Aimer『I beg you』歌詞の意味を考察・解釈

憐れみをください
落ちた小鳥に
そっと触れるような
悲しみをください

涙汲んで 見下ろして
可哀想だと口に出して
靴の先で転がしても構わないわ
汚れててもいいからと
泥だらけの手を取って

ねぇ 輪になって踊りましょう
目障りな有象無象は全て
食べてしまいましょう
スパイスは耐え難い位がいいわ

怯えた小鳥は
さよならなんて言えなくて
愛を請う仕草で
黙り込んで 慎ましいつもりでいた

Lie, Lie, It’s A Lie
Not A Lie もう辛い
散々傷ついて
優しい世界に
誰だって行きたいわ

一つに溶けてしまいましょう
憎しみも愛情も
むしゃむしゃと
頬張ってしまいましょう
混沌の甘い甘い壺の中で

曖昧に笑うから
会いたいと思うのよ
I know you’re here
to stay with me
愛されていたいだけ
Lie, Lie, Lie, You’re to be with me
雷鳴の裂く所
惨憺たる Heavenly Feeling
愛だけ残ればいい…

曖昧に笑うから
会いたいと思うのよ
I know you’re here
to stay with me
愛されていたいだけ
Lie, Lie, Lie, You’re to be with me
雷鳴の裂く所
惨憺たる Heavenly Feeling
愛だけ残ればいい
津々と悲しみだけが降り積もる
願望も悔恨もただ埋め尽くす
絆結んだ遠い春の日を
傷残されよう
消えてしまうの?

やがてキラキラ夢の中
朽ちてゆく光は
あなたに届くはずだから
眩しくて 涙が止まらない

ねぇ どうかそばにいて
泥だらけの手をとって
離さないで
どうかずっとそばにいて
離さないで
暗くなるのそばにいて

離さないで
言えないわ
ただずっとそばにいて
離さないで
ただずっと
愛してる

はじめに

『I beg you』とは2019年1月8日にネット上で公開された楽曲です。
劇場版「Fate/stay night [Heaven’s Feel]」Ⅱ.lost butterflyの主題歌
となっており多くのfateファンにも注目されています。

動画再生回数は400万を超え2019年大人気の一曲となりました。
MVでは女優の浜辺美波さんが主演となり『I beg you』が放つ独特の
世界観を盛り上げてくださいました。

MVでは浜辺美波さん演じる主人公(※以下少女と表記)と怪しげな動物たち
が森の中で踊っているシーンが多く見られます。
カットが変わると少女が一人孤独に狭い部屋の中でメリーゴーランドを見つめ
ているシーンになります。

MVはこの2つの異なるシーンを交互に用いた構成となっており自然と歌詞も
その構成に従うように並行して書き記されているように見受けられます。

MVの少女は紛れもなくfateの「間桐 桜」(※以下桜と表記)でしょう。
劇場版の内容(記事中で映画ネタバレに触れることはありません)や
これまでの桜の生い立ちや周囲の人間関係が歌詞全体で顕著になっています。

ですから今回の考察は主人公をfateの桜として読み解いていきたいと思います。
それではさっそく桜の闇よりも深い混沌の感情に、そしてその中で微かに煌めく
希望に迫りたいと思います。

タイトル『I beg you』とは

「I beg you」とは「お願いです」という意味です。
その他に「懇願」という強い願いを表す意味もあります。
ですから歌詞全体に桜の強い願いが広がっていると考えて
間違いないでしょう。

fateの男性側主人公「衛宮 士郎」(※以下士郎と表記)に
特別な感情を抱いており「いつも一緒にいて欲しい」という
のが桜の「お願い」です。
それでも数多くの災いや呪いと同等の宿命に行く手を阻まれます。

桜の願いが士郎を求め混沌の中で迷走します。
桜が士郎を含む仲間と楽しくやっていた頃や
様々な災難によって堕ちていく様子を考察していきましょう。

『I beg you』歌詞の意味

黒く穢された白い手

憐れみをください
落ちた小鳥に
そっと触れるような
悲しみをください

涙汲んで 見下ろして
可哀想だと口に出して
靴の先で転がしても構わないわ
汚れててもいいからと
泥だらけの手を取って

桜は平穏に学校生活を楽しんでいた頃には
ある程度の自由がありました。
それでも目立つ方ではなく「小鳥」という
言葉が似合っていました。

苦手なものが「体育」ということもあり快活な
タイプというよりかは内気でした。

そんな彼女の平穏は間桐一族と関わることによって
一変する。
強力で凶悪な力を有するが故に多くの人々を傷つ
けていきます。

MVの最後に「黒いぐちゃぐちゃ」したものが少女から
でて彼女と周囲の動物たちを取り巻いた演出があります。
恐らく間桐一族から桜へ強引に与えられた「力」を指す
ものと思われます。

そのような強力で凶悪な力を使用するうちに
彼女の雪のように白い手は黒く染まっていきました。
そのことが「泥だらけの手」と表現されています。

憧れの士郎に自分から触れることはもうできません。
ですから自分を憐れんで士郎から手を取ってくれる
ことを桜は切望します。

我慢強さの桶に溜まった闇

ねぇ 輪になって踊りましょう
目障りな有象無象は全て
食べてしまいましょう
スパイスは耐え難い位がいいわ

怯えた小鳥は
さよならなんて言えなくて
愛を請う仕草で
黙り込んで 慎ましいつもりでいた

桜は基本的に自己評価が苦手です。
さらに我慢強くある程度の逆境や苦境に
対しても涼しい顔をしていられます。

ですから「有象無象」のありきたりなものではなく
「耐え難いスパイス」のような刺激でなければ
彼女は感じ取ることができません。

ある意味で危険予知に敏感でないため災いを
身に招いてしまうのかもしれませんね。

前述で取り上げた間桐家も自分の意思で関わった
わけではなかったのです。
気が進まなかったのですが「怯えた小鳥」は
別れを告げて出ていくことすらできません。

ただどんな環境でも「愛が欲しくて」慎ましく
振る舞うことにしていました。

しかし桜がそのように振る舞うたびに周囲は
桜を利用し取り返しのつかないところへ
導くのでした。

皆が魅入られた聖杯のように

Lie, Lie, It’s A Lie
Not A Lie もう辛い
散々傷ついて
優しい世界に
誰だって行きたいわ

一つに溶けてしまいましょう
憎しみも愛情も
むしゃむしゃと
頬張ってしまいましょう
混沌の甘い甘い壺の中で

桜に希望を差し伸べる色々な言葉がありました。
それでもいくら信じても桜は混沌の中でもがくばかりです。
ですから「Lie, Lie, It’s A Lie」とすべてが嘘であると
結論します。

桜の道徳観は徐々に形を変えて100%善など存在しない。
「憎しみも愛情も」セットで受け入れなければならない
という事実を甘受します。

「混沌の甘い甘い壺の中で」とは桜の置かれた「状況」と
fateに登場する「聖杯」の2つを指すと読み解きました。

まず桜の状況は仲間との甘い状況と間桐一族による混沌の
中で掻き回され続けてきました。

さらに聖杯はあるときには「みんなの願いを叶える」という
甘い面をもっており、反対に汚されて多くのものに混沌を
もたらすという災難な面ももっています。

混沌の中で煌めく星々

曖昧に笑うから
会いたいと思うのよ
I know you’re here
to stay with me
愛されていたいだけ
Lie, Lie, Lie, You’re to be with me
雷鳴の裂く所
惨憺たる Heavenly Feeling
愛だけ残ればいい…

やがてキラキラ夢の中
朽ちてゆく光は
あなたに届くはずだから
眩しくて 涙が止まらない

桜は混沌の海で泳ぎ疲れます。
もがくのをやめて全部終わりにしようと
何度思ったことでしょう。

それでも士郎が見せる眩しい「星」のような笑顔は
曖昧な感じで桜に希望を与えてしまうのでした。

それに応え応じるかのようにして桜も
混沌の海の中で必死に手を伸ばし
この手を掴んで自分を引き上げてくれるよう
士郎に懇願します。

その願いは混沌の中で鈍く儚い光を放つ「星」のようです。
桜は士郎には到底、届かないとであろうと思っています。
「朽ちていくとき」つまり自分が混沌で力尽きるときに
ようやく士郎に見つけてもらえるのだろうと考えています。

最初であり最後の願い

ねぇ どうかそばにいて
泥だらけの手をとって
離さないで
どうかずっとそばにいて
離さないで
暗くなるのそばにいて

離さないで
言えないわ
ただずっとそばにいて
離さないで
ただずっと
愛してる

桜が学生だったころから現在に至るまで士郎は
憧れの存在でした。
士郎に「ずっとそばにいて欲しくて」たまらないのです。

そばに士郎がいないと桜は自分を利用する者たちや
強力で凶悪な力に怯え「暗く」なります。

そして歌詞の最後で桜は士郎への想いを言葉にしています。
「愛してる」
今までは士郎から「愛されたい」と想っていました。
最後に桜は本当の願いを明らかにしているのです。

「わたしは士郎を愛したい」

まとめ

動画サイトコメント欄を見るとクオリティーの高さを
褒める声が後を絶ちません。

fateは本当に奥深く複雑化された作品とされていますが
『I beg you』はそれに寄り添うような仕方でぴったり
ついてきていますね。

Aimerさんの今後の作品がどのようなテイストに仕上がるのか
またどのような演出を見せてくれるのか楽しみです。

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