ここに蔓延る摩天楼
君の確かな芽を摘んできた叶えたいもの全て奪い攫っては
僕をねじ曲げていく価値勘違い 嫌なあいつは
滑稽なんて嗤いあって
上品な言葉 乗せあって待って焦って足掻いた
せっせ 知恵を絞って せっせ 欲をかいて
エゴに堕ちてゆけあなたは言った 消耗品さ
だけど私は まだ考えてるわ
いつかまた こうやって
踊ってやってくれないか辛気を纏った 少年少女
憂さを晴らした イエスマン患者
誰も何者でもないもの
真意を知れば最期になるならさ
舌が乾くまで話そうぜ虚勢を張って 自分を失った
虚言を吐いて 幻になった馬鹿になって 宙を舞って
したらもう 壊れてしまいました純粋で透明な少年のさ
感情に魔を差してやってんのさ思い出して思い出して考えては
辿り着きさえもしないやあなたが言った 本当の意を
世界の片隅で考えてるわ冷えきった 嘘さえも
溶かしてやってくれるのなら孤独を知った才能人と
明日を選んだ メランコリー患者戻れない僕にさようなら
指を咥えて 泣いても無駄だから
いつかまた最終列車を待つわ
あなたの帰りはないけど
ここに居るべきではないこと
今全て飲みこめやしないけど遠くからみたら あなら幸せそうねでも
痛くて 痛くて 全部知ってるからあなたは言った 消耗品さ
だけど私は まだ考えてるわ
いつかまた こうやって
踊ってやってくれないか辛気を纏った 少年少女
憂さを晴らした イエスマン患者
誰も何者でもないもの
真意を知れば最期になるならさ
舌が乾くまで話そうぜそして僕ら逸話になって
今不確かな笑みを浮かべては
誰も知らなかった物語を今
君に話すから
はじめに
Eveさんが2019年2月6日にニューアルバム「おとぎ」をリリースします。
アルバムリリースに先駆けて、「おとぎ」収録曲の『ラストダンス』のMVを公開したEveさん。
今回は、繊細に描かれたMahさんのアニメーション、『ラストダンス』のMVをヒントに歌詞を考察します。
『ラストダンス』歌詞の意味
摩天楼が繁殖しても、のみこまれない自分でいよう

ここに蔓延る摩天楼
君の確かな芽を摘んできた
MVは、上空から見下ろされる、ビルが立ち並ぶ都会の風景。
高い場所にあるある部屋の中が描かれますが、部屋の住人が不思議です。
白い包帯が体中に巻き付いているものや、小さな黄色のぬいぐるみのようなもの、人間のような黒い服を着たものなど。
「蔓延る」は「よくないものの勢いが盛んになって広まる」ことです。
冒頭に描写された都会のビル群、摩天楼。
高層ビルが立ち並びすぎたことで、なにかよくないことを意味しているようです。
「君の確かな芽」とはいったいなんなのでしょうか。
ここだけで考えてみると、摩天楼を植物に例え、さらに擬人化し、
君=摩天楼
と仮定します。
すると、
「摩天楼が繁殖しないよう、コツコツと芽を摘んできた」
という意味だと考えられます。
叶えたいもの全て奪い攫っては
僕をねじ曲げてく
MVは、部屋の片隅に車いすが置かれています。
高い建物にいることを思わせる、透けて見えるガラスの床の下には摩天楼。
その上で踊る、顔をマスクのようなもので塞がれた女性と思われる人物。
歌詞には「僕」という主人公が出てきました。
叶えたいもの、夢や目標をもって都会へ来たのに、どんどん繁殖する都会の高層ビル、都会の喧騒によって奪われてしまった。
「僕」は思うような道を歩けないでいる様子なのではないでしょうか。
価値観違い 嫌いなあいつは
滑稽なんて嗤いあって
上品な言葉 乗せあって待って焦って足掻いた
せっせ 知恵を絞って せっせ 欲をかいて
エゴに堕ちてゆけ
MVでは、踊る女性を真似して黒い服の人物も踊りだします。
周りにいた包帯が巻かれている住人も踊りだし、その最中に白く口の大きな生き物が薬のようなカプセルを口いっぱいに詰め込んでいます。
踊っていた黒い服の男性は、白い何かにかかえられると、傷だらけの足元から包帯がほどかれるように足が消えていき、悲しい表情になります。
人間関係のトラブルが歌詞になっているような気がします。
はっきりと歌詞に綴られている「嫌いなあいつ」。
気の合わない「僕」と「あいつ」は、「上品な言葉 乗せあって」いても、内心ではうまくいかない、そんなもやもやした気持ちの描写だと思います。
あなたは言った 消耗品さ
だけど私は まだ考えてるわ
いつかまた こうやって
踊ってやってくれないか
MVに描かれるのは、包帯が元の様に巻き付けられ、足が復活しる黒い服の男性。
そして、踊っていた女性は顔のマスクが外されており、住人たちが踊り始めます。
ただ、部屋の隅で膝をかかえ、無表情の真っ白い人影が気になります。
歌詞にかかれた言葉が衝撃的です。
「あなたは言った 消耗品さ」
トラブルになった人、「嫌いなあいつ」が言った言葉なのでしょうか。
ひどいことを言われて、精神的なダメージを大きく受けたのでしょう。
鬱気味になっているけれど、いつかまた元通りになりたい、そんな思いが込められている気がします。
辛気を纏った 少年少女
憂さを晴らした イエスマン患者
誰も何者でもないもの
真意を知れば最期になるならさ
舌が乾くまで話そうぜ
MV中ではいろいろな姿の住人が思い思いに踊っています。
そんな中、再びマスクをつけ、表情が見えずに踊る女性。
黒い服の男性は、顔にモザイクがかかり、おどけたダンスを踊っています。
歌詞を考察します。
都会でうまくいかないもやもやした気持ちや、いらいらを抱えた若者も、人間関係に問題があり、鬱になってしまった人も、「誰も何者でもないもの」。
どうせなら、「舌が乾くまで」話し合いで、解決したいという希望のあるサビの歌詞です。
都会の雰囲気に負けずに、自分の意志を貫こう、話し合おうという内容が1番の歌詞だと考察します。
飛び降りてしまったうつ病患者

虚勢を張って 自分を失った
虚言を吐いて 幻になった
MVは、踊り疲れて横になる黒い服の男性。
点滴の台が描かれており、病室のような場所にいる白い人影。
部屋の中のいろいろな住人たちは、部屋の中にある、都会の風景が映し出されている大きなモニターを見ています。
「虚勢を張って」、自分の意志によらず、他人の信頼を得るためでしょうか、無理をして自信をもって過ごし、「自分を失った」。
「虚言を吐いて」、嘘を言ってしまい、とりかえしがつかず、何が本当なのかわからない、「幻」のようになってしまった。
毎日に疲れ切っている、そんな様子の歌詞です。
馬鹿になって 宙を舞って
したらもう 壊れてしまいました
MVは、顔の見えない白い布を纏った医者のような人。
書類がバラバラと落ちてきて、それは、病院のカルテのようです。
その中に、黒い服の男性のカルテもあります。
どうやら、病気か怪我を患っているようです。
歌詞とMVをリンクさせて想像します。
黒い服の男性は冒頭で足が流血しており、ケガを患っている様子でした。
そして、「宙を舞って」という歌詞。
どこかから飛び降りてしまい、怪我をしたように推測できます。
純粋で透明な少年のさ
感情に魔を差してやってんのさ思い出して思い出して考えては
辿り着きさえもしないや
MVに描写される、ゾンビのようなもの。
歌詞の「純粋で透明な少年」の心の感情に、悪影響を及ぼす何か。
この何かによって、とび降りなければならない状況に陥ってしまったのではないでしょうか。
あなたが言った 本当の意を
世界の片隅で考えてるわ冷えきった 嘘さえも
溶かしてやってくれるのなら
サビでは再び踊りだすシーンが描かれています。
「あなたが言った 本当の意」とは、1番のサビで綴られていた「消耗品さ」という言葉でしょう。
どういう意味をもって、「消耗品」と言われたのか、必死に考えているのです。
孤独を知った才能人と
明日を選んだ メランコリー患者戻れない僕にさようなら
指を咥えて 泣いても無駄だから
いつかまた
病室が描かれていますが、1番のサビで描かれていた白い人影はなく、黒い服の男性がいます。
そして、歌詞に綴られているのは、「メランコリー患者」、うつ病患者です。
飛び降りた黒い服の男性は、世間に疲れ、うつ病患者でもあったのです。
心も体も、痛みを知って、物語にできたなら

最終列車を待つわ
あなたの帰りはないけど
ここに居るべきではないこと
今全てを飲みこめやしないけど遠くからみたら あなた幸せそうねでも
痛くて 痛くて 全部知ってるから
MVは都会に風景が映し出されます。
言われたことを引きずったまま、心に傷を負い、体にも傷を負ってしまった。
華やかに踊り、他人からは楽しそうに、幸せそうに見えているかもしれません。
でも、心も体も、傷だらけなのです。
1番のサビの歌詞が繰り返されることにより、心の傷が癒えていないことが想像できます。
そして僕ら逸話になって
今不確かな笑みを浮かべては
誰も知らなかった物語を今
君に話すから
MVでは踊る女性の長い髪が抜け落ち、短い髪になります。
抜け落ちた髪を手に取る男性。
男性の心の傷を作ったのが女性で、少しつ歩み寄ろうとしている様子が伺えます。
問題は時間が解決してくれるでしょうか。
いつか、心の傷の物語を、逸話にして話せたら、そんな締めくくりとなっています。
まとめ
『ラストダンス』は、心ないことを言われたことをきっかけに、うつ病を患ってしまった少年が、少しずつ回復しようとしている様子が描かれた曲でした。
都会の冷たい雰囲気と、どこか寂しい景色が、MVに繊細に描かれていました。
ニューアルバム「おとぎ」には、『ラストダンス』の他、「アウトサイダー」「トーキョーゲットー」「アンビバレント」を含む11曲が収録されます。
ラストダンスにはこんな意味があったなんて初めて知りました。
最近Eveさんを好きになったのでまだまだEveさんのことを知れてないのですが曲がすごく良くてこれから深くはまりそうです(笑)
みかんさん感想有難うございます。
歌詞の意味が把握できると世界観が広がりますね。
これからもご一緒に名曲にたくさん触れていきましょう!
ラストダンスのMVの英語の表記で、LとSとDだけ大文字になってることから、LSDというヤクの事なのではないでしょうか。
怪物の口の中の薬や手足がなくなっていく描写から覚せい剤や覚せい剤の副作用を表しているのではないでしょうか。
この考察もとてもすきです。
ありがとうこざいました。
UNKNOWNさん感想有難うございます。
大文字部分からクスリの副作用に繋げた考察は見事でした。
とても興味深かったです。
いずれにせよなんらかの症状を歌っているように思いました。
お褒めの言葉を頂き光栄です。
これからもSugar&Salt Musicを宜しく
お願いします!
カルテにドラマツルギー、ナンセンス文学、あとは、アウトサイダーの主人公たちがいました!
こ、これはど、どういうことだ!?
eveにハマった人さんコメント有難うございます。
ご指摘頂いた3人のカルテが出てくるシーンのテロップは
「虚勢を張って 自分を失った 虚言を吐いて 幻になった」でした。
上記のような共通の症状があることを描写していると解釈しました。
一つの考え方としてお受け取りください。
これからもSugar&Salt Musicを宜しく
お願いします!