After the Rain『彗星列車のベルが鳴る』夢だった、幸せの物語。

出典:https://www.youtube.com/watch?v=jEn5Hd8kP3Y

さよならの台詞もなく
最後のページだ
もう列車のベルが鳴る
この夜空で輝いた星も
晴天の空では見落とすように
「幸せ」では「幸せだ」と
気づかなくなっていた
そんな他愛のない日々が
この指の隙間
零れ落ちた
終点も無いような
果てしない闇の向こう 彗星の列車で
もう君は帰る 行く宛てもなく
一度脈打ったら
この気持ちだって止まってくれやしないのに
言いそびれた言葉も あの夏の空の向こう側
世界中の星を集めても
霞んでしまうくらい 君は綺麗だ
羽のように 眠るように
寝息も立てずに
「夕陽が落ちるまで遊ぼう?」
足跡がひとつ
立ち止まった
君をまだ好きしている
あの夏の向こうで何回だって恋している
こんな子供じみた気持ちのままだ
「はい」も「いいえ」も無い
でも御伽噺みたいなワンフレームを
望んでは止まないような
弱虫なボクでごめんね
静けさを溶かして
朝焼けもまだ見ぬ空に
鐘は鳴る
「もう帰らなきゃ」
ぽつり 夢が覚めていく
いかないでよ
終点も無いような
果てしない闇の向こう 彗星の列車で
もう君は還る 行く宛てもなく
一度脈打ったら
この気持ちだって止まってくれやしないのに
もうこの手を離したら 彗星が尾を引いたら
言いそびれた言葉も
あの夏の空の向こう側

はじめに

2017年にシングル2枚同時発売された、After the Rain『解読不能』、『アンチクロックワイズ』。

『彗星列車のベルが鳴る』は、『アンチクロックワイズ』の4曲目に収録されているが曲です。

今回は、After the Rainにとてもよく似合う、『彗星列車のベルが鳴る』の歌詞考察を行います。

『彗星列車のベルが鳴る』の意味

「彗星」は、ほうきぼし、尾を引いたように見える星です。

「彗星」と「列車」から、夜の星と、夜行列車、寝台特急が描かれているように思えます。

「ベルが鳴る」は、列車が出発するときの合図でしょう。

ただの夜の星ではなく、尾を引いている姿を想像する星の「彗星」なので、心残りな出来事を「彗星」に例え、旅に出る、または、帰るような意味ではないかと感じます。

『彗星列車のベルが鳴る』のテーマ

『彗星列車のベルが鳴る』のテーマは、「彗星列車」という夜行列車をイメージさせるタイトルからもあるように、「夢の中の出来事」でした。

夢は、見ているときは夢だと気が付きませんが、目が覚めると忘れてしまう、怖い夢の時は怖い印象、幸せだった夢の時は、幸せだったという印象だけが残っていることがありますよね。

『彗星列車のベルが鳴る』の歌詞の内容は、幸せだった夢の中のことが歌われています。

『彗星列車のベルが鳴る』の歌詞中の登場人物

1番、2番、ラストのサビに「君」

2番のサビのみ「ボク」と綴られています。

冒頭から主語のない歌詞ですが、MVをヒントにすると、描かれる列車に乗っている男女から、少年の「ボク」から少女「君」への想いが歌われているようです。

『彗星列車のベルが鳴る』歌詞の意味

イントロの歌メロは序章?

さよならの台詞もなく
最後のページだ
もう列車のベルが鳴る

イントロの歌メロから、そらるさんの優しい声で歌われています。

「さよなら」「最後」と、出だしから終わりのような印象です。

「台詞」「ページ」というワードから、物語の終わりだと考えられます。

物語を読み終えたところで、「列車のベルが鳴る」。

歌メロで始まる曲の場合、メロディはサビのメロディであったり、その後に続くAメロの静かなサウンドだったりする場合が多いのですが、『彗星列車のベルが鳴る』のイントロのメロディは独立していて、Aメロやサビと同じではありません。

『彗星列車のベルが鳴る』が、ひとつの物語になっていることを予感させられる、序章なのではないでしょうか。

失ってから気づく「幸せ」

この夜空で輝いた星も
晴天の空では見落とすように
「幸せ」では「幸せだ」と
気づかなくなっていた

1番の歌詞を考察します。

夜空で輝いている星が見えるのは夜だけです。

日中の晴れた空、確かに空にあるはずなのに、星を見ることはできません。

それと同じように、気持ちが明るい時にある「幸せ」を、「幸せだ」と感じることは難しい、気が付かないこともあるでしょう。

つまり、Aメロでは主人公が「幸せ」であった時のことを思い出していると言えます。

そんな他愛のない日々が
この指の隙間
零れ落ちた

Aメロの「幸せ」であった日々、「他愛のない日々」が、「零れ落ちた」、「幸せ」だった日々を失ってしまった。

Bメロでは、主人公が何かの出来事によって、「幸せ」を失ってしまったことが考えられます。

終点も無いような
果てしない闇の向こう 彗星の列車で
もう君は帰る 行く宛てもなく

そらるさんが歌うサビのパート。

ここで初めて「君」という相手が出てきます。

主人公が、「君」と離れてしまう、「君」が「帰る」ことが、Aメロ、Bメロの歌詞の「幸せ」を失ってしまった出来事と言えるでしょう。

「彗星の列車で」と、タイトルの「彗星列車」もサビに綴られています。

実際に列車に乗って行ってしまうのではなく、行先は「終点も無いような 果てしない闇の向こう」です。

しかし、「帰る」と綴られているのに「行く宛て」はない。

どういうことなのでしょうか。

一度脈打ったら
この気持ちだって止まってくれやしないのに
言いそびれた言葉も あの夏の空の向こう側

まふまふさんのパートです。

「脈打ったら」というのは、次の「気持ち」から、主人公が「君」に恋心を抱いた、恋心にきが付いた止まらない気持ちだと考えられます。

「言いそびれた言葉」は、おそらく「好き」という言葉ではないでしょうか。

「君」が帰ってしまった、「闇の向こう」へ向けて、好きという気持ちも一緒に連れて行ってほしいという思いを込めて、「あの夏の空の向こう側」と歌われているように感じます。

伝えられなかった気持ち

世界中の星を集めても
霞んでしまうくらい 君は綺麗だ
羽のように 眠るように
寝息も立てずに

2番の歌詞を考察してみましょう。

MVでは、1番の時に、一緒に列車に乗っていた少女がいなくなっています。

Aメロは、「君は綺麗だ」と少女に向けた言葉のような歌詞から始まります。

そして、君は「羽のように 眠るように 寝息も立てずに」と、まるで「君」が人形か何かのような、人間らしさのない、意味深な歌詞が綴られています。

「夕陽が落ちるまで遊ぼう?」
足跡がひとつ
立ち止まった

Bメロは、主人公か君が言った言葉ですが、ここから歌詞の内容を読み取ることがとても難しく、状況がわかりません。

「足跡がひとつ 立ち止まった」とあるので、帰ろうとしていたけれど、「遊ぼう?」と声をかけられて「立ち止まった」のでしょうか。

これから君が帰ることになる闇になる前、とも考えられます。

君をまだ好きしている
あの夏の向こうで何回だって恋している
こんな子供じみた気持ちのままだ

2番のサビはまふまふさんのパートから。

「君をまだ好きしている」

「好き」を「している」とは日本語として自然ではないので、主人公の幼い気持ちを表しているように感じます。

後の歌詞も「子供じみた気持ちのままだ」と綴っています。

主人公の恋心は、「君」が闇の向こうへ帰ってしまったあとも、「夏の向こうで何回だって恋している」、夏の季節が来るたびに、幼い気持ちを思い出し、ずっと何年も変わらない気持ちでいることが伝わってきます。

「はい」も「いいえ」も無い
でも御伽噺みたいなワンフレームを
望んでは止まないような
弱虫なボクでごめんね

そらるさんのパート。

ここではじめて、歌詞の主人公が「ボク」だと分かります。

大きくなっていく「好き」という気持ちを、想っているだけでは返事がないことは分かっている。

けれど、「御伽噺みたいな」絵に描いたようなハッピーエンドを、「望んで止まない」。

「君」に対して、何も行動を起こすことができない「ボク」。

近づく終わり

静けさを溶かして
朝焼けもまだ見ぬ空に
鐘は鳴る

静かに始まる、ピアノの音色が美しく響く大サビ。

深夜の夜行列車、続いていく闇の中。

イントロでは「ベルが鳴る」でしたが、大サビは「鐘が鳴る」と綴られています。

イントロが出発の合図でしたが、この「鐘」は列車が走行中です。

何かを、変化を知らせる合図でしょうか。

夢から覚めるとき

「もう帰らなきゃ」
ぽつり 夢が覚めていく
いかないでよ

ラストのサビの前はBメロのメロディ。

間奏では、1番で歌われていたような、男女が一緒にいる「幸せ」な時の回想シーンのような形で描かれています。

そして、ここで「夢が覚めていく」と綴られており、全ての出来事は主人公の夢の中の出来事だったのではないかと考えられます。

2番のAメロで歌われていた、少女に人間的な息遣いが感じられず、綺麗な姿に感じられたのは、夢の中でしか会えない、「ボク」の想像の少女だったからなのではないのでしょうか。

大サビの「鐘が鳴る」は、目覚めの合図でしょう。

終点も無いような
果てしない闇の向こう 彗星の列車で
もう君は還る 行く宛てもなく
一度脈打ったら
この気持ちだって止まってくれやしないのに
もうこの手を離したら 彗星が尾を引いたら
言いそびれた言葉も
あの夏の空の向こう側

ラストのサビです。

「幸せ」だったときは、夢の中の出来事でした。

1番では「君は帰る」だった歌詞が、ラストのサビは「君は還る」と綴られており、1時的に帰る場所ではなく、本来戻るべき場所に戻るような意味合いの「還る」となっています。

ボクの夢が覚めたら、君には会えなくなってしまう。

夢で見たことは、目覚めると忘れてしまう事もありますよね。

君は確かにボクの中にあるはずなのに、その記憶さえなくなってしまう、それが、永遠の別れのように感じてしまい、惜しまれていることなのではないかと思います。

MVでは、「幸せ」だったときの回想シーンが、走馬灯のように現れてエンディングとなります。

注目してみてください。

まとめ

今回はAfter the Rainの『彗星列車のベルが鳴る』を考察しました。

歌詞を順に追っていき、分かったのは、夢の中の出来事であったということ。

「幸せ」は、失ってから気が付くということです。

After the Rainの楽曲で、「少年の伝えられなかった恋心」が歌われている、似たような世界感だと感じた楽曲があります。

After the Rain『マリンスノーの花束を』

After the Rain『四季折々に揺蕩いて』

の2曲です。

歌詞の内容を考えながら、合わせて聴いてみてはいかがでしょうか。

2 件のコメント

  • 初めまして! 初めてこちらのサイトにてAfter The Rainの解釈を読ませて頂きましたが、どれも素敵な解釈をされていておおお、これは凄いぞと思いました。
    After The Rainの曲は音楽仲間と良く歌うので、曲の背景を浮かべつつ歌っていこうと思います。
    素敵な解釈を見せていただいて、どうもありがとうございます!

    • Haineさん感想有難うございます。
      ファン愛を損なわない解釈が出来ていたでしょうか?
      お褒めの言葉を頂き恐縮です。
      これからも音楽仲間と楽しい音楽ライフをお過ごし下さい♪

      これからもSSMを宜しくお願いします!

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