人になった今も自分や社会に負けないことを決意したことでしょう。

「熱を帯びた 指先から 君の心溶かし始めたんだ」というフレーズは、学生時代の思い出の指先に触れることで彼は昔の熱意が体中に広がるのを実感したという意味だと解釈しました。

遠い昔の楽しい思い出はずっと消えないで欲しいと思うものです。
彼もそう思っています。

それでも過去が「二度とやってこないこと」つまり残らないものと認めると同時に心の中で「ずっと消えない」つまり残り続けるものとして認識しています。

彼は過去に触れることで今を前向きに見つめることができました。

MVでは彼が白銀の世界で学生時代を思い出した後、色づいた世界で笑顔を見せていました。

それでも彼はまた社会人として大きな壁にぶつかったり落胆するかもしれません。

しかしそのたびに昔、滑った雪原に足を踏み入れることで昔の熱意を取り戻していくのでしょう。

夏を迎えれば残らないはずの雪が彼の心と脳裏に刻まれ残っていきます。
冷たい雪が彼に熱意を残していきます。

不思議で確かな感覚に包まれた彼は安堵し白い息をそっと吐いたことでしょう。。

まとめ

いかがだったでしょうか。
社会人になったばかりの戸惑いや不安、そして過去の回想から取り戻した熱意など忠実に表現されていましたね。

疾走感溢れるハイテンポな曲調も気持ちを高揚させてくれましたね。

考察部分では扱わなかったのですがMVに登場した「小人?」について少しお話したいと思います。

この「小人」なんですが最初「手足がしっかりある」のです。
しかしシーンによっては「手が枝に」「手足が枝に」変わっています。

筆者はこの変化を「時間軸」として解釈しました。

小人の手足がある状態―現在

小人の手だけ枝―過去

小人の手足が枝―もっと過去

なぜなら学生時代の写真に写った小人の手足が枝、主人公が学生と対峙したときが手だけ枝、イントロの現代では手足があるのを確認したからです。

一つの考察として参考にしてくだされば嬉しく思います。

今作も季節感を捉え胸をくすぐるような内容でした。
Eveさんの変わらない美声もたいへん魅力的でしたね。

今後の活動と次回作に期待し注目していきたいと思います。
素敵な作品をありがとうございました。

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