DAOKO『おちゃらけたよ』歌詞の意味を考察・解釈

渋滞した脳幹に囁やけば 勝算なんか冗談にして
好感を買えるのは 余裕かどうか必死かどうか
どちらかなんだ

どんな気持ちで居たらいいんだろうね
外に出たら明るくて冷たくて おちゃらけたよ

死ぬ程なんて 死んでから言ってくれないか
爽快なやつを頼むよ
カッといってクッと見渡せるやつを
今日もシャワーで実像の汚れを落とそう
排水口から逃げ出すことはできなそう
「何もかもなくなれば!」と滅亡を願っても
数分後には笑えるよ 熱量 漏れ出す疫病

どんな気持ちで居たらいいんだろうね
外に出たら明るくて冷たくて おちゃらけたよ
どんな言葉で言えばいいんだろうね
街に出たら賑わいと酸欠で おちゃらけたよ

ひとりで喚く力も
いつのまにかなくなっていた
見透かしたような言葉で
わたしを閉じ込めて 何が楽しいの?

どんな気持ちで居たらいいんだろうね
外に出たら明るくて冷たくて おちゃらけたよ
どんな言葉で言えばいいんだろうね
街に出たら賑わいと酸欠で おちゃらけたよ

歌詞考察の前に

今回は人気アーティストであるDAOKOさんの楽曲『おちゃらけたよ』を考察していきたいと思います。

筆者が今作から特に感じ取った点は以下の通りです。

・環境の変化についていけない時の焦燥感

上記の点を続く曲紹介と共にお話していきたいと思います。

『おちゃらけたよ』MVが2020年3月25日にネット上で公開、リリースされました。
動画再生回数は公開初日から5万を超える人気ナンバーとなっています。

今作では「東京で進められる都市開発のスピードと人生を歩むスピードを比較して生まれる焦燥感」が伝えられています。

MVの内容や曲調にも注目してみましょう。

MV序盤は高層ビルが立ち並ぶ大都市が映し出されています。
それを自分の部屋の窓から眺めるDAOKOさんは一歩も出られない状態が続きます。

しかし自室で激しく踊る姿は自身の中に秘められた本心の表現と見ることができました。
本当はやりたい事や自身の表現方法があるにも関わらず、環境の変化を目にしてそれらを思うように発揮できない様子が描写されているように感じます。

MVラストでは田舎町の風景にシーンが切り替わります。
自室のドアを押し倒して外に出たDAOKOさんは自信に満ち溢れた表情を浮かべ畦道を進んで行きます。
自分に合った環境を見つけ安堵したように感じました。

曲調は終始穏やかなローテンポで進行していきます。
寝る前や休暇におけるリラクゼーションのBGMにもってこいの曲調でした。
歌詞では絶えず主人公の焦燥感に言及しているのに対し穏やかな強調が当てられている点が魅力的なギャップに感じました。

今作の作曲の一部と編曲をインドネシアのビートーメイカー・pxzvcが担当しました。
現在22歳の若さでポスト・ヴェイパーウェイヴを世界中に配信し続ける彼は今も高い人気を受け続けています。

彼が2019年2月22日にリリースした「Verre d’eau」を聴けば今作の曲調とリンクする点を幾つか見出せることでしょう。

それではさっそく気になるタイトルや歌詞全体の考察を始めていきましょう。

タイトル『おちゃらけたよ』とは

「おちゃらけた」という表現には「冗談を言った、はしゃいだ、 羽目を外した、 悪ふざけの、ふざけた、悪ノリした」などさまざまな意味が含まれています。

タイトルが使用されている前後の歌詞に注目すると環境の変化についていけない主人公がどうしてよいかわからず「おちゃらけた」つまり自分らしくない行動を取ってしまったことを理解できます。

その行動は明らかに本心に反したものであり望んで行われたものではありません。

今作は東京における都市開発をテーマにしていますが、歌詞を広義的に捉えるなら進学や就職などあらゆる「環境の変化」に重ねて考察することも出来るでしょう。

『おちゃらけたよ』歌詞の意味

身動きできない頭と心

渋滞した脳幹に囁やけば 勝算なんか冗談にして
好感を買えるのは 余裕かどうか必死かどうか
どちらかなんだ

どんな気持ちで居たらいいんだろうね
外に出たら明るくて冷たくて おちゃらけたよ

今回は一人の女性主人公を主軸に考察を進めていきたいと思います。

歌詞冒頭では彼女が環境の変化を経験し頭と心が正常に働いていないことが綴られています。

彼女は「渋滞した脳幹」と頭の状態を表現しています。
「脳幹」とは脳の一部であり 脳の中軸部です。

数多い脳の部分から彼女が脳幹を選んだ理由を考察してみました。
脳幹は「感覚・運動神経」をつかさどっています。

ですから彼女の状況、つまり無感覚であり何も行動する気力がない状況を示唆していると解釈できます。

今の彼女の脳は何かを考え続ける余裕が全くありません。
とりわけ「勝算」つまり人間関係や環境の変化に対し成功を収めるための策について考える余裕はないのです。

彼女は人に好感を持ってもらい環境に順応するには2つのタイプになる必要があると実感しています。

・余裕を見せ続ける

・必死に周囲に合わせていく

確かに余裕のある人には魅力を感じますし、自分に合わせてくれる人といるのは気楽でしょう。
客観的に考えて彼女もそれに同意したのでしょう。

しかし今の彼女に2つのうちどちらかを演じる余力も気力も残されていません。
解答を見つけられないまま彼女はまた日常生活を送っていきます。

おぼつかない足取りと不安定な気持ちのまま都内へ足を運びます。
「外に出たら明るくて冷たくて おちゃらけたよ」にはどんな意味があるのでしょうか。

街の変化や人々の考え方があまりにも新しく多用化して目がくらんだのかもしれまえん。
「冷たくて」とは都内の人口建造物や冷ややかな人たちの対応に言及しているようにも思えます。

彼女はそれらに圧倒されましたが、不安な気持ちを隠すため咄嗟に「おちゃらけた」つまり自分らしくない行動を取ってその場をやり過ごすのでした。

世間の戯言

死ぬ程なんて 死んでから言ってくれないか
爽快なやつを頼むよ
カッといってクッと見渡せるやつを
今日もシャワーで実像の汚れを落とそう
排水口から逃げ出すことはできなそう
「何もかもなくなれば!」と滅亡を願っても
数分後には笑えるよ 熱量 漏れ出す疫病

ここでは彼女が世間がよく口にする戯言について言及しています。

彼女が嫌悪する「死ぬ程」の用法として「死ぬ程辛かった、キツかった」などがあげられます。

彼女は自身がこれまでずっと厳しい環境下に置かれてきたと認識しています。
ですから上記のような戯言が単なる甘えであると判断します。

それとは対照的に「もっと視野を広げることのできる意見」を酒に例えて求めています。

「カッといってクッ」となる意見には次の要素が含まれると考えられます。

・すぐに受け入れられる

・自分の心を熱くさせる

・受け入れた後は効いてくる

さらに言葉遊びとして、今まで1つの考えを脳裏に浮かべては「かといって」とそれを打ち消して迷ってきた彼女に変化をもたらす意見という解釈もできますね。

続く「今日もシャワーで実像の汚れを落とそう」はどのように解釈できるでしょうか。

「実像」とは光が集まってできる像のことです。
文学的に言えば光線の交点に実像ができると表現できるでしょう(頭痛い)

これは周囲の人たちの理想という光が集まって生み出された「成功のイメージ」が彼女にも植え付けられたということだと考えました。

彼女はその影響に屈するのを望まないので洗い流したいと表現したと解釈しました。

実像は「光源」が大きくなればなるほど「実像」を大きくしていきます。
ですから人々の理想に影響され、自身の中で理想が膨らむほど「成功のイメージ」が大きくなり、結果として前述のようについていけず苦しくなるということになります。

「排水口から逃げ出すことはできなそう」についても考えてみましょう。

排水口へと流されて行く液体または物体のように彼女もまた周囲に流されていくのを実感していると解釈できます。

しかし続く部分では「何もかもなくなれば!」と滅亡を願っても
数分後には笑えるよと積極的な考え方を示しています。 
余裕ない頭が生み出した単なる割り切りとも取れるかもしれません。

「熱量 漏れ出す疫病」というフレーズはさまざまな意味合いが連想されます。

歌詞の文脈的には死ぬ気になればなんだって出来るという熱意を指すと解釈できます。
本来であればこれ以上頑張れるはずないのに、根拠なく沸いてきた熱意は病に違いないと彼女が考えたのでしょう。

別の考え方としては東京都内で進行する「新型コロナウイルス」に言及しているのかもしれません。

人類滅亡を感じる事態に対する積極的な見方が提出されたという見方もできます。

わかったようなフリ

ひとりで喚く力も
いつのまにかなくなっていた
見透かしたような言葉で
わたしを閉じ込めて 何が楽しいの?

ここでは彼女が嫌悪する接し方が綴られています。

「見透かしたような言葉」とはなんでしょうか。

それは「気持ちを完全に理解したと豪語する人たちの言葉」を指すのでしょう。
「あぁ、わかるわかる」「自分も経験ある」「よくある話だよね」などの言葉が挙げられるでしょうか。

上記のような言葉は聞き手の辛抱や気力を著しく奪っていきます。
彼女は「ひとりで喚(わめ)く力もいつのまにかなくなっていた」と言っています。

そして「わたしを閉じ込めて」つまり本心を言えない状態まで追い込んでいることを明らかにしています。

ここで1つの教訓を見出せます。
誰かの気持ちを理解しようと努めることは良いことです。
しかし気持ちや考えを経験則によって決めつけ、統計などで判断してしまうと相手を深く傷つける場合があります。

そうしたものをいったんしまって相手の話に耳を傾ける重要性を学べました。

きちんと話を聞いて感情移入してくれる人はMVの最後に映し出された田舎町のようです。

居心地が良く安心できる場所、そんな存在になれたら良いですね。
頭にも心にも余裕がない彼女も、いつか癒しを実感できる環境を見つけられるでしょうか。

彼女と同じ境遇にあるすべての人がそうした環境に巡り合えることを願っています。。

まとめ

いかがでしょうか。

主人公の余裕の無さや焦燥感、同時に提出される底力にも似た積極性が垣間見れた歌詞ではなかったでしょうか。

誰しも環境の変化や物事の進展についていくのは困難です。
多くのストレスを感じ頭と心の容量はすぐいっぱいになってしまいます。

パソコンのようにすぐにメモリやHDDを増設して対応できたら苦労しませんね。
それでもいらないデータを削除するのと同じく、自身の考えを整理することはできるかもしれません。

時間はかかりますが、自分の気持ちが整理しやすい環境を見つけてリラックス出来たら良いですね。

今作は東京の都市開発がテーマに含まれていましたが、懐かしい場所が失われたりすると人はストレスや不安を感じます。
自分の思い入れがあった場所なら特にそう言えるでしょう。

今作を聴くすべての人の心が安らぎ余裕が生まれることを願っています。

DAOKOさんの幻想的また独創的なダンスパフォーマンスと美声も魅力的でした。
今後の活動と次回作に期待し注目していきたいと思います。

素敵な作品をありがとうございました。

ここまで記事を読んでくださりありがとうございました。

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