amazarashi 『未来になれなかったあの夜に』歌詞の意味を考察・解釈

「色々あったな」の色々の一つ一つを
つまびらかにしたくてペンを取ったわけですが
もう君の好きにしてよ 
僕も大概好きにしてきた
僕の事は忘れて 
他に行きたい場所があるんなら
 

名誉ある潔い撤退より 
泥にまみれ無様な前進を
尻尾を振る称賛の歌より 
革命の最中響く怒号を
あの日の情熱の火はいずこ 
悔しさを並べたプレイリスト
そぞろリピート音楽と風景     
後悔、浄化する過去の巡礼

まさかお前、生き別れたはずの   
青臭い夢か?恐れ知らずの
酒のつまみの思い出話と      
成り下がるには眩しすぎたよ
なじられたなら怒ってもいいよ   
一人で泣けば誰にもバレないよ
そんな夜達に「ほら見たろ?」って 
無駄じゃなかったと抱きしめたいよ

未来になれなかった        
あの夜に

前向きに生きることほど      
素晴らしいことはない
でも「前向きに生きて」じゃ    
頷けない誰かさんの為
夢追い人とは           
ともすれば社会の孤児だ
手段は選ばない          
いや、選べなかったんだ

恨み辛みや妬み嫉みの       
グラフキューブで心根を塗った
それでも尚塗りつぶせなかった   
余白の部分が己と知った
今更弱さ武器にはしないよ     
それが僕らがやってきたことの
正しさの証明と知っている     
今この僕があの日の答えだ

見える人にだけ見える光だ     
陰こそ唯一光の理解者
旅立ちと言えば聞こえはいいが   
全部投げ出して逃げ出したんだ
孤独な夜の断崖に立って      
飛び降りる理由あと一つだけ
そんな夜達に「くそくらえ」って  
ただ誰かに叫んで欲しかった

未来になれなかった        
あの夜に

取り立てる程不幸ではないが    
涙は路銀程に支払った
僕の過去の轍を見る人よ      
ここで会うのは偶然じゃないさ
夢も理想も愛する人も       
信じることも諦めたけど
ただ一つだけ言えること僕は    
僕に問うこと諦めなかった

醜い君が罵られたなら       
醜いままで恨みを晴らして
足りない君が馬鹿にされたなら   
足りないままで幸福になって
孤独な奴らが夜の淵で       
もがき苦しみ明日も諦めて
そんな夜達に「ざまあみろ」って  
今こそ僕が歌ってやるんだ

未来になれなかった        
あの夜に
ざまあみろ

歌詞考察の前に

人気ロックバンドamazarashi より『未来になれなかったあの夜に』のMVが2019年11月20日にネット上で公開されました。

同曲は同年11月27日リリースされた『amazarashi LIVE TOUR 2019「未来になれなかった全ての夜に」』の完全生産限定盤に収録されています。

上記ライブにて初披露された話題のナンバーであり魅力全開の作品です。

当サイトではamazarashiの楽曲を初めて考察することになります。
ですから少しバンドメンバーや特徴について触れておきたいと思います。

~amazarashi~

2010年2月から上記バンド名で音楽活動を始めました。
(過去のバンド名:STAR ISSUE、あまざらし)

メンバーは以下の通りです。

・秋田ひろむ
・豊川真奈美

秋田ひろむさんが作詞作曲またボーカル&ギターとマルチに活動しています。
ロックやヒップホップなど幅広いジャンルの音楽に影響を受け、音楽の道に進みました。

デビュー当時から悲嘆や苦悩を題材としたダークでメッセージ性の強い歌詞が特徴的でした。

畳み掛けるような訴えとそれに寄り添ったサウンドが強烈なインパクトと中毒性を聴き手に与えていきます。

豊川真奈美さんはキーボードを担当されています。
amazarashiを支えている方であり唯一の固定メンバーです。

東京で音楽活動していた秋田ひろむさんが心身ともに疲れ青森に帰ってきたときに出会った方です。

そこで当時ピアニストを求めていた秋田ひろむさんと豊川真奈美さんとの音楽活動が始まっていきます。

お二人は2014年に当時のファンクラブの会報にて結婚していることが明らかになっています。

バンド紹介はこのくらいにしてMVの内容や曲調に注目してみましょう。

今作MVの監督は映画「デイアンドナイト」「新聞記者」などを手掛けた藤井道人氏です。

強烈なタイトルのドラマ、例えば「100万円の女たち」「会社は学校じゃねぇんだよ」なども生み出している方です。

キャストは以下の通りです。

出演者:横浜流星、杉野遥亮、泉澤祐希、柄本時生

追加キャスト: 中村ゆりか、福山翔大に加え、冨田佳輔、華村あすか、濱津隆之、コバソロ(※大勢のためさんを省略)

MVは秋田ひろむさんの過去話に基づき登場する4人の「挫折」「希望」を描いています。

歌詞全体でも上記2つが背中合わせになっており最終的には「積極的な見方」を聴き手に提供しています。

感動と涙なくしては味わえない作品をさっそく考察していきましょう。

タイトル『未来になれなかったあの夜に』とは

今作に深く関わったプロデューサー・キャスティングディレクターとしても有名な柳亮氏(本名:高柳亮博)のコメントから、世界観を把握する上で重要な部分を把握しておきましょう。

ここで少し登場人物の紹介を。ヒロ(ギター)#横浜浜流星 トモキ(ボーカル)#杉野遥亮 コウイチ(ドラム)#泉澤祐希 マサ(ベース)#柄本日時生 この物語はこの4人が現実に悩み苦しむ希望と笑顔に満ち溢れ未来を見据えていたのは少し前のこと。

5番目の登場人物ユウコ(#中村ゆりか)。ヒロ(#横浜流星)との繋がりから共に4人の側に常に寄り添い見守ってきた。回想の多くは彼女がハンディで記録してきた映像。個人でもあり、彼を陰ながら応援していたすべてのファンの化身の意味でも、今回描かれています。

https://twitter.com/Oh_unigohan/status/1197114503713804288 柳亮twiiterより

上記コメントからタイトルの「未来」とは「4人が希望と笑顔に満ち溢れながら見ていた未来」を指しているようです。

彼らはバンドを組んでいますから「音楽で成功する未来」を夢みていたのでしょう。

この点では秋田ひろむさんが過去に語った「初めのころは家で曲だけ作って、それだけで暮らせたら最高だな」という台詞を思い出します。

大好きな音楽だけで生活できたらどんなにか幸せでしょう(辛いことも山ほどある)

そんな夢見る彼らに現実は鋭い牙を向けていきます。
彼らは一度、夢を諦めてしまいました。
夜中に怒りや悲しみを露わにします。

ですから、さまざまな感情がいりまじった夜がタイトルの「夜」なのだと解釈しました。

葛藤を抱えながら一時は腐り、そして這い上がる姿も観察できます。
その一部始終を見守り支え続けたユウコにも注目しながらMVを楽しみましょう。

『未来になれなかったあの夜に』歌詞の意味

ばらけた夢のピース

「色々あったな」の色々の一つ一つを
つまびらかにしたくてペンを取ったわけですが
もう君の好きにしてよ 
僕も大概好きにしてきた
僕の事は忘れて 
他に行きたい場所があるんなら
 

今回はMVでもメインに映し出されていたギターのヒロを主軸に考えていきたいと思います。

彼はバンド「PERFECT LIFE」において作詞作曲を担当していたものと思われます。

上記のバンド名は秋田ひろむさんが昔、所属していた「CHAMELEON LIFE」を由来としているのではないかと筆者は考えました(その時ギター担当だった秋田ひろむさんと重なっているのか)

ヒロは自分の日常生活で「色々あったこと」の一つ一つを歌詞で表現していきます。

「つまびらか」とは「詳しく、細々と」という意味があります。

ある時、スタジオ練習中に彼はメンバーとのある「相違」を感じていきます。
それは自分の歌詞を良しとしないこと、音楽性や方向性の違いが含まれるのかもしれません。

余談ですが、筆者も一度、音楽性の違いでバンドを脱退した経験があります。
バンド内は大抵個性と熱意の塊であり、メンバー内がぶつかり合うと譲り合うのがとても難しい場合があります。

本論に戻りましょう。
歌詞の「君」ヒロ以外のメンバーを指すのだと思います。

MVからメンバーの中で一番激情家なのがボーカルのトモキなのでしょう。
(自身の経験からボーカルは主張が強くプライドが高い場合が、、げほごほ)

飲食店においても「こんなんじゃ夢、叶えらんねんだよ!」みたいな感じで激怒していたように感じました。

見かねたヒロは「好きにしていい」と一蹴しバンド解散に至ったのでしょう。
メンバーたちは当初描いていた夢を置き去りにしてそれぞれの道に進みました。

夢のピースはばらばらになってしまいました。

あの日の勢いは何処へ

名誉ある潔い撤退より 
泥にまみれ無様な前進を
尻尾を振る称賛の歌より 
革命の最中響く怒号を
あの日の情熱の火はいずこ 
悔しさを並べたプレイリスト
そぞろリピート音楽と風景     
後悔、浄化する過去の巡礼

ヒロは部屋でユウコがハンディーカメラで撮影していたものと思われる映像を見返していました。

「あの日の情熱はどこへいったんだ」

自問するヒロは長い時間をかけて自分たちの活動を回想したことでしょう。

「名誉ある潔い撤退より 泥にまみれ無様な前進を」というフレーズからは、どんな理由があろうとも逃げずに音楽と向き合ってきた自分達について述べているように感じます。

「尻尾を振る称賛の歌より 革命の最中響く怒号を」というフレーズからは、誰かの評価を得るための音楽ではなく、周囲を敵に回しても自分達らしい音楽を提供していくという意志を感じました。

「そぞろリピート音楽と風景」「そぞろ」とは気持ちが落ち着かない様子を表現する言葉です。

ですからバンド解散後に聴く音楽がどれも自分の気持ちを落ち着かせないこと、そして見る風景すべてもそれに同じという意味なのでしょう。

「後悔、浄化する過去の巡礼」とは夢を諦めたことによって生じた後悔を繰り返しなかったことにしようとしてきたことを描写しているようです。

夜空に溶けた怒りと悲しみ

まさかお前、生き別れたはずの   
青臭い夢か?恐れ知らずの
酒のつまみの思い出話と      
成り下がるには眩しすぎたよ
なじられたなら怒ってもいいよ   
一人で泣けば誰にもバレないよ
そんな夜達に「ほら見たろ?」って 
無駄じゃなかったと抱きしめたいよ

ヒロだけではなく他メンバーも日常のあらゆる光景から、過去に自分達が置き去りにした「夢」を思い出します。

「生き別れた」と表現した「青臭い夢」

ヒロ以外は現状に目を向け今の生活を受け入れようとします。

それでもヒロは夢を叶えられなかったことに対して怒り、涙を流していたのでしょう。

そうしたさまざまな感情は夜空に溶けていきました。
自分達の夢みた未来とはかけ離れた現実がそこにはありました。

前向き or 開き直り

前向きに生きることほど      
素晴らしいことはない
でも「前向きに生きて」じゃ    
頷けない誰かさんの為
夢追い人とは           
ともすれば社会の孤児だ
手段は選ばない          
いや、選べなかったんだ

ここでは自分の生き方についてヒロの意見や考え方が綴られているように思えます。

彼は「前向き」に生きることを「素晴らしいこと」と認めています。
それでもそのスタンスだけでは「頷けない誰か」を考慮にいれています。

具体的に言えばどんな評価をされようとも「これが俺なんで」と言い切って生きていくことはある人からすれば前向きでしょう。

しかし別の人からすればそれは単なる「開き直り」とも捉えられてしまいます。

ヒロは確かな人気や知名度、実力が伴わない前向きは単なる開き直りなのだと考えた可能性があります。

それでもヒロが重視するのは「自分らしい音楽」なのでしょう。
ですから葛藤し苦悩しているのだと理解できます。

続く部分では「夢を追う」ことの大変さが綴られています。

「夢追い人とは ともすれば社会の孤児だ」

これはサラリーとして生きずフリーで活動する人は社会の保障を受けれないという意味なのだと解釈しました。

確かにフリーで音楽活動しているうちは保険や給料制度の適用もありません。
ですからヒロも含め他メンバーたちは手段を選んではいられませんでした。

がむしゃらに音楽を続け夢に向かって爆走していたことがわかります。

己の存在証明

恨み辛みや妬み嫉みの       
グラフキューブで心根を塗った
それでも尚塗りつぶせなかった   
余白の部分が己と知った
今更弱さ武器にはしないよ     
それが僕らがやってきたことの
正しさの証明と知っている     
今この僕があの日の答えだ

見える人にだけ見える光だ     
陰こそ唯一光の理解者
旅立ちと言えば聞こえはいいが   
全部投げ出して逃げ出したんだ
孤独な夜の断崖に立って      
飛び降りる理由あと一つだけ
そんな夜達に「くそくらえ」って  
ただ誰かに叫んで欲しかった

未来になれなかった        
あの夜に

ここではヒロが腐りそうになった時期や弱さを克服していく過程が綴られています。

彼は一時期「恨み妬み嫉み」という感情が心に増え広がっていくのを感じていたようです。

「グラフキューブ」とはデッサンで使う道具(芯鉛筆のイメージ)であり「黒色」で描くことができます。

上記から心が真っ黒に染まっている状態を描写しているのでしょう。

それでも彼の心すべて「負の感情」に染まったわけではありません。

「それでも尚塗りつぶせなかった 余白の部分が己と知った」というフレーズは、負の感情に負けずに夢を再び見ようとした自分がいたことを示唆していると解釈しました。

「今更弱さ武器にはしないよ それが僕らがやってきたことの 正しさの証明と知っている」という部分はとても考えさせられるフレーズです。

前述でも触れたようにヒロたちは誰かの評価のために音楽を始めたわけではありません。

自分らしい音楽をありのまま伝えることです。

ですから他人に認められなかったことで弱さを感じたり、認めなかった人たちを見返してやるという動機で音楽を再開したりはしなかったのだと思います。

その点は歌詞の「見える人にだけ見える光だ」という部分からも明らかであり「わかる人にはわかる自分達の魅力」という点が伝えられています。 

ヒロは「自分らしい音楽」を追求し続ける「強い自分」を武器に活動を続けていくことを決意したのでしょう。

そして崖っぷちに思えた夜に、メンバーの誰かあるいは支える誰かがくよくよ考える自分達と消極的な感情に「くそくらえ」と言って欲しかったと述べています。

MVの最後でヒロはソロ演奏をユーチューブで披露し音楽再開を世間に伝えていきます。

それを見たメンバーはヒロが夢を諦めていなかったことに感化され彼のもとに駆け寄ります。

そこで見た光景は全員に昔見た夢を思い起こさせました。
夢を諦めなかった人の姿はとても輝いており、それまで見て来た怒りと涙の夜すべてをかき消したに違いありません。。

まとめ

いかがだったでしょうか。

一連のストーリから登場人物たちの夢や葛藤、挫折と悲嘆などを見ることができました。

バンド内で起こる内輪もめや解散後のそれぞれの道がリアリティーに富んでおり思わず息をのんでしまいました。

今作から夢=諦めない というメッセージも受け取ることができました。

また悪い状況が改善されるのを待つのではなく、その状況のまま夢に向かって身を起こすという考えも伝達されました。

教訓の多い作品だったと思います。

amazarashiの今後の活動と次回作に期待し注目していきたいと思います。
素敵な作品をありがとうございました。

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