After the Rain『喰病しのイデア』歌詞の意味を考察・解釈

「貴方の才能いただきに来ました。」
依然 舌先三寸 御託は一角で
叩き上げって辻褄合わせたら
病める胃袋の中へ

水が欲しいか 所以は大概
塩気利かせた欲望で
誰かの涙で煮詰めたスープは
喉を乾かせていく

今宵 ディナーは何に致しますか
お飲み物はどなたで作りますか
誰かの夢を解いて 煮込んで
お味は美味しいかい

喉元に縫いつき吐き出しても
決して手を止めることはできぬように
まだまだ 君はまだ食べ足りない
罪を食せ 食せ

誰彼構わず 見境はないさ
貪欲な病み煩いが習わしなんだ
インスタントミームで2月延命
寄せ集めのディスクはどうだい?
頭数合わせて舌なめずりしている

あの子の将来 上澄みすすって
頃合いになっちゃポイするの?
夢を見るほどに信じる心は
お誂え向きですね

泥だらけは誰で拭いますか?
またA4の紙で縛りますか?
刈り取る君は 刈り取られる芽の心を
蹴とばした

御大層な椅子に腰を掛けるだけ
役者気取りでいい気になるんじゃねえ
まだまだ 君はまだ食べ足りない
罪を食せ 食せ

君の子供の頃の夢
ボクに余さず聞かせてくれないかい
上滑りをして浮腫んだ大人に
なりたかったのかい
どうだろう?

今宵 ディナーは何に致しますか
お飲み物はどなたで作りますか
誰かの夢を解いて 煮込んで
お味は美味しいかい

吐き出せど食べ足りぬ空腹は
やがて君自身にすら牙を剥く
さよなら お別れの晩餐だ
罪を食せ 食せ

歌詞考察の前に

今回は人気ユニットであるAfter the Rainの楽曲『喰病しのイデア』を考察していきたいと思います。
MVが2020年1月25日にネット上で公開され動画再生回数は現在370万を超える人気を見せています。

今作は「大罪」をテーマにした新章開幕を告げるナンバーとなっています。
動画説明欄には『或る者は満たしすぎた。』 7×2つの大罪 壱 とコメントされていました。

ツイキャス情報によると大罪はテーマとしているが7つの大罪を直接的に指すわけではないようです。
また「×2」の意味についてもさまざまな意見が飛び交っています。
筆者は After the Rainの2人の大罪に絡めた経験談や寓話だと解釈しています。

歌詞やMV内容から今作のテーマは「暴食」だと考えられます。
テーマを踏まえて筆者が特に感じ取ったのは以下の点です。

逸脱した私利私欲

歌詞は明らかに人の貪欲さや丸出しの欲望について歌われています。
同時に理不尽な扱いを受け利用される人物像も描くことができます。
まさに「人を食い物にする」といった言葉がぴったり合う内容です。

この考えは次のそらるさんのコメントとも一致します。

昨日投稿したAtRの新曲です~ まふまふ曰くそらるが昔悪いおじさんたちに騙されたことを思い出して一部の歌詞書いたらしいです 複雑です よろです

https://twitter.com/soraruru/status/1220897290648342530

確かAfter the Rain結成前のことだった記憶があります。相棒としてまふまふさんがどうしても物申したいという願いの強さを感じることができます。

悪いおじさんたちは「詐欺師」と考えて問題ないでしょう。
音楽や芸能関係のウマイ話をそらるさんに持ちかけたと思われます。

続く部分の考察で背景やまふまふさんの感情を歌詞から拾い上げていきたいと思います。

その前にMV内容と曲調に触れてみたいと思います。
MVのイラストをくっかさん、映像をお菊さんが担当しています。
1人の男性、はさみ、フォークを中心に映像が構成されていました。
それぞれの解釈は以下の通りです。

男性=そらるさん(また利用されてきた人たち)

はさみ=詐欺師の欲望であり対象者の才能や未来を切り取り傷つける

フォーク=詐欺師の欲望を満たすための行為や手段

曲調はどのような仕上がりになっているでしょうか。
新章はボカロ要素を含んだハイテンポな曲構成になっています。
疾走感漂うビートが感情の慌しさや危険な状況を伝えているように感じました。

それではさっそく気になるタイトルや歌詞全体を考察していきましょう。

タイトル『喰病しのイデア』とは

タイトルの「喰病し」とは詐欺師が「人を喰い物にする病気にかかっている」ことを示唆していると解釈できます。

続く「イデア」はプラトン哲学の根本用語のことだと思われます。
私たちが日常で使う「アイデア」の由来となった語とされています。

原語の「イデア」の意味は時代ごとに形を変えているので断定することは困難です。
しかし原語が持つ「ありのままの姿、形」という意味は今作と合致すると考えました。

タイトルを簡単に要約すると「詐欺師の実態」となるでしょう。

『喰病しのイデア』歌詞の意味

底知れぬ欲を持つ者たち

「貴方の才能いただきに来ました。」
依然 舌先三寸 御託は一角で
叩き上げって辻褄合わせたら
病める胃袋の中へ

今回はそらるさんを主人公とし、詐欺師たちとのやりとりをイメージしながら考察を進めていきたいと思います。

歌詞冒頭のフレーズは詐欺師たちが述べたものでしょう。
そらるさんは才能に満ち溢れた人です。
顕著なのはやはり「歌い手」としての才能です。

詐欺師たちは彼の才能を利用しようとウマイ話を持ちかけます。
「舌先三寸」とは口先だけで相手を騙そうとすることを表す言葉です。

「御託は一角」とは詐欺師の述べるウマミの多い自分勝手な言い分は「氷山の一角」に過ぎないという意味でしょう。
ウマイ話の裏側があることを強調しています。

詐欺師たちの胃袋は「病める胃袋」と表現されています。
まるで満腹中枢が正しく機能しなくなった胃のようであり、どれだけ食べても満足できません。

詐欺師たちは利用できそうな人を見つけては都合よく辻褄を合わせていき自身の欲望渦巻く胃袋へと案内していたのです。

食は人なり

水が欲しいか 所以は大概
塩気利かせた欲望で
誰かの涙で煮詰めたスープは
喉を乾かせていく

今宵 ディナーは何に致しますか
お飲み物はどなたで作りますか
誰かの夢を解いて 煮込んで
お味は美味しいかい

見出し本来の意味は「食生活」を見ればその人が理解できるという意味です。
歌詞は詐欺師たちが人を喰い物にしていることを綴っています。
そうした長年の行ないは彼らの表情や人格を悪い方向に形成していったことでしょう。

「水が欲しいか」というフレーズはまふまふさんが詐欺師たちに向けた皮肉だと考えられます。
なぜなら彼らの「所以」つまり言葉の根拠は潤って満たされることのない欲望だからです。

利用され騙されたと気づいた人たちが流す「涙」の塩気を詐欺師たちは好んでいるので「お前らに水をやっても無駄だ」という皮肉と解釈しました。

「誰かの夢を解いて」という表現は詐欺師たちが持ちかけた「契約の解消」を意味していると考えました。

才能に見合った対価を支払わずに利用者を捨てるわけですから「食費0円」で作る純利益の「スープ」を詐欺師たちは啜っているのです。

夢の廃棄所

誰彼構わず 見境はないさ
貪欲な病み煩いが習わしなんだ
インスタントミームで2月延命
寄せ集めのディスクはどうだい?
頭数合わせて舌なめずりしている

あの子の将来 上澄みすすって
頃合いになっちゃポイするの?
夢を見るほどに信じる心は
お誂え向きですね

ここでは詐欺師の見境のなさと冷徹さが綴られています。

「インスタントミーム」とはなんでしょうか。
これは即席を意味する「インスタント」記憶媒体である「ミーム」からなっています。

筆者は詐欺師が他人の能力を奪って即席で形成された能力を指すと解釈しました。
その能力は自身から生まれたものではないので2月(ふたつき)ほどの延命にしかならないのでしょう(時代と共に風化する)

「寄せ集めのディスク」とは詐欺師たちが騙してきた人の才能や夢を示唆しているように思えます。

詐欺師たちはそらるさんも含め利用者の将来の「上澄み」つまり綺麗な部分だけをすすって用済みと判断したのでしょう。

「お誂え向き」とは「希望通り、注文通り」という意味です。
詐欺師たちは「騙しやすい信じる心」をご所望だということでしょう。

破滅のテーブルクロス

泥だらけは誰で拭いますか?
またA4の紙で縛りますか?
刈り取る君は 刈り取られる芽の心を
蹴とばした

ここでは「A4の紙」が登場しています。
筆者が考えるに詐欺師とそらるさんの間で取り交わされたであろう「契約書」だと解釈しました。

1997年から行政文書の100%がA化されています。
現在でもA4用紙の契約書が取り交わされています。

机に置かれた白い用紙はまるでテーブルクロスのようです。
紙面上には彼らの才能を買うことを約束した内容が記されています。
詐欺師にとって契約書を差し出すことは、料理の準備が整ったことの合図です。

一度サインしてしまえば契約に「縛られる」ことになります。
特に若いうちは法的措置に熟達していないため理不尽さより契約破棄のペナルティによる重圧に押し負けてしまうかもしれません。

そのような手口で詐欺師たちは夢を見る者の心を蹴り飛ばすのです。

主君殺し

吐き出せど食べ足りぬ空腹は
やがて君自身にすら牙を剥く
さよなら お別れの晩餐だ
罪を食せ 食せ

「吐き出せど食べ足りぬ」とは詐欺師たちが利用者と才能を最後まで味わうことなく捨てることを意味しているのでしょう。

そしていずれは自身の中で飼いならしていた欲望が自らも喰らい尽くして破滅すると述べています。

歌詞のラストは「罪を食せ」と詐欺師たちを糾弾しています。
犯してきた罪の報いを刈り取るようにという意味でしょう。

歌詞の通り世界中に蔓延る罪深き詐欺師たちが断罪されることを筆者も心から願っています。。

まとめ

いかがだったでしょうか。
利用する者と利用される者の背景がリアルに表現されていたと思います。

筆者も経験あるのですが「契約」を結んで物事が順調に運んでいるように思えるときは心地よさを実感します。
しかし「騙された」と判明した瞬間の「奈落の底」に叩き落された感といったらありません(若いってやあね)

そこからは「人間不信」やら「恐怖」やら面倒なものを背負い込んで生活しなければならない期間がありました。
そらるさんがどんな経験をされたか詳しくはわかりませんが辛かった時期もあったでしょうね(涙)

今作の奥深さとダークテイストな面に魅了されました。
また2人の絶妙に絡みつく美声も素敵でした。

今後の活動と次回作に期待し注目していきたいと思います。
素敵な作品をありがとうございました。

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