米津玄師『TEENAGE RIOT』歌詞の意味・解釈と考察

潮溜まりで 野垂れ死ぬんだ
勇ましい 背伸びの果てのメンソール
ワゴンで2足 半額のコンバース
トワイライト 匂い出すメロディー

今サイコロ振るように日々を生きて
ニタニタ笑う 意味はあるか
誰も興味が無い そのGコードを
君はひどく 愛していたんだ

煩わしい心すら いつかは全て 灰になるのなら
その花びらを瓶に 詰め込んで火を放て
今ここで 誰より強く願えば
そのまま遠く 雷鳴に飛び込んで
歌えるさ カスみたいな だけど確かな バースデイソング

しみったれたツラが似合うダークホース
不貞腐れて 開けた壁の穴
あの時言えなかった三文字
ブラスバンド鳴らし出すメロディー

真面目でもないのに 賢しい顔で
ニヒリスト気取ってグルーミー
誰も聞いちゃいない そのDコードを
それでもただ信じていたんだ

よーいドンで 鳴る銃の音を いつの間にか 聞き逃していた
地獄の奥底に タッチして走り出せ
今すぐに誰より 独りでいるなら
誰より誰かに届く歌を 歌えるさ 間の抜けた だけど確かな バースデイソング

持て余して放り出した
叫び声は取るに足らない
言葉ばかりが 並ぶ蚤の市に また並んでいく
茶化されて 汚されて恥辱の果て
辿り着いた 場所はどこだ
何度だって歌ってしまうよ
どこにも行けないんだと
だからこそあなたに 会いたいんだと 今

煩わしい心すら いつかは全て 灰になるのなら
その花びらを瓶に 詰め込んで火を放て
今ここで誰より 強く願えば
そのまま遠く 雷鳴に飛び込んで
歌えるさカスみたいな だけど確かな バースデイソング

 


はじめに

米津玄師さんの「TEENAGE RIOT」は、直訳すると「10代の暴動」。

「RIOT」にはスラングで「めちゃくちゃ面白い」という意味もあるそうです。

米津さんが中学生の終わり頃に作った曲がサビのメロディのもとになっており、思春期がテーマになっているようです。

「TEENAGE RIOT」の歌詞を自分なりに考察してみようと思います。

背伸びした若者

潮溜まりで 野垂れ死ぬんだ
勇ましい 背伸びの果てのメンソール
ワゴンで2足 半額のコンバース
トワイライト 匂い出すメロディー

10代の頃って、何かと死について考えたり、背伸びして大人の真似をしたりしますよね。

初めの2行はその、思春期ならではの思考や行動が表れています。

半額のコンバースを履いて、トワイライト(=日の出前や日没後の薄明かり)の時間に聞く音楽が、妙に心に響く。

後半の2行は、何となく米津さん自身の経験なのではないかなと感じました。

ジャケット画像の天使のような人物もスニーカーを履いてタバコを吸っています。

背伸びする若者の姿を表しているのかもしれません。


変わらない日常よりも

今サイコロ振るように日々を生きて
ニタニタ笑う 意味はあるか
誰も興味が無い そのGコードを
君はひどく 愛していたんだ

サイコロ振るように日々を生きる、というのは1から6までしかない変わり映えしない日常を示しているのだと思います。

ありふれた日常よりも、10代の暴動、恥ずかしいと思われるような衝動の方が大切だと言いたいのでしょうか。

誰も興味がないGコードは、人とは違うものへの興味の比喩のように思えます。

多数に迎合するよりも、他と違っても恥ずかしくても、そのGコードを愛せる人への応援なのかもしれません。

また、Gコードは米津さんの楽曲に多用されるコードですので、米津さんの10代を表しているようにも見えます。

誕生を祝うバースデイソング

煩わしい心すら いつかは全て 灰になるのなら
その花びらを瓶に 詰め込んで火を放て
今ここで 誰より強く願えば
そのまま遠く 雷鳴に飛び込んで
歌えるさ カスみたいな だけど確かな バースデイソング

サビ前のガッと来る力強いメロディーを受けた、激しさのあるサビの歌詞です。

「いつかは全て灰になる」のは、死後の火葬をイメージしているようです。

思春期は死を想定することが多いので、そこに対する力強い反撃が、「その花びらを瓶に詰め込んで火を放て」という歌詞に表れているような気がします。

煩わしい心ですら、エネルギーに変えられる、10代ならではの強さがある。

だからこそ誰よりも強く願って、違う場所に飛び込んでいけば、得られるものは必ずある。

「カスみたいな だけど確かな」という部分には謙遜も感じられ、米津さんの経験が含まれているのでしょう。

「バースデイソング」は誕生の歌ですので、死と対比して、新しく生まれ来るものへの祝福を感じさせます。

恐れず飛び込んで、生み出していけ、という背中を押すサビになっています。


10代の頃あったもの

しみったれたツラが似合うダークホース
不貞腐れて 開けた壁の穴
あの時言えなかった三文字
ブラスバンド鳴らし出すメロディー

この部分は全体的に10代の情景やあるあるを表している部分のように見えます。

ダークホースとは、番狂わせを起こす馬のことです。

しみったれた、にはいくつか意味がありますが、ここでは、見ばえがしないこと。貧弱なさまを指すように思います。

「しみったれたツラが似合うダークホース」は、見た目は大したことがないが番狂わせを起こせるような人の比喩でしょうか。

「不貞腐れて 開けた壁の穴」は、思春期によくある、イラついて壁を殴り穴を開けてしまう様子。

(余談ですが私の兄も10代の頃、親と喧嘩して壁に穴を開けました。あるあるなんですね…)

「あの時言えなかった三文字」は色んな解釈ができると思うんですが、10代の頃言えなかった言葉、と思うと、「つらい」とか負の感情の言葉か、もしくは「すきだ」とか告白の言葉なんじゃないかな、と思っていたりします。

曲全体の少し暗めの歌詞からすると前者が有力な気はします。

その頃はそういった思いをなかなか吐き出すことが難しかったりしますよね。

「ブラスバンド鳴らし出すメロディー」はそのまま、放課後の部活などの情景に思えます。

ニヒリストを気取る

真面目でもないのに 賢しい顔で
ニヒリスト気取ってグルーミー
誰も聞いちゃいない そのDコードを
それでもただ信じていたんだ

初めの2行は、いわゆる厨二病と呼ばれるような人をイメージさせます。

ニヒリスト=虚無主義者、グルーミー=悲観的な、陰気な

という意味からも、10代特有の、悲観的になりがちな思考回路を表しているのかもしれません。

後半の2行は1番のGコードの部分と対応するような歌詞になっています。

Dコードも米津さんの過去楽曲によく使われていますので、10代の頃から音楽作りをしていた米津さん自身の姿を表現しているのかと思います。

競争に出遅れたとしても

よーいドンで 鳴る銃の音を いつの間にか 聞き逃していた
地獄の奥底に タッチして走り出せ
今すぐに誰より 独りでいるなら
誰より誰かに届く歌を 歌えるさ 間の抜けた だけど確かな バースデイソング

2番のサビです。

「よーいドンで鳴る銃の音を聞き逃していた」はこれまでの流れを受け、10代の頃人より劣っていた自身と、今まさにそう感じている10代の人を表現しているように思います。

みんな一斉にスタートするものから遅れても、走り出してほしい。

そんな応援の気持ちが込められています。

10代の頃に孤独を感じたからこそ、誰よりも誰かに届く歌を歌えたのは、米津さん自身でしょう。

こちらのサビは、10代で出遅れていると感じている人や一人で孤独な人を応援しているように思えます。

暴動を起こせ

持て余して 放り出した 叫び声は

取るに足らない 言葉ばかりが 並ぶ蚤の市に また並んでいく
茶化されて 汚されて恥辱の果て
辿り着いた 場所はどこだ
何度だって歌ってしまうよ
どこにも行けないんだと
だからこそあなたに 会いたいんだと 今

「持て余して放り出した叫び声」はRIOTの意味である「暴動」をイメージさせます。

「茶化されて汚されて恥辱の果て」は暗くひきこもりがちだった10代。

大人になってもどこにも辿り着けない、今も迷い続けている。

それでも、だからこそ、あなたに会いたい。

「あなた」は、米津さんと同じように悩み苦しむ思春期を送った人たちを指すのではないでしょうか。

「どこにも行けない」というフレーズは、米津さんが過去の楽曲で何度も使ってきたフレーズであり、ファンの間でも茶化されているようなところがあります。

米津さんはそれを分かっており、あえてまたこのフレーズを使用したとのことです。

大人になっても、どんなに有名になっても、どこにも行けない。

でもだからこそ、伝えられる歌があるんだと、10代の暴動を後押しするような気持ちが感じられます。

ここから最後のサビに繋がり、若さゆえの激しさを応援するように曲は終わります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

「TEENAGE RIOT」は、泥臭い思春期や鬱々とした10代ならではの悩みを吹き飛ばしてくれるような、力強い応援ソングのように思えます。

10代以外の人でも、聞けば背中を押してもらえるような曲ですし、幅広く聞いてほしい1曲ですね。

「Flamingo」とはまた違った魅力ある曲ですし、今後もどんな曲を聞かせてくれるのか楽しみです!



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