aiko『花火』歌詞の意味を考察・解釈

眠りにつくかつかないか シーツの中の瞬間はいつも
あなたの事考えてて
夢は夢で目が覚めればひどく悲しいものです
花火は今日も上がらない
胸ん中で何度も誓ってきた言葉がうわっと飛んでく
『1mmだって忘れない』と…
もやがかかった影のある形ないものに全て
あずけることは出来ない

三角の目をした羽ある天使が恋の知らせを聞いて
右腕に止まって目くばせをして
『疲れてるんならやめれば?』

夏の星座にぶらさがって上から花火を見下ろして
こんなに好きなんです 仕方ないんです
夏の星座にぶらさがって上から花火を見下ろして
涙を落として火を消した

そろったつま先 くずれた砂山
かじったリンゴの跡に
残るものは思い出のかけら
少し冷たい風が足もとを通る頃は
笑い声たくさんあげたい

三角の耳した羽ある天使は恋のため息聞いて
目を丸くしたあたしを指さし
『一度や二度は転んでみれば』

夏の星座にぶらさがって上から花火を見下ろして
たしかに好きなんです 戻れないんです
夏の星座にぶらさがって上から花火を見下ろして
最後の残り火に手をふった

赤や緑の菊の花びら 指さして思う事は
ただ1つだけ そう1つだけど
『疲れてるんならやめれば…』
花火は消えない 涙も枯れない

夏の星座にぶらさがって上から花火を見下ろして
こんなに好きなんです 仕方ないんです
夏の星座にぶらさがって上から花火を見下ろして
涙を落として

夏の星座にぶらさがって上から花火を見下ろして
たしかに好きなんです 戻れないんです
夏の星座にぶらさがって上から花火を見下ろして
最後の残り火に手をふった
夏の星座にぶらさがって

歌詞考察の前に

人気アーティストaikoさんが歌う『花火』は 1999年8月4日にリリースされました。

同曲は「あした」「ナキ・ムシ」に続くメジャー3作目シングルです。

動画サイトにおけるリリック動画でさえ1,000万を超える人気を誇るナンバーとなっています。

若者から大人たちの間で今なお、人気の高いラブソングとして知られていますね。
夏の花火を楽しむ季節には必ずと言っていいほど同曲が流されています。

しかしタイトルの『花火』が結局なんだったのだろうと疑問に思う方も多いようです。

何度か聴いて意味を模索するのですが、まあメロディーが良いからと考えるのをやめてしまう人もいるでしょう。

そんな方のために今回はタイトル『花火』や歌詞の独特な表現を紐解いていきたいと思います。

少しの間、お付き合いください。

それではさっそく気になるタイトルと歌詞の考察を始めていきましょう。

タイトル『花火』とは

『花火』は夏の風物詩ともなっており、、なんて説明するのも野暮ですね。

タイトルの『花火』は文字通りの花火でもありますが、歌詞中では主人公の『気持ち』を示唆しています。

aikoさんへのインタビューなどで確認できる裏話なのですが、当時 aikoさんはキャンペーン活動などで多忙を極め、毎年友人と行っていた花火大会に行けなかったそうです。

悔やみながら自室のベッドに入り寝ようとしたところカーテンの隙間から星が見え、その時に今作の歌詞が浮かんだそうです。

花火を見に行けなかったから『花火』という作品が出来上がったという、なんとも面白いストーリーが作品の裏側にはあったのです。

続く部分から歌詞全体を考察し、主人公の背景や心情を追ってみましょう。

『花火』歌詞の意味

実らぬ恋―上がらぬ花火

眠りにつくかつかないか シーツの中の瞬間はいつも
あなたの事考えてて
夢は夢で目が覚めればひどく悲しいものです
花火は今日も上がらない

今回の考察では1人の女性主人公を主軸に考察を進めていきたいと思います。

夜も更けていた頃、彼女は自室のベットで意識を彷徨わせています。

「シーツの中の瞬間」
という部分は2つの意味があるのだと筆者は考察しました。

1つは、文字通り彼女がベッドで休む時を指すものと思われます。

もう1つは、彼女の気持ちがシーツに包まれているかのように覆われて「モヤモヤ」しているという描写なのだと考えました。

いずれにせよ彼女が意識を彷徨わせモヤモヤしている要因が、続く歌詞から理解できます。

「あなたの事 考えて」

彼女には好きな男性がいるようです。
いつも寝る前には彼の事を考えており「夢」の中でも彼の事を考えていることも把握できます。

まさに彼女は彼に夢中なのです。

しかし続く歌詞を見てみると彼女が浮かれているようなつまり「ウキウキ」している状態ではないことも理解できます。

「目が覚めればひどく悲しいものです 花火は今日も上がらない」

この部分から彼女が実際に彼と交際できていないことを嘆いていることを読み取れます。

「花火は今日も上がらない」とはどういう意味でしょうか。

この部分を見ると今作で「花火」を実際の花火と直結させていないことを理解できます。
「今日も」と彼女は述べています。
普通、花火が上がるのを何日も切望する人はいませんね。

さらにタイトルの説明部分で筆者は『花火』を主人公の「気持ち」としました。

ですからこの部分は彼女の「彼と交際したいという気持ち」と考え、「上がらない」とはその気持ちが「報われない」また「願いが成就しない」という意味だと解釈しました。

過去の誓いが胸を刺す

胸ん中で何度も誓ってきた言葉がうわっと飛んでく
『1mmだって忘れない』と…
もやがかかった影のある形ないものに全て
あずけることは出来ない

彼女は長い間、次のような誓いを自らに立てていました。

『1mmだって忘れない』

これは紛れもなく好きな彼のことを忘れないという意味でしょう。

「1mm」もという表現から「僅かでも忘れることはない」という点も強調されています。

しかしそのフレーズの前には「うわっと飛んでく」という興味深い表現が用いられています。

彼女の心情を考えてみると情景を理解しやすくなります。
彼女は好きな彼に思いを伝え、交際することを夢見ていました。
その思いが現実のものとなる間、自らに誓いを立てたのでしょう。

しかし人は期待が延期されることにたいへん弱い生き物です。
望んだ通りにならないと誓いを取り下げたり願いは弱まったりします。

彼女も誓いを忘れかけるほどに弱っていたのでしょう。
「うわっ」と驚くほどに自分が消極的になっていることに気づいたのだと解釈しました。

「もやがかかった影のある形ないもの」とは「先行き不透明で不確かな2人の未来」を示唆すると考えられます。

そうしたものに「全て」つまり自分の人生を「あずけることは出来ない」と彼女は考えたと解釈できます。

心の天使―きまぐれな助言

三角の目をした羽ある天使が恋の知らせを聞いて
右腕に止まって目くばせをして
『疲れてるんならやめれば?』

三角の耳した羽ある天使は恋のため息聞いて
目を丸くしたあたしを指さし
『一度や二度は転んでみれば』

今作の歌詞の中で興味深いのは「天使」の存在でしょう。

謎多き天使ですが筆者はこの天使を彼女の「心の中で沸き起こる囁き」として解釈しました。

囁きに関しては「天使」だけでなく「悪魔」が描写として用いられますね。
「天使」は正道へ「悪魔」は誤った道へと導くためにアドバイスするといった感じです。

実際に「天使」と「悪魔」がそのようにしているというわけではなく、自身の中で沸き起こる正邪の判断や良心のイメージとしての描写です。

ですから彼女も自身が経験する恋に関してあれこれ心の中で囁いているのでしょう。

「三角の目をした」という表現があります。
通常「目を三角にする」という表現には「目を怒らせる」「怖い目つき」という意味があります。

ですから彼女は迷っている自分の気持ちに苛立ち、または呆れて『疲れてるんならやめれば?』と述べたのかもしれません。

天使の甘い気遣いとする考察もありますが、今回は違った側面から考えてみました。

「三角の耳した」という表現は「耳を尖らせた」という意味なのだと思います。

「耳を尖らせた」という表現には「注意深く聞く」「聞き耳立てる」という意味があります。

自分の本当の気持ちを知ろうと彼女の心が躍起になっていることを描写しているのだと考えました。

『一度や二度は転んでみれば』という囁きから、彼女の中に「挑戦心」を促す部分が存在していたことを理解できます。

2つの囁きから彼女の性格、つまり「面倒なことはやめたい」という消極的な面と「失敗を恐れず挑戦してみる」という積極的な面を見ることができます。

気持ちの表現

そろったつま先 くずれた砂山
かじったリンゴの跡に
残るものは思い出のかけら
少し冷たい風が足もとを通る頃は
笑い声たくさんあげたい

ここでは彼女の気持ちをさまざま仕方で描写しています。

2人は交際してはいないものの友情関係を築いていたのでしょう。

「そろったつま先」とは彼の前で背伸びをしたいという彼女の気持ちを描写しているように感じました。

「くずれた砂山」とは「不安定な気持ち」を表現しているようです。
恋愛が思うように進展しないとき、好きの気持ちが崩れそうになったこともあると予想できます。

「かじったリンゴの跡」「中途半端な気持ち」を描写しているのでしょう。
彼を好きな気持ちと諦めてしまおうという気持ちが長い間、交錯していたと考えられます。

それでも最後に残ったのは「彼との楽しい思い出」だったと解釈しました。

「少し冷たい風が足もとを通る頃」とは恐らく気温が下がり始める秋ごろを指すのだと思います。

花火の季節が夏なので「季節」が秋へと変わる頃には「恋愛」を進展させて彼と交際したいとの願いを感じ取ることができます。

客観視の結果

夏の星座にぶらさがって上から花火を見下ろして
こんなに好きなんです 仕方ないんです
夏の星座にぶらさがって上から花火を見下ろして
涙を落として

夏の星座にぶらさがって上から花火を見下ろして
たしかに好きなんです 戻れないんです
夏の星座にぶらさがって上から花火を見下ろして
最後の残り火に手をふった
夏の星座にぶらさがって

ここでは彼女が自分を客観視していることを自然の描写で表現しています。

「夏の星座」という高い位置から花火という「自分の気持ち」を見ています。
一歩引いて見ても「彼のことが好きで仕方ない」と実感したのでしょう。

しかし「涙を落として」と綴られており、好きの気持ちを「消そうと」していることがわかります。

続く部分でもう一度、見直したときには「もう彼を好きになる前には戻れない」ことが示されています。

しかしそうした気持ちを感じながらも「最後の残り火に手をふった」とあるように、彼女は「彼を好きでいることをやめてしまった」ことがわかります。

忘れることで友達という立場を持続させることを選んだのか、綺麗さっぱり忘れて彼のもとを去ったのかはわかりません。

いずれにせよ歌詞のラストでは彼女のアンハッピーを伝えています。
好きの気持ちという花火が完全に消えてしまった後には、孤独と悲しみの煙が彼女を取り巻いていきました。。

まとめ

いかがだったでしょうか。
歌詞を考察するとだいぶ世界観が変わってしまいます。

文字通りの花火として聴いていくと、最終的には片思いのまま花火を見終るという結末になると思います。

しかし花火を彼女の気持ちとして考えていくと、最終的に好きだった人を諦めてしまうという結末に変わって見えます。

天使のくだりは、aikoさんがビルの壁にみたキャラクターをモチーフにされているという情報を随分前に見たような気がします(曖昧ですみません)

だとすれば三角の目や耳に深い意味はないのかもしれません。
それでも今回は違った側面から考えて解釈してみました。

aikoさんの独特のアップダウンや片思いのじれったさや辛さを伝える歌唱表現には感動を覚えます。

今年の紅白ではどのように歌われるのでしょうか。
今から楽しみで仕方ありません。

今後の活動と次回作にも期待し注目していきたいと思います。
ありがとうございました。

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