Aqu3ra『シックス・フィート・アンダー』歌詞の意味を考察・解釈

いつまでエンドロールだっけ?
オリジナルなんてないようだ
孤独の世界で泣いたって
絶対、善悪、招待、後悔
冗談でも 気になっても
代替可能 息殺して
悲しくて飲み込んだ体裁
「Enter」押して 振り出しに戻るんだ
夢にまで見た世界のリアルは
何者にもなれないの

ただ等身大で かつ盲目的に
落ちていくんだ
深く響く トラウマのセオリー
合法的に そう道徳的に
抜け出すまで
深く沈む この
シックス・フィート・アンダーから

すれ違って行き止まって
綱渡りも半信半疑で
君の声にはまだ届かない
何百回繰り返した
当たり障りのない言葉
どうかしてるって嘆くんだ
溶かして消えた嘘のように
君はまだ知らないみたいだけど
悪役が必要なんだ

ただ衝動的に かつ能動的に
触れていたんだ
揺れる響く ゆりかごのメロディー
感傷的に そう消極的に
繋がれてた
過去も現在も この
シックス・フィート・アンダーから

時間を戻して
邪魔者はだれ?
好き嫌いも忘れてしまったみたい
駆け引きと同じ
微笑んだ女神
タイミングは待ってくれないみたいだ
紙一重さ

ただ等身大で かつ盲目的に
落ちていくんだ
深く響く トラウマのセオリー
合法的に そう道徳的に
抜け出すまで
深く沈む ゆりかごのメロディー
360度ずっと
付きまとう悪魔と天使
振り払って
常識の外側へ
いっそ息の根を止めて
飛んでる意識を
呼び覚まして
起こして 今
シックス・フィート・アンダーから

歌詞考察の前に

人気ボカロPであるAqu3raさんの7作目『シックス・フィート・アンダー』が2020年1月3日に公開されました。

前作『ゴーストダンス』から約3か月経過しての公開となった今作は、独特の世界観を展開しています。

MVには複雑かつ繊細な一枚絵が使用されています。
イラストの特徴からすぐ予想されたと思いますが、今作のイラスト担当者は前作「アイボリー」のイラストを担当されたへびつかいさんです。

イラストには女の子の天使が登場しています。
上下には天国と地獄に見える2つの世界が描かれています。
イラスト左上には階段があり地獄の8階層を描写しているように見えました。

この絵の解釈を2つあげてみたいと思います。

1つ目:天国からやってきた天使が地獄にいる人を救済している

こう考えたのはイラストを反転させると上記のような構図に見えたからです。
歌詞の中の主人公は順風満帆な人生を送っていません。
むしろ自分の性格や自分の住む世界に苦悩している様子が描かれています。

ですからそのような主人公に希望の光を差し伸べるのがこの天使なのだと解釈しました。

2つ目:この世界には天国も地獄もない

イラストを反転させずに考えると、上が地獄で下が天国のように見受けられます。

歌詞中では主人公の奮闘と皮肉めいたフレーズを確認することができます。
恐らく彼は自分の生きる世界で懸命に努力をしてきたことでしょう。

しかし目標を掲げて努力を色々な分野に傾けても理不尽な結果に辿り着くということを経験したのでしょう。

この考えだと天使は主人公になります(本考察ではメインとして扱いません)
上に進めば天国があると思っていたが地獄だった。
下に進めば地獄かと思ったら天国だった。

それくらい世界が理不尽でメチャクチャな場所であることを歌詞は表現しているように感じました。

今回の考察では2つの解釈を織り交ぜながら考えていきたいと思います。

それではさっそく気になるタイトルや歌詞全体の考察を始めていきましょう。

タイトル『シックス・フィート・アンダー』とは

今作のタイトルは英熟語の「six feet under 」から来ているのでしょう。
「埋葬されて、死去して」というニュアンスで用いられます。

上記の語源は「死体を埋めるための穴の深さが6フィート」ということからきています。

6フィート約180cmですから大きめの大人が1人入ってしまう深さです。
これほど深く埋められたら簡単には出てこられませんね(出れんわ)

タイトルが用いられている歌詞の文脈を考慮すると、以下を示唆しているのではないかと解釈しました。

・主人公の感情面における最下層

・「無」の状態

文字通り土の中に埋葬されてしまえば身動きがとれません。
そして死んで埋葬されてしまえば意識は無くなります。

こうした要素が比喩的な意味で主人公と重なっており、実際に生きているが感情は死んだ状態にまた思考が停止している状態を表現しているのだと解釈しました。

続く部分では歌詞全体を考慮し主人公の心情や背景を筆者なりに汲み取っていきたいと思います。

『シックス・フィート・アンダー』歌詞の意味

模倣と偽物の山に埋まる

いつまでエンドロールだっけ?
オリジナルなんてないようだ
孤独の世界で泣いたって
絶対、善悪、招待、後悔
冗談でも 気になっても
代替可能 息殺して
悲しくて飲み込んだ体裁
「Enter」押して 振り出しに戻るんだ
夢にまで見た世界のリアルは
何者にもなれないの

今回は1人の男性主人公を主軸に考察を進めていきたいと思います。

歌詞を見ると彼が独創的で本物志向であることを幾らか読み取れます。
けれどもこれまでの経験から世界には「オリジナル」「リアル」もないことを悟ってしまったようです。

さらに世界に溢れる「体裁」を繕った人たちを見て、彼らが誰かの「模倣」であり自分の求めている生き方ではない「偽物」であると考えたのでしょう。

体裁繕うそうした人たちの影響を次第に主人公も受けていきます。
その点が「悲しくて飲み込んだ体裁」というフレーズから理解できます。

『「Enter」押して 振り出しに戻るんだ』というフレーズにも注目してみましょう。

パソコンのキーボードにおける「Enter」の役割は「決定」です。
ですから主人公は周囲の意見に流された決定をしてしまうということを示唆していると考えられます。

そして本心に背いた決定により、理想の自分の在り方から振り出しに戻ったと痛感していると解釈できます。

望むものはこの世界からは得られないと彼は思ったに違いありません。

感情面の最下層

ただ等身大で かつ盲目的に
落ちていくんだ
深く響く トラウマのセオリー
合法的に そう道徳的に
抜け出すまで
深く沈む この
シックス・フィート・アンダーから

ここでは主人公の感情面が酷く傷つき沈んでいく様子が描かれています。

「等身大」ということばは「ありのままの自分」を示唆しているのでしょう。
「盲目的」とは「感情に流され分別を欠く態度」を表現しています。

上記から主人公が背伸びもせずへつらいもせず、しかし感情のままに行動していることを理解できます。

次第に彼は消極的な考えや見方が定着し「どうあがいても誰かの意見に流されながら生きて行くしかない」とトラウマ状態に陥ったのでしょう。

そうした状態をタイトル『シックス・フィート・アンダー』で表現し、彼の感情が奥底まで沈んでいることを理解できます。

君という天使―淡い光

すれ違って行き止まって
綱渡りも半信半疑で
君の声にはまだ届かない
何百回繰り返した
当たり障りのない言葉
どうかしてるって嘆くんだ
溶かして消えた嘘のように
君はまだ知らないみたいだけど
悪役が必要なんだ

ここでは「君」という人物が登場します。
筆者は主人公に救いを差し伸べる天使のような存在であると理解しました。
便宜上「君」を1人の女性として扱いたいと思います。

彼女はある時から彼に助言を差し伸べていたのでしょう。
その言葉は彼にとって「当たり障りのない言葉」に思えました。
別の表現で言えば「綺麗ごと」のように聞こえたでしょう。

しかし彼にとって彼女は間違いなく唯一の希望でした。
歌詞の「綱渡り」はまさに希望へ導くためのか細い道を表現しているようです。

「感情面の最下層から救われるのでは?」と彼は信じる反面「今までも同じようなことを言われて騙されてきた」という疑いの気持ちもあったのでしょう。
そうした点を含めて「半信半疑」という用語が当てられているのだと解釈しました。

続く部分で彼は「君はまだ知らないみたいだけど 悪役が必要なんだ」と言っています。

やはり君である彼女を完全には信じ切れず疑っています。
この世界には「悪役が必要」であることを伝え「物事がすべて正しく収まることはない」と悲観的な意見を口にしているようです。

すべては「無」から

ただ衝動的に かつ能動的に
触れていたんだ
揺れる響く ゆりかごのメロディー
感傷的に そう消極的に
繋がれてた
過去も現在も この
シックス・フィート・アンダーから

ここでは主人公による物事の誕生について綴られているように感じます。

「ゆりかごのメロディー」というフレーズから彼が「生命の誕生」を念頭においていることを理解できます。

そのような「生命の誕生」「過去も現在も」「シックス・フィート・アンダー」に繋がっていると彼は述べています。

前述で筆者は「シックス・フィート・アンダー」を「無」の状態として解釈していました。

ですから彼が述べたいのは「生命の誕生」も「過去も現在も」も「シックス・フィート・アンダー」つまり「無」の状態から始まっているということだと解釈しました。

「自分にはなにもない」と感じるほどに彼は感情面で沈んでいました。
そして本物にも独創的なものにもなれず悲観的になっていました。

しかしすべてのものは「無」の状態からスタートしていたことを思い起こし、重い腰をあげてもう一度、希望を信じて立ち上がろうとしたのでしょう。

限られた機会

時間を戻して
邪魔者はだれ?
好き嫌いも忘れてしまったみたい
駆け引きと同じ
微笑んだ女神
タイミングは待ってくれないみたいだ
紙一重さ

ここで主人公は世界における目に見えないものの存在について語っています。

「邪魔者」というフレーズはどんな存在を指すのでしょうか。
その前の部分で彼は「時間を戻して」と述べています。
その願いに反して時間は過ぎていきますから、彼にとって時間を止めてくれない存在が「邪魔者」に該当するのかもしれません。

「微笑んだ女神」とはどんな存在でしょうか。
文脈の前後には「駆け引き」「タイミング」という用語が出てきます。

よく「勝利の女神がほほ笑む」ということばを耳にすることでしょう。
彼にとって勝利とは「感情面の最下層から抜け出し自分が望む生き方をする」ことだと考えられます。

彼は「君」と出会い、彼女のことばを信じて前進する機会を与えられています。
しかしそれは無限の機会ではなく有限です。

「紙一重」のその機会を彼は逃さず掴み取るでしょうか。

脱却―自らの意志で

360度ずっと
付きまとう悪魔と天使
振り払って
常識の外側へ
いっそ息の根を止めて
飛んでる意識を
呼び覚まして
起こして 今
シックス・フィート・アンダーから

ここでは主人公が前述の機会を物にしようと決意したことを理解できます。

「付きまとう悪魔と天使」とは彼の内奥の声だと考えました。
悪魔は「諦めろ」などの消極的な意見を述べ、天使は「頑張れ」と積極的な意見を述べていたのでしょう。

しかしそれらすべてを振り払い、自分が一番ベストだと思うことを原動力に彼は行動することを決意しています。

その決意はラストの部分の「今 シックス・フィート・アンダーから」という部分によっても裏付けられています。

彼の勇気ある決意は地中180cmに埋葬されるような状態からの脱却へと繋がったことでしょう。

そして当初「地獄」のように思えていた状況も、自分の努力次第で変えられると実感したに違いありません。
また誰かが吹聴する理想という「天国」など必要なく、自分だけの理想を鮮明に描き続ける生き方をしていったと筆者は解釈しました。。

まとめ

いかがだったでしょうか。
自分の住む世界に嫌気が差して感情面でどん底に落ちた主人公で考察してみました。

何度も聴いて歌詞を読みまくった結果がこれです。
Aqu3raさん、これだけは言わせてください。。

「深すぎて溺れる(笑)」

そりゃ制作終了と同時に爆睡しますよ(汗)
高い技術と奥深い世界観に引き込まれました。

今後の活動と次回作に期待し注目していきたいと思います。
ツイッターなども含めいつもお世話になっております。

素敵な作品をありがとうございました。

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